本読み月記


【ジャンル分け】 元々日本語で書かれた大人向け小説
元々日本語で書かれたジュブナイル小説。
日本語で書かれた小説以外のもの。

元は外国語で書かれていて、翻訳されたもの。

乙女のためのホモ小説
コミックス

われながら、なんつう荒くたい分け方であることよ。
ええっと、大人向けかジュブナイルかは、出版元の意向そのまんまです。角川スニーカー文庫とか講談社ティーンズハー
ト文庫とかコバルト文庫とかは、どんだけ立派な作品でもジュブナイルに入れてます。逆もそう。

相変わらずエディングスを読み返しています。
二周目です。いまマロリオン物語の三巻マーゴスの王です。
ふつう一周すれば、間に一年くらいおいて読み返すのですが、タムール記を読み終えたとき、ちょうど本切れだったのが、最大の敗因と思われます。
ところで、これから読んでみようかなとかちょっと思われてる方にアドバイス。
ベルガリアード物語、プロローグ部分はブッチしてよいです。第一部「センダリア」から読み始めましょう。プロローグ、そんときゃすっ飛ばしても、ある程度読み進めば、読まずにはいられなくなるはずです。

ガリオン少年の記憶にある最初のものは、ファルドー農園の台所だった。『ベルガリアード物語1 予言の守護者』 デヴィッド・エディングス ハヤカワFT文庫 P23

ここから一ページでも読んで、そこでやめられたら、凄いよ、ほんと。あなた、小説っつうか物語の要らない人だよ。

『星界の紋章』1、2、3 森岡浩之 ハヤカワJA文庫
エディングスのマロリオン物語の最終巻あとがきで波多野鷹が「エディングス以外で繰り返し読みしている本」として挙げていて、波多野鷹の小説のほうは一回か二回読もうとして口に合わずにやめたものの推薦本のほうはなんだか信用できる気がして読もう読もうと思っててほったらかしていた本。
SFです。はるか未来における星間国家間の抗争モノです。主人公は阿漕な父親がアーヴ帝国の伯爵に成り上がってしまったばっかりに自動的に自分も貴族のぼんぼんになってしまったわりかし地味な男の子で、ひょんなことから彼と逃避行することになるのが、尊大で癇癪持ちのアーヴ帝国皇帝孫娘。
会話やキャラクターの立て方等、おそらくこの人もエディングスだあい好き〜な人だと思われます。そしてアーヴ帝国の領地の差配の仕方、すっごくローマ帝国な感じ。造語にふられたルビが多少うるさすぎる感じだが、かなり面白かった。
(が、これの原言語は今の日本語から漢字を含む外来語を排除したもので、それが口語として急激に変化した、という設定のもとにひねくりだしたものなのだそうだ。が、できあがった言葉はドイツ語とフランス語をちゃんぽんした雰囲気なので、本人がうんうん楽しんだわりには…)
航宙族アーヴの特質としてくっつけた空識覚という設定は○。
続編も予約中〜。さっきメールチェックしたら用意できたメールが来てたの♪ いま借りてる本の感想文書き終わったら借りに行くの〜♪


『きれぎれ』 町田康 文藝春秋
『くっすん大黒』 町田康 文藝春秋
『夫婦茶碗』 町田康 新潮社
『屈辱ポンチ』 町田康 文藝春秋

『実録・外道の条件』 町田康 メディアファクトリー
町田康も前から読もう読もうと思ってて図書館行くたび忘却していた作家のひとり。(ちなみにパンカー町田町蔵については、わたしは名前を知ってたくらい)(ご本人の顔および姿も、「黒い家」で足ひきずってる警察資料室係(だったっけ?)しか知らん)
『きれぎれ』は表題作と「人生の聖」の二編いり。
『くっすん大黒』も、表題作と河原のアバラ」の二編入り。
『夫婦茶碗』も、表題作と「人間の屑」の二編入り。
『屈辱ポンチ』も、表題作と「けものがれ、俺らの猿と」の二編入り。
出版社からのオーダーが中編なのか、本人が中編専門作家なのかはわからんが、全部いわゆる中編な長さ。
で、そこそこ資産家のぐうたらぼんぼんが堕ちていく話というのが一番多くて、その次が男二人組があっちゃうろうろこっちゃうろうろしつつバカをしでかす話。
いや、面白い。文章そのものが、いわゆる悪文の類の文章だと思うんだが、口語というよりだらだらあれこれ考えているテンポに近いスピード感はあるがだらけた感じの文章にいまどきちょっと見かけない古風な単語や言い回しがばんばん挟まれるとこが、実に気持ちよく愉快。
エッセイも面白かった。どれも、外道な人たちにご本人がえらい目に遭う話なんだが、外道たちの外道ぶりが、ちょっとパワーダウンした奴くらいならそのへんに自覚もなしにごろごろしてそうで、言いたかった悪口をかわりに言ってもらえてるようなカタルシスあり。
それにしても、この人きっと猫好きだわ、と思ってたら、やっぱりいっぱい飼ってるみたい。ここのdiary参照。ちょっと読んだだけでも、シャー、梅ちゃん、トラトラと…、おいこら、いったい何匹おるねん。(最初、ニゴも猫の名かと思ったが、これは猫の意の模様)(それにしても偉いよ。たとえ二行三行だろうが、毎日日記書いてらっしゃるよ)


『星界の戦旗』1、2、3 森岡浩之 ハヤカワJA文庫
………つまんない、つまんない、つまんない、面白くない〜っっっ!!!
どこが一番面白くなかったかといえば、やはり戦争シーンです。情景が見えない。戦況がわかりにくい。メリハリもない。本人もおそらく、必要なシーンだから書いてるだけで書いててちっとも楽しくなかったに違いない。
んで、主人公ふたりの関係もイヤ〜な感じで抒情化してっし、ストーリーもほんとだらだらだらだら進んでくだけ。
もうちょっとちゃんと準備してから、続編を書き始めるべきだったと思う。


『機械どもの荒野』 森岡浩之 ソノラマ文庫
これはよかった。面白かった。この作家の持ち味であるキャラ立ち、会話の妙、どっちもオッケ!!
あとがきにあった「機械たちにはわざと統一感のない名前をつけてみた」というのもアタリである。


『カプセル・ヨードチンキ1』 石原理 青磁ビブロス
『カプセル・ヨードチンキX』 石原理 青磁ビブロス
『東京ブギィウーギィA』 石原理 青磁ビブロス
どっちもいわゆる近未来サイパーパンクもので、悪ガキどもが徒党を組んだり、対立したり、悪さしたり、その悪さが意図せずに世のため人のためになっちゃうような話。
この手描かせたら石原理、国内漫画家でピカ一だと思う。絵も断然イカスし。
どっちかというと『カプセル・ヨードチンキ』のほうが好きだ。続き、描いてくんないかな〜。


竜の眠る海 落花流水』 金蓮花 コバルト文庫
表題作と「儀式」の二編入り。
「儀式」は“どこの何様”ミレアプロ様とリューイの初遭遇編、表題作のほうは、ジェイがまだ“暁の傭兵”という名で呼ばれるようになる前の、駆け出し傭兵の頃の話。
こういう番外編を読んだあとにありがちなことだが、竜の眠る海シリーズ読み返しに突入してしまった。


『鬼流島カノン』 三岐ともき 花丸文庫
ひっさしぶりに、「ぜんぜん知らない作家を買う」冒険をしてしまった。石原理のカバーと挿絵にそそのかされて。
ホモが邪魔。というより、安易にくっつきすぎ。なしでもよかった、というか、なしのほうが断然よかった。枯れてきてる、わたし?


『廃園の番人』 花郎藤子 花丸文庫
セシルが悪夢を見るとこで、「……まさか今頃またひょっとして……」と思ったら、そうだった。
ううう、なんかもうちょっとほかの事で悩ませさせられなかったんでしょうか、セシル。
が、会話は愉快だわ、主人公ふたり以外のキャラクターもみないいわ、イギリスのお金持ち書いてぜんぜん嘘っぽくないとこもさすがは花郎藤子である。


『ドリームバスター2』 宮部みゆき 徳間書店
『ブレイブ・ストーリー』のほうは一年待ち覚悟で図書館に予約したが、こっちはやはり買ってしまった。ええ、山田章博のカバーにそそのかされて。
佐々木倫子の「食卓の魔術師」シリーズで、人の顔を覚えられない高校生黒田勝久が強盗を目撃してしまうという話を読んだとき、黒田勝久と同じ障害を持つわたしは「ううう、目撃者になんか一生なりたくない〜〜〜」と思ったものだが、そうか、フツーに人の顔を覚えていられる人にとっても、犯人を目撃して証言とかするってのは、やっぱりそんなにイヤ〜なものだったのか。
(ドラマ「顔」の第二回で、目撃者の証言から似顔絵を作る前にさりげなく犯人と思われる被疑者の写真を見せて先入観を植え付ける、という警察テクニックが紹介されていたが、ついこれを思い出してしまった。「顔」の原作のほうにもあったシーンなのかどうかは、読んでないから不明)

図書館といえば、「予約が殺到する本を予約者をそれほど待たせないために何冊も購入すべきか否か」などという問題がたまに新聞に載ってるが、どんなに人気のある本でも、ひとつの図書館に一冊以上は要らんと思う。わたしの経験からすると、その手の本でも三年過ぎれば待たずにたいてい読める。どうしてもいま読みたいすぐ読みたいなら、煙草減らしてでも食事代へつってでも買って読めばいいじゃん、と思う。

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