本読み月記


【ジャンル分け】 元々日本語で書かれた大人向け小説
元々日本語で書かれたジュブナイル小説。
日本語で書かれた小説以外のもの。

元は外国語で書かれていて、翻訳されたもの。

乙女のためのホモ小説
コミックス

われながら、なんつう荒くたい分け方であることよ。
ええっと、大人向けかジュブナイルかは、出版元の意向そのまんまです。角川スニーカー文庫とか講談社ティーンズハー
ト文庫とかコバルト文庫とかは、どんだけ立派な作品でもジュブナイルに入れてます。逆もそう。

『目を閉じればいつかの海』 崎谷はるひ 角川ルビー文庫
こーゆーやけぼっくいに火が…系は好きなはずなんですが、なんかなー。まわりが応援しすぎんのがなー。


『今、風が梢を渡る時』上下 かわい有美子 小学館パレット文庫
大正時代の学園もの。実にまっとうな友情もの。最後の最後、卒業してから数年後にコクるシーンはあるものの、赤ではなく青にしてしまいました。
とってつけたようにバタバタできあがってエッチになだれこむという乙女向けホモ小説がかなり好きではないというか、それならいっそ寸止めせえやっ、なわたし的には、これでとっても満腹できました。いや、いい話でした。


『スリピッシュ ひとり歩きの姫君』後編 今野緒雪 集英社コバルト文庫 
いや、いいわ〜、高貴な姫君同士の色事抜きの角突き合い〜♪
今回、ラフト=リーフィシーの姉上と国王夫妻のややこしい血縁関係が明らかに。姉上の男前ぶりも素敵だが、王妃の壊れっぷりもナイス。
今回ガイの出生の秘密というあらたな謎が提起されたので、このシリーズ、まだまだ続くはずだが、次が読ませてもらえるのはいつかしら〜。


『琥珀枕』 森福都 光文社
森福都の中国モノはまったくハズレがない。一冊たりとてハズレがない。これまで出た本、どれもこれも無茶苦茶面白い。
で、中国モノでござる〜。なのに図書館に予約したら、あっちゅう間に順番が回ってきてしまった。
なんでー。なんでこんな面白いもんに予約が殺到しないのーっ?! 買わずに読んでるわたしが言うこっちゃないかもしれないけどさー。
(『吃逆』も『十八面の骰子』も『双子幻綺行』も『紅豚』も『長安牡丹花異聞』も本棚に要る、絶対要る、ぼちぼち揃えて行かなきゃ〜とは思ってんだがな)
で、これもむっちゃ面白いっ!! 県令の一人息子の家庭教師が齢数百年のすっぽんなのよ。で、そのすっぽんの徐庚先生が教え子に世の中のあれこれを教える上での教材とするのが、実際に市井で起こっている事件のあれこれという、連作短編集。表紙が浅倉めぐみというのもわたし的にはとっても嬉しかったっす。


『阿闍世王物語』 ひろさちや 新潮社
初めて読んだっす、ひろさちや。名前は知ってましたが、仏教の本を書いてる人とは知りませんでした。
で、これは小説。お釈迦さまがまだ生きてる頃のインドが舞台。マガダ国の国王一家にまつわる因縁を軸に、当時のインドの宗教事情やら因果とか業とかの言葉の意味するところを説明してくれる物語。
あとがきによると、このひろさちやさん、仏教関係の著作は山ほどあるそうだが、小説は2000年に出たこれが処女作らしい。1936年生まれだそうなので、出たときゃ64歳か。いや、面白かったっす。わたしは伝奇モノとして読みました。こういう文章は大好きなので、できればもっと書いて欲しいっす。


レヴィローズの指輪 夜の魔術師』 高遠砂夜 集英社コバルト文庫
図書館に本を返しに行くたびにまだ読んでない新しい分が帰ってきてんのよ、このシリーズ。これが2003年11月出たもんだから、この後まだ二冊くらいは出てるかな。今度図書館行ったらやっぱり続きが帰ってきてたりしてな。(そして、行くたび既読分も消えてたりするので、わたしが返した途端借りる人もけっこういる模様)
今回は風の宝玉シルフソードのシャンレインを無理やり作ろうとする連中にジャスティーンたちが喧嘩を売る話。(ちょっと違うか?)


『観覧車』 柴田よしき 祥伝社
夫がある日突然失踪、いつか彼の行方というか失踪の原因というか居場所が判明するかもしれないという漠然とした思いを抱えて夫の探偵事務所を引き継いだ唯が関わった事件を描いた連作短編集。
「浮気調査みたいなつまらない仕事は引き受けない」という探偵って嘘臭くてかなり嫌いなので、この小説はその点でかなり好感が持てました。最初は失踪から三年後の話だったのが、読んでいるうちに五年、七年と延びていき、ああ、もうそんなに経っちゃったのか、と読みながらなんかしみじみ。が、この本ではまだ夫の失踪原因は明らかにされてなくて、この先柴田よしきがどんな事情や結末を用意してくれてるのか、楽しみです。
ところで探偵なんですが、「ああ、浮気や身辺調査な探偵の王道、地に足ついた仕事がしたい〜っっ」と心の底から望みながら、毎度持ち込まれるのは非合法ぎりぎりの物件ばっかで、己が不運に泣きつつも糊口をしのぐためせっせと仕事を片づける探偵の話って、誰か書いてくんないかなあ。


『軍神』 古川薫 角川書店
『花も嵐も 女優田中絹代の生涯』 古川薫 文藝春秋
古川日出男のまだ読んでない本ないかな〜と開架の「ふ」のとこ探してて、なんとなく借りてきてしまった二冊。で、借りてきたほかの本を読みつくし、なんとなく読んでしまった。
『軍神』のほうは乃木希典の伝記。明治天皇が亡くなったとき奥さんともども殉死してこの人が祭神の神社とかも建てられて忠臣の鑑みたいに言われてるけど実は無能な指揮官だった、というのがわたしが知ってた乃木将軍のほぼすべてだったのですが、へー、乃木さんが司令官としては無能だったってのは、司馬遼太郎が「殉死」って小説でそういう話を書いちゃったせいで膾炙してしまった説だったのか〜。しょっちゅう仕事を辞めようとしたり辞めようとしたり辞めようとしたりするけったいな人でしたが、明治天皇がほんとに乃木さんを気に入ってたというくだりはなんかほろりとさせられました。
田中絹代のほうも、彼女が亡くなったとき雑誌とかに載ってた記事でしか知らなくて(吉永小百合が田中絹代役をやった映画を見た覚えはあるのだが、吉永小百合の例によって例のごとくの大根ぶりしか記憶にない)、その記事の印象からだと、訪米からバリバリの洋装で帰ってきてバッシングされて以後は「ビッグだ」発言以降の田原俊彦なみに干されたイメージ持ってたんですが、ぜんぜん違ったのね。代表作のひとつ、溝口健二の「西鶴一代女」なんかバッシングの翌々年じゃんよ。あと、田中絹代って美人女優の代名詞みたいに思ってたんですが、十代でデビューしてから長いこと、「美人ではないが…」みたいな言われ方してたとは。あと「怪談」(第三話「耳無し芳一」の、芳一が体じゅうにお経書かれるシーンは圧巻です。だあい好き〜。グリーナウェイ、これ見て素肌に墨で筆で字を書きたくてたまんなくなって「枕草子」を撮ったに違いない)の小林正樹が田中絹代のハトコで亡くなったときも喪主だったってのも初めて知りました。へーほー。脇役では木下恵介がよかったっす。こういう茶目っけのある話し方する男の人、好きだわ〜。ただ田中絹代の伝記のほうでひっかかったのが、古川薫氏、映画の出来不出来について、「キネマ旬報」の年間ベストテンに絶大な信頼を寄せていること。それってどうよ?


『百万の手』 畠中恵 東京創元社
うーん、ミステリとしてはイマイチ。そもそもネタがな…。結末も、確かにいるがな、こーゆー人…。
主要登場人物はみんないい感じだったんだけどなー。特に主人公の母親の婚約者とか、実はいい人にしちゃうとウソ臭くなりそうな設定にも関わらず実はいい人ですんなり納得させられたし。


『レックス・ムンディ』 荒俣宏 集英社
『帝都物語』からこっち、久しぶりに読む荒俣でしたが。
『帝都』読んだときのもやもやがすっきりしました。
荒俣宏って小説書くの、下手だったのね〜。
ストーリーも、薀蓄部分もなんかまとまりない上、間を埋めるエピソードが、仮面ライダー剣よりさらにお粗末。
で登場人物よ。どれも造型イマイチなんだけど、中でもこの主人公の青山譲、かっこいい男を書こうとしてこれになったんなら、かっこ悪すぎるぞ、荒俣宏。


『イエスを愛した女』 ゴードン・トーマス 光文社
『レックス・ムンディ』と同じく、『ダ=ヴィンチ・コード』のあとがきで荒俣が参考図書として名前を挙げてた本。
「マグダラのマリア」物語なんだけど、物語としてはちっとも面白くなく、評伝としても食い足りない。
てか、彼女がはまったのがイエス・キリストなんつうバリ勝ち組教祖な宗教だったから結果オーライだったもんの、マイナーな宗教だったらこんな風にそれまでの生活捨てて信仰に没頭するってのはどうよ?とか、そーゆー考察がまったくなしにマグダラのマリアの信仰心をむやみやたらに賛美してて、読んでてむかついた。ちったあ脳みそ使って考えやがれ。>ゴードン・トーマス


『ランブルフィッシュ あんぷらぐど』 三雲岳斗 角川スニーカー文庫
「他の図書館に帰ってく本」コーナーで見つけてひょっこり借りてしまい、シリーズものの番外編から読んでしまったよ、あははははは。
番外編短編集。六篇入り。REっていうパトレイバーみたいな二足歩行タイプのロボットの設計や組み立て、操縦の専門家を育てる学校が舞台の学園もの。
で、面白かったのよ〜。キャラクターはステロタイプなんだけど基本をしっかり押さえた人物立てで、ストーリーがまた美味しいほうへ美味しいほうへと転がっていって、実に気持ちがよろしい。
ので、借りてこなきゃ、シリーズ本編〜。
(が、三雲岳斗、なんか見覚えのある名前だと思ってサイト内検索してみたらヒットした。『2001』ってSFアンソロジーの著者のひとりで、そっちが面白かったんで他のも読もうと思ったもんの、中図書館には一冊もなくて他の図書館からお取り寄せしてもらわないといけなかったんだ。で、その頃はまだ図書館、ネット検索システムが始まってなかったんだ〜)


ショッピングの女王4 愛か、美貌か』 中村うさぎ 文藝春秋
あいかわらず文章は気持ちいいし、分析も見事なのだが、ブランド物に月数百万が「首がまわらなくなったところでそれをネタにエッセイ書いたらウケてしまいました」でめでたしめでたし(ちょっと違うか)だったのと違い、ホストクラブも整形もネタ探しで突入した感じが、なんかもはや読んでて痛々しい気が。


『ランブルフィッシュ @新学期乱入編』 三雲岳斗 角川スニーカー文庫
『ランブルフィッシュ A中間試験暴走編』 三雲岳斗 角川スニーカー文庫
『ランブルフィッシュ B場外乱闘恋心編』 三雲岳斗 角川スニーカー文庫
『ランブルフィッシュ C伝説崩壊編』 三雲岳斗 角川スニーカー文庫
『ランブルフィッシュ D凶天使襲来編』 三雲岳斗 角川スニーカー文庫
『ランブルフィッシュ E亡霊殲滅編(上)』 三雲岳斗 角川スニーカー文庫
『ランブルフィッシュ F亡霊殲滅編(下)』 三雲岳斗 角川スニーカー文庫
『ランブルフィッシュ G決戦前夜秘湯編』 三雲岳斗 角川スニーカー文庫
『コールド・ゲヘナ』 全四巻+あんぷらぐど 三雲岳斗 電撃文庫
『レベリオン 放課後の殺戮者』 三雲岳斗 電撃文庫
『レベリオン 弑殺校庭園』 三雲岳斗 電撃文庫
『レベリオン 炎を背負う少年たち』 三雲岳斗 電撃文庫
『レベリオン 彼女のいない教室』 三雲岳斗 電撃文庫
『レベリオン 楽園に紅き翼の詩を』 三雲岳斗 電撃文庫
『海底密室』 三雲岳斗 徳間デュアル文庫
で、一気読みしてしまいました。
図書館三軒はしごして、借りられるだけ借りてきてしまいました。
どうやら三雲ファンは買って読む人が多いらしく、『ランブルフィッシュ』『コールド・ゲヘナ』『レベリオン』シリーズどれも予約なしで揃いました。
(買って読む上、売らねえのな、三雲ファン。BOOKOFF回ったけど殆どブツがなかったわ。スーパー源氏で検索してもランブルフィッシュなんか一冊もなしさね)
(8巻だけはさすがに残ってなくて、5巻にさしかかったあたりで「こらいかん」とわんだーらんどに買いに走ったわ〜)

オレも買うぜっ! 

『ランブルフィッシュ』は揃えるぞ、おーっ!!


げろくそ面白いっす、たまんねえっす、

こんなんむっちゃ好き〜〜〜っっっ!!!


ロボット専門校モノってか、RE、レイド・フレームっつう人型陸戦兵器の技術者および操縦者育成学校が舞台の学園モノ。ストーリーもキャラも挿絵も文句なし。八巻まで一気してふと我にかえったときゃ(ほんの三日で…)、1巻出たときから次巻出るのを待って読み待って読みしてた元もとのファンの人たちすまねえっ!な気持ちになりました。
わたし的には『ランブルフィッシュ』がダントツで、次点が『コールドゲヘナ』。『レベリオン』はちょっとイマイチ。
『海底密室』は読みきりミステリ。舞台になる海底実験施設《バブル》っていう設定や、その設定を生かした種明かし部分は面白かったっす。


『神話の子供たち 隻腕のサスラ』 榎田尤利 講談社X文庫
『神を食らう狼』の続編、というか、あっちはほんの触り、プロローグだった模様。
移植用臓器については、パーツで育てる技術がないため丸ごと一体育てる道を選んだ、みたいなエクスキューズが欲しかったとやっぱり思うが、いや、俄然面白くなってきたっす、次巻が楽しみっす。


『最遊記RELOAD』4巻 峰倉かずや 一賽舎
『ばらいろすみれいろ』 あとり硅子 新書館
『ギャラリーフェイク』31巻 細野不二彦 小学館
『ギャラリーフェイク THE BEST』 細野不二彦 小学館
『ソムリエ』7、8巻 城 アラキ, 甲斐谷 忍, 堀 賢一 集英社
『PLUTO』1巻 浦沢直樹  小学館
『DUMPS』 石原理 青磁ビブロス
『蟲師』5巻 漆原友紀 講談社
『誰も寝てはならぬ』 サライネス 講談社
あとり硅子の新刊、帯に「ラストコミックス」とあったので、なんじゃいな、と思ったら、巻末に訃報が…。こんなにぶったまげたの、月刊プリンセスに花郁悠紀子の訃報が載ってたとき以来だわ。
『ソムリエ』は家族で月一くらい行く焼肉屋さんの待合に全巻置いてあり、混んでて待たなくちゃいけないときにしか読めない。今回読んだ分では、指揮者のエピソードがよかった。
『蟲師』、いっちゃん最初の「生き物が生きてきた時間を食らう蟲」ってのにガツンとやられました。最後の「記憶を食う蟲」ってのも怖かったなー。思えば映画「メメント」が面白くなかったっつうかなんともいえずイヤ〜な感じだったのって、途中くらいであの語り口に飽きたせいかと思ってたんだが、「新しい記憶が蓄えらない」っていう現実にある障害の恐ろしさをお手軽に扱いすぎてたせいだったかも。



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