本読み日記


【ジャンル分け】 元々日本語で書かれた大人向け小説
元々日本語で書かれたジュブナイル小説。
日本語で書かれた小説以外のもの。

元は外国語で書かれていて、翻訳されたもの。

乙女のためのホモ小説
コミックス

われながら、なんつう荒くたい分け方であることよ。
ええっと、大人向けかジュブナイルかは、出版元の意向そのまんまです。角川スニーカー文庫とか講談社ティーンズハート文庫とかコバルト文庫とかは、どんだけ立派な作品でもジュブナイルに入れてます。逆もそう。



11月16日〜11月30日

『さようなら、と君は手を振った』 木原音瀬 オークラ出版
当たり♪ 攻め側視点の表題作と、その五年後を受け視点で書いた「僕がどんなに君を好きか、君は知らない」に、受けの息子が中学生になり、父親の友人であるゲイの男と出来てしまう短編の付録つき。短編はわたし的にはちょっと蛇足だった。「さようなら〜」で死ぬほど身勝手だった攻めの男の、「僕が〜」での豹変ぶり、というか、心の入れ替えぶりが気持ちよろしい。


『王子サマの料理番』 神奈木智 オークラ出版
イマイチ。神奈木智はせつない話を書かせると気持ちのいい佳品を書く人だが、こういうコメディ調はちょっと合ってない感じ。


『リスメイヤ 邪姫流離譚』 高瀬美恵 小学館キャンパス文庫
政変により、家族を皆殺しにされ、日本に逃れた王女リスメイヤ。脱出を手伝ってくれた日本人夫婦の養女となった彼女は、四年後、やおい系オタク女と化しており、父や母や弟を無残に殺した革命首謀者を、復讐も兼ねて妄想の餌食としていた…。
つう訳で、高瀬美恵お得意のドタバタ喜劇。しかし、まるまる一章、リスメイヤの妄想をそのまま綴ってたりして、高瀬、あんた痩せガマンしてるだけで実はやおい書きたかったりするの?とちょっと尋ねてみたくなった。


『ダックスフントのワープ』 藤原伊織 文春文庫
すばる文学賞受賞作である表題作、「ネズミ焼きの贈り物」「ノエル」「ユーレイ」の四編入り。
ナイーヴ。が、村上春樹と違い、もっと硬質でひんやりとした手触りのナイーヴさ。感触としては、ラディゲに近いように感じた。
ハードボイルドとして扱われる『テロリストのパラソル』以下の作品とは違い、これらは純文学に分類されるらしいが、中身はやっぱり藤原伊織です。税抜き457円の文庫なので、ハズしたとしても(それほど)惜しくない。ぜひご一読を。


『砂塵宮殿』 なかはら茉梨 オヴィス・ノベルス
あとがきでV・C・アンドリュースに触れているのだが、確かに風合いが似ていないこともない。ただし、ホモ版だけど。
なかはら茉梨の作品としては、とても異色。


『家族の肖像…のようなもの』 なかはら茉梨 オークラ出版
んで、こっちはなかはら茉梨本来の作風。実の息子攻めの実の父受け。が、こおゆうの、コメディでやられてもなあ。やっぱり近親相姦モノはシリアスで痛くなけりゃ…。


『明日香幻想 空蝉の章』 浅香祥 集英社コバルト文庫
『明日香幻想 葛葉の章』 浅香祥 集英社コバルト文庫
『明日香幻想 朝露の章』 浅香祥 集英社コバルト文庫
これで出ている分の浅香祥、『ジャンクソード』の1、2を除いて、ぜ〜んぶ読んでしまったことになる。はあああ。これからは新刊待ちかあ。「空蝉の章」は山背大兄皇子の滅亡、「葛葉」「朝露」は「空蝉」の半年後、ただ一人生き延びた山背大兄皇子の遺児が復讐を企てる話。
浅香祥の中で、この大海人皇子はちゃんと後の天武天皇へつながっているらしい。が、どのあたりまで書くんだろう…。(なにしろ四巻まで来て、まだ乙巳の変(中大兄皇子が藤原鎌足らと組み、蘇我親子を謀殺した事件)まで行ってないのよね)


『キケンな誘惑』 遠野春日 リーフ・ノベルス
前作「キケンな遊戯」の受けの父親側の話。それなりによかったけど、親子両方ホモで受けっつうシチュエイションは、わたし的にはあんまり好きではない。


『ビタースイート・ドット』 水無月さらら 青磁ビブロス
大当たり!! ジゴロの父親に育てられたサラリーマンと、施設育ちでヒモ暮らしをしていた青年のロマンス。
やっぱ水無月さららの大人の話はいいっス。特に、出来上がった後の話がよいです。このあたりがきちんと書けるボーイズラブ作家ってまだまだ貴重なのよねー。


『OpenSesami3 やすらぎのマーメイド』 真船るのあ キャラ文庫
やっとBOOKOFFで発見。3だけなら定価で買ってもいいやと思ってたのに、もうなかったのよ、わんだーらんどにも。やっぱこの手は出たときに買わなきゃ、だわ〜。
うーん、2が面白かっただけに、ちょっと肩透かしな感じ。琢磨氏にはあのまま二股かけつづけてもらってもよかったなー。(鬼畜な感想だ)


『OL進化論』17巻 秋月りす 講談社
時節柄、不況ネタが多かったような気がする。
今回、イマイチ心に凍みるネタがなかったような気も。ネタギレかしら。


『スカーレット・ウィザード4』 茅田砂胡 中央公論新社
映美ちゃんのお見舞い行ったら、映美ちゃんが「スカーレット、まだかなあ。前のあとがきに次は11月って書いてなかったっけ?」と言うので、その晩、わんだーらんどに行ったら、出てた。四列平積みされていた。
ケリーの過去の巻。次あたりがもう最終回かなあ。もっともっと読みたいんだけどなあ。


『希望の国のエクソダス』 村上龍 文藝春秋
むちゃくちゃ面白い!! なんかねー、村上龍って、ハードカバーの新刊買うとハズすんで、この頃は図書館で順番を待つことにしている。ひたすら待つ。
最後近く、あすなろが北海道に作る一種の自治区のあたり、スキナーの『第二ウォールデン』(邦題不明。ただ原題が『Second Walden』だったってのを覚えている)を思い出した。
これ、ハードカバーで買っても惜しくないと思う。ま、あたしは一度読んじゃったから、文庫で出るのを待ちますが。

11月1日〜11月15日

『神々の山嶺』上・下 夢枕獏 集英社
わたしは根っからのインドア派で(最近は市境を越えることすら稀な、天晴れなインドアぶりである)、登山など、銭もろたかて嫌〜、な奴だ。
そんなわたしが読んでも、この登山小説は面白かった。
最初のほうは中年男たちがあれこれやりくりして山に登ろうとする、なんかしみったれた話だが、「マロリーのカメラ」が登場するまでは我慢して読み進むことをお勧めする。


『霧ホテル』 赤江瀑 講談社
短編集。ちょっとした思いつきをさらりと書いたという態で、この作家の黄金期の、ねっちりと練り上げられた燦然たる作品群に溺れた者としてみれば、枯れた残骸につきあっているような気分である。そして、新刊を読むたび、そんな気分にさせられるようになってから、もう長い。


『勝ち気な三日月』 神奈木智 キャラ文庫
血のつながらない兄弟。弟×兄。挿絵は楠本こすり。BOOKOFFの百均で購入。可もなく不可もなし。


『HUNTER×HUNTER』10巻 富樫義博 集英社ジャンプコミックス
いや、面白いっス。ゴンとキルアが旅団のメンバーを尾行する辺り、ほんとにドキドキした。ところでクラピカはまだまだゴンたちに合流しないのかな。
(ジャンプは毎週弟が買ってるが、コミックスになってから一気にガーッと読むために我慢している)


『雪が降る』 藤原伊織 講談社
短編集。「台風」「雪が降る」「銀の塩」「トマト」「紅の樹」「ダリアの夏」の六編。
いい。
やっぱいいぞお、藤原伊織! くーっ、たまらん!
男の人の書くいい男というのは、どこかしらなにかしらハズしているものだが、それがない。著者の名前を隠されて読まさせられていたら、絶対に女性が書いたと思っただろう。
いっちゃん好きなのは、表題作「雪が降る」。高橋氏がエッチくさくてよい。「台風」もいいぞお。


『説教師カニバットと百人の危ない美女』 笙野頼子 河出書房新社
佐藤亜紀が「これ、面白いぞお!」と『検察側の論告』で大声で誉めていたので、読んだ。
内容はヤクタイもないのだが、女が女に向けるドス黒い悪意に満ちていて、すんげえ面白い。
ところでこのタイトル、元ネタはたぶんこれ↓だと思うんだけど。


「不具だった100人の娘」

 大ヒンズー王国を支配したクシナバ王には100人の娘があったが、100人が100人ともせむしだった。おそらく血族結婚によるものだろうといわれているが、原因ははっきりしない。国王は家庭の不幸を記念するために、特に一つの町をつくり、「カニアクブジャ(不具の処女の町)という名をつけ、不幸な娘たちとともに長くその町に住んだ。この悲劇的な王によって建設された不具の処女の町は今日でも残っており、いまではインドのフルカバッド地方の主要都市となり、町の名は近代的に短縮され、カナウジとなっている。

『奇談千夜一夜』 現代教養文庫  
無断転載。内緒にしてねん。


『朝のガスパール』 筒井康隆 朝日新聞社
朝日新聞に掲載されてた連載小説。うちの新聞は朝日だが、小分けで読むのは基本的にとても嫌いなので、連載中、ぜんぜん読んでいなかった。
(今までの生涯で、新聞の連載小説に連載中ハマったのはただ一度きり、スポーツニッポンに連載された村上龍の『音楽の海岸』のみ)
ストーリー自体は大上段に構えた割にはたいしたことない。それより、三部構造の一部、作中作者が作中編集者と語るとこでとりあげられてた、ネットの大ばか者の話んとこが面白かった。こんなバカ、いるの? ほんとにいるの? どこにいるの? ワクワク。


『わたしのグランパ』 筒井康隆 文藝春秋
品のよい佳品である。昔なら、NHKの少年ドラマシリーズ(覚えてる?)化されてたと思う。


『BLIND GAME』9巻 碧也ぴんく
佳境。あとがきによると、あと1巻で終わるらしいが、ほんまに終わるんか、これ?


『高く孤独な道を行け』 ドン・ウィンズロウ 創元推理文庫
ニール・ケアリーシリーズ第三作。第二作めの『仏陀の鏡への道』がけっこううっとうしかったので長いこと積み上げてたのだが、読みかけてみれば行け行けドンドンであった。
まだ手をつけてない人、読むならやっぱ第一作の『ストリート・キッズ』から読んでね♪


『赤の神紋 第四章』 桑原水菜 集英社コバルト文庫
うっとうしい話なので、買ったまま読んでなかったが、第四章にいたってようやく面白くなってきた。
が、よく考えてみれば、話がうっとうしいというより、主人公の響生がとにかくうっとうしい男なのよね、直江系の。


『検察側の論告』 佐藤亜紀 四谷ラウンド
あちこちに書き散らした書評を集めたもの。
ドス黒い怒りに満ち満ちて、痛快。
ハウツー武将モノを読んだだけで教養人を気取るおっさんをあざけり、一般向けの本を書かせれば「一般」という人種をナメきっているとしか思えない蓮っ葉な本しか書こうとしない専門家に怒り、本の趣味だけは重なっているが語り合ってみればまるきりわかっちゃいねえ同輩をせせら笑う。

うーん、いい奴だ、佐藤亜紀!
が、『銀河英雄伝説』をニ巻までは読んだが、それがこの後十巻まであると聴き、うんざりしてそこでやめたってのがわからん。なんでそこでやめられんのよっ!


『グールドを聴きながら』 吉野朔美 小学館プチフラワーコミックス
実は先月読んだのだが、読んですぐ映美ちゃんに貸してしまっていた。
短編集。どれも44枚くらいの作品で、どれもいかにも吉野なテイストなのだが、いかんせん、枚数が足りない。どれもラストがぶつぎれで、余韻に欠ける。どれもこれもあと四枚欲しかったというところ。


『白ゆりの騎士』 美内すずえ 白泉社文庫
実は雑誌「花とゆめ」が創刊されたのは、わたしが小学校高学年の頃であった。これはその創刊当時、目玉作品として連載されていた。
当時は面白かったんだけどなあ、これ。ちなみに映美ちゃんから借りてるんです。今度、頭D引取りに行くとき、返すね。


『炎の蜃気楼31 耀変黙示録U 布都の章』 桑原水菜 集英社コバルト文庫 
これ、ほんとに青(ジュブナイル)でいいのかなあ。読者はみな、ほとんど赤(乙女のためのホモ小説)として読んでると思うんだが。
久しぶりに美弥ちゃん登場。が、あっという間に誘拐されてしまった。綾子も復活。もうすぐ合流。ところで千秋っていつになったら戻ってくるんだろ(あれで死んだとは思えんのよね)。


『明日のために靴を磨こう』 崎谷はるひ ラキアノベルス
可愛い話だが、よかった。崎谷はるひはやっぱ信用できる。


『封神演義』22巻 藤崎竜 集英社ジャンプコミックス
佳境。本誌ではもう終わってるの、これ? 
燃燈道人のシスコンぶりがよかったっス。そりゃあんな姉なら、こいつでなくってもねえ?


『ファミリー・バイブル』 高尾理一 ショコラノベルス
ア・タ・リ♪ 
あとがきによると、ようやくホームページを開かれたそうな。アニパロなんかも置いておられるそうな。牧受け、牧受け、牧受け、読みたい〜!!
今度こそ、ゴリ×牧、書いて〜〜〜!!←が、行ってみたら、サイバーと封神しかなかった…。ちぇ
っ。


『フォー・ユア・プレジャー』 柴田よしき 講談社
花咲探偵シリーズ第二弾。このシリーズの美味しいところは、理子シリーズのインテリホモヤクザ山内(追記:受け)がけっこう重要どころで出ているとこだ。
ところで斎藤って誰だったっけ? (山内の今の男らしいが、前作読んだのがだいぶ前なので記憶にない…)



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