本読み月記


【ジャンル分け】 元々日本語で書かれた大人向け小説
元々日本語で書かれたジュブナイル小説。
日本語で書かれた小説以外のもの。

元は外国語で書かれていて、翻訳されたもの。

乙女のためのホモ小説
コミックス

われながら、なんつう荒くたい分け方であることよ。
ええっと、大人向けかジュブナイルかは、出版元の意向そのまんまです。角川スニーカー文庫とか講談社ティーンズハー
ト文庫とかコバルト文庫とかは、どんだけ立派な作品でもジュブナイルに入れてます。逆もそう。

『おまけのこ』 畠中恵 新潮社
妖怪たちの中でも倦まれる特異な妖怪“狐者異こわい”と若だんなが袖擦りあう「こわい」、紅白粉屋の白壁娘お雛の白塗り問題解決編「畳紙」、若だんなと団子屋の栄吉の幼い頃の冒険譚「動く影」、心臓病と判明した禿かむろをその妓楼の楼主のひそかな依頼で吉原の外へ逃すことになる「ありんすこく」、鳴家の大冒険を描いた表題作「おまけのこ」の五編入り。
いつでも足りず、与えられたものを不足に思い、与えた人にかえって恨みを抱く狐者異こわい、ひとつ間違えばじぶんもこういう心理状態に陥りそうな気がして怖かった。お雛ちゃんは前に登場したときこの白塗り問題はスルーされてたのですっきりしたっす。そして表題作、もう鳴家がいじらしくて、かわいくて。長崎屋で今は手代をしている異母兄松之介と若だんなのほっこりしたシーンもあって♪


『シリウスの道』 藤原伊織 文藝春秋
うーん、何が書きたかったんだ、藤原伊織…。
広告会社のシーンは行け行けどんどんだったんです。有能で気心の知れた仲間ががんばるとこが。
ただ主人公の過去部分、明子の父親を実際に殺してたんなら、彼がここまでその頃にこだわるのも納得できたんだけど、殺意はあったけど事故死だし、三人がばらばらで音信不通状態ってのも作為的で、明子が歌手としてTV出演してるのを見て主人公が彼女の消息を知ってたってのもなんだかな。飲み屋で袖擦り合ってた男がたまたま主人公が必要とする裏社会情報に通じてたってのも「カタルシスがご都合をぶっとばす」には全然至ってないし。主人公と明子と勝哉のその後、他に書きようってなかったのかな。


『レフト・アローン』 藤崎慎吾 ハヤカワJA文庫
『クリスタル・サイレンス』のサイボーグ兵士ジロウを主人公にした表題作「レフト・アローン」、視覚認識の研究者が研究サンプルとして脳内にチップを仕込んだ猫がたまたまカルト教団が人質をとって篭城する場所に紛れ込んでしまったため、猫の目を通し猫の脳で処理されてからチップから送られてくるDATAが内部の様子を窺い知る唯一の手段になる「猫の天使」、『クリスタル・サイレンス』の後日談「星に願いを ピノキオ二〇七六」、『ロボット・オペラ』に収録されてた「コスモノーティス」、田中一村を思わせる奄美大島在住の画家と奇妙な隕石の交流がアマチュア天文学者と交わした手紙という形で語られる「星窪」の五編入り。
「猫の天使」、送られてくるDATAを考察するところにわくわくした。が、ほんとに猫って温度変化にこんなにセンシティヴなの? 「星に願いを」はなんだかウェットな結末で、でもそれは短編だったせいで感じたことかもしれなくて、ユキオの生活についてもっとじっくり語られたかったな、という気がする。「コスモノーティス」、『ロボット・オペラ』で読んだときにも思ったが、なんかね、「いたずらラッコのロッコ」なの。長新太の挿絵で読みたい〜〜〜ん。


『ハイドゥナン』上下巻 藤崎慎吾 早川書房
西暦2032年、急激な地殻変動にみまわれた琉球諸島を沈没をなんとか食い止めようとする物語。
共感者(普通は光の反射は視覚で、空気の波動は聴覚や触感で、舌に触れたものは味覚で、感じ取るものだが、たとえば光の反射を視覚だけでなく別の感覚でも感じたりする人のこと)というものについての説明とか、琉球の巫女的存在であるユタ、与那国では物知ち(ムヌチ)、についてのとことかは面白かったんですが、海底での作業んとこ、どうしても具体的にイメージできなかったとこが苦しかった。ハグレ科学者たちもチャーミングだったが、「マッド」「マッド」と五月蝿いとこにちょっとうんざりした。大きさも形も海外旅行用のでっかいトランクな量子コンピューターを製作者が「ポータブル」と言い張るのを仲間たちがしつこくいちびるとことかは好き。


『脱出を待つ者』 ヴォンダ・マッキンタイア サンリオSF文庫
『夢の蛇』は素晴らしかったが『星の海のミッキー』と『太陽の王と月の妖獣』は面白かったがイマイチだったヴォンダ・マッキンタイアのほかの本を調べてみて借りてきた一冊。
最初、ジャン・ヒカルが酒場で知り合った老いた女性航行士の過去がミーシャかと思ったが違った。あの女性航行士はいったいなんのために出てきたのだろう。ミーシャが数学の天才だったところも、判明したあとがなんか不完全燃焼。


『箱はマのつく水の底!』 喬林知 角川ビーンズ文庫
新品購入。
向こう側の話は重苦しかったが、地球側の話で息抜きできた。



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