本読み月記


【ジャンル分け】 元々日本語で書かれた大人向け小説
元々日本語で書かれたジュブナイル小説。
日本語で書かれた小説以外のもの。

元は外国語で書かれていて、翻訳されたもの。

乙女のためのホモ小説
コミックス

われながら、なんつう荒くたい分け方であることよ。
ええっと、大人向けかジュブナイルかは、出版元の意向そのまんまです。角川スニーカー文庫とか講談社ティーンズハー
ト文庫とかコバルト文庫とかは、どんだけ立派な作品でもジュブナイルに入れてます。逆もそう。

『夏の王』 O.R.メリング 講談社
読む順番を間違えてしまった…。『妖精王の月』→『夏の王』→『光を運ぶ娘』の順に読むべきだったんだ。
『光を運ぶ娘』に出てきた、元は人間だったかそれとも記憶を失うかなんかして人間界で過ごしたことがあるっぽかった妖精オナー、彼女が妖精に変生する話がこれだったのよ(というわけで正解は前者)。
つっても、主人公はオナーの双子の姉妹のローレル、彼女が周囲の助けを得ながら、複雑な妖精界のルールに翻弄されながら、事故で転生途中で仮死のような状態になってしまったオナーの転生を成就させるためにがんばる話。
途中からローレルの相棒になるひねくれものの青年が実は…というところは物語の仕掛けとしてかなり好きな部類の仕掛けだったのだが、その後の彼の中での彼と幽閉の王の戦い部分がなんかすっきりしなかった。


『カリスマへの階段』 コリン・ウィルソン 青土社
主題はカルト教団。一部のカルト教団の大量殺人や集団自殺での自滅コースのたどり方がパターンと呼びたくなるほどどれもひどく似ているのか。なぜごく普通の人々が奇怪な精神状態へと傾斜していく教祖に従い続けるのか。そういった疑問を実例を検証しつつ考えてみようという本。
って、この「実例」部分が読みたかったんです、ええ。そうか、「太陽寺院」が窒息自殺で、あの青酸カリでの集団自殺は「人民寺院」だったのか〜。カルト史部分もむっちゃ面白かったし、フロイトに触れた第七章や、20世紀のオカルトサイエンス史っつうのかな、シュタイナーとかブラヴァッキー夫人についての概説も愉快であった。
ちなみに「全能なる、というか、完全に信頼できる誰かにすべての決定を委ねたい」気持ちって、理解はできるけど、共感はまったくできない。逆に「全能なるものとして他者のなすべきことを決定したい」気持ちも、やっぱり理解はできても、共感はまったくできない。特に後者。考えただけでもめんどくせーべ?


『迷宮百年の睡魔』 森博嗣 新潮社
前作『女王の百年密室』の感想が「設定は見事なのに、筋立てがなんかつまんない〜。ああ、もったいない、もったいない。装丁だってバリかっちょいいのに〜。」だったので(設置した書庫内検索が役に立ったわ〜♪)あんまり期待せずに読んだのだが。
すっごい面白かったのよおおおお。
分裂した国同士を統一していくよりも、生活習慣や人種に宗教その他もろもろ、お互いに合わない同士はどんどん分かれて別に生活したほうが、だんぜん平和じゃん〜、争いあっても小さいグループ同士なら大きな戦争起こりようないし〜(もちろん当事者以外のグループは彼らの争いに絶対に介入しない、みたいな国際法が必要だと思うが)、とか思ってたので、この物語の世界設定自体、ものすごく心地よかった。
んで、どうしてこういう小グループに分かれたか、の原因を、エネルギー問題の全面的解決によるもの、としていたのだが、山田ミネコの未来モノに出てきた「コイル」思い出しちゃった。各自が「コイル」というごくごく小さなエネルギー装置を持ち、自分の生活に必要なエネルギーはそれでまかなえる、っていう設定だったんだが、わたしがそれ読んだの、20年以上前なの。その頃すでにエネルギー問題の解決を原子力ではないものに設定した山田ミネコって、やっぱ凄い作家なのね。(山田ミネコを読んだのが理科の授業でコイルに電流流したら磁場が発生するってとこやったばっかだったような記憶がある。それでうちには彼女の本一冊もないのにこんなに鮮明に記憶に残ってんのかも)
ロイディはなんともいえず色っぽいし、メグツシュカさまがバリかっちょいいのよ。真賀田四季博士といい、このメグツシュカさまといい、こういう女性書かせたらたまらんな、森博嗣。
が、前作にも登場していた主人公ミチルおよびロイディ、ぜんぜんまったく忘れてたので、前作をもっかい読み返してみようと思います。
(前作を読み返した。今作で提示された世界観等がまだ明示されておらず、物語自体もやっぱりあんまり面白くなかった。が、なぜミチル、アキラ、ロイディの共生関係、前作最後ですでに明らかにされてたことに愕然。。。 綺麗さっぱり忘れてたわ〜)


『闇の降りる庭』 駒崎優 講談社X文庫
中央公論新社のC★NOVELSから出た『運命は剣を差し出す 1』を買おうかどうしようか迷って買わず、図書館で検索してみたら講談社X文庫に既刊がいっぱいあったので、いっちょ刊行順に読んでみようかと借りてきたデビュー作。
15世紀のフランスを舞台にした伝奇活劇。お話自体は可もなく不可もなしだったが、あとがきが面白かったので、引き続き読んでみようかと。


『2days 2日間で4人の女とセックスする方法』 村上龍 集英社
このサブタイトル、おっさんらにこの本手にとらせるための戦略?
本業は投資家、壊れた女を知人友人から引き取ってオーバーホールする副業持ちの男が、見知らぬ庭をさまよいながら、副業で関わった女性たちを回想する物語。
内容はこれまで村上龍が繰り返し語ってきたことが殆どだけど、サディズムおよびマゾヒズムについての説明はここではさらに懇切丁寧。
が、つまんなかった…。
で、けっきょく四人の女が回想に登場するわけだが、あれ、4人だったっけ? 女たちの話が錯綜して、どのエピソードがどの女性のものだったのか、わかんない〜。


『どこにでもある場所とどこにもいけないわたし』 村上龍 文藝春秋
短編集。あとがきによると「留学情報誌のために書き始めた」ものだそうで、半分くらいがなんらかの目的で外国に行く決心をしてる人が主人公。
あとがきには「どこかに希望を盛り込みたかった」とあるが、情景描写がすごく多くて、その情景描写のとこ読んでると、なんか気持ちがずんどこ盛り下がったんですが。
で、これもあんまり面白くなかった…。
ところで「披露宴会場」に登場する脚本家が観客にカタルシスをもたらすシナリオの仕組みについて語るとこがある。映画、というか、人を物語で楽しませるための基本中の基本みたいなことなんだが、せめて日本の映画製作者、このくらいの基本は身につけてから映画を作って欲しいと思った。ええ、切実に。


『聖なる黒夜』 柴田よしき 角川書店
図書館で、あ、まだ読んでない柴田よしきめっけ♪ 今までの中でいっちゃん分厚いけどどんな話かな♪ とか思いつつ軽い気持ちで借りてくれば…。
わあい、わあい〜♪♪♪
麻生と練のなれそめ編〜〜〜♪♪♪♪♪
いや、ダメよ、わたし。安易に浮かれちゃっ。
愛する脇役カップルを主役にした番外編に裏切られたり裏切られたり裏切られたりした過去を思い出すのよ〜っっ。
と心をひきしめなおして読み始めてみたら。


ありがとうっ、柴田よしきっ!!


ありがとうっ、お腹いっぱいっすっ!!


ちなみに麻生というのはRIKOシリーズの第二作第三作に出てきた元刑事さんで、現役時代は容疑者を脅したりせず物証をこつこつと組み立てて真相を暴こうとする警察内ではかなり特殊な捜査をして名刑事の誉れ高かったんだけど、謎の退職後はしがない探偵になっちゃった人で、
練っていうのはRIKOシリーズ第二作第三作および花咲慎一郎が主役の二作にもでしゃばってた、ゲイで受けで超美形で口が悪くて残忍でかなり壊れた広域暴力団若頭〜。
ところで花郎藤子の黒羽と鵙目シリーズに出てくる弁護士の都筑さん、なんかデ・ジャブだわ〜と思ったら、こっちの高安弁護士のせいか。


『ローマ人の物語]U 迷走する帝国』 塩野七生 新潮社
ローマもあとは滅亡への一途をたどるだけ〜という感じで、太閤記も秀吉が成り上がるまでが大好きなほうなので、読んでてしんどかったっす。
(でもここまでずっと読んできて、世界史で習ったときには何がそんなに大事件なのかてんでわからなかった「東ローマ帝国滅亡」の重みがやっとわかってきました)
それにしても皇帝って考えただけでも大変な仕事だし、この時代の皇帝、殺されたり殺されたり殺されたりなのに、なんで皇帝やりたがる人がまだいたんだろ〜。
カラカラ帝の「属州民もすべてローマ市民とする」法令についての「『既得権』と『取得権』」のところでは、「お登勢」で読んだ洲本藩の藩士の二段階制を思い出しました。法令前のローマがそこそこ狭き門であっても属州民が正市民になる道があったように、あそこも青足袋衆って呼ばれた下級藩士が藩主とともにこの地に来た直参階級になりあがれる道筋を開いておけばよかったのよねえ。(あったのかな? この階級制についちゃ『お登勢』で読んだだけなんで) 新撰組だって、ほとんど百姓だった連中が士分になれるってんで張り切っちゃったんだもんねえ。


『少年はスワンを目指す』 榎田尤利 BIBLOS
赤だけど、ホモなしでもよかったな、これ。元気の出る男子高校青春もののほうがよかったかも。
と思ったのは、やはりわたしが枯れてきたせいか? そうなのか? ひょっとしてあたし、腐女子更年期? いや〜〜〜ん。
バレエ版ウォーターボーイズ。すっごく楽しい。男の子たち、みんな元気で可愛くてたまりません。


『スウィート・フェイク・メイク・ラブ』 金丸マキ コバルト文庫
ううう、暗いほうの金丸マキだったか…。
が、暗くても、「うそつき」の鞍田、高野の話くらい読み応えあれば…。
ページ数あわせのためか、愉快なほうの金丸マキな短編も入ってたが。
愉快なあなたの文章が読みたいのよ、読みたいのよ、あなたについてもホモ抜きでもぜんぜんOKなのよ、わたし〜。


『不健全な精神だって健全な肉体に宿りたいのだ』 菅野彰 イースト・プレス
『海馬が〜』の2くらいまではほんっと面白かったので、このエッセイもつい買ってしまったが…。
あんま面白くなかった〜。ネタのためになんかわざわざしてそれをエッセイにするって形式、この人には合ってないんじゃないだろうか。


『犬とカフェテラス』 たけうちりうと オークラ出版
図書館の開架で見つけ、たけうちりうと、長らく読んでないな、と借りてきてみれば、未読の話の続編であった…。
主人公の父親とか、主人公の彼氏の父親に長らく囲われていたコックさんとかその今の恋人とか、脇役もみんなよかったっす。
が、これもホモ抜きでも…。あああ、やっぱ枯れてきてるわ〜〜。


『千里眼』 松岡圭祐 小学館
『千里眼 ミドリの猿』 松岡圭祐 小学館
『千里眼 運命の暗示』 松岡圭祐 小学館
『千里眼 洗脳試験』 松岡圭祐 小学館
『千里眼 千里眼の瞳』 松岡圭祐 小学館
『千里眼 千里眼の死角』 松岡圭祐 小学館
『マジシャン』 松岡圭祐 小学館
千里眼は元自衛官で退官後カウンセラーになったスーパーウーマン岬美由紀が主役のシリーズ。
催眠シリーズの嵯峨くんも第二作から重要な脇役に。
(って、催眠、映画もドラマもぜんぜん見てないんだけどさー)
軽い気持ちで最初の二冊を借りてきて、軽い気持ちで読み始めたら。。。
行け行けどんどん、やめられない、とまらない〜。
ケレンがきつすぎるというか、こんな女、つうか、ここまでなんでもかんでもやれる人間、いったいぜんたいどこにいる〜〜〜、
と突っ込みつつも、ああ、やめられない、とまらない〜〜。
おまけに時事ネタも多いんだけど、で、時事ネタそのまんま使うのってださくなることが多いんだけど、
材料はどれもB級なのに、料理の仕方がすこぶる上手いっつうか、ばくばくと、ああ、ばくばくと読まされてしまいました。。。。
ほんでもって、「千里眼の瞳」に出てきて美由紀と角付き合わせる李秀卿と彼女の敬愛するボス、このふたり好き〜♪
マジシャンのほうは、マジックのトリックを犯罪に応用する犯人を、担当刑事がマジシャン志望の女の子の助けを借りて追い詰めてく話。
この刑事がいい奴なんだ。この刑事んとこに回されてきた科捜研の女技官も愉快な子で、マジシャン志望の女の子もいい子すぎないとこがすっごくよかった。

ところで『ミドリの眼』に、交換神経を刺激されたほうがリラックスしやすい人が稀にだがいる、ってネタが出てきて、その人が「火の鳥」の中でもとりわけやかましいアレンジのが好きだったのはそれが原因だったってくだりがある。そうか、運転するときなんか音が欲しいのは運転に丁度よいくらいに緊張できるように交換神経を刺激するためで、掃除とかの体使う作業するときになんか音が欲しいのもそのせいで、でもどんな音でどの程度刺激されるかってのは個人差があって、音楽の好みがそれぞれ違うのもその個人差がかなり影響してて、その個人差を解消してなるだけ大勢の人に同じくらいの刺激をもたらすものが、佐藤史生の「ムーンチャイルド」に出てきたFEM理論を組み込んだアレンジなのかしら、などと、あれこれ考えてしまいました。


池袋ウェストゲートパークW 電子の星』 石田衣良 文藝春秋
池袋シリーズ♪ 「東口ラーメンライン」「ワルツ・フォー・ベビー」「黒いフードの夜」「電子の星」の四篇入り。
去年放映された「スープの回」の、ラーメン屋ネタおよび会食障害の女の子ネタ、「東口ラーメンライン」から引っ張ってきたものだったのね。
「黒いフードの夜」はミャンマーから亡命してきた一家とマコトが知り合う話だけど、ミャンマーの軍事政権がどうこうより、被害者がその痛みを盾に加害者に変貌する可能性はいつだってあるんだよ、ということを描きたかったのだと思う。
「電子の星」は、人の体の一部が切られたりするショーを楽しむ秘密クラブをマコトたちが叩く話だったけど、主催者だけでなくクラブを成り立たせていたそもそもの張本人である客たちまでが成敗されるとこがナイスであった。


『わたしを見かけませんでしたか』 コーリイ・フォード 早川書房
ビール酵母ダイエットって50年代、すでにアメリカで一世を風靡してたんですね〜。
著者は1902年生まれのアメリカ人。「コロンビア大学のジェスター誌の編集にたずさわり、フランクリン・P・アダムスに才能を認められて、ライフ誌やヴァニティ・フェア誌の寄稿家となりました」と訳者(浅倉久志)あとがきにある。で、この本に載ってるエッセイというかユーモアスケッチは、ほとんどが’50年代に書かれたもの。
ネタ的にあんまり古びてしまったものは訳者判断で割愛したそうだが、それを考慮しても古くないのよ、ぜんぜん。ネタは老化やダイエットや入院やコレクターやミステリ。どれもむっちゃキュートでおかしい。浅倉久志訳って、考えてみればハズレないよな〜。


『働く女に福来たる』 酒井順子 角川書店
女性な職種をあれこれあげつらったエッセイ集。女性を年代別にあげつらったエッセイ付。
群ようこってわたしの年代の女性にはかなり好感度高いが、わたし、ダメなの、彼女の文章。酒井順子のほうが断然気持ち的に近い感じ。


『犬も歩けばフォーリンラブ』 高嶋上総 ビブロス
『SEX PISTOLS』1巻 寿たらこ ビブロス
『うるわしの英国シリーズ2 中国の鳥』 波津彬子 小学館
『雨柳堂夢咄』10巻 波津彬子 朝日ソノラマ
『ハチミツとクローバー』6巻 羽海野チカ 集英社
『OL進化論』21巻 秋月りす 講談社
『犬も…』と『SEX…』はN塚長姉に借りた。『SEX…』のほう、ばりくそ面白かった〜♪ 寿たらこ、スラダンの仙×越やってた頃買ってたんだけど、プロデビューしてからわたしの好みからすると絵に癖が出すぎて読んでなかったの。が、純粋にギャグ漫画として楽しんでしまったよ、ボーイズラブ漫画なのに…。やっぱ更年期? 腐女子の更年期に突入してる、わたし?
雨柳堂は、例によって、既刊読み返しに突入。で、毎回、第一巻と第二巻からの絵柄の変化というか、第一巻だけ絵柄がかなり違うのに違和感覚える。(ま、「BANANAFISH」の最初の頃のアッシュを思えばこれくらい…とは思うんだが)
「ハチミツとクローバー」、竹本くんの自転車一人旅を「自分探し」と周囲が断定しちゃうとこがむっちゃおかしい〜。こういう「語り口」がやっぱこの人、抜群に上手い。上手くて楽しい。



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