本読み日記


【ジャンル分け】 元々日本語で書かれた大人向け小説
元々日本語で書かれたジュブナイル小説。
日本語で書かれた小説以外のもの。

元は外国語で書かれていて、翻訳されたもの。

乙女のためのホモ小説
コミックス

われながら、なんつう荒くたい分け方であることよ。
ええっと、大人向けかジュブナイルかは、出版元の意向そのまんまです。角川スニーカー文庫とか講談社ティーンズハー
ト文庫とかコバルト文庫とかは、どんだけ立派な作品でもジュブナイルに入れてます。逆もそう。


『アクロイドを殺したのはだれか』 ピエール・バイヤール 筑摩書房
評価は「どっひゃあ、この手があったか!」と「これはないやろ〜っ!」といまだ真っ二つのクリスティ『アクロイド殺し』だが、この問題作が内包する最大の問題点、「X地点までのシェパード医師の手記を丸々信用できないならば、X地点以後も丸々信用してはいけないのではないか?」から、いま一度事件を洗い直し、真の真犯人を突き止めよう、という一冊。
ので、クイーンの『恐怖の研究』みたいに、ン十年後に事件に興味をもった好事家がシェパード医師の手記を見つけ…みたいな構成かと思ったら、評論仕立てだった。著者は「文学と精神分析の双方に通じる理論家であり、分析療法の実践家」でもあるそうで、「『アクロイド殺し』の概要」「クリスティの諸作品に見られる犯人の傾向等」以降は、フロイトだのオイディプスだの妄想概念だのと話がぐるぐる大回りする。
(ところで、フロイトって『精神分析入門』と『夢判断』くらいしか読んだことなくて、どっちかといえばユングの言うことのほうが“お腹にすとんと落ちてくる”感じがして好きだったんだけど、注釈に引用されていたフロイトの「
神経症においては現実の一部が逃避というかたちで避けられるのにたいして、精神B表ではそれが再構築される。換言すれば、精神病においては最初の逃避のあとにアクティヴな局面、すなわち再構築の局面がつづくのにたいして、神経症においては最初の服従のあとに逃避の試みがつづく。さらに言い換えれば、神経症は現実を否認するのではない。たんに現実についてなにも知りたくないだけだ。それにたいして、精神病は現実を否認し、それを別のもので置き換えようとするのである」という言葉は、むっちゃ納得!ポン(膝を打つ音)でした)
が、クライマックスでのアクロイド殺人事件の真犯人追及部分はすんごい面白かった。
結論:これ、たぶん、買ったらもったいない。図書館へGOGO!>ゆきうさぎ


『もうひとつのドア』 月村奎 新書館ディアプラス文庫
幼い頃、母親に精神的虐待を受け、その後、その母親は自殺、いまは17歳にして一人で生計を立てているが、母親の紐だった男に養育料の名目で金をたかられ…な不幸てんこもりの男の子が、娘と二人暮らしの建築家の男とハッピーちゃんちゃんになる、シンデレラ・ストーリー。相変わらず不幸を書かせたら上手いが、ゲイでもなんでもない男がゲイでもなんでもない男の子とこんな感じでうまくいくか?!とそのあたりは説得力皆無。


『中村うさぎ 人生張ってます』 中村うさぎ 小学館文庫
読みたいな、と思いつつ買おうかどうしようか迷ってたら、ようこちゃんが持っていた〜♪(ので、借りて読んだ)
対談集。相手は岩井志麻子、西原理恵子、斎藤綾子、花井愛子、マツコ・デラックス。
やっぱ西原が強烈っス。どれもこれも読み応えあり。斎藤綾子、マツコ・デラックスなんて、ぜんぜん知らない人だけど、それでも行け行けドンドン楽しめた。

(西原との対談の最後、「体を売るということ」についての西原のコメント、すんげえ恐かった。警察の少年補導課、ここに付箋つけて常備しとくべきだと思う)
(が、一番怖かったのは岩井志麻子の某発言であるという点で、ようこちゃんと合意した)読めばすぐわかる。この女、さすがに超怖いぞ〜。


『氷の家』 ミネット・ウォルターズ 東京創元社
ミステリ。これ出た年、その年のベストテン入りしてたと思う。んで、面白いっ!!
勧善懲悪というか、読者が好感を持てる人は幸せに、そうでない人はそれなりの罰を受けと、解決部分もすっきり心地よく、ひねりもそれなりに効いている、実に構成のうまい小説だった。


『スカーレット・ウィザード』外伝 茅田砂胡 中央公論新社
あとがきで著者が述べているとおり、ほんと、エピローグ&プロローグ。
グリンダとシェラが再登場、どうやらケリー&ジャスミンの一粒種ダニエルの教え子になるらしい新シリーズ、楽しみ〜。


『Heaven?』3巻 佐々木倫子 小学館
笑いとペーソス、などと言ってなんだかひとくくりでなくてはいけないようになってるが、ペーソスのかけらもない、からっと乾いて湿度の低いとこが、やっぱ佐々木倫子の持ち味だわ〜。


『恋と少年』 双海眞奈 大洋図書
敬愛する演出家の無理心中に巻き込まれて生き残り、その罪悪感から自暴自棄な生活を送る少年と、かつて彼の舞台を見て、自分の作品の主人公を演らせようとする若き演出家。
導入部、少年の苛め役である彼を情夫とする不良青年や仲間たちがきちんとキャラクター造型されているのはいい感じだが、決して嫌いなパターンの話ではないのになぜかもうひとつのめりこめなかった。なんでかな? 導入部にページ数を使いすぎたか、途中、若い演出家に焦点をあてようとすると、これではページ数が少なすぎたか…。


『出会って5秒』 新田一実 桜桃書房
『クールが熱い』シリーズの番外編。
失敗したわ〜。これ、本編読んでないのよ。本編なしでも読める番外編もあるけど、これは本編読んでから読むべきだったわ〜。


『ONE・PIECE』21巻 尾田栄一郎 集英社
アラバスタ編佳境。が、長編少年マンガの常套どおり、ストーリー展開部分と戦闘部分の比率、後者がどんどんでかくなる。今回、ほぼ一冊丸々戦ってましたな。
ちなみにただいまシャンクス萌え真っ盛り。わたくしの中でシャンクスの過去、ほぼできあがっておりますので、(飲んだくれの母親に死なれ、そのヒモだった男に娼館に売り飛ばされたり、金持ちの変態に落籍されて玩具扱いされたり、とか、海賊になるまでにこの世の辛酸なめつくしてるのよ、きっと〜)できたらシャンクス主人公の番外編過去編とかは描いていただきたくないです…。>尾田栄一郎どの


『ルー=ガルー 忌避すべき狼』 京極夏彦 徳間書店 
装丁が実にハズレ本臭く、買うどころか、図書館で予約すらしていなかったが。
面白いっっ!!! とりわけ、中学生サイドの女の子たちがみなそれなりに、賢くて魅力的。(ここまで用心したのに、やられたんなら、そりゃしょうがないわねえ、とか納得しました)「京極堂シリーズじゃないからパス」してる人、これはGOだっ!!


『秘密 THE TOP SECRET』1巻 清水玲子 白泉社
『WildCat』に付録として収録されてた「1999」&コミックス未収録の「2001」。
「1999」、恐くてせつないいい話だったが、「2001」のほうはその五年後、「1999」ではまだ実験段階だったMRIスキャニングがすでに日本でも犯罪捜査に利用されている。このMRI捜査室の室長の薪氏、むっちゃ好み〜♪♪♪ 「1999」はエピローグで、「2001」からが本編ならいいなあ〜♪


『猫探偵正太郎の冒険 猫は密室でジャンプする』1巻 柴田よしき 光文社ノベルス
『ゆきの山荘の殺人』で颯爽(?)と登場した猫探偵正太郎シリーズ第三弾。
長編だった一作二作と違い、今回は短編集。二作では出番なかった浅間寺先生もあちこちに顔を出されてて、とても楽しい♪
が、紳一が正太郎みたいなこと考えてても別に腹は立たないが、茂吉がこんなこと考えてやがったら、むっちゃムカツく〜。


『櫻の系譜 薄氷の花伝』 金蓮花 コバルト文庫
常世姫vs櫻の巫女。両陣営の面子も出揃い、ついに本格的な交戦に〜♪
櫻の巫女がクウガなら、常世姫側はグロンギなんだが、双方に思い入れがあるもんで、どっちかに肩入れする気になれない〜。
来年のカレンダーの応募券付。これ、三年連続で当たってるから、壁吊りカレンダーはこれを期待してたのに、今年はコバルトカレンダーまで卓上タイプなんだって。今年も当たったら、いったいいくつになんだよ、来年のうちの卓上カレンダー…。(出光で貰ったプーさん卓上。トークライヴで購入した葛○信吾カレンダーも卓上。今年の流行りなのか、卓上タイプ)


高原御祓事務所始末記 ホーンテッドスクール』 朝香祥 コバルト文庫
シリーズ第三作。学校を舞台にした事件二編入り。
今回、真吾にからんでくる南雲氏の出番がなくて寂しかった。兄弟はなかよしこよしでいいんですが。
これも好きだが、明日香幻想シリーズの続きも読みたい。たぶん売れ行きはこのシリーズのほうがいいんだろうが、頼む、明日香のほうも書かせてやってくれ。>コバルト編集部どの


『AMY SHOWS』 山田詠美 新潮社
単発のエッセイや文庫のあとがきや選考委員をつとめる新人賞の総評なんかの寄せ集め。
この人が真面目に(というか、膝を正してというか)書くエッセイの文章って、森茉莉さんの文章にすっごい雰囲気というか、テンポが似ている。
あとがきはどれもよかったな〜。思わずどれも読みたくなっちゃう。
が、村上龍の『すべての男は消耗品である』については一言。あの本がどうとかこうとか言うより、龍ちゃんてば、エッセイ自体がおっそろしく下手なのよ〜。


『A2Z』 山田詠美 講談社
AからZまでの24章からなる、それぞれ別の恋をするある編集者夫婦の物語。
さらっと読めて後味のいい話だったが、それぞれの章、タイトルはアルファベットでついてんのだが、中の文章にそれぞれタイトルを頭文字とする英単語を太字で挿入したのは、ちょっと……でした。


『鉄の枷』 ミネット・ウォルターズ 東京創元社
『氷の家』も途中までちょっと退屈だったけど、あるラインを超えた途端、行け行けドンドンになったけど、これも同じく。
セアラの夫で画家のジャックがただのロクデナシではないことがわかりはじめたあたりから、俄然面白くなった。

…つうことは、だいぶん前、図書館から借りてきたもんの、最初の30ページくらい読んで放り出しちゃった『女彫刻家』もやっぱそうなのかしら?! も、もういっぺん、借りてこよ…。


『昏い部屋』 ミネット・ウォルターズ 東京創元社
これまで読んだ二作とは趣をがらっと変えた作品。これ、すんごいドラマ向き〜。それも二時間サスペンス系。
主人公の父アダム、結局最後まで姿を見せず。これ、何か、意図があったんだろうか…。


『今昔続百鬼 雲 多々良先生行状記』 京極夏彦 講談社ノベルス
「岸崖小僧」「泥田坊」「手の目」「古庫裏婆」の四編入り。
京極堂シリーズじゃないのでどうしようかと思ってたのだが、念のため、メフィスト連載時に既に読んでいるゆきうさぎに掲示板で「京極シリーズとつながりある?」と尋ねに行ったら、「あるような、ないような〜」という返事をくれたので、堺東の高島屋の駐車場に車停めて駐車券のためになんか本買おうかと思ったときにえいやっと買ってしまった。(われながら、悪文のお手本のような文章だな、こりゃ)
そしたら…。
キャーッッッ♪♪♪ 第四編「古庫裏婆」に解剖マニアの里村センセが〜♪♪♪ それもいっぱいいっぱい〜♪♪♪


『外法師 鵺の夜』 毛利志生子 集英社コバルト文庫
新シリーズかな? それとも単発モノかな? できたらシリーズ化してほしいな。
舞台は平安時代、藤原道長全盛期後半。主人公は、嵯峨野にある星井戸の水守にして、10歳で成長をとめ、25歳になった今も童女の姿のままの玉穂。正統な陰陽師ではないが、そのかわり系統にとらわれず様様な術を納めた外法師として、帝の寵妃である道長の娘にかけられた呪詛の正体をつきとめるよう依頼を受け…。
ジュブナイル、特にコバルトをバカにしている人、お願いだから毛利志生子、一冊でもいいから読んでみて。ほんと、いい作家なんだから〜。目からウロコが落ちるから〜。


『秘法耳』 ナンシー関 朝日新聞社
週刊朝日に連載中のエッセイをまとめたもの第四集。物事を斜めに見る、とかじゃなく、メディアにおける居心地の悪さや気持ち悪さを分析することによって距離をとってなんとかしのごうとするとてもセンシティヴな人なんだと思う。(ナンシー関本人が聞いたらすげえいやがるだろうな、この感想)(余談だが、「物事を斜めに見てま〜す」を自分から売りにしてる人って、どーしよーもなく頭悪い、ちゅうか、トホホな人が多いよな)


『図書館の死体』 ジェフ・アボット ハヤカワミステリアスプレス文庫
シリーズ物である。最初のこれを買い損ねてしまい、気がつけば何冊か出ていたが、なんとなく手をつけかねてたら、BOOKOFFの百円コーナーで第一作のこれを見つけた。
シリーズの頭には全部「図書館」が入ってるが、主人公の職業がテキサス田舎町の図書館長というだけで、実際に図書館で殺人事件が起こるのはこの第一作のみ。


『図書館の美女』 ジェフ・アボット ハヤカワミステリアスプレス文庫
前述の第一作はたいがいのBOOKOFFの百円コーナーに一冊や二冊は並んでるのに、第二作以降はなかなか百円落ちしてなかった。ま、それでも定価の半額以下なんだが。
主人公の姉のアイリーンと、主人公の旧友で街の警察署長のジューンバックがいいなあ。このふたりがくっつきゃいいのに、とか思ったら、ジューンバックにはほかに好きな人がいた。ちぇ。


『図書館の親子』 ジェフ・アボット ハヤカワミステリアスプレス文庫
とか思ってたら、この巻でジューンバックとアイリーンがラヴラヴに。おそらくわたしとおんなじようなことを思った人が多くて、その人たちからのファンレターのせいで作者、方向変換したんだろうな、とかこっそり思っている。
この巻、なんか後味悪い結末だった。


『頭文字D』23巻 しげの秀一 講談社
表紙の啓介、ブー。しげの本人もやっぱり「とほほ」とか思ってんだろうな、この絵。
んで、ネタにつまってんのはわかんだが、安易にロマンスなんか挟もうとすんなよー。あんた、ロマンス描きたがるけど、下手なんだってば。


『エンガッツィオ司令塔』 筒井康隆 文藝春秋
断筆解除後、最初の短編集で、収録作品の半分は断筆中に書かれたものだそうだ。
やっぱ面白いのよ、筒井の短編〜。「昔の筒井はよかったなあ」なんていう奴いたら面拝みたいぞ。
「越天楽」「東天紅」「ご存知七福神」の三連作、なんか妙に好き〜。「魔境山水」も妙な味わいで好き。

で、最後に断筆解禁宣言なるインタビューがついてるんだが、例の断筆宣言について、筒井に否定的な気持ちを抱いている方、ぜひここだけでも読んでいただきたい。


『魚籃観音記』 筒井康隆 新潮社
これも短編集。やっぱ面白いのよ〜。んでもって、収録作品のまとまりのなさ、これぞ筒井康隆の短編集だあ♪
「ラトラス」が一番好き。たまらない。「谷間の豪族」もいいです。
表題作は愉快痛快〜ですが、「最遊記」読んですぐの方、おやめになったほうがよろしいかと。

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