本読み日記


【ジャンル分け】 元々日本語で書かれた大人向け小説
元々日本語で書かれたジュブナイル小説。
日本語で書かれた小説以外のもの。

元は外国語で書かれていて、翻訳されたもの。

乙女のためのホモ小説
コミックス

われながら、なんつう荒くたい分け方であることよ。
ええっと、大人向けかジュブナイルかは、出版元の意向そのまんまです。角川スニーカー文庫とか講談社ティーンズハー
ト文庫とかコバルト文庫とかは、どんだけ立派な作品でもジュブナイルに入れてます。逆もそう。


『波のうえの魔術師』 石田衣良 文藝春秋
長瀬智也主演「ビッグマネー」原作。
面白い。が、この原作を骨格をかえずに贅肉なしに十分に肉付けし全12回分のドラマにしたドラマスタッフの偉さも原作読むとよくわかる。


『不実な美女か貞淑な醜女か』 米原万理 徳間書店
むっちゃ痛快。
通訳、ときどきは翻訳、をめぐるあれこれについて書かれたエッセイなんですが、すっごく読み応えあり。
いま日本語として通用してる単語の3分の1くらいって、明治維新まではなかった言葉、英語等の欧米言語のもつ概念にあてはまる単語が日本語に存在しなかったために四苦八苦して作られた言葉なんじゃないか、とかあれこれ考えさせられます。
ところで、この中でも触れられてたエピソードなんだが、タレントだったかアナウンサーだったか忘れたけど、某有名人が結婚したとき、「子供ができたら、家では日本語を使わず、英語だけで育てたいです」って言ったの、あれ、「うわ、バッカでぃ〜っっ」と思った覚えがあるのだが、そうか、通訳を生業とする人が聞いてもあの発言って「うわ、バッカでぃ〜っっ」だったのか。(幼い頃に複数の言語を習得する機会があった人って「いいなあ」と羨んでたけど、下手すればどっちの言葉も半端にしか習得できず、結果、思考能力がものすごく不安定になることがある諸刃の剣だっつうのも目から鱗だった)


『ホメるが勝ち!』 酒井順子 講談社
人が人を誉める、ということに関する、身も蓋もない考察集。
酒井順子の文章だからこそこんなに面白く読めたが、感じ悪い文章でおんなじこと書かれたらすっごいヤだろうな、これ。


『壜の中の手記』 ジェラルド・カーシュ 晶文社
短編集。表題作はメキシコで行方を絶った(これは本当)アンブローズ・ビアスが最後に書いた手紙というネタだが、このアンブローズ・ビアスの失踪事件って、ある種の作家の想像力をそそるらしく、山田章博の短編にもあったな。(映画「わたしが愛したグリンゴ」もビアス@メキシコネタだったけど、ビアス役がグレゴリー・ペックでステキでした。が、この映画で一番印象に残ってるのは、共演のジェーン・フォンダの演技のくささだったりします…)
「豚の島の女王」が一番好きだが、そおいやこれも山田章博なイメージの作品だわ。晶文社、山田の挿絵つけてくれりゃよかったのに。


『アラビアの夜の種族』 古川日出男 角川書店
どこかで見つけた原書を著者が翻訳したもの、という『薔薇の名前』な体裁の小説。
面白い、面白いんだが、欲をいうなら、結末が順当過ぎる。もうちょっと凝ったクライマックスが欲しかったぞ〜。前三分の二に対して後ろ三分の一、急に物語が平板になったの、実にもったいないぞ〜。


『天才建築家ブルネレスキ』 ロス・キング 東京書籍
フィレンツェ花のドームの建築総監督だったブルネレスキの評伝。
朝日の読書欄にそそのかされて読んだのだが、説明がすっごく明快で、建築には造詣の浅い、つうか、皆無のわたしにも、ドームを作る上での問題点や解決策が実によくわかったので、このロス・キングという人、ほんとに明晰な頭脳の持ち主なんだと思う。


『シルクロード 神の回廊』 滝口鉄夫 中西出版
たまには小説以外の棚も漁ってみっか、と旅行記や風俗記の棚から借りてきたんだが。
この本の著者、アホです。
訪れた土地の紹介や風景のスケッチ部分はともかく、自分の感想部分が、もうどーしよーもなく安っぽくてとほほのほ。
本業はカメラマンだそうなので、本業に専念したまえ、というキモチでいっぱいです。


『天葬への旅』 森田勇造 原書房
上に同じの理由から借りてきた本だが、上のを先に読んだせいか、淡々とした文章にすっごく好感をもってしまった。
クライマックスのチベットの天葬(いわゆる鳥葬)の描写も、この淡々とした文章のおかげで、かえって凄みがあった。(鳥葬って、山の上のほうに遺体放置して、鳥が来るにまかせるもんだと思ってたけど、違ったのね〜〜)


『五十嵐文男の華麗なるフィギュア』 白石和己 新書館
いま気づいたんだが、新書館ってあの新書館よね。へー、こんな本も出してたんだ〜。
で、これまた小説以外の棚を漁ってて見つけた一冊。
そうか、ロビン・カズンズとそんなに相性が悪かったのか、五十嵐文男。(笑) んで、フィギュアの解説とかで喰ってるとばかり思ってたら、あれは副業で、会社にお勤めだったとは、五十嵐文男〜。
彼が現役だった頃の話だけじゃなく、つい最近の選手もとりあげらてフィギュア全般についてのあれこれを語ってくれてて、その語り口も過剰さがなくて、いや、いい奴です、五十嵐文男。


銀葉亭茶話 玄琴打鈴(ひょんぐむたりょん)』 金蓮花 コバルト文庫
ああ、ひっさしぶりの銀葉亭〜っっ!!
著者の金蓮花は在日朝鮮人三世で、地名や人名に朝鮮語のルビが振られてるのがエキゾチックです。
ものすごく好きな作家なので、日本人拉致事件の被害者たちの半分以上が死んでいたことが明らかになった今、北朝鮮バッシングの影響を受けないか、むっちゃ心配です。
(とか思ってたら、さっそくアホが在日三世ボクサーのHPをいやがらせの書き込みで荒らすという事件が…)
が、それにしても、だ。
200ページ越えたあたりで、「これ、ほんとに読みきりか…」と不安になったら、案の定、「『伽椰琴打鈴(かやぐむたりょん)』に続く」だと〜。
続きっ、続きっ、早く続き〜っっっ!!!


『外法師 視Sの塚』 毛利志生子 コバルト文庫
「氏vの字、「?」になるかと思ったら出た〜。(が、MACだとひょっとしたら「?」表示かも。こないだmacユーザーへのメールで、「高」の字を間違えて旧字の「」に変換したら「?」になってたそうだし。マだれに「萬」で「れい」って字です)
外法師シリーズ第三作。
いや、嬉しい。こんなにすぐに出るとは思わなかったんだも〜ん。
それにしても最近、すぐに新刊が出てくれる。この水準の作品をこのペースで出せる毛利志生子って、凄い…。
(だって、好みもあるんだろうけど、これまでワタシ的にハズレ本ってないんだもん、毛利志生子)


『ミラー・ダンス』上・下 ロイス・マクマスター・ビジョルド 創元SF文庫
マイルズシリーズ新刊〜♪♪♪
今回は『親愛なるクローン』で登場したマイルズのクローンが、マイルズの弟として両親に受け入れられるに至る物語。
が、受け入れられる過程の時期、マイルズの生死が不明だったので、一歩間違えれば、マイルズがどうなったかが早く知りたくてジリジリしてたとこだけど、さすがに名手ビジョルド。うまいわ〜。
で、例によって例の如く、マイルズシリーズ一気読み返しをしてしまった私であった。


『パンテオン』1巻 榛野なな恵 集英社
『Heaven?』4巻 佐々木倫子 小学館
『ONE・PIECE』25巻  尾田栄一郎 集英社
表紙にシャンクス♪♪♪ 中にもシャンクス♪♪♪
ああ、し・あ・わ・せ〜♪♪♪
(が、白髭&赤髪海賊団編が始まったら、ガチャポンにもきっとシャンクスなブツがたくさん…。ガチャポンに幾ら注ぎ込むことになるのか、オレ〜)

ところでベックマンよ、総白髪の原因はやはりシャンクスに苦労させられすぎたせいか…。


『死にいたる芳香』 ユベール・モンティエ 早川書房
メインの謎というか犯罪、なかなか焦点があわなくてちょっと退屈だったが、料理や酒に関する薀蓄部分はすっごい楽しかった。
美食ミステリーという範疇にいれられてるが、探偵役は主人公が出した手紙によって状況を読み取るサナトリウムで療養中の奥さんなので、安楽椅子探偵物でもある。
ところで、TVの料理モノ見てていっつも思うんだが、「思っよりさっぱり」って感想、あれ、いい加減にしてほしい。こってり濃厚な食べ物をこってり濃厚に味わって何が悪い?!(一度、セイン・カミュが羊羹の老舗でそこの女将に「思ったよりさっぱりしてますでしょう」と言われて「ええっ、濃厚ですよ〜」と答えてたことがあった。思わず「ざまあみろ」と思った)

あ、あとがきによると、この本、原題はLa part des anges(「天使の分け前」 コニャックを熟成する途中で蒸発してしまう分のこと)だそうだ。原題そのまんま訳なタイトルのほうがお洒落だったと思う。


『恋恋蓮歩の演習』 森博嗣 講談社
タイトルがなんだかなーで手をつけてなかったが、いざ読みかけてみれば行け行けドンドン。謎解き部分もそれなりに「あ、そやったんか〜」があって○。(ミステリってそれがあるのが基本のはずなのだが、最近、謎解き部分読んでも「あ、そやったの。そんなん別にどっちでもかまへんけど…」なのがけっこうある。そもそも謎の提示部分が下手なせいだと思うんだが)が、前作の記憶がおぼろになってたので、損したな、わたし。


『ささらさや』 加納朋子 幻冬舎
すっげえよかった。もう最初から最後まで、隅から隅まで、この本、だあい好き〜。キャラクター造型も筋運びも、いい意味で少女漫画的。


『ハリウッド・サーティフィケイト』 島田荘司 角川書店
松崎レオナが主人公の一冊。途中、ちょっとだけ御手洗も登場(電話だけど)。
面白かったんだが…。レオナを完全無欠にしないために工夫はしてるんだが、その工夫が方向を間違えている。もうちょっとどないかならへんかったんか?
あと、この人、猟奇系のげっすいエピソードだあい好き人間のくせに、どっか「わし、立つ位置違うけんね」みたいなお澄ましぶりがな〜。
半村良クラスの理数系スーパーコンプレックスも気になるぞ。米原万理のエッセイでも読んで反省しみたら?
加えて、もしわたしが性同一性障害者なら、この結末、というか、この結末の島田荘司の書きようって、すっごい傷つけられたと思う。
しかし、こんなに島田荘司に文句たらたらのくせに、見つけたら読んじゃうオレって…。はああああ。(ため息)


『ロシアは今日も荒れ模様』 米原万理 講談社文庫
これまたアタリ♪♪♪ ソビエト崩壊前後をおもな話題とするエッセイ集だが、よほどのゲス相手んときは別にして、人を見る目の温かさが読んでて実に気持ちいい。
ゴルバチョフ&エリツィンの分析部分も読み応えあった。わたし断然ゴルビー派だったんだが、そうか、転落には転落の原因があったのか。で、エリツィン、バカはバカだけどいいとこも(特に可愛げ)あったのね、この人。


『七百年の薔薇』 上・下 ルイス・ガネット
B級ホラー。あらすじ読んだらゴシックな感じだったけど、ゴシックなとこは殆どなくて、まんまモダン・ホラー。(いわゆるモダン・ホラーってどれもこれも、どこがイカしててどこが怖いんだか、さっぱりわからんのよ、わたし)


『魔女の1ダース』 米原万理 読売新聞社
この人のものの見方、感じ方って本当に心地よいです。そやねん!と膝を叩くことが多いけど、「そうか、そういう見方もあったのか」と感じ入らせてくれるとこも多いです。(「そうとちゃうやろっ!」といらいらすることは多くても、こんな風に感じさせてくれるエッセイって少ない) 多忙な人なのに、その読書量にも圧倒されます。
ボーヴォワールの『第二の性』にいちゃもんつけてるとこがあるんだけど、いや、ほんま、同感っス。「男に生まれてきたかったと一度も思ったことがない女」にはボーヴォワールの主張って、まったく共感できないんだもん。


『ヒトのオスは飼わないの?』 米原万理 講談社
米原さん宅の犬・猫変遷をメインに、フィクション・ノンフィクション取り混ぜた犬猫エッセイ。
登場する犬猫はもちろん、良心的な名医なのにやたらと病院名変えるのが玉に疵なかかりつけの獣医さんや、「最近、あまりにも時空間を自由奔放に飛び交うようになった」お母さんのために住み込んでもらっている「元宝塚の男役のように凛々しい」家政婦さんや、絶世の美貌の彫刻家だの、思わずロシアで買っちゃったブルー・ペルシャの子猫を「検疫でひっかかったらどうしよう」と悩む万理さんに「ペルシャは無駄鳴きしないから、こっそり機内に持ち込んで密輸しちゃえばいいのよ」とけしかけるロシア愛猫家協会親分だの、人間たちもすっごい楽しいキャラクターだらけ。
わたしもたいがい犬猫好きですが、負けました。もしも紳一か茂吉が家の中でスプレーするようになったら、わたしゃためらうことなく、おしっこの匂いを消してくれる飲み薬を貰いに行きます。
それにしてもさー、軽い気持ちで犬種を決めて飼いだしたもんの、世話しきれなかったり、世話するのが面倒になったりして、捨てたり、保健所に連れてって「処分」してもらう人が大勢いるのって、ほんと、やりきれない気持ちになる。


『ガセネッタ・シモネッタ』 米原万理 文藝春秋
エッセイの隙間に対談が二つ入ってて、その対談のひとつのお相手がジョイスの『フィネガンス・ウェイク』完訳したことで名高い英文学者の柳瀬氏なんだが、柳瀬氏が浅はかな意見を口にするたびに米原さんがそれをちゃんとやっつけてくれてんのがすっごい楽しかった。劇作家の永井愛さんとの対談のほうで出てきた話題なんだけど、手垢がついて死語になっちゃう外来語と定着する外来語って、ほんと、いったいどこに差が出るんだろ。
この中で一番印象深かったのは、「日ソ・抑留者問題シンポジウム」での出来事。シベリアに抑留されてた人々を前にソ連側の学者が「ソ連軍が満州に進行した」と言ったところで、「日ソ中立条約をソ連が勝手に破ったんだろうが」と会場内は収拾がつかないような大騒ぎになったんだそうだ。そのとき、そのソ連の学者、ついにキレて、「てめえら、その時どこにいたんだ! 自分の領土にいたのか?! 満州は、他人の国だろうが」と言ったとこ。
確かにソ連は日ソ中立条約を破って満州に進行したし、ソ連による抑留はジュネーヴ条約に反するものだったし、当時のソ連の書記長であったスターリンは何百万人という自国民を「再教育」の名のもとに死においやったとんでもねえ奴だったが、満州に「進行」してきたソ連軍は、満州に住んでいた中国人たちにとっては、日本による圧政から自分たちを救ってくれる「開放軍」だったのだ。
(それを思うと、中国の人たち、親が亡くなったり、親とはぐれたりして満州に置き去りにされた日本人の孤児を、よくぞ我が子として育ててくれたもんだと思う)
人間、殴られたことは絶対忘れないが、殴ったことはすぐ忘れる。下手したら、殴ったことにすら気づいてないことも多い。
日本人が先の戦争を語るとき、いつも「被害者」の立場からだ。アメリカの空襲に逃げ惑った話。徴兵されて行軍させられた話。軍で上官に苛められた話。
日本に強制連行された朝鮮人を優越感をもってさげすんだ、ちょっと派手めの近所の奥さんを「非国民」呼ばわりした、軍にいたとき植民地化されてた国の人たちに暴行を加えた、軍でいじめに参加した、等の「加害者」の立場から語ってくれる人は残念ながら殆どいない。
ちなみにうちのじいちゃんは徴兵されて中国に行った。じいちゃんの足には散弾のかけらが埋まっていた。三日三晩、ぬかるみだらけの道を寝ずに行軍させられたこともあったそうだ。
そういうわけで、確かにじいちゃんは戦争の被害者のひとりではあったのだが。
だが、じいちゃん、ひょっとしたら慰安所に行ったかもしれない。そうだとしたら、その慰安所でじいちゃんの相手をさせられた慰安婦の人にとっては、うちのじいちゃんは紛れもなく加害者だ。
直接中国人を殺したり暴行したりしてはいなくても、中国にいたとき、中国の人たちにとってはじいちゃんは紛れもなく加害者のひとりだったのだ。


『真夜中の太陽』 米原万理 中央公論社
これまで読んだ中では、これが一番時事問題が多かったな。
ところで、米原さんによると、名通訳者および名翻訳者として知られている人たちは例外なく「日本語にすこぶる堪能である」らしい。
で、思ったんだが。
やっぱり日本の国語教育ってのは問題ありすぎ。特に中学・高校。ページ数にしてほんの十数ページの作品を五、六時間かけて重箱の隅をつつくように読む、ってのがいわゆる「現代国語」の授業のやり方だが、高校生のとき、あれ、実に退屈だった。教育実習のときも、やはり無茶苦茶退屈だった。数ページから十数ページの随筆や短編小説を中心に、ひとつあたり一時間でがんがん行くほうが、絶対に国語力はつくと思う。あと、暗記教育はいかん、つうのが共通認識になってるが、国語に関しては頭が柔らかいうちに、名歌でも古典の有名な部分でも無理やり暗記させといたほうが、後々断然役に立つと思う。


『善魂宿』 坂東眞砂子 新潮社
山奥、大きな合掌造りの家に二人きり住む母と息子。ときおりそこに迷い込む人たちが、一夜の宿の礼に物語を語っていく。
これまでの坂東眞砂子の小説の中でこれダントツによかった。母と息子がどうしてこんな山奥の大きな家に二人きり住まっているかが解き明かされる第五話第六話は中でも圧巻。
これは輸出すべきだ。アメリカのSF系出版社が食いついてきてくれたら、ネビュラ賞狙えます。


『ロシア幽霊軍艦事件』 島田荘司 原書房
御手洗モノで、アナスタシアモノ。
で、面白いのよ。面白いんだが。
石岡くんをバカに書きすぎ。アナスタシアの顛末くらい、三人に一人は小耳に挟んだことがあるって、絶対。世界史の授業、たいていセンセはそのへんのエピソードは披露してくれるだろうし、ああいう話ってけっこう頭に残るもん。
あと、やっぱりげっすいのよ、島田荘司って。根っこの部分が。


『最後のディナー』 島田荘司 原書房
やっとわかった。なんでこんなに島田荘司に反感感じるのか。
この人が「かっこいい」と思ってることって(英語がぺらぺらなのはかっこいいとかな)ものすごい俗っぽくって、恥ずかしいのよ。
思えば、『斜め屋敷の犯罪』のお金持ちの描写があれほどトホホでビンボ臭かったのも、そのへんに原因があると思う。

が、これもまた話そのものは面白かった。二編入りなんだが、「大根綺譚」のほうが好き。


『Pの密室』 島田荘司 講談社
これまた御手洗モノ。御手洗潔氏幼稚園のみぎりの事件二件。
幼稚園児が因数分解ですかい。。。 いや、笑わせてもらいました。「早熟な天才」ということを言いたいのはわかるんだが、やっぱハズしてるわ、うん。
二件のうち、あとの表題作のほう、ものすごく読後感悪し。なあ、キヨシくんよ、この事件、わざわざ解決にでしゃばってく理由、あったんか?

それにしてもほんまわたし、御手洗モノに関しては「貧乏人のそしり喰い」だわ。


『ふたたびの虹』 柴田よしき 祥伝社
古道具好きの小料理屋の女将さんが探偵役、解決するのは殺人事件でなく、日常のちょっとした謎、というとてもワタシ好みのお話でした。
が、女将さんの過去の部分、ちょっと物足りなかったな。


『螺旋階段のアリス』 加納朋子 文藝春秋
転身退職者支援制度によって50歳にして三十年勤めた会社を退職し私立探偵になったおじさんが、押しかけ助手の女の子の助けを借りて、依頼者の持ち込んだ事件を解決していく連作短編集。
加納朋子としてはハズレ。こういう「浮気調査はしたくない」なんつう素人臭い私立探偵って苦手だ。(ディック・フランシスの『黄金』に浮気調査専門の私立探偵が出てきたんだけど、ああいうプロフェッショナルな人が好きなんです、わたし)


『ガラスの麒麟』 加納朋子 講談社
榛野なな恵の『Papa told me』以外の作品を辛気臭くしたような話だった。


『六人の超音波科学者』 森博嗣 講談社
シチュエイションも種明かし部分もイマイチどころかいま三つか四つ……。


『西洋骨董洋菓子店』4巻 よしながふみ 新書館
完結巻。いや、面白かった。いい終わり方でした。
一番すきなのは、橘と母ちゃんの会話。母ちゃん、ナイスだ。
で、あまりの面白さによしながふみ、一気読み返してたんだが、1巻最初のとこだけ、やっぱ惜しいわ〜。


『精進百選』 水上勉 岩波書店
前半、これまでの半生&ただいまの状況、後半が精進系野菜一品料理あれこれ。
うどん粉って小麦粉でいいのよね? こんにゃく薄切りにしてうどん粉まぶして揚げるってのが美味しそうで、作ってみようかと思ってんだけど。


『昼メシの丸かじり』 東海林さだお 朝日新聞社
『タケノコの丸かじり』 東海林さだお 朝日新聞社
ついに丸かじりシリーズに手を出してしまった…。東海林さだおって絵もマンガもあんまり好きじゃないんだけど、米原万理さんのエッセイに出てきたもんでつい。
けっこう面白かった。「キツネうどんとお稲荷さんのうどん定食」に関する考察ははっきり言って目から鱗でした。そうか、あれって言われてみればどっちも油揚げだわ…。

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