本読み日記


【ジャンル分け】 元々日本語で書かれた大人向け小説
元々日本語で書かれたジュブナイル小説。
日本語で書かれた小説以外のもの。

元は外国語で書かれていて、翻訳されたもの。

乙女のためのホモ小説
コミックス

われながら、なんつう荒くたい分け方であることよ。
ええっと、大人向けかジュブナイルかは、出版元の意向そのまんまです。角川スニーカー文庫とか講談社ティーンズハー
ト文庫とかコバルト文庫とかは、どんだけ立派な作品でもジュブナイルに入れてます。逆もそう。


『ゼロの誘い』 アンドリュー・ヴァクス 早川書房
『鷹の羽音』 アンドリュー・ヴァクス 早川書房
『セーフハウス』 アンドリュー・ヴァクス ハヤカワミステリ文庫
『クリスタル』 アンドリュー・ヴァクス ハヤカワミステリ文庫
引き続きバーク物。
『ゼロの誘い』からまずハードカバーで出るようになり、それが『嘘の裏側』まで続き、『セーフハウス』で再び文庫に戻ったので、順番どおりに読むのに苦労しました。ある程度固定ファンがついたときにハヤカワ、これよくやるのだが、たいがいの場合、ハードカバーになったせいで売上がガタンと落ち込むせいだと思うが二、三冊後に文庫に戻すことになるので、できたらこーゆーことやめてください、ハヤカワさん。
第一作『フラッド』から去年出た『クリスタル』まで、作中では十年の月日が流れており、『赤毛のストレーガ』でミシェルに拾われたテリィは青年になり、バークの愛犬パンジィはほぼ余生に突入。しみじみ。(パンジィただいま16歳だそうな。大型犬のほうが寿命が短い、というが、バーク=ヴァクスによると、イタリアン・マスチフは長生きな犬種だという。ほんとかな?)
『クリスタル』にケーブルチャンネルでバークとパンジィが「暴れん坊将軍」見るシーンがあったのは日記に書いた通りだが、『鷹の羽音』のタイトルは作中でママ・ウォンがバークに教える俳句「狩るイタチ 地を見て聞かず 鷹の羽音」(俳句はアメリカでも一部で流行ってるそうなので(※)、英語で作られた俳句だと思う。短歌俳句の出来不出来はよくわからないわたしだがこの句はスリリングで好きだ。 ※五・七・五の決まりは英語ではどうしてんのかと思ったら、音節数えの五・七・五の模様)から。第一作の『フラッド』で復讐相手を探すためにバークを雇うフラッドは日本で古武術の修業をしていて、復讐をなしとげたあと日本に帰っていくのだが、フラッドがときおり語った「日本」がすっごくファンタジーな日本だったため、「この日本は変やで」とあちこちから突っ込まれて日本に関してセンシチヴになったんじゃないかしら、ヴァクス。
『クリスタル』あとがきによると、この次の作品ではバークのファミリーの中のひとりが死んでしまうという。たぶんプロフかパンジィなんだろうな。できたら普通に死んで欲しいな。バークが復讐に立ち上がるためのエクスキューズのためじゃなく。


『バットマン 究極の悪』 アンドリュー・ヴァクス 早川書房
このバットマンはあのバットマン。バットマンのバスティーシュ。が、ヴァクスのバットマンなので、戦う相手は子供とセックスしたがる変態ども。
ちなみにヴァクス、本業は弁護士でバリバリやってて、奥さんは検事だそうだ。(バークシリーズの元検事のウルフって奥さんがモデルかしら?)

ところでヴァクスのホームページのアドレスが『セーフハウス』裏表紙裏にあったので行ってみたんだが(http://www.vachss.com)、混んでんだかなんなんだか、開きゃしねえ。で、調べてみたら、ドイツ語のオフィシャルページもあってこっちは開く。http://www.vachss.de/ だ。
(が、英語だけでも手に余るのに、こんなとこが開いたからといってどうしろと…)


『スローグッドバイ』 石田衣良 集英社
恋愛短編集。借りてきて気づいて「しまった…」と思ったものの読み出してみたら。
いいです、これ。どれも、ほんわかして甘いいい話で。
やっぱり小説って、「何を書くか」ではなく「どう書くか」なんだわ。


『蛍女』 藤崎慎吾 朝日ソノラマ
この前に読んだ『ストーンエイジCOP』があちこちいいとこもあるもんのちょっとその…だったので、これはどうかなと思ったら。
これは、行け行けドンドン♪
中でも主人公の友達の植物生態学の助教授南方(まんまなネーミングやんけ)がいいです。不可思議な現象にも動じず、それが起こるメカニズムをあれこれ愉しそうに考えるとこが、いかにも「ほんとにその分野について考えたり調べたりするのが好き」で研究者になった人っぽくて◎。彼の研究室の学生たちもそれっぽくてよかったな。


『永遠の昨日』 榎田尤利 クロスノベルス
最初っから絶対にハッピーエンドにならないのがわかってるとこが辛かった。
あと前半大笑いのコメディがだんだん暗い話になってくとこもなー。
こんなネタで前半あれだけ笑わすなら、そのまま最後近くまでお笑いで突っ走って、最後にほろりとさせて欲しかった。(笑いとペーソスの比率、9:1くらいが一番好きなの、ごめん)


『38度線』 石原理 ビブロス
『セルナンバー8』 石原理 ビブロス
『東京ブギィウーギィ』sideB 石原理 ビブロス
『カリスマ』 1〜4巻 石原理 ビブロス
『其は怜々の雪に舞い』 石原理 ビブロス
『少年は明日を殺す』T、U 石原理 ビブロス
『電子少年』1巻 石原理 新書館
『あふれそうなプール』1〜4巻 ビブロス

棚卸で行きつけの中図書館が10日間ほど閉館していたのであった。
借り出し枠一杯の10冊借りといたが、それを五日で読み尽くし、読むものを求めてBOOKOFFに行き、つい石原理に手を出してしまったのが運の尽き…。
『38度線』のみ100円、残りは300円均一で、ぜんぶで4300円也。あ痛たたたた。
『38度線』、戦争モノばかり集めた短編集。第二次世界大戦末期、史上最弱と呼ばれたサッカーフランス代表チームレジスタンスと、六年前にそのフランスチームに圧勝し、今はまとめて戦車大隊に配属されているドイツ代表チームがフランスの田舎町で遭遇する「ノルマンディーで会いましょう」がむちゃくちゃよかった。これ、とのさんとちほあるいははるのとK美ちゃんに読ませたくてたまらない〜。(既に読んでいる確率、K美ちゃんが9割、とのさんが6割、ちほあるいははるのが1割ってとこか。もし読んでないなら、コピー、送っていい?)
『セルナンバー8』『東京ブギィウーギィ』『電子少年』は近未来サイバーパンク系でどれも好き。『東京ブギィウーギィ』sideBのみゲットでAはまだ見つけられない〜。読みたい〜。
大正時代が舞台の幽霊譚『其は怜々の雪に舞い』も好き〜。
『カリスマ』はストーリーよくわからず。『あふれそうなプール』と『少年は明日を殺す』も面白くなくはないものの、イマイチ。
で、石原理はやはり、子供よりオトナだ。オトナの男をガンガン描かせるべき作家だ。


『ロマンスの予感』 遠野春日 リーフ出版
脅迫を受けた大企業の若手重役(受け)と、そのボディガードとして雇われた男(攻め)の話。
面白くない〜。つまんない〜。どうしたんだ、遠野春日っ!!


『温室育ちの恋』 鷺沼やすな オークラ出版
面白い。やはり鷺沼やすなは信用できる。
この設定で下手な作家が書いたら、だるくてうっとうしくて目も当てられないぜ、きっと。
しかもプロ作家じゃこの人くらいよ、HPであんなにいっぱい小説読ませてくれんのって。鷺沼やすなのHP、ここ


『打令(ダーリン)』 藤崎一也 角川書店
『勝負は時の運だろ』完結以降、初めて見つけた藤崎一也。
ミュージシャンもので、ノリがすっごく『グラスハート』(若木未生)な感じ。絵もだいぶかわったが、これはこれで好き。


ナルニア国物語1 ライオンと魔女』 C.S.ルイス 岩波書店
やっと読みました、1巻。
面白かったけど、予言だかなんだか人間のガキどもがいきなりナルニアの王位に就いちまうってのはどうよ? ナルニア国民、納得したんか?
ライオンのアスランはステキ。ガオライオン@百獣戦隊ガオレンジャーのビジュアルで読みました。
一番すきなのは、ビーバー夫人だな。彼女、イカス。


『オリガ・モリソヴナの反語法』 米原万里 集英社
ロシア語同時通訳者にして凄腕エッセイスト米原万理さん初の小説作品。
(「ほんとうに偉い偉大な人だと自分が思っている人こそ敬称なしで呼び捨てにしたくなるものだ」という森茉莉さんの主張にはむっちゃ大賛成ながら、森茉莉さんにはつい親しみをこめて「さん」付けしてしまうように、万理さんもやはりつい「さん」をつけてしまう)


ばりくそ
げろごっつい

面白いっっ!!


少女時代、プラハのソビエト人学校に通っていた主人公が、30年を経て、学校の名物教師だったオリガ・モリソヴナの謎を追うのだが、解き明かされるにつれ、スターリンによる粛清が吹き荒れた時代が彼女の前に姿を現していく、という物語。ので、重たい部分もありますが、決してうっとうしい重さではない。
特に導入部が実に見事。オリガ・モリソヴナのののしり文句に始まる第一行目から、最後の一行まで、隅から隅まで楽しんだ一冊。


『闇の通い路』 永井路子 文藝春秋
鎌倉時代初期〜安定期を舞台に、当時の史料を読んでいてふと心に残った一行二行の記述を元にした短編集。
「わが殿」がなんともいえずほのぼのとユーモラスなとこが面白かった。


『望みしは何ぞ』 永井路子 中央公論社
藤家の摂政政治が後三条帝によって上皇政治に移るまでの成り行きを、藤原道真の息子ながら第二夫人腹であったために第一夫人腹の息子たちより出世が遅れた能信の視点で描いた長編。
面白かった。日本史や古文で習いはしても、覚えてんのはせいぜい定子彰子の二后立后あたりまでで、「しかし、道長の後継ぎたちには娘ができず、娘がいなくては後宮に入れることもできず、藤原家の専制は終わりを告げました」という説明のあといつの間にか上皇政治になったくらいのもんで、出世するために切磋琢磨する能信の努力が実を結ぶんだか結ばないんだか、どう転がるかわかんなかったので、こんなに面白かったのかも。


『流星』上・下 永井路子 文春文庫
信長の妹、お市の方、の生涯。
お市って当時としちゃ晩婚だったのね〜。おまけに浅井家滅亡後、柴田勝家に嫁ぐまで、十年も後家暮らしだったのね〜。このあたりが、信長溺愛説の根拠だったのね〜。
信長がかなりかっこよくてよかったです。吉川英治の『新書太閤記』じゃなんか納得できなかった平手政秀切腹事件の真相も、これはすっごく納得できた。


『茜さす』上・下 永井路子 読売新聞社
1986年9月から読売新聞で連載されたもの。
初めて読んだ永井路子の現代モノ。舞台は現代で、メインは主人公の成長ストーリーだけど、主人公の女の子が女子大の上代文学ゼミにいて、卒業してから持統天皇(天智天皇の娘で、その弟天武天皇の皇后。天武亡きあと、即位する)にのめりこむ、という筋立てによって、額田女王の「茜さす」の歌に対して一般に浸透している安っぽい解釈(とはいうものの、彼女と天武天皇のやりとりをシリアスな相聞としてとらえた上に、彼女が壬申の乱の原因だったなんていまだに信じている人がいまだにどれほどいるというのだろう…)や持統天皇に対する「恐くてイヤな女」というイメージを打破しようという啓蒙な部分もある。
で、そのあたりはすっごい面白かったし、メインのストーリーもそれなりに面白かったんだけど、現代の部分、ところどころ、なんかすっごいベタ古臭くてな〜。
(ところで、乙女のためのホモロマンス誌「エクリプス」をこないだ久しぶりに買ったら、藤原鎌足ネタのギャグマンガが載ってて、天智天皇を「オレ様受け」って。ぎゃははははははは _(__)ノ彡☆ばんばん! むっちゃ同感っ!!)


炎の蜃気楼36 耀変黙示録Z』 桑原水菜 コバルト文庫
ここ数巻、惰性で買ってたが。
この巻、面白い〜っっ!! 景虎サマ、ついに魔王信長に反撃開始っ!! いや、やっぱ景虎女王サマは強くなけりゃ〜。
ついに本性を表した成田・景勝・譲もかっちょいい〜♪
ところで先に書いた『流星』永井路子を読んだのは、この巻のあとがきで桑原水菜が触れていたから。
で、あとがきでお市について、「この方、生涯に二度も落城を経験なすってるんですが、私だったら二度目は「またかよ!」とツッコミ入れてしまいます」とあったが、それを言うならお市さまの長女の淀君なんか、生涯落城三度だぜ。(で、もしも大阪方が勝って徳川が滅ぼされてたとしても、それだと今度はお市さまの末娘で徳川秀忠の正室になってたお江のほうが生涯落城三度…。おいおい)


『アフリカの白い呪術師』 ライアル・ワトソン 河出書房新社
白人でありながら、アフリカのブッシュで長らく生活し、ヘビとりの才能とてんかん症の持病のおかげで奥地の部族に受け入れられ呪術師として修業した実在の人物エイドリアン・ポーシャの伝記。
だいぶ前に買ったもののずーっとほったらかしてあったのが、上記の「中図書館棚卸閉館」で読むものがなくなり、つい手をつけたら、あらま、やめられない、とまらない〜♪ なんでこんなもんほったらかしてたのかしら、わたし。
数百年後、迷信や呪いに実際の効用があったことが明らかにされ、18世紀くらいから21世紀くらいまでが「古来の知恵をドブに捨てた暗黒時代」とか呼ばれることになるかも、とか夢想中。


『いとこ同士』 今市子 ムービック
昔のホモロマンス作品ばかりを集めた短編集。
「いとこ同士」連作の今回描きおろしたというエピローグがよかったな〜。


『クリスタルサイレンス』 藤崎慎吾 朝日ソノラマ
(さっきストーブの上に水をはった鍋をかけたら、さっき茂吉が、いま巳夜子が、鍋の中を覗こうとしてストーブの上に手をかけて「ギャーッ!!」って。…お前らな……)
なんつったらいいのか、地に足のついたサイバーパンクっつうの? 
面白かったんだけど、で、奇想天外なおもしろさではないんだが、この面白さをどう表現したらいいのかよくわかんない。教養小説みたいなとこもあるな、特命リサーチ200X的教養。


ナルニア国物語3 朝びらき丸、東の海へ』 C・S・ルイス 岩波書店
ナルニア国物語4 銀のいす』 C・S・ルイス 岩波書店
ナルニア国物語5 馬と少年』 C・S・ルイス 岩波書店
ナルニア国物語6 魔術師のおい』 C・S・ルイス 岩波書店
ナルニア国物語7 さいごの戦い』 C・S・ルイス 岩波書店
しまったなあ、という感じ。これ、適切な時期に読んでたら、溺れてたんだろうな、わたし。
ナルニア国と人間社会との関わり部分がじゃまでな〜。ナルニアにも人材いるんだから、人間社会の助けを借りるこたぁなかったと思うし、生粋のナルニア人がナルニアの危機を解決する物語として読みたかった。人間がでしゃばるんなら、向こうにわたったあと、ファンタジーの常套どおり、もっと苦労してほしかった。(「千と千尋の神隠し」も、できたら、千尋が「湯屋」で働きだしてから腐れ神さまが現れるまで、せめて半年の修業期間は欲しかったと思う)で、miwacoが言ってたとおり、説教くさい。つうか、C・S・ルイス、知り合いにきかねーガキがいて、説教しても耳貸しやがらねえから、せめてフィクションの中でだけでも反省させたかったっつう感じ。あと7巻での、スーザンに対するイヤミも辛辣だったな。かと言って、ユーモアのセンスはある。。。
ルイス、偏屈で強情で口やかましいが、気の合う人にとってはむっちゃ愉快なじじいだったに違いない。


『覗き小平次』 京極夏彦 中央公論新社
なんの予備知識もなく読み始めたら、又市の名が出てきて、「お、巷説シリーズだったか」と喜んだが、読み終えてみれば超番外編であった。
参考資料から想像するに、歌舞伎の「安積沼」と、これまた古典的有名人である幽霊小平次を合体させた話のようだ。が、どっちも知らないので、どれだけ京極マジックが炸裂してるのかもよくわかりません。


『王朝序曲』 永井路子 角川書店
桓武天皇即位から嵯峨天皇譲位あたりまでが、蔵人頭という律令にならない職をつくった藤原冬嗣の視点を中心に語られています。
ありがとうっ、永井路子!!
これのおかげで、やっと、やっと頭の中でつながったよ、平城京末期から長岡京を経て平安京に移って摂関政治になってくあたりが。


『ハンサムは嫌い。』 榎田尤利 MOVIC
大当たり〜、ドンドン♪♪♪ やる気のない美容院店長(ストレート・攻)と、客足が伸び悩む店のてこ入れのため、美容院の持ち主である店長の母親に雇われた美容師(ゲイ・受)の造形もいいが、美容院スタッフや店長の友人やその妹も、読んでてすごく気持ちがよい。
図書館で借りたんだけど、これはやっぱり読み返し用に買わなきゃ〜。


『浪漫小説のように』 遠野春日 オークラ出版
中当たり♪
舞台は大正。若くして伯爵家とその事業を継いだ社交嫌いの男(攻)と、彼の屋敷で住み込みで働くことになった謎の青年(受)の話に、謎の青年の兄(受)とその学友(攻)の話の番外編付き。


『捩れ屋敷の利鈍』 森博嗣 講談社
番外編な感じ。西之園萌絵と国枝桃子客演。
すいません、森博嗣さま、わたくし、この捩れ屋敷がどんなもんか、まったくイメージできませんでした…。
名古屋の名家の西之園家と、没落したもののやっぱり名古屋で豪邸に住んでた瀬在丸家と、関わりがまったくないわけではないだろうという歯がゆさが多少は解消されたものの、エピローグ部分が思わせぶりで、ほんまにこの先明らかになるんやろかという不安が…。


『朽ちる散る落ちる』 森博嗣 講談社
瀬在丸紅子シリーズ本編。前々編の『六人の超音波科学者』から一週間後の話で、ほとんどその続編な感じ。
なんか、思いもかけず話がでかくなってきてなんだかな………。

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