本読み月記


【ジャンル分け】 元々日本語で書かれた大人向け小説
元々日本語で書かれたジュブナイル小説。
日本語で書かれた小説以外のもの。

元は外国語で書かれていて、翻訳されたもの。

乙女のためのホモ小説
コミックス

われながら、なんつう荒くたい分け方であることよ。
ええっと、大人向けかジュブナイルかは、出版元の意向そのまんまです。角川スニーカー文庫とか講談社ティーンズハー
ト文庫とかコバルト文庫とかは、どんだけ立派な作品でもジュブナイルに入れてます。逆もそう。

『GMO』上・下 服部真澄 新潮社
普通。面白くないわけではないが、面白いと言い切るには難アリ。
醜聞で失墜したサイエンスライターが親友だった隣の子供の死を契機に立ち直ろうとして、アグリビジネス(農業の資材供給・生産・流通・加工の各段階からなる垂直的な統合体)との暗部との戦いに巻き込まれていく話。
誰の言葉かは忘れたが、フィクションにリアリティを出すためには「現実よりも偶然の頻度を低く設定しなければ」ならない、という名言がある。その基準からすると「偶然」の頻度が小説としては多すぎる。
で、真犯人を突き止めてみりゃこれまたやっぱり合衆国だ。おいおい。
が、アグリビジネス、特に遺伝子組み換えの長所や問題点について、わりとわかった気になれます。


『千の翼の都』 樹川さとみ 角川ビーンズ文庫
ほんのプロローグという感じ。都の成り立ち、なぜ人々が先住者を騙して追い払ってまでここに移住せねばならなかったのか、とか、ちょいわかりにくかった。
ヒロインのミオン=ルムラはわたしの好みからするとちょい辛気臭いとこがあったが、ジューロの生い立ちが明かされるとこなんかはわくわくしたし、王子やシン・キザイ、ジューロの妹もいいキャラだ。ミオン=ルムラを離れてジューロと同行することになったラーも気にかかる。続編GOGO!


暗夜鬼譚 凶剣凍夜』 瀬川貴次 集英社コバルト文庫
ここ何巻か買い逃している気がしていたが、とりあえずこれ買って来て本棚調べたら、この前巻の『細雪剣舞』が抜けてるだけだった。そして初めて気づいたが、この前巻からスーパーファンタジー文庫からコバルト文庫に引っ越してたのね、このシリーズ。


『ヴァムピール・アリトス 丘の上の愚者』 榎田尤利 角川ビーンズ文庫
『ヴァムピール・アリトス 聖者は街にやって来ない』 榎田尤利 角川ビーンズ文庫
榎田尤利初の普通のジュブナイル。
愉快でまっとうな青春オカルト小説。第一作で、紆余曲折を経て優人がカモや久保田とほんとに仲良くなるとこなんか、ほんっとほのぼの気持ちよかった。
巨乳で職業看護婦な地元ヴァムピールひさめや陰気で地味だが実は怪力ダムピールな斉藤嬢も好き好き大好き〜♪
このままホモ抜きで進んでください、お願いします。


『死者との対話』 レジナルド・ヒル ハヤカワポケットミステリ
新書版のくせに1900円。ポケミスシリーズで買ってるのはヒルだけ、しかもこのシリーズのみ。が、惜しくはないわ、ダルジール〜♪ 新書サイズなおかげで場所もとらんし。(ヒルがハードカバーで出てたら、フランシス並の本棚の癌だったろうな、と)
で、ダルジール警視シリーズ新刊。ダルジールは引き続きキャップとおつきあい中。パスコーの愛娘ロージーは小学校中学年くらいらしい。ウィールドもディッグウィードと仲良くやっている。
で、今回からディッグウィードを山本学サマのビジュアルで読むことにしました。
んで、感想は日記に書いたとおり。
なー、なー、どないなるん、どないなるん、ハット・ボウラー、どうなるん〜っっ!!


『幸運を招く男』 レジナルド・ヒル ハヤカワポケットミステリ
元旋盤工で黒人の私立探偵、ジョー・シックススミスもの、長編第一作。
ダルジールシリーズじゃないので読んでなかった。しょぼくれた私立探偵ものなせいもあって読んでなかった。
面白かった〜♪♪♪
好きなのよ、こういう「世話物」ミステリー。


『マーチ博士と四人の息子』 ブリジッド・オベール ハヤカワ文庫
オベールの処女作。煽り文句によると『悪童日記』のアゴタ・クリストフが大絶賛したらしい。
殺人者の手記と、それを盗み読みしたメイドの手記で、話が進む。
途中はけっこうたるかったが、真相を明らかにしたエピローグまで我慢して読む価値は断然アリアリ。


『彼氏をバッドボーイにする方法』 オリヴィア・ゴールドスミス 扶桑社文庫
長年の大親友同士が紆余曲折を経てゴールインする系列の話。
主人公のトレイシーにいまいち感情移入できず。バッドボーイにされちまうジョナサンむっちゃいい奴で、ふたりの通いつけのカフェのウェイトレスモリーも実にいいキャラだったんだが。
ゴールドスミスは『ザ・ベストセラー』と『女優の条件』がむちゃくちゃ面白かったです。この四冊(どっちも上下巻なのよ)は断然お薦め〜♪


『鉄の薔薇』 ブリジッド・オベール ハヤカワ文庫
B級アクション版『悪童日記』第三の真相?
どれくらいB級かというと、ディーン・クーンツくらいB級。つまりバリバリ。
主人公が銀行強盗で、仲間と現地で落ち合うあたりは、伊坂幸太郎の『陽気なギャングが地球を回す』みたいでわくわくしたんだがなあ。。。


『雪の死神』 ブリジッド・オベール ハヤカワ文庫
『森の死神』の続編。
だが前作と違って、ううう、超B級ホラー。
好きな人にはたまらんかも。わしはもうオベール、どうでもいいっス。


『新宿鮫』 大沢在昌 カッパノベルス
初めて読んだぞ、大沢在昌。
面白かったぞ〜っっっ!!
これはやはり出た順番どおりに読むのが一番面白かろう。
リストアップして図書館行ってきま〜す。


『LAST』 石田衣良 講談社
長く続く不況に打ちのめされている人々を題材にした短編集。
「ラストジョブ」と「ラストドロー」がかろうじて石田衣良らしい後味のよさを醸してるくらいで、後はなんか気持ちが盛り下がる一方な話ばかりだった。


『最低の犯罪』 レジナルド・ヒル 光文社文庫
短編ばかりを集めたもの。ダルジール物を一本、シックススミス物を二本、含む。
ダルジール物の「雪はくぼんでいた」はダルジール好きにはたまらん話であった。ああ、アンドリュー・ダルジール、憎みきれないろくでなし〜♪
ピリッとしてシュッとした短編ばかりの、楽しい短編集であった。


『ソ連に幽霊は存在しない』 レジナルド・ヒル ハヤカワポケットミステリ
短編集。シックススミス第一作を含む。
表題作、ペレストロイカ前のモスクワが舞台、主人公も地元の捜査官の、地元の話だけど、これ、むっちゃ面白かった〜♪
「パスコーの幽霊」の映画撮影現場を舞台にしたミステリ「踏みにじられて」や、シックススミスと相棒ホワイティの馴れ初め談である「子猫ちゃんをかえして」も愉快。訳者あとがきによるとオースティンの『エマ』の後日談であるそうな「かわいそうなエマ」も、オースティンの『エマ』読んでなくても読めた。(が、これ、オースティンの『エマ』読んでたら、もっと面白かったんだろうな〜)


『スパイの妻』 レジナルド・ヒル ハヤカワポケットミステリ
訳者あとがきによると、グレアム・グリーンの『ヒューマン・ファクター』に触発されて書かれた話らしい。
読んでねえよ、『ヒューマン・ファクター』。グリーン、これまでに二度読もうとして、二度とも辛気臭さに投げ出してんのよ。
んで、ヒルのこれは、十年ばかり連れ添ったダンナが実はソ連に情報を流していたスパイだったという青天の霹靂に見舞われた妻を主人公としたもの。
が、最後はほのぼのとしたハッピーエンドで、実に後口のよい話であった。



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