本読み月記


【ジャンル分け】 元々日本語で書かれた大人向け小説
元々日本語で書かれたジュブナイル小説。
日本語で書かれた小説以外のもの。

元は外国語で書かれていて、翻訳されたもの。

乙女のためのホモ小説
コミックス

われながら、なんつう荒くたい分け方であることよ。
ええっと、大人向けかジュブナイルかは、出版元の意向そのまんまです。角川スニーカー文庫とか講談社ティーンズハー
ト文庫とかコバルト文庫とかは、どんだけ立派な作品でもジュブナイルに入れてます。逆もそう。

『誰の罪でもなく』 レジナルド・ヒル ハヤカワポケットミステリ
私立探偵ジョー・シックススミス長編第二作。
これも楽しかった〜♪ シックススミスはもちろん、シリーズ物の醍醐味、彼を取り巻く人々も相変わらず♪ 訳者はダルジールシリーズと違っても、文章の愉快さ加減はダルジール物と変わらず♪

ガリーナ一家の問題の解決んとこも粋だった。メイヴィスの件もすっきり。が、メインのホームレス青年死体遺棄事件解決編のとこ、わりと大事なところで中断せざるを得ず、間一日空けて読んだせいで、いまいちすっきりしなかった、ちくしょ。
あとがきによると英語圏じゃ長編第三作もとうに出てるんだそうだ。なのに日本じゃまだ出てないんだ。はよ出せよ、ハヤカワ。


『スイス時計の謎』 有栖川有栖 講談社ノベルス
四編入り。が、うち冒頭の一本は、先に収録されたアンソロジーで既に読んでしまっていた。
ところでこれまで有栖川有栖という作家、推理小説家としてはあんまり評価してなかったわたしですが、「火村と有栖のいちゃいちゃが読みたいだけ〜」と公言して憚らず、それでいながら時には「バッキャローっ! オレの二時間(もしくは三時間)を返せ〜っっ!」と怒髪天を突いたりしておりましたが、これ読んで思った。この人、もう一化けするかも。高木彬光の『刺青殺人事件』や島田荘司の『占星術殺人事件』、中井英夫の『虚無への供物』クラスの逸品をそのうち書いちゃうかも。


『アルテミスファウルU 北極の事件簿』 オーエン・コルファー 角川書店
Tと打って変わって、アルテミス&バトラーとホリーやルート、フォーリーたちが協力して(もちろんアルテミスのほうは父親救出を手伝わせるための見返りとして、だが)、ゴブリンに武器と作戦を与えた犯人を捜してあちこち飛び回るアクション活劇。Tが発売されてすぐ映画化決定し、そのあと書かれた話なので、その影響もあるのだろうか?(ちなみにTのあとがきによると、ホリー役候補にはキャメロン・ディアスが有力らしい)
Tのほうが面白かったな〜。


『赤緑黒白』 森博嗣 講談社ノベルス
瀬在丸紅子シリーズ第十作。
途中ちらりと登場するこの幼い少女って誰だ? 新しいシリーズへの布石とかか? とか思ってたら、最後の最後で驚天動地。
え、え、このシリーズって、萌絵シリーズより十数年前の話だったのおっ?!


『まひるの月を追いかけて』 恩田陸 文藝春秋
妙齢の主人公が、腹違いの兄の恋人とともに、失踪中の腹違いの兄の捜索を兼ねて、奈良を旅する話。
ファンタジーかな、途中あたりから古代と現代の人間が錯綜して混沌としてくかな、と思ったら、ぜんぜんちっともそうならず、普通の人間ドラマであった。
それにしてもわたし、ほんっと奈良の古代名所って行ったことないのね〜。石舞台すらまだナマで見たことないわ。法隆寺も行ったことあるのかないのか不明だわ。


『新宿鮫U 毒猿』 大沢在昌 光文社ノベルス
図書館で借りてきたんですが。
強烈な本だった。いや、中身じゃなく見かけが。ページがばらけかけてんのを、穴あけて紐通してくくってあったのよ。よっぽど読まれたのね〜。
桃井さんと鮫島と藪の新宿署トリオがいいっス〜。鮫島の彼女の晶も、けっこう好き。郭さん、どうせ死なせるにしろ、もうちょいドラマティックに死なせてあげてほしかったな〜。


『彼女の部屋』 藤野千夜 講談社
短編集。日常スケッチ的なお話ばかりだけど(死んだ人が生き返ってくる話まで、のほほんとした日常スケッチ的作品にしてしまうとは…)、こおゆうの好き〜。むっちゃ好き〜。読んでる間じゅう、楽しかった〜。


『王子を守る者』 レジナルド・ヒル ハヤカワポケットミステリ
むっちゃ面白かったっ!!

これ、映画化しろよ、ハリウッドっ!!
『GMO』の感想に「小説を本当らしくするためには現実に起こるよりも偶然の頻度を低くすべきだ」という名文句を引用しましたが、語り口さえ巧みなら、それでもぜんぜんオッケなのね〜。


『くらのかみ』 小野不由美 講談社
田舎の本家に親ともども集まった子供たちが蔵の中で遊んでいる間にいつの間にやら一人増え、それが誰だかわからないうちに本家の跡目争いが原因と思われる毒混入事件が起こる。という妖怪譚ミステリー。
毒混入犯さがしのとこが多少たるかったが、面白かったぞ〜♪♪♪


『アルバイト探偵』 大沢在昌 廣済堂ノベルス
『アルバイト探偵U』 大沢在昌 廣済堂ノベルス
『新宿鮫V』が開架になくて、ついふらふらと借りてきた。新宿鮫でブレイクする前に書かれたものらしい。
ややグレぎみ高校生が私立探偵業を営んでいるが前身はどうやら内調所属のスパイだったらしい父親が請け負った仕事を手伝ったり、巻き込まれたり、あれこれする話。そこそこ面白かったが、15、6年前の作品だけに、グレ具合がなんともレトロ…。鞄ぺったんこだし、スケバンはいるし…。


『女神の誓い』 マーセデス・ラッキー 創元推理文庫
『裁きの門』 マーセデス・ラッキー 創元推理文庫
ファンタジー。それも実にオーソドックスな「剣と魔法」の物語。復讐のために<猛きもの>に<剣の誓い>をたてた剣士タルマと、貧乏貴族出身の魔法使いケスリーの、女二人旅。(ちなみにタルマの復讐は最初のほうで達成されてしまい、その後の旅は「一族を再建するために、名をあげ、資金を貯める」という動機付けにかわる)
表紙が末弥純なのだが、『女神の誓い』の表紙のケスリー、こりゃかめはめ波だよ〜。
こりゃアタリ〜♪ シリアス部分と笑わせどころの配合具合がむっちゃ好み〜♪ ケスリーが持つ魔法の剣「もとめ」の間抜け具合が、ベルガリアード物語の「アルダーの珠」に似ててナイス♪


ヴァルデマール年代記1 女王の矢』 上下 マーセデス・ラッキー 教養文庫
前述のタルマ&ケスリーと、世界は同じだが、場所は違い、時代もたぶん違う。
ヴァルデマール王国の辺境出身の少女が、神馬に選ばれ、<使徒>の中でも重要な<女王の側近>となる。
(タルマ&ケスリーにもヴァルデマール王国でのエピソードは出てくるが、あちらでは<使徒>は<使者>と訳されていた)

で、これ出たのが’91年なのに、まだ2が出てないのよ〜。多少売れ行き悪くても、出しかけたもんは最後まできっちり責任とれっ、教養文庫っ! 2巻3巻読ませろ〜っっっ!!!
(『運命の剣』、主役がケスリーの孫で、『女王の矢』1巻の数年後の話だった。登場人物もかぶっていた。ますます読みたい〜っ!! 出せっ、出しやがれ、教養文庫おっ!!)


『眠りネズミは死んだ』 パトリック・ルエル ハヤカワポケットミステリ
パトリック・ルエルはレジナルド・ヒルの別名。サスペンス書くときだけ、この筆名を使っていた模様。
幼い頃から内気で、結婚してからは家の中でぼんやりと過ごしていた女性が、夫の突然の事故死によって世間に放り出されると同時に、彼が絡んでいた謀略に巻き込まれていく。
主人公が次第に前向きに溌剌としていく変化がものすごく楽しかった。


『長く孤独な狙撃』 パトリック・ルエル ハヤカワポケットミステリ
原題は「THE LONG KILL」。主人公の殺し屋が長距離狙撃を専門にしていたため。
初めて仕事をしくじったことからこれが潮時と引退を表明した殺し屋が、仕事のために滞在していた湖畔地方である若い未亡人と知り合うが、彼女の父親は彼が殺しそこなった相手であった。

主人公も脇役も善玉陣はみな人好きがし、いろんなパーツがきっちり組み合わさった、読んでて心地のよい職人仕事であった。


暁の天使たち6 天使の舞闘会』 茅田砂胡 中央公論新社
海賊と女王復活編、終わり。
それにしてもリィって、デルフィニアの王様に出くわす以前、こんなにあれこれなんやかや、あったのねえ。


楽園の魔女たち 楽園の食卓』前編 樹川さとみ 集英社コバルト文庫
次巻後編でこのシリーズ、フィナーレ、完結なのだそうだ。寂しい、寂しい、寂しい、寂しい…。


外法師 孔雀の庭』下巻 毛利志生子 集英社コバルト文庫
んでこっちは次巻は6月だあ? んで、新シリーズだあ? その間、なんも出ないの? ねえ、出ないの? つうことは外法師はこれで完なの? 深き水のほうはどうなの?


『プラネテス』1〜3巻 幸村誠 講談社
●べさん家で読んだ。月はそれなりに開発されてるが、木星あたりはまだチャレンジ中、つう時代設定がむっちゃリアリティあり。
で、空きページにちょこちょこ載せられたラフ見ると、この人ほんっと、技術的な細かいことまでちくちく考えるのが楽しくって好きな人なんだなあとむっちゃ好感が持てた。こおゆう人、好き〜。


『蟲師』1〜4巻 漆原友紀 講談社
これも●べさん家で読んだ。3巻が逢魔が押入れをほじってもほじってもほじっても見つからず、読みたさに買いに走り、ついでに読んだ巻も揃えてしまった。
「蟲」というのは生物が動物・植物に分かれるずっと以前の、原初の生き物に近いもの。その「蟲」を引き寄せてしまう業をもつギンコが、蟲が人に及ぼす負の影響を解決していくお話。
中でも2巻収録の「筆の海」、その中でも55ページ2コマ目、蔵の地下の洞窟、その中に建てられた蔵と蔵同士を結ぶ橋廊下をギンコと婆さまが進むところがもうたまりませんでした。1コマの絵だけでサブイボたったのって久しぶりだわ。


『神さまに言っとけ』 榎田尤利 大洋図書
主人公のヤクザに天使が与える、生き返るためにクリアしないといけないミッション、こおゆう「さー、きみたち、くっつきなさい〜」なのじゃなく、もうちょい現実的な世のため人のためなのにしてほしかったっす。


『愛すべき娘たち』 よしながふみ 白泉社
女性を主人公にした、短編連作集。

すっげえいいっっ!! 

ベタな言い方するなら、「独自の切り口」っつうの? 二人暮らしの母娘の母がいきなり娘より年下の青年と結婚しちゃったり、お見合い相手が足の悪い人で仲人さんが「足が不自由って聞いてたけどあれほどとは」とかくさすのに当人同士はなんだかうまくいっちゃったり、フツーの作家が書いたらそれぞれ、やっぱり騙されてた母が娘との絆を再確認したり、そのままゴールインしちゃうことになるはずが、ふわりとまったく別の場所に着地する。しかも無理やりなひねりじゃないのよ。いや、やっぱり偉い作家だ、よしながふみ。


『最遊記RELOAD』3巻 峰倉かずや 一賽舎
『楽園まであともうちょっと』2巻 今市子 芳文社
『退魔針 魔針胎動篇』1〜3巻 斉藤岬



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