本読み日記


【ジャンル分け】 元々日本語で書かれた大人向け小説
元々日本語で書かれたジュブナイル小説。
日本語が書かれた小説以外のもの。

元は外国語で書かれていて、翻訳されたもの。

乙女のためのホモ小説
コミックス

われながら、なんつう荒くたい分け方であることよ。
ええっと、大人向けかジュブナイルかは、出版元の意向そのまんまです。角川スニーカー文庫とか講談社ティーンズハート文庫とかコバルト文庫とかは、どんだけ立派な作品でもジュブナイルに入れてます。逆もそう。


8月30日 『グーグーだって猫である』 大島弓子 角川書店

ああ、よかった。立ち直ってた。そして一猫飼いとして、段違いに逞しくなっていた。
サバが死んだというのは人づてに聞いていて、「ああ、んじゃ壊れていく一方なのね、この人」と思い、触らぬ神に祟りなしとばかり、ここ数年、コミックス出ても買ってなかったの。
ところが、この本、表紙からしてサバじゃない別の猫。「ああ、よかった。ぶじに別の猫、飼ってるんだ!」と中身も見ずに購入した。
いいよ、この本。この人にはもう死ぬまで実録猫マンガばっかり描いててほしいくらい、いい。「ねこもこグースカ」のモコちゃんほどは猫飼いとして逞しくないけど、サバのお話のときは「なにもそんなに神経質にならんでも」と思ってた部分が薄れている。
それと表紙に描かれた著者。一瞬、「あれ、映美ちゃんが描く自画像だあ」と思っちゃったよ、あたし。


   『そして恋がはじまる』 月村奎 キャラ文庫
うーん、前作ほど悪くはないが、初期の作品ほどよくない。
ひょっとしたら、もう書きたいこと、なくなっちゃったのかも、この人。

女優の岸田今日子が書いた童話集、絶版や廃版になってのたが、三冊分、一冊にまとめてハードカバーで出るらしい(つうか、もう出てるのか?)。
うちにある彼女の本は、角川文庫の『一人乗り紙ひこうき』一冊きりだ。
短い童話とエッセイを集めたものだ。
うち、童話は二部に分けられている。「子供にしてあげたお話」と「子供にしてあげなかったお話」。 
後者の「子供にしてあげなかったお話」が、断然、面白い。残酷で、甘美。倉橋由美子の『大人のための残酷童話集』が青臭く思えるほど、凄い(倉橋由美子は好きなんだけど、これはなー。童話を左脳でいじってもなー、とか思っちゃう)。
中でもわたしが好きなのは、「七匹目の仔山羊」。なんともいえぬ味わいの逸品です。短い作品だから、立ち読みでもすぐ読めます。
本屋で見かけられたら、ぜひ、ご一読を。


8月27日 『メルカトルと美袋のための殺人』 麻耶雄嵩 講談社ノベルス

「麻耶」の「耶」の字を出すのに、「高耶」(©『炎の蜃気楼』桑原水菜)とだしてから「高」の字を消そうとしたのだが、そもそも「高耶」をまだこのパソコンには登録していないことが判明した。
閑話休題。
ゆきうさぎに薦められて読んだ。「探偵がね、性格悪くて面白いの」。
ほんとだ。こいつの性格、最悪。ねじこびひんまがったド根性悪。イカス。ああ、これで「メルカトル鮎」なんて変な名前でなくて、服装の趣味がまともなら(涼介さまファンが他人様の服装を云々するのは心苦しいものがあるのですが、はっきり言って、こいつの服の趣味、いいとか悪いとかとはレベルが違うんだもん!)、ストライクゾーンど真ん中なのに。
ところでこの探偵、愛車MR2の中でキング・クリムゾンなんかかけてやがります。京大出のミステリー作家って、どうしてこう、キング・クリムゾン(およびプログレッシヴ・ロック全般)が好きなんだ?

8月26日 『狼には気をつけて』2 遠藤淑子 白泉社

「はくせんしゃ」を変換したらまたも「白癬者」になった。いい加減、単語登録しとこう、白泉社。
自慢だが、うち、遠藤淑子はぜんぶある。デビュー作が雑誌に掲載されたときから目をつけて、以来、コミックスが出るたび、買いつづけている。だからぜんぶ初版。廃版になったのもぜんぶあるわよ(するなよ、廃版に)。どんなもんだいっ。
絵は下手だ。だが、見苦しいほどではないし、好感のもてる絵だと思う。が、この人の本骨頂はセリフ回しの素晴らしさである。笑いのツボも泣かせるツボもはずさない。心に残った警句も数多い。
BOOKOFFとかの百円コーナーに並んでいたら、一度手にとってみることを、心の底からオススメする。

8月25日 『創竜伝12』 田中芳樹 講談社ノベルス

出たーっ! きゃっほう!
が、外伝である。宋時代が舞台である。いかにも勉強しましたーって感じのエピソード盛りだくさん。しかも前半、活躍するのは長男と三男ばっかりで、次男と四男は天上界でお留守番である。
でも、面白かったよーっ。やっぱりいいよ、創竜伝! しかし、涼介さんといい、ここん家の次男といい、前述の『DOUBLE CALL』の千堂といい、封殺鬼の達彦さんといい、高飛車で高慢ちきで偉そうな受けが、どうしてこうも好きなんだろう、ワタシ。

加えて、ずっと長男×次男だったが、三男×次男もいいなあと思う今日この頃。
いやあん、映美ちゃん、ぶっちゃいやん。

8月24日 『マックス・マウスと仲間たち』 松尾由美 朝日新聞社

すんげえ頭でっかちな小説だった。主題を書きたすぎて、でも論文だと発表する場がなくて、軽いエッセイにもならず、無理やり小説に仕立てた感じ。主張そのものはよくわかるし、けっこう納得もできるのだが。
デビュー作『バルーンタウンの殺人』みたいな、歯切れよくて、文章が粋で、しかもテーマの通った作品が読みたい。ああいうの、書いて。お願い〜。

8月21日 『愛のよろこび』 三季貴夜 オークラ出版

受けがいまの男と昔の男の間で揺れ動く話。
こういう話はむちゃくちゃ好きなんですが、これは私的にイマイチだった。どうしてかなー?
あとがきによると著者の本業はレディス・コミック作家なんだそうだ。
知らん。読まんからなー、レディコミ。
(大昔、高口里純がその手の仕事したときに読んだっきりだと思う)

8月20日 『黄色いダイアモンド』 木原音瀬 青磁ビブロス

木原音瀬の作品はときどき痛すぎて読めないのだが、これはちょうどいいくらいに痛くてよかった。
表題作は「小説BE−BOY」掲載時に読んだ。それより長い書下ろしがついていた。表題作がくっつくまでの話で、書き下ろしがそのまた前の話ってのはものすごく腹立つというか嫌いだが、この書き下ろしはちゃんと後日談。くっついてから十年後くらいの話。
ところがこの二人、くっついて十年経つのに、まだ同棲しとらんのである。受けのほうの息子も、父親と父親の親友のおじさんの関係に、ぜんぜん気づいておらんのである。そんでもってストーリーの中心が、その息子が学校で苛めに逢う話で、けっこう鬱陶しかった。
でも、息子の問題で受けの父親が学校へ呼び出されたときのやりとりはすごくスカッとするものがあったし、息子にばれたときの彼らの反応も好感もてて、このへんは○だった。

8月18日 『リフトウォー・サーガ5 国王の海賊』上・下 レイモンド・E・フィースト ハヤカワ文庫

リフトウォー・シリーズ。4は王弟アルサの双子の息子たちの物語だったが、5は双子のそのまた弟ニコラスが主人公。
このシリーズ、最初の『魔術師の帝国』が出たのが、昭和59年! 当時、ハヤカワのFTはマッキンタイアやマカヴォイ、マキリップ等がガンガン出ており、ガンガン読んでいた。『魔術師の帝国』も発売と同時に買って読んだはずだ。
つうことは、『魔術師〜』読んでから、16年…。
ところがだ。物語の中では、1から5の間、30年の歳月が流れているのである!
この実際のタイムラグと物語の中のタイムラグの差が、すんげえ私的には半端、つうか、自分がすごく歳とったような気にさせられるというか。(歳、とっちゃいるがな)
だって、憂愁の狩猟長官にしてアルサの父の隠し子マーティン・ロングボウがはや年寄りなのよー。二、三年前に出た本の続編でいきなり年寄りになってたらまだこれほど違和感なかったと思うのー。
ところでこのシリーズ、3まで文庫で出しときながら、4の『王国を継ぐ者』、いきなりハードカバーで出しやがったの、早川書房。
後生だから、ああいうことは二度としないでね、早川さん。


8月14日 『DOUBLE CALL』6巻 緋色れーいち 桜桃書房GUSTコミックス

プロ野球ホモ漫画の第六巻め。千堂が好きで読みつづけている。千堂ってのは、東大のプロ野球選手で受け。ほんま、わし、弱いな。この手の、インテリで性格ブスの受けに。
でもなー、あんまり野球にこだわらんほうがいいと思う、このシリーズ。いいピッチャーだって打たれるときゃあ打たれるし、いいバッターだって打てねえときは打てねえもんだって。そこになんか意味を求められてもなー。


『コンプレックス』3巻 まんだ林檎 ビブロスBE−BOYコミックス
もう買わないと思いつつ、出てればついふらふらと買ってしまう。なんかこの人、変なプライドがフリートークでちらちらのぞいて気持ち悪いのよ。もういいや。まとめて売っちゃえ。

8月12日 『ハートに優しくくちづけを』 高尾理一 ラキア・ノベルス

あれ? 名手高尾理一なんだけどな。なんか今回、ちょっと低調。
ところでうちにはこの人の同人誌が三冊ある。三冊ともスラム・ダンクで、三冊とも牧受け。神×牧と藤×牧と高頭×牧。ゴリ×牧、待ってたんだけどなー。仙×牧も。これからでも出してくれないかなー。

8月11日 『ドクターは犬を愛す』 剛しいら クリスタル文庫

このシリーズ、だあい好き。これ読み終わって、また一冊目から読み返してしまった。今回、看護婦の増山さんが幸せになってくれてて嬉しかった。脇役へのこういうフォローって嬉しいなあ。
これで完結かあとちょっと寂しかったのだが、なんか、続編あるらしい。ラッキー・ハッピー。

8月10日 『ベッドルームで宿題を』 ひちわゆか 新書館ディアプラス文庫

ひちわゆかはツボにはまったときはたまらんのだが、これはなー。ショタはなー。子供のほうが攻めなんだがな、それでもなー。
この子供の叔父さんのほうとできちゃうと思って買っちゃったの。はずしたわー。

8月8日 『魔術師の物語』 デイヴィッド・ハント 新潮文庫

ひとりの美しい男娼が殺された。それも十数年前、犯人がつかまらないまま迷宮入りした事件を模したやり方で。
彼の友人であった女性写真家ケイは、彼を殺した犯人をつきとめるため、彼の周囲を探索する。
なんかね、半端。殺された男娼の過去とか、最後まで姿を現さない彼の双子の姉だとか、その双子の姉の足跡をたどる最後の旅だとか、描きようによっては相当に夢幻的な物語になったのに、そういうディティールと、本筋のカチっとした犯人探索が、どことなく噛み合っていない感じ。


  『ぴくぴく仙太郎』18巻 布浦翼 講談社
18巻か…。もはや本棚でかなりの幅を占めるようになってしまった。まさか、ここまで続こうとは。
でも仙太郎が死ぬのも、御馴染みの脇役さんたち(特に危ない、老狩猟犬らっしぃ)が死ぬのもイヤなので、サザエさんのようにこのまま続いてほしいものだ。

8月6日 『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』 遥洋子 筑摩書房

やっとBOOKOFFで見つけた。新聞の広告で見てから、読みたかったの、これ。
遥洋子というタレントをそんなに好きではないが、朝日新聞でやってた連載とかは面白かったし、これもやっぱり面白かった。
でもさあ、ジェンダー・ハラスメントって、女のほうも結構やってるよねえ。
駐車場で、女の子やおばちゃんがもたもたしてても暖かい心で待ってあげられるけど、男、それも若い男の子が何度も切り返して四苦八苦してたりすると、「男のくせになんやねん」とか思うもん。これも立派なジェンダー・ハラスメントだよな。
それと、ハラスメントはジェンダーに限ったことではない。共通したアイデンテティへ依存するグループがあり、彼らが依存するアイデンティティに価値を認めない人間が彼らの前に現れたとき、ハラスメントは常に起こりうると思う。
すべての個人が、保有するアイデンティティを、特長としてではなく、特徴としてとらえらえる日は、果たして訪れるのでしょうか?

8月5日 『虚の王』 馳星周 光文社カッパノベルス

友達のK美ちゃんが貸してくれた。
馳星周はほかに例の『不夜城』読んだだけだけど、あれよりこっちのほうが面白かった。
作者はどのキャラクターにも肩入れせず、栄司のことも「カラッポ」と断罪するが、登場人物の中では、わたしには彼が一番わかりやすかった。
K美ちゃんは「後味、ちょっと悪いよ」と忠告してくれたけど、そうでもなかったな、うん。

8月3日 『アリバイ』 義月粧子 桜桃書房

………啓×涼やんけ。京一みたいなのも出てくるし。しかも、中華屋(最近、板前な京一を読んだばかりだったの)。
同人もやってる人なので、できればぜひとも、兄受け本を出してもらいたいものだ。
  『頭文字D』 十九巻 しげの秀一 講談社
主人公、表紙に返り咲き。ちなみに裏表紙は大輝くんと愛車EK(シビック)。
十八巻の途中くらいから連載を立ち読みするようになってしまったため、この巻、ぜんぶ読んだとこばっかり(当たり前だっつうの)。
でも、コミックスになって絵の大きさが変わっただけで、印象がだいぶ違う部分もある。東堂塾社長、これなら兄に食われても、わたし的にはぜんぜんオッケーだ。バトル終わって、ふたりに会話が成立してからが勝負だな。誰か、書いて。そして、読ませて。

8月2日 毎日晴天6 子供たちの長い夜』 菅野彰 キャラ文庫

………たるい。この人の真骨頂はやはりギャグである。切れのいい、ボケも効いた、愉快な文章である。
シリアスは、できれば、書かんでほしい。ちなみに岸和田にも、高級住宅街もあれば、フランス飯屋だってあるぞ。
  富士見二丁目交響楽団シリーズ第四部 マエストロエミリオ』 秋月こお 角川ルビー文庫
シリーズ物はたいてい、一度気に入れば、よほどのことがない限り、延々読み続けるほうだ。
そういうわけで、出ればつい買ってしまうシリーズのひとつ(惰性70パーセントってとこか)。
桐院が昔、涼介さんに喰われてたってことはないかなあなどと、埒もないことをつらつら考えつつ読む。
そういや今回から挿絵が、西炯子から後藤星に変わった。思ったほどの違和感なし。

8月1日 『耳をふさいで瞳をとじて』 三季貴夜 ショコラノベルズ

ノン気同士のお初物はとても苦手なのに、BOOKOFFでついふらふらと購入してしまった。
ごめんなさい。やっぱり口に合いませんでした。
  『ぼくの恋の受難』 飛天 角川ルビー文庫
『ぼくの恋のお値段』の続編。こおゆう「耐える受け」はどちらかといえばあまり好きではないが、この子の置かれた不幸のディティールが納得できるものだったので、没頭できた



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