本読み月記


【ジャンル分け】 元々日本語で書かれた大人向け小説
元々日本語で書かれたジュブナイル小説。
日本語で書かれた小説以外のもの。

元は外国語で書かれていて、翻訳されたもの。

乙女のためのホモ小説
コミックス

われながら、なんつう荒くたい分け方であることよ。
ええっと、大人向けかジュブナイルかは、出版元の意向そのまんまです。角川スニーカー文庫とか講談社ティーンズハー
ト文庫とかコバルト文庫とかは、どんだけ立派な作品でもジュブナイルに入れてます。逆もそう。

『オーデュボンの祈り』 伊坂幸太郎 新潮社
伊坂幸太郎のデビュー作にして、第五回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作。
舞台となる萩島、戦国末期から日本との国交を断ち、たまに訪れるヨーロッパ船のみが外来文化の窓口だったという設定のわりには、エキゾチシズムに乏しい。
が、面白かった!
『重力ピエロ』では兄の追憶に登場する亡き母の思い出がすごくよかったが、これでも主人公が追憶する亡き祖母のエピソードがすっごくよかった。
そして「案山子殺人事件」の解決部分の気持ちよさ!


『海馬 脳は疲れない』 糸井重里・池谷裕二 朝日出版社
「頭がいい」とはどういうことか、記憶のあれこれ、海馬という部位の働き等についての対談集。
「“心”とは脳が機能している状態を指す」という断定が実に心地よかった。
本筋部分も面白かったが、この池谷という人のエピソードが実に興味深かった。この人、東大薬学部に合格したときも院に進んだときも首席だったんだそうだが、昔っから丸暗記が死ぬほど苦手で、100点満点の漢字テストで2点とったことがあり、今でも誤字嘘字は日常茶飯事、九九もどうしても覚えられなかったのだそうだ。
漢字はともかく九九はどうしたか?
九九の計算というものは、・10倍する。・2倍する。・半分にする。の三つの簡単な乗除を足したり引いたりすることで算出できることに気づき、結局覚えないまま、義務教育を乗り切ってしまったらしい。
できる。確かにできる。7×7なら70÷2+7×2だし、8×6なら80÷2+8だ。
んで、数学の公式なんかも、最低限の基本の基本だけ覚えて、応用公式使うような場合はその都度基本公式から導き出してたらしい。
簡単な例をあげると、X:Y=A:Bの場合、1.X/Y=A/B、2.X/A=Y/B、3.X×B=Y×Aと三種類くらい覚えなさいって言われた覚えあるけど、一個覚えればあとは右辺と左辺の移し変えで他のも出てくるもんな。

(わたしが普段使うのは3だ。これどれかひとつ覚えておくと、8人分のレシピで3人分とか作るときにとても便利)


『陰摩羅鬼の瑕』 京極夏彦 講談社
わあい、わあい、京極堂シリーズの新刊だ〜♪ しかも本編の新刊だ〜♪ 『塗仏の宴(始末)』から、番外編三作挟んでの、ひっさびさの本編だ〜♪
でもって、今回のテーマは「ああ、勘違い〜」(爆笑)。
だいたい真ん中あたりで読者は真相に気づいてしまうと思うのだが、そこから京極堂が憑き物落としの正装で現れるのが今までと較べてすっごく遅い。ものすごく遅い。あまりの遅さに「真相は×××××だと思ったがひょっとしたら違うのかしら…」と半分不安半分期待にわくわく♪してしまうくらい遅い。ま、真ん中あたりで「たぶん…」と思ったとおりだったんだけどさ。
が、途中で京極堂が語る林羅山論とかすっごい面白かったし、読み返すときには初読のときに苛々した部分もずっと楽しめると思う。うぶめ、についてのさらなる解説も楽しかったな。あと、もともとの仏教じゃ生きとし生けるものはみな解脱しない限り六道を輪廻しつづけるはずなのに葬式したあとも延々供養し続けるのかとか、墓があるのに家の中には仏壇、どうして二つも要るの? これっていったいなあに?とか、なんか不思議に思ったことある人にもお薦め。かなりすっきりします。うーん、京極堂シリーズの楽しみってこの教養小説的な部分もはずせないよな、やっぱ。

ところで京極が「書かれたものは書かれた時点ですべて同列、それを差別化するのは読み手のみ」といった意味のことを言ってたのだが、これ、うれしかったな〜。むっちゃ同感〜。


『ラッシュライフ』 伊坂幸太郎 新潮社
複数の物語が互いに袖擦りあいつつ並行して進むいわゆるグランドホテル形式の物語。が、ネタバレ→普通なら起こった順番どおりに話が進むので、これもやっぱりそうだばかり思って読み進んでたら。。。。 いや、見事に騙されました。これってやっぱり、それぞれの話をばらばらに書き上げてから、切ってつなぎなおしたのだろうか。
これも面白い〜っ!! そしてなんといってもこれまで読んだ2作と同様、読後感の心地よさ〜〜っっ!!


『シャロウ・ブレイブス』 ジェフリー・ディーヴァー 早川文庫
『ブラディ・リバー・ブルース』 ジェフリー・ディーヴァー 早川文庫
ロケーション・スカウタージョン・ペラムシリーズの第一作二作。先に読んじゃった『ヘルズ・キッチン』が第三作。
『眠れぬイヴのために』で“化けた”というのがディーヴァーの定説なのだが、それ以前に書かれたものもそれなりに面白い。(除く:『死の教訓』 以後分では『監禁』ダメだったわ、わたし〜)←いまタイトル忘れて検索したら、『監禁』ベタ褒めしてる人がいたもんで。
第二作のほうが好きだ。しかもこっちには犯人に撃たれて脊髄損傷してしまう警官という、リンカーン・ライムを産み出す卵となった人物が出てきて、損傷してから「二度と歩けない己」を受け入れるまでの過程がかなり丹念に書き込まれており、車椅子に乗った彼がペラムと12月の寒いバスケットコートで遊ぶラストシーンはもうたまりませんでした。

あ、あとね、ペラムが配役あれこれ考えるときにアイダン・クインの名前を出してくれたとこ、すっごい嬉しかった〜♪ ああ、ひょっとしてアイダン・クインがデブらず禿げず美しいままだったら、リンカーン・ライム、黒人でなくアイリッシュになって、「ボーン・コレクター」の主役、アイダン・クインだったかも〜。
どっちもミステリ評論家三人ずつあとがき書いてるんだが、そのうちの一人が「リンカーン・ライムものなんてぜんぜん面白くない」って書いていた。うーん、あれが面白くない人も世の中にはいたのか…。人生〜いろいろ♪


『月下の恋』 ジェームズ・ハーバート 学研
アイダン・クイン主演作品の原作である。禿げてなくて、デブってない頃の作品だが、まだ観てないのである。近所のレンタル屋、どっこも置いてないんだもん。
というわけで、中図書館の開架で見つけ、映画のスチールついてたもんでふらふら借りてきてしまった。
見てない映画のあらすじはなるだけ読まないようにしてるので、ロマンス物だとばっか思い込んでいたが、実はモダン・ホラーであった。ホラーとしてはイマイチだった。(「アザーズ」の一歩手前な感じ)


『水はみどろの宮』 石牟礼道子 平凡社
阿蘇山の近く、川の渡し守をしている爺さんと、そのたった一人の家族であるお葉。
その渡し舟に乗りにくる山犬らん。山の上の湖を護る狐のごんの守。片目片耳がない黒猫おノン。
山の暮らし。山の景色。爺さんが、お葉が、山へと捧げる訥々として美しい祈りの歌。
ダメ、ダメなの、こーゆーの。読みながらもうどんだけ泣いたか〜。阿保美代の『ふるさとメルヘン』読んだときくらい、べそべそぐずぐず泣いたわよ〜。
中でも黒猫おノンが残された目と引き換えに死んだ仔猫を取り戻すくだりを思い出すだけで、目と鼻がツーンとしてきてしまう〜。
どこもかしこも本当にたまらなく美しい物語です。


『妄想の森』 岸田今日子 文藝春秋
岸田今日子が「一枚の繪」に’89年から’96年まで連載したエッセイを抜粋したもの。
倉橋由美子という作家をわたしはかなり好きなのだが、彼女の『大人のための残酷童話』がベストセラーになったとき、読んでかなりがっかりした。
だって岸田今日子の『一人乗り紙ひこうき』に較べれば、内容、無茶苦茶幼稚だったんだもん。(『一人乗り紙ひこうき』収録の「七匹のこやぎ」の話なんて、もうたまりませんぜ)
顔も声も怖いけど、頭の中身が一番怖いです、岸田今日子。
洗練された怖い怖い文章を読みたい人、ぜひとも。


『虹の家のアリス』 加納朋子 文藝春秋
『螺旋階段のアリス』の続編。
前作にはなんか文句たれた覚えがあるが、これ、すっごい面白い〜っっ!!
殺人事件の起こらない系の上等のミステリ好きな人、お薦め〜♪♪♪


『平安陰陽奇譚 熱恋鬼篇』 如月天音 学研
『平安陰陽奇譚 天狗変』 如月天音 学研
安倍晴明モノです。ようこちゃんが故あって陰陽道について調べなければならなかったとき、「検索しても検索しても検索しても、『帝都物語』とか夢枕獏とかなんかよー知らんジュブナイルもんのファンページしかヒットせえへんねん〜」と嘆くことになった原因の安倍晴明っス。
が、こんだけ地に足のついた安倍晴明モノつうか陰陽道モノ、初めて読んだわ〜。
しかも、不細工で色事好きのおっさんな安倍晴明も、初めてだわ〜。
でも、すっげえ面白いっ!! ほんとに面白いっ!! 語り手(?)の光栄と晴明のやりとりも愉快だし、陰陽道の「地に足」つきぶりも、地味だけど納得。
ので、ブッ細工で俗物な晴明でも大丈夫な人、どぞっ。
(あ、でも、美形も出てきます。晴明の師匠の賀茂保憲、すっごいステキよ〜♪♪♪)


『日ぐらし御霊門』 赤江獏 徳間書店
赤江獏の新刊読むたびに文句たれてたわたしですが。
最初に載ってた「巨象の如く」あたりじゃ、「はあ、やれやれ、またかよ…」とか思ったわたしですが。
ところどころ復活の兆しありっ!! 
「捨小船」とか「雀色どきの蛇」、「櫻瀧」に「奏でる瑠璃」、表題作の「日ぐらし御霊門」とか、かなりよかった!!
ところで赤江獏って、もう70歳なのね。『ニジンスキーの手』でデビューした頃って、もう40歳近かったのね。初めて知ったわ〜。


ドクター×ボクサー6 ドクターは犬に勝つ』 剛しいら クリスタル文庫
出たの〜♪ ネットで出てるの知って、慌てて買いに走ったの〜♪
今回は、徹が国内タイトル戦に出る話。
これだけ読んだらぜんぜん面白くないと思います。これはやっぱり一巻から読まなくちゃ〜。
次で西條と対決して完結かな。


『ハチミツとクローバー』5巻 羽海野チカ 集英社
こっちはかよに「5巻、出てるよん♪」と教えられ、CHA−1さん来て●べさん中百舌鳥に拾いに行ったとき、わんだーらんどで購入。
あいかわらず、シリアスとギャグの配合具合が絶妙。


『タンジェント』 七地寧 ラキアノベルス
もう買うのやめようかしら、七地寧。。。。


『takara』 七地寧 ラキアノベルス
と思ったが、『タンジェント』表紙裏の既刊案内で『ミラベルの瞳』の高良がタイトルロールになってると思しきこれを見つけ、やっぱり買ってしまった…。
……『ミラベルの瞳』だけのほうがよかった………。


『パンテオン』2巻 榛野なな恵 集英社
榛野なな恵なので買ってるが、辛気臭い話だ。。。。 つうか、彰子、こいつ、ようわからん。。。。


『しなやかな熱情』 崎谷はるひ リーフノベルス
ブックオフにて250円で購入。
スランプに陥ったアーティスト(攻め)と、彼が旅先で出会った美人の刑事さん(受け)のロマンス。
そこそこアタリ〜♪♪♪
が、蓮川愛の挿絵はわたし的には邪魔でした…。


俳優と家政夫2 恋人は俳優』 魔鬼砂夜花 二見シャレード文庫
片付ける、という概念を持たず、家の中がゴミ溜めになってもまったくぜんぜん気にしない♪、超男前の俳優と、やむにやまれぬ事情からここん家でハウスキーパーすることになり、男の毒牙にかかることになった高校生の男の子の話の続編。
超男前の俳優と共演することになる超頭の弱い女優の女の子がすっごい可愛かった。
俳優の家族もナイス♪
いや、いいコメディでした。


『明日のために』2、3巻 高口里純 ソニーマガジンズ
ブックオフでそれぞれ100円でゲット♪
面白かった。面白かったんだが………。
3巻222ページのアイアネスから「母なるもの」が現れるシーン、あれ、あそこの絵、もっとなんとかならんかったんでしょうか……。

(決めのシーンの絵のとほほさにこんなにがっかりしたの、奥友志津子のSFで、人が樹化するシーン以来よ…)


『カルバニア物語』8巻 TONO キャラコミックス
ああ、待ちかねたわ、カルバニア〜。
これ、ほんっとすっごい面白いです〜。
ああ、ぜんぜん読んでない人、いいな、いいな。
これから八冊一気できて、いいな、いいな、いいな。。。


『HOME』 木原音瀬 オークラ出版
ずっと片思いしていた男が死んで、そいつの養い子を引き取って育ててみたら、大きくなったその子に押し倒され〜。
とかなり好きなシチュエイションだったのだが、なんかハズレ。わたし的にはビミョーにハズレ。


『彼は二度嘘をつく』 うえだ真由 大洋図書
一方的に自分を捨てた彼氏がいきなり押しかけてきて。。。
とこれまたけっこう好きなシチュエイションだったのだが、これもなんかハズレ。わたし的にビミョーにハズレ。
挿絵は石田育絵だったんだが、なんかビミョーに絵柄変わってきてるな。元のが好きだな、わし。


『ろくでなしとの恋愛』 菅野彰 キャラ文庫
一巻めの『野蛮人との恋愛』が一番好きでした…。
暗い話を書くのはよして。シリアスに悩む話を書くのもやめて。
お願い、コメディーを読ませて。


『トリニティ・ブラッド 熱砂の天使』 吉田直 角川スニーカー文庫
『トリニティ・ブラッド 
嘆きの星』 吉田直 角川スニーカー文庫
『トリニティ・ブラッド 
フロム・ジ・エンパイア』 吉田直 角川スニーカー文庫
本屋で見て面白そうだったので、図書館に予約して既刊ぜんぶ一気しようと思ったが、ネット予約できるのは11冊まで、それがそんときゃ8冊ほかの予約で埋まってて、とりあえず三冊しか借りられなかったの、しくしく。
んで面白い。かなり面白い。なんらかの事情で今の世界が崩壊して1000年後という設定のわりには、誰もが1000年前の崩壊を身近な事件として感じてるあたりがちょっと変だが(だって1000年だよ? 日本で1000年前つったら、藤原道長がブイブイいわしてた頃だぜ? その頃世界的な大事件があったとしても昔々の出来事だぜ)、キャラクターとかすっごいいい。さっ、続き読むぞ、続き〜♪




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