本読み日記


【ジャンル分け】 元々日本語で書かれた大人向け小説
元々日本語で書かれたジュブナイル小説。
日本語で書かれた小説以外のもの。

元は外国語で書かれていて、翻訳されたもの。

乙女のためのホモ小説
コミックス

われながら、なんつう荒くたい分け方であることよ。
ええっと、大人向けかジュブナイルかは、出版元の意向そのまんまです。角川スニーカー文庫とか講談社ティーンズハー
ト文庫とかコバルト文庫とかは、どんだけ立派な作品でもジュブナイルに入れてます。逆もそう。


『ロマンス作家は騙される』 榎田尤利 大洋図書
『ハードボイルドに触れるな』続編。
主人公もいいし、彼を奪い合うふたりの男もいいし、主人公の妹とその恋人もいいし、悪役もいい味でした。
特に、怒ったひかりちゃん、かっこよかったな〜。とりわけ、ぶちきれたときの、「だいたい、文学だの娯楽だの−−そんなもん読むほうはたいして気にしちゃいないのよ。ただの分類項目でしかないっつうの。面白けりゃそれでいいのよ」「面白くもないものを、どうやって読者の心に残すってのよ。あんなに暗い分裂病じみた小説だって、それなりの面白みがあるからみんな読んでるってことがわかんないの?」は素晴らしかった。いや、まったく同感だ。


『プライム・タイム』4巻 芹生はるか 二見シャレード文庫
2巻あたりから面白くなくなってきてたんだけど、とりあえず買いつづけてて、4巻も買ってしまいました。
もうやめる。ストーリー展開、安直過ぎ。そして、1巻の面白かった頃はとりあえず目を瞑っていた靫プロの気色悪さ、今回、目の反らしようもない爆裂状態。
もう絶対に買わんぞ、畜生。


『君が好きなのさ』9巻 谷崎泉 二見シャレード文庫
浅井氏、専業主夫から職場復帰。
これも最近惰性で買ってるとこがあるが、こっちはたぶん、10巻も買うでしょう。


『魚住くんシリーズ5 リムレスの空』 榎田尤利 クリスタル文庫
完結。
ちょっと番外編な感じの完結編、よかったです。
とりわけ、魚住が祖父さんに文句言うところ、心がほどけているというか甘えてる感じで、すっごい心がほのぼのしました。


『鬼外カルテ其の八 マチビト』 碧也ぴんく 新書館
今回はテングの話。
定石どおりの話なんだけど、描き方が丹念だし、アンハッピーながらも救いのある結末もよかったし、いい話でした。


『チキタ★GUGU』3巻 TONO 朝日ソノラマ
『カルバニア物語』の続き、長いこと出てないのに、これはこないだ2巻が出たと思ったら、もう3巻が出ちまったい。
ニッケル、いいです。かっちょいい。
16話の最後のかわうその可愛い悲しい姿にマジ泣きしかけた私であった。


『かしましハウス』7巻 秋月りす 竹書房
いつまでも大学生のみづえに小学生のよもぎと、もはやサザエさんしている野田家だが、毎年の季節ネタはちゃんと押さえた上で、しかもキャラクターは最小限しか増やさずに、よくこんだけネタが続くもんだと、ほんま、凄いと思います。


『インテグラ』 七地寧 ラキアノベルス
『ルドルフの数』ではびんびしょ扱いだった忠志が、主人公っちゅうか、メイン受。
これ、好き嫌いが極端に分かれる話だと思うが、
わたしは大好き〜〜♪♪♪
良門とさゆり、かっこいい〜。
特に良門みたいな男が描ける作家ってまだまだ希少だぜ。
これ、出てるの知らず、BOOKOFFで見つけてどっひゃあ!だったもので、他にも見逃してる七地があるかもしれんと検索してみたところ、ラキアのオフィシャルで七地寧の書き下ろしweb連載発見! でも、あれ、読みにくいよ〜。せめて行幅、130%指定くらいにしてよ〜。>ラキアオフィシャルどの


『ロマンチック・ウルフ』 たけうちりうと 大洋図書
そらくんの造型はよかった。(こおゆうキャラクター書かせたら、やっぱ天下一品だわ、たけうちりうと) イギリスのおばちゃんたちもよかった。バーナードもいい。主人公ふたりもあえて見逃そう。
が、これ、ぜぇったいに無理な設定だって。専門家が観てもわからんような贋作、はずみでリセット屋始めた人たちがなんで見抜けるのか、そのあたりがすでに説得力皆無。ほんとはしかるべき場所に置かれている美術品のほうが本物なのに、それが実は巧妙なレプリカだと、悪人に騙される可能性だって大です。それにあたし、真に優れた美術品は私蔵もしくは秘蔵されるべきではない、っつう主張にそもそも賛成できないのよねー。


『安土城幻記』 阿刀田高 角川書店
阿刀田高といえば本格推理系のあとがきでやたらと目にする名前だが、これ、おそらくたぶん、初めて読む阿刀田高の本だわ、わたし。
狩野永徳が描き、天正少年使節によってローマ法王に献上されたものの、その直後の法王の代替わりにともなって行方不明になった幻の安土城屏風絵を主題にした一種の怪奇譚なんだが、主題部分に目新しい情報もなく、怪奇譚としても不完全燃焼な感じ。


『ミスティー・レイン』 柴田よしき 角川書店
芸能界を舞台にしたミステリ。
主人公茉莉緒が鴨川の川べりで後にマネージャーをつとめることになる海と出会うシーンはすっごいよかったけど、後はブー。海のマネージャーになった途端、茉莉緒がぜんぜん面白みのない子に豹変しちゃったのが一番参った。


『黒と茶の幻想』 恩田陸 講談社
213頁に「あとはブラウン神父のお導き」というフレーズがある。チェスタトンのブラウン神父シリーズ中の逸品のひとつ「折れた剣」に言及してのものである。
が、この人が殴り殺せそうな厚みの長編は、ブラウン神父モノはブラウン神父モノでも「イズレイル・ガウの誉れ」への、豪勢なオマージュであるとわたしは思う。
とはいうもんの、ブラウン神父を一作も読んでなくても、ノープロブレム。
すっげえ面白いぞ、これっ!! 厚さにびびらず、ともかく手にとってみるのぢゃっっ!!
それとこれは本筋には関係ない部分なのだが、利枝子が憂理の映画の観方を「ありとあらゆる映画を同じスタンスで」と評するのだが、うん、映画を観るにしろ本を読むにしろ、わたしもできるだけ憂理のようでありたいと思う。
ところでこの憂理、睦月朔子の『夜明けの海』(同人誌)の小夜子と雰囲気が似ている。が、凄みとか怖さとかいう点では、睦月の小夜子の勝ちだと思う。


『最後の家族』 村上龍 幻冬舎
世の中に蔓延する「人が人を救おうとすること」へ異議を呈するために真摯な姿勢で書かれた寓話。
彼がこの物語を通して主張したかったことに、わたしはとても賛成です。

(村上龍っていつも、ものすごくまっとうなことを主張していると思うんだ。『音楽の海岸』の、「人は人に何をしてもよいのだ。ただし、自分以外の他者に許しを請わずにいられる強さがあれば。(そして、他者に許しを求めることこそがマゾヒズムである)」、とかさ)


ショッピングの女王2 浪費バカ一代』 中村うさぎ 文藝春秋
いろんな雑誌でエッセイを連載していて、どれも絶妙の語り口がたまらない中村うさぎだが、中でもとりわけ文春連載のこれが面白い。
もしも、「中村うさぎ? ああ、あのブランドオタクね」とか思ってらっしゃる方、いらっしゃいましたらぜひこの本の125頁を読んでいただきたい。
今回、一番心にしみたのは、人生二度目の結婚式で、投げたブーケが来賓の9割を占めるオカマどもに投げ返され、「受け取れっ!」「要らねえっ!」と壮絶なブーケのぶつけあいになったというネタ。いや、ハート・ウォーミング。ええ話や〜。


『炎恋記』 森福都 講談社X文庫
『薔薇の妙薬』面白かったのに、その後どうして森福都買わなかったか判明。
その次に出たこれ、挿絵がすっげえ嫌いなタイプの絵だったのよ〜。
嫌いな絵柄の上に超拙い。なんでこんな下手糞なイラストレーターに任せたのやら。
物語は面白かった。しかも分厚い。ハードカバーなら人を殴り殺せる厚さ。


『夢の宮 奇石の侍者』 今野緒雪 集英社コバルト文庫
『夢の宮 薔薇の名の王』 今野緒雪 集英社コバルト文庫
『夢の宮 亞心王物語』上・下 今野緒雪 集英社コバルト文庫
『夢の宮 神が棲む処』 今野緒雪 集英社コバルト文庫
『夢の宮 叶の果実』 今野緒雪 集英社コバルト文庫
図書館でめぼしい本をみつけられず、挿絵が波津彬子だったので前から気になってた夢の宮シリーズを一気借り。
何故、前から気になってたのにこれまで借りなかったかといえば、シリーズ最初の『夢の宮 夢の見た夢』が見当たらなかったから。この日もやっぱり『夢の見た夢』は見つからなかったが、あらためてあとがきをじっくり読んだところ、どうやら順不同で読めるシリーズだと判明したのだった。
で。
大当たり〜♪
岩井志麻子や小野不由美を出したことで講談社X文庫は名高いが、コバルト文庫もやっぱあなどれませんやな。
数奇な玉珥(ぎょくじ、と読む。イヤリングもしくはピアス)にまつわる物語をオムニバス形式で描いた『奇石の侍者』が中でも大当たり〜♪
あとのはわかりきった結末までがかったるかったりはするものの、ハードカバーで千数百円もするくせにすっげえつまんねー小説に較べりゃ、あなた〜。


異邦のかけら サカナの天』 今野緒雪 集英社コバルト文庫
もったいない…。カイ側の状況を、もっと簡潔に断片的にすれば、、この話、ものすごく怖い幻想譚に仕上がったろうに…。


スピリッシュ! 東方牢城の主』 今野緒雪 集英社コバルト文庫
スピリッシュ! 盤外の遊戯』 今野緒雪 集英社コバルト文庫
すっげえ面白い〜っっ!! これ、むっちゃ好みの話。
主要なキャラクターも実に魅力的だけど、出番は少なかったが国王陛下イカスっっ!! 大好き〜、こーゆーキャラ。


『霊験お初捕物帳 天狗風』 宮部みゆき 新人物往来社
鉄、可愛い〜〜〜♪ 猫好きにはたまらない作品です。事件が解決したあとの部分がバタバタと駆け足だったのがちと辛かった。でも、最後の8行、なんかもう嬉しくて幸せで、やられた〜って感じ。


ローマ人の物語] すべての道はローマに通ず』 塩野七生 新潮社
今回は、ローマのインフラ、ローマ街道や橋、上下水道、医療、教育等について。
毎回思うのだが、塩野七生ってほんっと、キリスト教というか、一神教が嫌いなのね。このままでは、ローマ帝国の滅亡の原因、キリスト教が国教になったためと結論づけられそうな感じ。
って、あたしもユダヤ教を筆頭に一神教って嫌いなんだけどさ、了見狭くて。(ユダヤ教・キリスト教・イスラム教等、一神教教徒の方々、おられましたらごめんなさい)(あ、キリスト教でも、カソリックとロシア正教は別。あれって、一応は一神教だけど、聖人うじゃうじゃいて、ほとんど多神教だと思う)
ちなみにこの本が出たのは去年の12月。また半年がかりで読んだかよ、オレ。
あ、そうだ。新潮のウェブサイトでの発表によると、37頁に載ってる街道の基本形、間違いだそうで〜す。Cの最上層の部分がほんとはもっと分厚いんだそうで〜す。


夢の宮 竜の見た夢』 今野緒雪 集英社コバルト文庫
夢の宮 諸刃の宝剣』 今野緒雪 集英社コバルト文庫
夢の宮 海馬をわたる風』 今野緒雪 集英社コバルト文庫
夢の宮 薔薇いくさ』 今野緒雪 集英社コバルト文庫
夢の宮 月下友人』上下 今野緒雪 集英社コバルト文庫
またもや一気読み〜。行け行けどんどん、やめられない、とまらない〜。
『竜の見た夢』は二編入りだけど、どっちもいい話だった。特に表題作のほうの非情な物悲しさがよい。
『諸刃の宝剣』は、ヒロインの?珠(あ、出ない〜。「?」の字は王偏に奉って字です)に感情移入できず。この女、嫌い。麓妃のほうが断然好き。
『海馬〜』もいい話だったが、皋悦の破滅がもっとドラマティックで悲劇的だったら、麻?(あ、またでない〜。こっちは女偏に朱)の幸福との対比でもっと面白かったのに。
『薔薇いくさ』はどれも完全に独立した話のこのシリーズには珍しく『薔薇の名の王』の続編だが、最後近くまでそれに気づきませんでした。(ので、また最初から読みかえしちまったい)
『月下友人』、挿絵が波津彬子から江ノ本瞳にかわってる〜。それにしても、絵、かわったな、江ノ本瞳。以前の絵のほうが好きなんだけどな。(挿絵といえば、『竜の見た夢』と『諸刃の剣』はかわみなみ。その後、波津彬子にかわって、さらに江ノ本瞳になったのであった)


『一九三四年冬−−乱歩』 久世光彦 集英社
いま読みかけの書評ばっかり集めた久世の本によると、これ、第六回山本周五郎賞を受賞してるんだそうだ。(ぜんぜん知らずに読んだ)
久世の書く乱歩、抱きしめてあげたくなっちゃうくらい超キュート♪
ほんっと楽しんで書いてる感じ。ドラマで見たいな〜。でも、帳ホテルのボーイというか殆ど雇われ支配人な翁華栄が好みと違ったらすんごいヤだな〜。
これを読んでエドガー・アラン・ポーをむっちゃ読み返したくなったが、うち、ポーは岩波の黒猫とか入ってる超薄べったい文庫しかなかったのよ〜。よくよく思い出してみれば、ポーは宇治の人妻改めくらちゃんに貸してもらった五冊組の文庫全集で一気読みしたのよ〜。再度借りようにも宇治は遠し。。。。
(のでBOOKOFFで捜してみる〜)

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