本読み日記


【ジャンル分け】 元々日本語で書かれた大人向け小説
元々日本語で書かれたジュブナイル小説。
日本語で書かれた小説以外のもの。

元は外国語で書かれていて、翻訳されたもの。

乙女のためのホモ小説
コミックス

われながら、なんつう荒くたい分け方であることよ。
ええっと、大人向けかジュブナイルかは、出版元の意向そのまんまです。角川スニーカー文庫とか講談社ティーンズハー
ト文庫とかコバルト文庫とかは、どんだけ立派な作品でもジュブナイルに入れてます。逆もそう。


『頭文字D』21巻 しげの秀一
表紙の東堂塾のボンネット黒くしたデモ用シビックちゃんだが、これとおんなじカラーリングのが(犬の)啓介との散歩道途上(スーパーカナヤの裏んとこ)にいつも止まっている。
第二部始まってから、兄がいっぱい♪ 弟もいっぱい♪ なのに、兄弟のイチャイチャベタベタがない〜(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)。
拓ちーは兄にポンされて、またもや頬を赤らめてやがるしさ〜。
(もはや、拓海=作者の分身、兄=作者のアニマ という図式が頭文字Dを読み解くには一番正しい図式ではないかと…(T^T))


『私はそうは思わない』 佐野洋子 ちくま文庫
去年朝日新聞に連載されていた彼女のエッセイにしびれ、そのうちに図書館でこの人のエッセイを一気に借りてこようと思ってて、図書館に行くたびに忘れていた。
(やっと思い出して検索してみたのはいいが、童話の仕事が膨大なので、その中からエッセイらしき本を選り出すのは大変でした〜)
(それまでに読んだこの人の本は「100万回生きた猫」(シスん家の掲示板でちょっと前にこのタイトルを書こうとして「1000回死んだ猫」と書いたのはア・タ・シ←すぐにぷよりんがわたしの誤りを正してくれた。「桁が違う〜。「死んだ」じゃなくて「生きた」だし」と)のみ)
あちこちにちょこちょこ書いたエッセイやら文庫の解説やらを集めた本だが、どうやらこれのみ書き下ろしと思われる冒頭の「「まえがき」のかわりの自問自答」がこの本では一番好き。簡潔で、ガサツで、饒舌で、むっちゃ愉快な文章。


『俳優と家政夫1 バイトは家政夫?!』 魔鬼砂夜花 二見シャレード文庫
生活不能力者の売れっ子俳優×俳優の妹の婚約者である担任から俳優宅での住み込み家政夫のバイトを斡旋されたにわか苦学生。
マネージャーの鳥羽が邪魔。鳥羽をでしゃばらせず、そのかわりに売れっ子俳優の性格や苦学生に惹かれるプロセスをもうひとひねりさせてほしかった。


『嘘ばっか』 佐野洋子 マガジンハウス
よく知られた童話をもとにした贋作集(なんかパロディというより贋作という言葉のほうがこの作品集には似合うような気がするのだ)。
すんげえ愉快♪ 上昇志向で超やり手のシンデレラ。バブリーな末っ子豚。とっても怖い「七匹のこやぎ」等々、どれひとつとしてつまんねえ話がなかった。
(「七匹のこやぎ」は岸田今日子のが怖くて艶っぽかったのに対し、こっちはサイコスリラー系の怖さ)
「マリアの子」っていう話だけ、元の話を知らない。


『食べちゃいたい』 佐野洋子 筑摩書房
タイトルというかお題をすべて野菜や果物にした短編集。どれも短いが、とても奇妙な味わい揃い。


『楽園の魔女たち まちがいだらけの一週間』 樹川さとみ 集英社コバルト文庫
どうやらシリーズが終わる訳ではなく、第二部に突入しただけだった模様。やれやれ。
今回、サラが多重人格になったきっかけとなった過去が一部明かされるが、う〜ん、全体のトーンから完全に浮いちゃうくらいハード…。
(最初から考えていた設定なのか。それともつい筆がすべっちゃった、のかな…)


『新・魔獣狩り7 鬼門編』 夢枕獏 祥伝社NONノベルス
毎回のことだが、これだいたい一冊出たら次のが出るまでほぼ一年開くので、読み始めてしばらくは、必死で前作のあらすじを思い出さなくてはならない。
ああ、完結してから一気読みしたらどんだけ面白いかしら〜。
(獏ちゃん曰く、「短くてあと二巻、長くなってもあと四巻」だそうだが、ほ、ほんとかな〜)

(わたくし、このシリーズのせいで、「空海の即身成仏は高野山の奥の院の地下に安置されていて、胞那っていう世話係がいるんだ、と信じ込んでたのですが、ほんとは空海亡きあと、高野山ってのは一度荒廃して空海の遺体も行方不明のまま、このへんだろな〜ってあたりに再建されたんだって。獏ちゃんにだまされてたわ〜)
(ほんとにだまされてたのかな…。公式には遺体はないってことになってるだけで、ほんとはサイコダイバーシリーズみたいに、奥の院の地下にいるのかしら…)


『ひそやかな情熱』 遠野春日 ムービック
ヤクザの親分の囲われものだった美貌の青年と、彼を譲り受けた実業家。
かなり好きな類の話なのだが、贅沢を言うならもう一、ニ波乱欲しかった。


『友だちは無駄である』 佐野洋子 筑摩書房
著者名は佐野洋子になっているが、半分くらい、谷川俊太郎との対話集。
「最近、佐野洋子読んでるねん」と宇治の人妻に言ったら、「あ、谷川俊太郎のパートナーでしょ」とかえされ、「ええ?!」とネットで二人の名前をアンド検索してみたら、どうやらそうらしいことを書いた文章につきあたった。
(こおゆう作家や芸能人等の「知る人ぞ知る」みたいな関係とか親子兄弟血縁関係をわかりやすく一冊にまとめた本、どっか出してくんないかしら)
対話の途中、息子とその友だちたちについて語ろうとして佐野洋子さんがわんわん泣き出しちゃうとこがあるんだが、息子がどうとかいうより、世間に蔓延する教育についての考え方や最近の若者に対する偏見、メディアが垂れ流すそれらをうのみにする人たち等に対する、怒りを通り越した情けなさが一気に噴き出しちゃった感じ。


『コッコロから』 佐野洋子 マガジンハウス
すんごいまっとうなラブストーリー。男女の、事件も何も絡まない、こんなまともなラブストーリー読むの、むっちゃ久しぶりというか、どのくらい前にどんなのを読んだのが最後だったかもぜんぜん思い出せないというか…。
平凡な女の子がひょんなことからお金持ちでハンサムで育ちのよい東大生をゲットするって話なのだが、主人公の女の子がなんとも感じのいい子なので気持ちよく読める。


『Major League』後編 七地寧 桜桃書房
雑誌掲載時より大幅加筆。(掲載時は実はひそかにウェイドを想っていた彼の友人が九尋を殺そうとする事件で終わっていた)
ウェイドが引退した後のことまで書き足してくれたのは嬉しかったが、それから医者の免許をとり、名前は出してないけどおそらく「国境なき医師団」に参加しちゃうとこ、なんかピカピカにまっとうすぎて不満…。

表紙と挿絵は石原理。この人の絵って大人の男の話によく合う。


『禍つ姫の系譜1 失墜のミネルヴァ』 高瀬美恵 講談社X文庫
『禍つ姫の系譜2 白昼のエンジェル』 高瀬美恵 講談社X文庫
『禍つ姫の系譜3 美貌のサラマンドラ』 高瀬美恵 講談社X文庫
『禍つ姫の系譜4 殺意のアバランシュ』 高瀬美恵 講談社X文庫
BOOKOFFで四冊一気に見つけ、これは完結してるだろうと確かめもせず買ったら、まだ完結してなかった〜。
主人公の一奈が強い。とにかく強い。痛快に強い。敵にパイルドライバーを見舞うヒロインなんて、いまだかつていただろうか(いや、いない)。
そして相変わらず高瀬美恵のあとがきはむっちゃ面白い〜。


『GALLERY FAKE』21巻 細野不二彦 小学館ビッグコミックス
今回どれも粒揃い。台湾に茶藝を広げようとする実業家と彼の殺害を依頼された殺し屋の話もよかったし、スコットランドヤードの美術骨董課の辣腕捜査官ワーナーが絡む話も後味よし。今はイメクラを経営する元ニンベン師もいいキャラだった。最後のミニカーマニアのカーディーラーの話もよかったな。
(今回身についた知識:ミニカーの国際基準サイズは43/1)


『ARMS』17巻 皆川亮二 小学館サンデーコミックススペシャル
エグリゴリの傭兵の中国人空間断裂屋が高槻父の弟だったことにびっくり。
戦いはついに対バイオレット・キース戦に突入。ああ、バイオレット様、ARMSフォームもかっこいい〜。


『野蛮人との恋愛』 菅野彰 キャラ文庫
やっぱこの人はコメディだわ〜。それも、一本抜けた奴書かせたら最高っス。


『センティメンタル・ブルー』 篠田真由美 講談社ノベルス
建築探偵桜井京一シリーズの蒼を主人公とした短編集。このシリーズって、ミステリ的にはたいしたトリックも動機もないし、(ときどきすっごく構成悪いし、しばしばすっごく後味悪いし)、キャラクターが魅力的なのでよしとする。
本編ももうすぐ新刊が出るそうな♪


『ソリッド・ラヴ』 榎田尤利 大洋図書
「魚住くんシリーズ」の榎田尤利の初めて読むシリーズ以外の作品だが、主人公は前向きでがんばり屋のいい子だし、王子沢や和泉さん、河川敷女史等の脇役もみんなよく、セクハラ部長代理を制裁するところなんかスカっとしたが。
ダーリンの吾妻って男のキャラクターの極端さがぜんぶぶち壊した感じ…。


『タイムリミット』 剛しいら ラキアノベルス
剛しいらってドクターシリーズはあんなにいいのに、それ以外の作品ってどれもこれもつまんね〜。


『ルドルフォU』 図子慧 白泉社
まだ完結編の三巻をゲットしてないのに二巻を読んでしまった…。
しかし、白泉社、よくこんなハードSF、本にしてくれたな。
(早川からハードカバーで出ててもぜんぜん変じゃないよ、これ)

(つうか、早川から出てたらもっと認められたんだろうな、これ)
(完結編まで読み終えてない段階で言うのもなんですが、星雲賞候補どころか受賞しちゃってても不思議じゃないよ、これ。去年か一昨年受賞した新井素子の「チグリスとユーフラテス」とかを思うと)
(新井素子、かなり好きだし、「おしまいの日」なんかすんげえ怖いサイコスリラーだったけど、「チグリス…」はダメだった)


とか思ったら、これ、Uまでしか出てないのよおおおっっ!!!


『屋上の暇人ども3 恋の季節』 菅野彰 ウィングス文庫
いっつもこれ、赤か青か迷う。いいか、青で。一応主題はそれいけ青春だし。
今回も天文部顧問の(一見人畜無害、実はきっと大悪党)天沼がいい味を出している。彼を主役にした番外編が読みたいと思うのだが、読みたいと思ってるうちが花かも。(あるよね、あ、あの番外編で大好きな脇役が主人公になってて、ラッキハッピ♪と読み出したら思ったより面白くないってことが)


『バラヤー内乱』 ロイス・マクマスター・ビジョルド 創元SF文庫
マイルズ・シリーズだ♪ アラールとコーデリアのヴォルコシガン夫妻が主役の『名誉のかけら』の続編だあ♪
ああ、どんなに待ち焦がれていたことか〜!! (の割には、出たのを半年も知らなかったが。でもこれはクウガが悪いの。ぜんぶクウガのせいなの)
エザール帝の死によってわずか五歳で帝位につくことになったグレゴールの摂政にアラールが任命されるところから始まり、母コーデリアの胎内にいたマイルスを致命的に傷つけたソルトキシンガス弾によるヴォルコシガン邸襲撃、ヴォルダリアンの反乱等、マイルズを主人公とする物語では過去の出来事として語られていた出来事を現在進行形で読める至福〜。さらに「名誉のかけら」で神経銃にやられたコウデルカ中尉と女性ボディガードドウロシュナコヴィのロマンスも絡み、読み応え満点♪♪♪


『スピリット・リング』 ロイス・マクマスター・ビジョルド 創元推理文庫
創元よ、ファンタジーなのになぜに推理文庫…。
舞台はルネッサンス手前くらいのイタリア。主人公は金細工師としてモンテフォーリア公爵につかえる大魔術師の一人娘フィアメッタ。彼女は父親が自分に魔術のノウハウを伝授しようとしないことが不満だ。
が、モンテフォーリアは評判の芳しくないフェランテ公爵に占領され、フィアメッタは父親を殺され、さらにはその遺骸を盗まれる。盗んだ目的は、大魔術師の魂を邪悪な「死霊の指輪」の材料とすること。
いや、面白かったっス。マイルスシリーズとは違って、そんなに読み返すことはないと思うけど。


『夢色十夜』三の巻 かわいゆみこ 小学館パレット文庫
完結編。惟顕の姉玲子と倉橋が結局はくっつくのかなあと思ってたら、いや、いい意味で裏切られました。
エピローグにあたる「浜辺にて」の味わいは格別。


『傷心』 デイヴィッド・ハンドラー 講談社文庫
スチュアート・ホーグシリーズの新刊♪ 今月、ビジョルドは出るは(だからとっくの昔に出てたんだってば)、ハンドラーは出るは、ああ、幸せ〜♪
今回、ホーギーにゴーストライトを依頼するのは、ホーギーがそもそもデビューする前に世話になった先輩大物作家ソーヴィン・ギヴス。彼は53歳年の離れた義理の娘と駆け落ち中。依頼内容はその娘の手記。
恋人にして大女優のメリリーがついに赤ちゃんを産んじゃったので、今回からホーギーは子持ち。が、父親であることになかなかなじめず、ホーギーの相棒にして愛犬のルルに至っては、己がないがしろにされていると感じてしょっちゅう入水自殺なんか謀っちゃったりする。(このシーン、秀逸!)
あ、今回初登場のライム駐在巡査のスロスキー、ナイス♪ 彼、これからも相棒の警察犬クラウスともども登場しそう♪
犯人は的外れというか、おいおいこいつが犯人だったのかよ、とほほというか。


『魔笛』 ディラン・ジョーンズ 講談社文庫
BOOKOFFで買い、ちょっとだけ読みかけたとこでほったらかしてあったのだが、このところ読み癖がついてたのでつい勢いで再度手をつけたら…。
面白いっ!! 登場人物はどれも魅力的。犯人はいわゆるサイコなのだが、そのサイコが犠牲者を殺害する現場を目撃していたのが、長らく精神分裂症をわずらっている青年で、しかも担当刑事の弟。この弟が被害者の弟のもとへかけてきた電話を専門家が分析するシーンや、犯人のバックボーン等も読み応えたっぷり。
著者は本職眼科医で、これは第三作目で初の翻訳作品。つうわけでデビュー作&二作目は未訳だが、デビュー作はBBCでミニシリーズ化されてて、二作目も本国およびアメリカでは好評だったらしい。


『チャリティー・バザーの殺人』 キャロリン・G・ハート 早川ミステリアスプレス文庫
観光客が多く訪れるブラウアーズ・ロック島でミステリ専門書店を経営するアニーが、夫でよろず調査事務所を開くマックス、夫の母で職業:美女であるローレル、書店の常連客で友人のヘニーやエマやドーラ(それぞれ癖あり)とともに、島で起きる殺人事件を解決するシリーズ第九作。(一度だけ島以外が舞台になったことがあったか…)
読んでいて何か食いたくなるという点では、アーロン・エルキンズと双璧。今回一番食ってみたかったのはアメリカ屋台飯〜!! (アメリカ料理は不味いという定説があるが、これといい、エルキンズといい、ミステリじゃないけどローラ・インガルス・ワイルダーの作品、中でも夫の幼年時代を描いた「農場の少年」など、ほんと、全編美味しそうなもの尽くしでたまらない〜)
それにしてももう九作も読んでいるのに、いまだにブラウアーズ・ロック島の規模というか大きさというのがイマイチよくわからない…。(そおゆうことないですか? >NORIKO姉)


『ルネサンスとは何であったのか』 塩野七生 新潮社
対話方式で綴られる、塩野的ルネサンス観の総括。
これまでに塩野七生が書いたルネサンス物を読者がすでに読んでいるということを前提にしているとこがあるので、塩野を読むのがこれが初めてという人にはあちこち不親切かもしれない。(いや、かえって、これまでのもんも読んでみよう、という気をそそられるかもしれないが)←「海の都の物語」とか「わが友マキャベリ」とか読み返したくなったもんな。
書き手本人が完全に消化した上で構成しているので、堅い主題の割には読みやすい(と思う)。
ちなみに「ローマ人の物語」のほうはわたくし、青息吐息で読んでますです、はい。(これの新刊が出るのは年に一度なのに、新刊出たときに前のをまだ読み終わってないことなんかザラである)


『蘭月闇の契り』 図子慧 角川ホラー文庫
やっぱときどきこの人は検索しなきゃ〜。(検索で見つけた)(でも、家にいながらにして検索したら新刊出てるかどうかわかっちゃう、ああ、ネットって素晴らしい〜)(しかし、ネットではめったに本は買わない。だって送料がかかるんだもん)
十年ほど前、「花丸」(白泉社が出しているボーイズラブ小説誌)に書いた中編を大幅加筆したもんらしいが、もとのを読んだ覚えがない。
係累の途絶えたのろわれた屋敷を中心に、さまざまな人やエピソードがよじれあい、絡み合って、むちゃくちゃ面白い。いけいけ、ドンドン。


『道祖土(さいど)家の猿嫁』 坂東眞砂子 講談社
「さいど」で変換したら、ちゃんと「道祖土」が出た。びっくり〜。
坂東眞砂子の和物なので、伝奇風の怖い話かと思ったら、女の一代記物だった。
舞台は高知の山村。隣村から縁続きの道祖土家に嫁いできた蕗の物語。
こおゆう長丁場モノを読むと、戦後の復旧が進み、舞台が現代に近づくにつれ、いつもうらうらとうら寂しい気持ちになる。


『ラスト・レース 1986冬物語』 柴田よしき 実業之日本社
バブル最盛期の少し手前、世の中のはじけぶりと己が生活を較べ違和感を覚えるごくごく普通のOL秋穂は、宝石店でパパ連れの女子大生が置き忘れた指輪をつい出来心でガメてしまったことから、殺人事件に巻き込まれる。
後味、すんげえ爽快、気持ちいい♪


『G線上の悪魔』 たくきよしみつ 廣済堂出版
名前も知らない作家だったが、つい図書館でふらふら借りてしまった。
不世出のジャズ・バイオリニスト。日本のクラシック音楽界で権勢を誇る音楽学校学長。その弟子だったが師のあこぎなやり方に異をとなえたため、今は半ばクラシック界から半追放の憂き目にあっているヴァイオリニスト。素晴らしいヴァイオリンを製作しながら国産楽器には見向きもしないクラシック音楽界の趨勢から苦渋をなめる楽器製作者。そして、両親の死によって音楽学校学長の養女となり、籠の鳥のように音楽活動を制限される天才ヴァイオリニストの女性。
演奏シーンの描写が白眉。結末にもカタルシスあり。


『カムナの調合』 たくきよしみつ 読売新聞社
あとがきで、「オウムのサリン事件に似ているところはあるが、これを書こうとしたのはそれが起きる一年以上前で」といったことわり書きがされているが、少なくともわたしは読んでいる間じゅう、オウムの事件などまったく脳裏をよぎらなかった。
佐渡で起こった、それぞれ別の家で別の人間が発狂し、家族を殺して自分も自殺するという殺人事件。ところがこの後、似たような発狂事件があちこちに広がっていき、伝染性の病気である疑いが出てくる。そして、やがてそれは日本中に広がり…。
救いのない結末がかえって気持ちよかった。


『夢魔の旅人』 篠田真由美 廣済堂出版
異形コレクションとかいうシリーズのために書いた短編集だそうな。
一作一作の後ろにくっついてるあとがきっつか作品のエクスキューズがうっとうしい。
この中では「奇蹟」が一番面白かった。


『中村うさぎのビンボー日記 女殺借金地獄』 中村うさぎ 角川書店
噂は聞いていたが、初めて読んだ、中村うさぎ。
いい奴じゃん、こいつ〜。
(百数十万の鞄、衝動買いしちゃう気持ちはぜんぜんわからんが)
(でも、クウガコレクションBOX14800円也を五分悩んだだけでポンと予約注文しちゃうわたしだって、見る人からみれば、十分バカだし〜)


借金女王のビンボー日記2 だって買っちゃったんだもん!』 中村うさぎ 角川書店
図書館で三冊ばかりまとめて借りてきちゃったんである。
やっぱいい奴だわ、こいつ。
しかしシャネルよ、ワンピース一着50万円か…。エルメスよ、バッグ一個が80万円か…。ブルガリよ、時計一個が400万円か…。
(実は妹とアルマーニを冷やかしに行き、つるしのてろんてろんのキャミソールワンピース一枚25万円に、ほうほうのていで逃げ出したことがあるの…)


『舞姫 テレプシコーラ』1巻 山岸涼子 メディア・ファクトリー
ひっさしぶりのバレエ漫画。
が、怖い。元バレリーナのサイコなばあさんは出てくるし、ばあさんにレッスンつけてもらってる小学生の姪は母親に裏ビデオに出させられてるし。

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