本読み月記


【ジャンル分け】 元々日本語で書かれた大人向け小説
元々日本語で書かれたジュブナイル小説。
日本語で書かれた小説以外のもの。

元は外国語で書かれていて、翻訳されたもの。

乙女のためのホモ小説
コミックス

われながら、なんつう荒くたい分け方であることよ。
ええっと、大人向けかジュブナイルかは、出版元の意向そのまんまです。角川スニーカー文庫とか講談社ティーンズハー
ト文庫とかコバルト文庫とかは、どんだけ立派な作品でもジュブナイルに入れてます。逆もそう。

『ラピスラズリ』 山尾悠子 国書刊行会
長らく沈黙を守っていた山尾悠子の、ひ〜〜〜っさしぶりの新作。
冬の間を仮死に近い眠りの中に過ごす冬眠者たちと、彼らに仕える人々の物語。

文章はまったく山尾悠子なまま、これほど長く沈黙守ってたのが嘘みたい。もっと書いて。読ませて。


『楽園の魔女たち 楽園の食卓(中編)』 樹川さとみ 集英社コバルト文庫
今巻で完結の予定だったが、次巻に繰越し。
おそらくたぶん読者を幸福な気持ちにさせてくれる見事な大団円を迎えるに違いないのだが、どんな風に終わるんだろう。

今から晴々と寂し…。


『チャイナタウン』 S.J.ローザン 創元推理文庫
舞台はニューヨーク。チャイナタウンに母と暮らす中国系アメリカ人で私立探偵のリディアが、チャイナタウンの美術館から依頼を受け、「必要に応じて組む同業者の中でかなり親しい」白人男性探偵とともに、盗まれた中国陶器を追う話。
本屋で平積みされているこのシリーズの最新刊を見つけ、設定が好みっぽかったのと、表紙が浅倉めぐみだったのとで、図書館でシリーズ第一巻を借りてきたのだが。うーん、これはわたしはイマイチであった…。


『フィオナヴァール・タペストリー1 夏の樹』上・下 ガイ・ゲイブリエル・ケイ 早川FT文庫
著者はクリストファー・トールキンとともにJ.R.R.トールキンの遺稿を整理して『シルマリルの物語』をいま読まれている形に編集した共同編者。訳者は井辻朱美。三部作の第一作で、この日本語訳が発売されたのは1989年。もちろん三部作、著者はとっくにぜんぶ書き終え、向こうじゃ発売されている。
(amazonで調べてみたところ、第一部『夏の樹』が1984年、第二部『Wandering Fire』、第三部『The Darkest Road』がどっちも1986年)
が、日本じゃ第二部がまだ出てないのよ。。。

おいこら、早川ぁぁっっっ!!!


こらいったいどういうこっちゃあっっっ!!!


読ませろぉっ、


続き、読ませやがれえっっっっっ!!!


ところでこれにつけられていた井辻朱美のあとがきが素晴らしかったので、ここに無断転載させていただきます。
ファンタジイというものは、本来無害な逃避のお遊びどころか、触れれば手が切れるほど危険なもの、現実よりはるかに冷たく熱く、われわれがなまぬるい日常において、ぼんやりとまどろみながら夢みているもののヴェールをはぎとって、生と死をその仮借ない相においてあらわにするものではないか。ただ、一般に幻想小説と言われているものとの違いは、ファンタジイがつねに、全体を再統合するみちをみいだそうとすること、つねに全体性の回復の視点から −−つまりホリスティックに−− 世界をとらえようとしていることではないかと思う。そのために、ファンタジイは多くの神話と象徴の力を借りる。
(『フィオナヴァール・タペストリー1 夏の樹』下巻 訳者あとがき より)
(もちろん、すべてのファンタジー作品がそうだと言っているわけではない。ファンタジーというジャンルに含まれている作品だというだけで「まともに対峙(批評)する必要なし」と思い込んでいるアホウどもに対して、ファンタジーというジャンルが包含する可能性(危険性と呼んでもよい)および見事に構築された作品の特徴について述べているものである)
(幻想小説とファンタジイの相違点については目から鱗を落としてもらいました)


『ドルイドの歌』 O.R.メリング 講談社
『光をはこぶ娘』 O.R.メリング 講談社
『妖精王の月』 O.R.メリング 講談社
前述のあとがきを読んだせいで、井辻朱美訳のものを探したら見つかったシリーズ。
舞台はどれもアイルランド。
『ドルイドの歌』は、カナダから来た姉弟がドルイドの探索に巻き込まれて、「クーリーの牛捕り」戦なるアイルランド古代史史上有名な戦いに参加してしまう物語。ゲイ・ボルグ(ここでの訳は「ゲー・ボルガ」)と来れば、FE聖戦の系譜で第一部主人公ジグルトの義弟レンスター国王キュアンのもつ地槍ゲイ・ボルグしか知らなかったが、あれってクーフーリンの愛槍から借りてきた名前だったのか、ほーへー。名誉の問題でクーフーリンの敵方についてる老将軍をついバーナード・ヒルのビジュアルで読んでしまいました。
『光をはこぶ娘』は、生まれ故郷カナダに帰ることにした父親に反発する少女が、妖精と袖擦りあったことから、幼い頃に行方不明になった母親を取り戻したいという望みと引き換えに眠る妖精王への言伝を運ぶ物語。
『妖精王の月』は夏休みを利用して伝説史跡巡りをすることにした従姉妹ふたりの片方が妖精に攫われ、残るひとりが彼女を取り戻そうと旅する話。
第一作『ドルイドの歌』は、姉弟の住む現在のアイルランドと伝説の中のアイルランドは微かなつながりしか持たないが、それよりあとに書かれた『光をはこぶ娘』も『妖精王の月』も、その二つは二重写しのように重なりあっている。喫茶店で相席を求めたのが妖精族の宮廷人かもしれないし、ヒッチハイクしてみれば運転手はレプラコーンだったりすることもある。こういうの好き好き大好き〜。とりわけ大好きなのは、グウェンを乗せてくれたレプラコーンのじいさん。彼がトラックを爆走させながら、大統領官邸前を通り過ぎがてら、ロビンソン大統領に祝福を送るとこなんかたまりません〜♪♪♪


『神を喰らう狼』 榎田尤利 講談社X文庫
クローンもの。本体のどこかが損なわれたときのスペア部品貯蔵庫として作られたクローンの少年が主人公の物語。
そのような目的のために作られたクローンを、この主人公のように隔離はしているものの普通に育てたり、主人公本体の婚約者とそのクローンのように姉妹のように育てたりする、っていう設定にそもそも無理があるような気がする。


『やっとかめ探偵団とゴミ袋の死体』 清水義範 祥伝社文庫
第一作目と第二作目は読んだが、こんなん出てたのは知らなかった。
犯行現場の設定および「なぜ犯人は燃焼ゴミとして出したバラした死体の入ったゴミ袋に燃えないゴミを混ぜてしまっていたのか」の謎解きがよかった。
でも、主人公まつ尾ばあちゃんの性格「男のようにさばさばとした」にはひっかかった。「さばさばした」性格に男も女もなかろう?


『炎の蜃気楼39 神鳴りの戦場』 桑原水菜 集英社コバルト文庫
『炎の蜃気楼40 千億の夜をこえて』 桑原水菜 集英社コバルト文庫
完結〜。ついに完結〜。どっひゃ〜、完結。
あれ、37巻か8巻くらいだった? もう日本でこれまでに死んだ怨霊、時代を問わずにバカスカ出てきて、どおすんだ、これ〜とか思ったが、思えば、あれ何巻くらいだったっけ、ヒムカの民とか出てきちゃったあたり、あのへんからもうなんか「初心忘れた無茶な展開ちゃうか?」とか思ってたんだが、うーん。。。
信長の生い立ちも「意義ありっ!!」だったな。長男より次男が可愛くて可愛くて次男を跡継ぎにしたがった母親、戦国時代、伊達政宗んとこもそうだし、武田信玄もそうだし、わんさかいたのよね。(たぶん、長男は幼い頃から英才教育するために母元から離して、母親が自由に育てられるのが次男からだったせいだと思う)
が、高耶・直江・譲三名のあの結末はよかった。ものすごく納得した。というか、心にしみた。


『20世紀少年』1〜15巻 浦沢直樹 小学館
『できるかなV3』 西原理恵子 扶桑社
『毎日母さん カニ母編』 西原理恵子 毎日新聞社

『頭文字D』28巻 しげの秀一 講談社
『フラワー・オブ・ライフ』1巻 よしながふみ 新書館
『カレンのファスナー』 TONO 白泉社
『20世紀少年』は既刊分まとめて義妹かよが借りてきてくれて、我が家一気読み〜。
すげえよ、これ。こんなものすごいもん、読みそこなうとこだったのかよ、おれ。(気がついたらもう5巻か6巻くらいまで出てて、どうしようかと思っているうちに巻を重ね、のパターン) 話がすっごい過去に行ったり、現在に行ったり、ちょい過去に戻ったり、ややこしい話のはずなのに、まったくぜんぜんややこしくない。どのキャラクターの背景も丹念に造形されてて見事。そしてなにより、語られる物語の恐ろしさ。これは必読でっせ〜。ほんま凄いわ、浦沢直樹って。
西原はどっちもようこちゃんが貸してくれたの。『できるかなV3』の「脱税できるかな」は笑った。税務署相手にごねたおして最初は一億円払えって言われてた税金、ぜんぶで2千万円ちょいまでマケさせやがった、すっげえっっ。ま、「いざとなりゃおれぁ日本国籍捨てるぜ」くらい腹くくってたからこそできたごね方だと思いますが。
(それにしてもさ、無駄遣いされんのがわかってるから、税金払うのがバカらしくなるのよねえ? 最近某知人から聞いた話なんだけど、その某知人のお友達、海外青年協力隊でアフリカ某国行ってる人が病気して、一時帰国して手術受けることになったのね。そしたら、その人んとこに届いた航空券、定価買いの片道80万円(エコノミー)だったんだって! 「これってどうよ?」と協力隊のその当人がかなり腹立ててたそうだ。あとね、別の某知人から聞いた話。大阪府の府立高校、今年から全校エアコン必ずつけるって法令ができたんだって。が、少子化の昨今、生徒が減ってきて今年で廃校になる予定の高校とかもあるわけですよ。それがそんな高校でも「法令だから」ってやっぱりエアコン取り付け工事やってるんだって)
頭Dは、おじさま走り屋コンビが出てきて萌え〜。兄とどうこう、二人がどうこういうわけでなく、清らかに萌え〜。
よしながふみは、とのさんからのメールで出てることを知り、慌てて買いに走りました。
学園モノ。高校生モノ。読んでてすっごい心地よい。主人公たちのクラス担任サイトー先生の真実、読者の先入観をすっげえ上手く利用しててどひゃー。
『カレンのファスナー』は寓話っぽい感じの短編ばかり集めた短編集。表題作、これ、すっごい好き〜♪♪♪



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