本読み日記


【ジャンル分け】 元々日本語で書かれた大人向け小説
元々日本語で書かれたジュブナイル小説。
日本語で書かれた小説以外のもの。

元は外国語で書かれていて、翻訳されたもの。

乙女のためのホモ小説
コミックス

われながら、なんつう荒くたい分け方であることよ。
ええっと、大人向けかジュブナイルかは、出版元の意向そのまんまです。角川スニーカー文庫とか講談社ティーンズハー
ト文庫とかコバルト文庫とかは、どんだけ立派な作品でもジュブナイルに入れてます。逆もそう。


『よもつひらさか往還』 倉橋由美子 講談社
『城の中の城』『交歓』『夢の通い路』『シュンポシオン』シリーズ。桂子さんの孫が主人公の、柳斎志異テイストの短編連集。
倉橋由美子はやはり中編長編の人だと思う。つまりは、あんまり面白くなかったのよ。


『アンテナ』 田口ランディ 幻冬舎
ボクも祐弥も美紀もナオミさんも、感じのよい登場人物で、物語自体も面白かったのだが、なぜだかわからんが不思議なほど心に残らなかった。どれくらい心に残らなかったかというと、読み終わったのを忘れて、「どこまで読んだかな?」とパラパラして、最期まで読んでたことに気づいたくらい。(…ボケきてんのかしら、あたし)


『マリア様がみてる』 今野緒雪 集英社コバルト文庫
『マリア様がみてる 黄薔薇革命』 今野緒雪 集英社コバルト文庫
『マリア様がみてる いばらの森』 今野緒雪 集英社コバルト文庫
『マリア様がみてる ロサ・カニーナ』 今野緒雪 集英社コバルト文庫

百合よ、百合っ!! 平成の『花物語』よっ!!
いや、もう、読み始めたら、やめられない、とまらない〜♪♪♪

これ、舞台を男子校にして、登場人物全員男子学生にしてたら、ボーイズラブの超人気シリーズになってたな、きっと。


『最果ての銀河船団』上下 ヴァーナー・ヴィンジ 創元SF文庫
前作『遠き神々の炎』に較べて、これはいまひとつ食い足りなかった。愚人化(もしくは集中化)させた人間たちをつないでひとつのアナログ・コンピューターにする、ってあたりはわくわくしたけどな。
(そういや、このヴィンジの別れた女房のほうのヴィンジの『雪の女王』じゃ、水がコンピューターの記憶素子に使われてたっけ。あれもわくわくしたな〜)


『ああ言えばこう食う』 阿川佐和子、檀ふみ 集英社文庫
『ああ言えばこう行く』 阿川佐和子、檀ふみ 集英社
『ああ言えばこう食う』をBOOKOFFでつい買っちゃったら、これがかなり好みの面白さだったので、続刊も図書館で借りてきた。
いや、面白かった。特に檀ふみの文章が愉快痛快。おまけにこれ、亀有の葛○さんの舞台前に読んでたんだけ
ど、この舞台で葛○さん扮する小説家のセンセが「です・ます」体で喋るのが、この中に出てくる檀ふみの父ちゃん、ミスター・火宅の人・一雄氏の話し方にすっごい似てたせいで、小説家の喋り方として違和感なかったんだわ。
でもさー、女の友情なんて昔っからこんなもんでっせ。>五木寛之どの
 (付録に収録されてた三人対談とこで、阿川と檀の互いを貶めあいののしりあいそれでいてほんとに仲のいい関係を、「こういう女の友情もあったのかとびっくりした」みたいなこと言ってたので、「五木のダンナ、あんた、女がわかってないねえ〜」と思っちゃったのよ)


『まだふみもみず』 檀ふみ 幻冬舎
で、上記の二冊、特に檀ふみサイドの文が面白かったので、単独エッセイも借りてきたんだが、んー、こっちの文章はまだ「習作」「手習い」って感じでした。
(『ああ言えばこう行く』で触れていた、「最初で最初のオババ様との旅行」もこれに載ってたんだが、これもやっぱり今の文章で読みたいっス)


『悪霊列伝』 永井路子 角川文庫
天平から平安初期にかけての、天武系女帝たちvs藤原家の確執から、時代を降っては楠正成あたりまで、怨霊として祀られることになった人々が祀られるに至った原因をさぐったもの。
特に前半の、天平から平安初期の政治事情を分析した部分が実にスリリング。


『池袋ウエストゲートパークU 少年係数機』 石田衣良 文藝春秋
『池袋ウエストゲートパーク外伝 赤・黒(ルージュ・ノワール)』 石田衣良 徳間書店
いま初めて気づいたけど、なんで外伝だけ徳間書店なんだ?
長瀬主演の『I・W・G・P』って、外伝までぜんぶひとつにしたドラマだったのね。で、ドラマじゃ長瀬の着メロになっててイカしてた「ボーン・トゥ・ワイルド」、外伝からの流用だったのか〜。
で、どっちも相当面白かった。石田衣良って、ストーリー展開もさることながら、キャラクター造型のツボがわかってる人だ。


『エンジェル』 石田衣良 集英社
背表紙見返し見てびっくり。
石田衣良って男だったんだ〜っっっ!! 絶対女だと思ってた。
(これ誉め言葉です。だってあたし、男の作家ってイマイチ信用してないもん)
殺された男が、なぜか死ぬ前二年間の記憶をなくしてユーレイになり、自分が殺された原因を探る、ってとこが斬新だった。
(映画「サンセット大通り」的手法をさらに独自に展開させた感じ)


マリア様がみてる ヴァレンティーヌスの贈り物』上下 今野緒雪 集英社コバルト文庫
マリア様がみてる いとしき歳月』上下 今野緒雪 集英社コバルト文庫
前述の四冊一気読みしたあと、ダッシュでさらに続編を取り寄せ申し込み、届くなりまた一気読みしてしまった…。
あうう、面白い、面白いのよ。むちゃくちゃ面白いのよ、これ。
もっと、もっと、もっと読ませて〜っっっ!!!


『マレー鉄道の謎』 有栖川有栖 講談社ノベルス
「冒険家ぶってる青年」や「オスというものの悲しみ」についての考察部分はかなり面白かったが、メインのストーリーは退屈だった。火川と有栖のイチャイチャ加減も低調だし。
ところで「オスというものの悲しみ」について。そう悲観したもんじゃないっス。オスとメスの差って実は掛け率の差だと思うんだ。メスがせいぜい2:1だとすると、オスは100:1。当たればでかい。(あ、この場合の「勝ち」っつうのは、子孫を残して自分の遺伝子を次世代に伝えられるかどうか、です)


『リセット』 北村薫 新潮社
『ターン』『ステップ』とこれをあわせて三部作なので、これはどういう仕掛けかな、と思ったら、なかなか仕掛けが出てこなくて…。
んー、どうして今更こういうもんを書こうと思ったのかな、北村薫。単に太平洋戦争当時の清らかな青少年が書きたかっただけかも。
(なので、そういうのが好きな人にはかなり口に合うとは思うんだが、わたしはどうもその〜)
(転生モノってボーイズラブや同人誌のパロにはわりとあるんだが、転生モノ、という点に的を絞れば、それらの水準のほうが断然高いと思う……)


『蚊トンボ白髭の冒険』 藤原伊織 講談社
日記にも書いたとおり、初めて古本じゃなく買った初めての伊織のハードカバー。
んで、これまた日記にも書いたとおり、読みかけて一時間ばかり経った頃、待望のPS2が届いたんだが、その封を開けもせず、そのまま読みきっちゃった本。
んで、ここでも叫ぶ。

愛してるぜっ、伊織っっっ!!!

今のペースでいい。いいから、長生きして〜っ!! 書き続けて〜っっ!!


『情熱の行方』 遠野春日 MOVIC
『ひそやかな情熱』続編。んー、あれの続編としてはイマイチ…。


『放蕩長屋の猫』 榎田尤利 大洋図書
キャラクターもストーリーもすっごいい。いいんだが、最後の最後、「ここんとこのオチ、こうだったらヤだな…」と思ってたオチが…。


『ウィニング・ラン』 ハーラン・コーベン ハヤカワ文庫
スポーツエージェント、マイロン・ボライターシリーズ最新刊。が、四月に出てたの。知らなかったの。見つけて慌てて買ったの。
いや、すごいっス。解説で北上次郎って人が書いてるとおり、これでシリーズ七冊目、なのにへたらない。たれない。だれない。毎回、マイロンの新しい事実が明るみに出るけど、こんだけシリーズが続いてるのに、シリーズ続けるために慌ててでっちあげたような新事実っ感じががないの。これは凄い。
ところでこれ、表紙が高口里純なんだけど、毎回、表紙はマイロンひとりなの。これがまたいい。これからもそうしてほしいです。実はわたし、ウィンは内田善美の『星の時計のリデル』のウラジーミルのヴィジュアルで読んでるもんで。


『八雲立つ』17・18巻 樹なつみ 白泉社
あらためて1巻から一気に読み返してみました。
…これってこんな話だったのねえ……。(おいっ)←が、あちこち散らばってる古代編なんかほんと、通しで読んでやっと誰が誰かわかったわ…。


『劫尽童女』 恩田陸 光文社
「夜叉」のパチモンみたいな話だった。恩田陸、光文社から出る分って、ハズレ率というか、ちょっとこれは…率が高いような気がする〜。


『異議あり日本史』 永井路子 文藝春秋
根拠もなくいつの間にか「日本史の定番」化されてしまった人物像やエピソード等を、「異議あり!」と切りまくる書。
どれも「ヘー、ホー、なるほど」だったが、中でも「維新史をにらむ」の章に大納得。そうか、それであたし、維新あたりって苦手だったのか。

あ、でも、春日局の章、「(秀忠の妻)お江が、伯父(織田信長)を殺した男の重臣の娘というので春日局を恨むのはおかしい。恨むなら明智より、自分の父(浅井長政)を殺した伯父を恨むだろう」ってくだりがあるんだけど、これ、ちょっと「異議あり」。父が殺された後も彼女の暮らしは伯父の庇護で磐石だったけど、伯父が殺されたあとはやはり「頼りなき身の上」になったわけだから、お江の性格によっては伯父より明智を恨んでも別に不思議はないと思う。


『雨柳堂夢咄』9巻 波津彬子 朝日ソノラマ
紅茶をいれられて腹をたてる中国急須の話と、おつかい猫の話が好き。この手のほんわかした奇譚系の話がやっぱり好きだなあ。


『最遊記RELOAD』1巻 峰倉かずや 一賽舎
なんで一巻なんだ?! RELOADっつうのはなんなんだ?! 裏表紙には「再装填」なんつう不穏な文字が見えるしさー。
が、まさか再版したもんを平積みはせんだろう、と買ったら、ちゃんと新作でした。はあ、やれやれ。(だって連載のほうぜんぜん読んでないから)


『レイニー・シーズン』 榎田尤利 大洋図書
『ソリッドラヴ』続編。以前、BOOKOFFでこれ見つけたのに、前作の『ソリッドラヴ』と勘違いして買わず、気づいて慌てて買いに行ったらもうなかったという痛恨の一事があったんだが、やっと見つけた〜。御陵町のBOOKOFFにこれ売り飛ばしてくれた人、ありがとおおお〜っっ!!
前作ではイマイチ「こーゆー奴、いるか?」だった吾妻が、今回きちんと肉付けされてて好感もてた。伊万里はあいかわらずいい子だな、この子。ストーリーも脇キャラもきちんとツボ抑えてあって、やっぱ上手いわ、榎田尤利。


『日本のミイラ仏』 松本昭 臨川選書
第一掲示板にも書いたとおり、「高野山の奥の院には弘法大師さんの即身仏がいてはるんや〜」と言ってきかない父ちゃんに、「おら、おら、おら、これ見てみいっ!!」と叩きつけてやる(我ながらひどい娘だ)ための証拠文献探してて見つけた本。
が、びっくりしました。わたしが前に読んだ高野山の歴史書いた本(NHKブックス系な感じの装丁の本だったと思う)には、奥の院に即身仏がないことは書かれてたけど、即身成仏までは否定してなかったのよ。
それがまさか、フツーに死んで、フツーに火葬されてたとは。
死後150年後に生まれて流布されたただの説話だったとは。
また高野山がさー、即身仏が奥の院に祀られてるってみんなが信じてるほうがゼニになるから、肯定もしないかわりに否定もしてないっつう。
あかんやろが。>高野山
それにしても、いくら五穀断ち十穀断ちして、その上さらに脂肪率さげるために漆飲んでも、湿気の多い日本の気候じゃ、死んでそのままミイラになるっつうのは無理なのね〜。
(考えてみれば、死や排泄物、女性の月の触りどころか「吐く息」まで、有機生命体の生命活動すべてを「穢れ」とする日本古来の考え方って、ものの腐りやすい湿気の多さ故に生まれた考え方かも)

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