本読み月記


【ジャンル分け】 元々日本語で書かれた大人向け小説
元々日本語で書かれたジュブナイル小説。
日本語で書かれた小説以外のもの。

元は外国語で書かれていて、翻訳されたもの。

乙女のためのホモ小説
コミックス

われながら、なんつう荒くたい分け方であることよ。
ええっと、大人向けかジュブナイルかは、出版元の意向そのまんまです。角川スニーカー文庫とか講談社ティーンズハー
ト文庫とかコバルト文庫とかは、どんだけ立派な作品でもジュブナイルに入れてます。逆もそう。

『ボビーZの気怠く優雅な人生』 ドン・ウィンズロウ 東江一紀 角川文庫
アメリカ西海岸の伝説の麻薬王ボビーZ。が彼の命運もついに尽き、心臓発作であっけなくあの世に。麻薬取締役が生きている彼を必要としたときを狙いすましたかのように。
彼らは海兵隊崩れのケチなこそ泥ティム・カーニーに目をつけ、彼を替え玉にしたてあげる。
すっげえ面白いっっ!! むちゃくちゃ面白いっっ!! 文章が気持ちよくて、展開が気持ちよくて、キャラクターたちが気持ちいいっ!!


『霜雪のかなたに』 たけうちりうと クロスノベルス
部長の愛人(女性)のそのまた隠れ愛人をしていた建設会社の社員が、それが原因でワケアリの観光道路建設予定地に飛ばされる。その土地では十年前、道路を通そうとする国と、イヌワシ生息地であることを盾にそれを阻止しようとする反対派が衝突し、負傷者を出した場所だった。彼の使命は、兄の跡を継いでその地でイヌワシ観測を続ける青年が公開しようとしない観測ノートを盗み見することだった。
最初ちゃらんぽらんな奴だと思った主人公が、物語が進むにつれ、いい奴であることがわかってくる。彼が飛ばされる原因となった部長の愛人がまた、エキセントリックないい女。主人公の目を通して語られる過疎の村の様子もよかったな〜。クライマックスのイヌワシ出現シーンにもどきどきさせられました。
失踪したにーちゃん、どこでどうしているんだろうねえ。そのうち村に帰ってきて、幸福に暮らす弟の姿確認して、悔恨を乗り越えてくれたらいいなあ。


『旧宮殿にて』 三雲岳斗 光文社
『聖遺の天使』続編。前作は長編だったが今作は短編集。ミラノの執政ルドヴィコ・スフォルツァや表向きはその愛人ということになっているチェチリアが遭遇したり持ち込んだりする謎をレオナルド・ダ=ヴィンチが解決する。動機やトリックに突出したものはなかったが、読んでて心地よい物語。
表紙は地球儀や望遠鏡が飾られた部屋を描いたシックな絵なのだが、著者がオフィシャルのフリートーク・コーナーで「15世紀末には地球儀とか望遠鏡とかまだないやんっ!」(無断転載)と太字で叫んでたのがおかしい。


『シーセッド・ヒーセッド』 柴田よしき 実業之日本社
兼業探偵(本職は無認可保育所経営)花咲慎一郎シリーズ第三作。三編入り。
「ヒー・ラヴズ・ユー」に出てくるサポート探偵の「えっちゃん」がナイス。以前からわたしも思ってたんです。スパイに仕立てて敵国に潜入させて情報収集させんなら、かっちょ(妹、木村拓哉ファン)やあっちゃん(妹のダチ、妹近辺の木村拓哉ファンの元締)みたいなのが断然いい仕事するに違いないと。ターゲットにあっちゅう間に近づいて、要ることも要らんこともあらいざらい聞き出し調べだすに違いないと。そうか、探偵っつう手もあったんだ、あっちゃんやかっちょの有効な使い道。
花咲に仕事回してくれる同業者城島も好き。山内練があちこちでしゃばってくんのも楽しい。が、山内の知り合いの癌末期患者が誰なのか、むっちゃ気になる。どうぞ麻生じゃありませんように〜。


『白い兎が逃げる』 有栖川有栖 光文社
火村&有栖シリーズ。知らない間に出てて、知らない間に図書館予約ラッシュが終わっていた。ラッキ♪
四編入り。「地下室の処刑」の動機、けっこうよかった。表題作はいわゆる電車使ったアリバイ工作ものなのだが、南海ラピートとかJRはるかとかジモなのが出てきて楽しかった。


『ゆめつげ』 畠中恵 角川書店
時は幕末間近。夢占いをする弱小神社の兄弟が、札差の家の跡取り探しに巻き込まれる話。
これはしまったのである。なぜか短編連作と思い込んで読み始めてしまい、最初の話がなかなか終わらず、あれれと思って目次探したらなくて、やっと一冊丸々ひとつの話だったことに気づいたのである。
ぼよっとした兄と、そんな兄を口うるさい妹みたいにばしばし叱りつける弟、この兄弟コンビがよかったっす。
が、最初にペース配分を間違えてしまったせいか、途中ちょいたるかったっす。(このネタはやはり短編連作で読みたかった話だなあと思う)


『半島を出よ』上・下 村上龍 幻冬舎
もしも密命を帯びた北朝鮮の特殊部隊が極秘に日本に潜入し反北朝鮮を掲げて福岡ドーム近辺を占拠したら…。
その「もしも」をとっかかりに緻密に構成された重厚なシュミレーション小説。
リスクと向き合おうとせず、これがこうなったらこっちの手を打ち、そっちならこう対応する、といった策を立てられない日本政府の対応など、実にありそうで、リアルだった。
ムードだけで盛り上がり、なんのリスクも負ってないくせに「あたしたち、こんなに平和を望んでがんばってま〜す」な平和運動に対する辛らつなコメントも心地よかった。(例の千羽鶴燃やされたときのヒステリックな反応とかにぜんぜん共感できなかったものにとっては)
グループは個人が集まって構成されているもので、同じグループに属しているからといって皆が同じ人間であるはずではない。その個々の人たちに対し、その人を好きか嫌いか判断するのはあなたの自由である、とか、同じ人の同じ特徴を見て好感を持つか嫌悪を持つかも正解はなく個々の自由である、とか、「まっとう」がいっぱい詰まった本であった。
(アジアを侵略した頃のかつての日本に対して、アジアの人たちが憎悪だけでない気持ちを抱いていたというのは目からうろこだった)
結局は福岡の倉庫で暮らしていた社会不適合者たちによって福岡に駐留していた北朝鮮の部隊は殲滅されて結果オーライなのだが、そして困ったことにそのシーンには実にカタルシスがあったのだが、うーん、こいつら、親兄弟殺したり、同級生殺したり、なんの関係もない人殺したりした奴らなのよね…。
途中あちこちしんどいとこはありますが、読後感はすごいよかったです。が、こんな結末、万に一つの幸運だというのも、肝に銘じておきたいです。

(ところで最近、TVがきなくさくないっすか? 戦争で苦労した話とか、アメリカで日本人であるというだけで拘留された話とか録画しただけでまだ観てないけど漫才師コンビが特攻させられる話(よね、ぐっさんとV6の森田のあれ)とかばっかで、特攻隊に特攻されて亡くなった人の遺族の話とか、真珠湾攻撃の被害者の話とか、ある日いきなり現れた日本軍のトラックに着のみ着のまま乗せられて日本につれてこられて重労働させられた話とか、軍に連れてかれて慰安婦として毎日毎日何人もの兵士に強姦され続けた話とか、日本軍の捕虜になってひどい扱い受けた話とか、ぜんぜんしないよね?)


『犬はどこだ』 米澤穂信 東京創元社
アトピーの発症&二年におよぶ闘病で、順風満帆な人生からリタイア、リタイアして故郷に戻った途端アトピーは完治、半年の引きこもりの後、「わたし」は調査事務所を開く。想定していた仕事はただ一つ、行方不明のペット(犬に限る)探し。ところがいきなり舞い込んできたのは人間探し、しかも探偵志望のバイトまで押しかけてきて…。
クライマックスの大逆転が爽快だった。「わたし」が間に合わなかったことがかえってカタルシスを呼んだ。
野犬のエピソードんとこも、どんな大きさのどんな犬だったか、まったく書かれてなかったおかげでやりすごせました。
シリーズ第一作って感じかな。この面子で別の話を読みたいっす。
追伸:214頁のあなたの信条、むっちゃシンパシーを覚えました。>ハンペーくん


『老人たちの生活と推理』 コリン・ホルト・ソーヤー 創元推理文庫
『老人たちの生活と推理 氷の女王が死んだ』 コリン・ホルト・ソーヤー 創元推理文庫
『老人たちの生活と推理 フクロウは夜ふかしをする』 コリン・ホルト・ソーヤー 創元推理文庫
『老人たちの生活と推理 ピーナッツバター殺人事件』 コリン・ホルト・ソーヤー 創元推理文庫
図書館。
ロスアンジェルス南にある高級老人ホーム≪海の上のカムデン≫を舞台にしたシリーズミステリ。
小柄でパワフル、老人ホームに入ってるのが間違いなんじゃ?なアンジェラが探偵役のすっごい愉しいミステリ。そして読んでてすっごくお腹がへってくるミステリ(犯人はカムデンの料理人シュミット夫人)。
ああ、もっと読みたい〜っっ!!(2007.1)


『バルバラ異界』4巻 萩尾望都 小学館
『楽園まであともうちょっと』3巻 今市子 芳文社


エネアドの3つの枝 女ぎらいの修道士』 樹川さとみ 集英社コバルト文庫
古本購入。
なので、たぶん発売月のこの月には読んでいないがまあいいや。
『それでもあなたに恋をする』では脇役だったララがメイン。(2008.5)


『魔術師ベルガラス1 銀狼の花嫁』
『魔術師ベルガラス2 魔術師の娘』
『魔術師ベルガラス3 王座の血脈』 
デイヴィッド&リー・エディングス(訳:宇佐川晶子) ハヤカワ文庫
新品購入。
ベルガリオン&マロリオン物語のベルガラスが自らの半生(つっても7000年…)を物語る三部作。
でもね、表紙がね、大矢ちきじゃないのよ、ないのよ…。復刊版の表紙の人なのよ…、なのよ……。
ところでリバ王ベルガリオンは魔法使いだが、その妻セ・ネドラは長寿のドリュアドの血をひいてはいるが魔法使いではない。祖父夫妻や伯母夫妻と違って、いつかは死に別れることになるのよね…。あと、ベルガリオンとセ・ネドラの間の子供たちはどうなんだろう? 永遠に死なない王というのはとても気持ち悪いもんだと思うので、時期をみてベルガリオンは王位を譲り、アルダーの谷に隠居して欲しいんですが、年代記の簡単な記述風でいいから、最後にそのへんも記録してほしかったなあ。(2008.5)


『猫丸先輩の空論』 倉知淳 講談社
新品購入。
猫丸シリーズ短編集。
が、おいこら、倉知淳。これ、いまだに最新刊やんけっ。書けよ、小説っ、出せよ、本っ!!(2008.5)



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