本読み月記


【ジャンル分け】 元々日本語で書かれた大人向け小説
元々日本語で書かれたジュブナイル小説。
日本語で書かれた小説以外のもの。

元は外国語で書かれていて、翻訳されたもの。

乙女のためのホモ小説
コミックス

われながら、なんつう荒くたい分け方であることよ。
ええっと、大人向けかジュブナイルかは、出版元の意向そのまんまです。角川スニーカー文庫とか講談社ティーンズハー
ト文庫とかコバルト文庫とかは、どんだけ立派な作品でもジュブナイルに入れてます。逆もそう。

『天湖』 石牟礼道子 毎日新聞社
祖父の故郷であるダムの底に沈んだ村に祖父の遺灰を撒きにきた青年が、ダムの底の村へ思いを残すかつてその村に住まっていた人々と知り合い、ともに水の底の村を幻視する。
なんだか「綺麗ごと」すぎるような感もなきにしもあらずだが、実にわたし好みの心地のいい物語だった。先月読んだ同著者の『水はみどろの宮』が神経を直接澄んだ水に浸されるような、美しいけれどきつい物語だったのに対し、こちらは美しいものの中でゆったり揺すられるような感じ。
ちなみに『水はみどろの宮』の著者紹介によると、この人、1927年生まれ。が、この『天湖』を書いたのは1994年から96年にかけて。70歳弱で書いたわけだが、文章のどこにもババ臭さが殆どない。凄い。


『岳飛伝』1〜4巻 田中芳樹(編訳) 中央公論新社
ghoul氏と日高さんがそれぞれ「面白い」と言ってたので借りてきた。
3巻まではあちこち面白いもののけっこうしんどかったが、4巻最初のほうで世紀のアホタレ主人公岳飛死んじまった後はもう、行け行けどんどん、やめられないとまらない〜♪
岳飛は宋時代の英雄将軍。北方の金の侵略をはばみ、奪われた領土も奪還しようとするのだが、敵に捕らわれている父徽宗や兄欽宗に戻ってこられては困る高宗と金に捕らわれたときに敵と密約をかわした奸臣秦檜によって無実の罪で処刑された人。
んで、処刑されたあとの話、一度はバラバラになった岳飛軍が、岳飛の次男岳雷のもとに続々と再結集していくとこが、とにもかくにも痛快。中でも金の大将ウジュ(兀朮)と岳飛とは義兄弟だった牛皐が一騎打ちするとこなんか、むっちゃ好き〜。
ので、「岳飛うっとおしい〜。なんとかならんか、こいつ〜」と思っても、我慢して読み進む価値はある。断然ある。


『FLESH&BLOOD』5巻 松岡なつき キャラ文庫
毒殺の疑いをかけられたカイトを救い出すためにジェフリーの弄する手段ナイス〜♪ 思わず「へぇ〜〜〜」80点。


『十八面の骰子』 森福都 光文社
水戸黄門系。時は宋代、四代皇帝仁宗在位の頃(だと思う。つうことは西暦1000年代前半。日本じゃ藤原道長の倅の教通の頃か? んで『岳飛伝』の岳飛生まれる数十年前くらい?)、巡按御史(皇帝直属の監察官。身分を隠して任地に赴き、地方吏の不正の有無をひそかに吟味し、不正があれば皇帝の名代として断罪する)希舜と相棒伯淵、用心棒由育の世直し旅の連作短編集。
面白い〜♪ すっごい面白い〜♪♪ 希舜と伯淵の過去の因縁とか、まだ全部明かされたわけではないので、絶対続編出るはずっ!!
続き、続き、早く読ませて、もっと〜っっっ!!!


『愛のひだりがわ』 筒井康隆 岩波書店
大人の本コーナーに並んでたが、活字が大きくて、行間広くて、漢字にルビが入ってるので、青にした。
近未来の今より世情が荒んだ日本、母を亡くした少女が、危うい目に遭ったり、助けられたり助けたりしながら、生きていく物語。
面白かった。後味もすっごいよかった。


『リリー&ナンシーの小さなスナック』 ナンシー関、リリー・フランキー 文藝春秋
クレア連載の対談集。
ところで時々愕然とするんですが、ものすごい大好きな作家なのに、ぜんぶ図書館で読んでて家にゃ一冊もねえや、ってのがけっこうある。
石田衣良はないは、恩田陸はないわ、森福都はデビュー作一冊きりだわ。
んでね、ナンシー関もないのよ。ま、急死直後は開架から消えてたが、ほとぼりさめた今、図書館に行きゃいつでもあってたいてい読めるんだけどさ。


『恐怖』 筒井康隆 文藝春秋
…うーん、筒井康隆、これでいったい何が書きたかったんだろう。。。。
体裁としちゃ、連続殺人事件が起こって、最後には犯人がわかるっていうミステリなんですがね。
確かに、誰かが自分を殺そうとしてるかもしれないとき、ひとりで一戸建ての決して狭くはない自宅にいるってのは、とっても怖いですが。


『奔流』 田中芳樹 祥伝社
六世紀初頭、北の魏と南の梁との大戦「鍾離の戦い」の話。
読んでて、梁側の軍師陳慶之って、生涯不敗だわ、少数で大軍を破るは、そのくせ武術も乗馬もからっきしだはで、ヤン・ウェンリーのモデルかと思ったが、あとがきによると、『中国武将列伝』(未読)を書いたときゃ、どういうことをした人だったのかよく知らず、ブッチしちゃったくらいだったらしい。
ということは、田中芳樹がこの手の軍師を書いたから、やっぱりヤン・ウェンリーになっちゃったってことか?(作家の原型は処女作にあり、というものの…)


封殺鬼26 終の神話・天泣の章』 霜島ケイ 小学館キャンパス文庫
いやもうびっくりの26巻。ここまで「古事記」をほじくりかえしてくれるなんて、たまらん楽しい。
ただ、土師氏の先祖の墓が奈良の箸墓だったのはなー。うちの近所に土師(と書いて「はぜ」と読むんですが)って地名んとこがあんのよ。ニサンザイ古墳あたりがそうなのよ。なのであのあたりが登場するかと期待してたのにー。
あと天津甕星が天照大神の天戸隠の原因なのに、八尺瓊は須佐之男命の持ち物つうのはちょっと苦しいような気がする。「誓約」の結果を受けて「天戸隠」の原因が作られたことを思うと。
(ちなみにうちの父ちゃんは幼少のみぎり、悪がき仲間たちとニサンザイ古墳に勝手に入り込んで遊んでたそうです)


『輝夜姫』17、22巻 清水玲子 白泉社
ええ、どっかで話が飛んでる気はしてたんです。
が、22巻まできて17巻抜けてたことにやっとようやく気づくとは。
で、碧、死んだの? ほんとに死んだの?


『ブラインド・エスケープ』 樹川さとみ 富士見ミステリー文庫
外務大臣の孫娘だったせいで誘拐のターゲットにされてしまった女子高生と、友人を人質にとられて彼女を誘拐しなければならなかった高校生の男の子が、ひたすらせっせと逃げる話。
わりとだらだら読んでたのだが、オタクの白雪が主人公ふたりの味方になったあたりから勢いついたな。


『頭文字D』27巻 しげの秀一 講談社
思い出した、当たった図書カード1000円分、これの前の巻についてた応募番号でネット応募した懸賞だったんだ〜。
それにしてもダラダラダラダラいつまで続くんだ、第二部。やっぱこれは第一部で終わっとくべきだったんじゃないか? ま、続いてる限り、読み続けるけどー。


『Heaven?』6巻 佐々木倫子 小学館
ついに最終巻。
それにしてもこの店が、あの立地条件で、家賃もスタッフの給料も払えてたのが不思議。
まあ後味のよい終わり方でありました。付録の書き下ろしもナイス。
で、佐々木倫子、新しい連載ってもう始まってるの? まだ?



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