本読み月記


【ジャンル分け】 元々日本語で書かれた大人向け小説
元々日本語で書かれたジュブナイル小説。
日本語で書かれた小説以外のもの。

元は外国語で書かれていて、翻訳されたもの。

乙女のためのホモ小説
コミックス

われながら、なんつう荒くたい分け方であることよ。
ええっと、大人向けかジュブナイルかは、出版元の意向そのまんまです。角川スニーカー文庫とか講談社ティーンズハート文庫とかコバルト文庫とかは、どんだけ立派な作品でもジュブナイルに入れてます。逆もそう。

『コラプシウム』 ウィル・マッカーシイ ハヤカワSF文庫
天才物理学者ブルーノ・トワジが三度絶体絶命の危機から太陽系を救うロマンチック・ハードSF。
ウィル・マッカーシィ、初めて読んだけど、ハードSF部分と人間ドラマ部分の配分具合がわたしの好みに絶妙に合ってました。キャラの立て方もいいぞ、いいぞ、ウィル・マッカーシィ。
ブルーノがあえて命令系統から切り離して自由気ままにさせたロボットヒューゴーなんかもうたまんなかったっす。ミュウ。
「アナザー・星の王子さま」なトワジの暮らしぶりも楽しかった。トワジの住まいでこうなら、サン・テ・グジュペリの星の王子さま、空気があるのはせいぜい膝まで? 足元と顔のあたりの重力差は? とか考えてしまったよ。そもそもウィル・マッカーシイがその逆、星の王子さま、こりゃ無理だ、人が最低限生きていける星の大きさってどんくらいだ、とか考えて、このトワジの住まいができあがったんだと思うけど。
それにしてもなんで表紙、主役のブルーノじゃなく、その次に重要なタムラ女王でなく、脇役のヴィヴィアンなんだ? つうか裏表紙のあらすじのメインが、なんで脇役のヴィヴィアンなんだ? 謎。


『クリスマス・プレゼント』 ジェフリー・ディーヴァー 文春文庫
ジェフリー・ディーヴァー初の短編集。一編だけライム物があって、それが表題作。
「三角関係」にはやられた。うーん、見事に騙してくれたぜ。あともほぼハズレなしの胸のすく話揃い。エリザベス朝が舞台とちょっと異色な「この世はすべてひとつの舞台」も楽しかったな〜。ディーヴァーの短編、もっと読みたい〜。


『ネクロポリス』上下 恩田陸 朝日新聞社
日本の領土だが、イギリス人が入植して元からいた日本人と融合、島という条件もあって独自の文化を育てた島、アナザー・ヒル。
その島で年に一度一ヶ月だけ、その一年間に死んだ人に生者が会える場所がある。今年もその一ヶ月が始まり、縁ある人を失くした人々がその場所へと向かったのだが、これまでになかった事件が次々に起こり…。
読んでる間はすっごい楽しかったんですが、いま思い返すと不思議なくらい、心に残るものがない…。


『てのひらの迷路』 石田衣良 講談社
講談社のPR誌に毎月読みきり原稿用紙10枚分で二年間連載したものをまとめたもの。つうわけで24編入り。超短編集。
全部に著者による前書き付。ちょろちょろちょっとづつ読むのにものすごく向いた体裁だったため、3編目あたりでついトイレに持ち込み、あとは全部トイレに行くたびちょろちょろ読んだ。
後半の日常雑記と物語があざなえる縄のようになったあたりが、なんか読んでて心地よかった。

『エルデスト 宿命の赤き翼』上下 クリストファー・パオリーニ ソニー・マガジンズ
アメリカの男の子が15、6歳んときに書き始め、書きあがった第一巻を読んだ両親がこら面白いと自費出版、それが評判を呼び、カール・ハイアセンとかの目にとまり、出版社から出版されたら300万部の大ヒット〜っ!!の『エラゴン』の続編。
主人公エラゴンのライダー修業の物語とエラゴンの従兄ローランの物語がかわりべったん進行する。
この帝国、なんか人気が感じられなくて淋しい。村や街を出さなくてもあちこちに村や街があり、それぞれに人が住んでいることが感じられるファンタジーと感じられないファンタジーがあって、わたしは断然前者が好きなのだが、残念ながらこれは後者。人間もエルフもいま衰退しているっていう説明はあったんだけど、このスカスカ感は読んでて物悲しい。
アーガルに対するエラゴンの反感、しかし次の巻でそれを克服していくんだろうな、と予感させてくれるとことかはよかったんだがな。


『ダイヤモンド・エイジ』 ニール・スティーヴンスン 早川書房
株主貴族マグロウ卿が孫娘のために特殊な絵本を発注、担当者のハックワースが自分の娘のために完成したその本をひそかに複製、その複製がチンピラに奪われ、被虐待児童の少女のものとなり、っていう第一部はげっつい面白かったんです。ファン判事とミスパオチャンのトリオの裁判シーンとかも楽しかったし。(芳判事、かっくいい〜♪)
が、第二部からなんか盛りさがりました。なんかねー、わくわくするほうに話が転がっていかなくて。


『運命の息子』上下 ジェフリー・アーチャー 新潮文庫
あらすじ読んで、『カインとアベル』&『ロフノフスキ家の娘』な物語をむっちゃ期待したんですが。
面白くないことはないんだが。あちこちスカっとするシーンもあるんだが。書き込み不足? 時々通常速度に戻しつつも基本は早送りでワンクールのドラマダッシュで見た感じ。


『青空の卵』 坂木司 東京創元社
ミステリ。五編入り。連作。ひきこもり状態に近いプログラマー鳥井が探偵役、中学時代から彼のダチで今も鳥井をなるだけ外へ連れ出そうとするサラリーマン坂木がワトソン役。
うーん、腐女子だ…。ベース部分はほぼホモラブロマンス。ところどころちょっとやりすぎ。
が、ささやかな事件を通じて知り合った人たちがその後も友人として登場するとこは感じがいい。引退した簪職人のじいさんとか、全身ブランドものに固めてるけど中身は気のいいおばちゃんとか、好き〜。


『どんがらがん』 アヴラム・デイヴィッドスン 河出書房新社
16編入りの短編集。気に入った話は「ゴーレム」「物は証言できない」「ラホール駐屯地での出来事」「クィーン・エステル、おうちはどこさ」「尾をつながれた王族」「サシュヴラル」「そして赤い薔薇一輪を忘れずに」「ナポリ」。
あとがきによると著者、エラリー・クイーンのゴーストをしていたんだと、どひゃー。ダネイ→ゴースト→リーという手順でのゴーストだったらしいが、定説では『第八の日』『三角形の第四辺』『真鍮の家』はアヴラム・デイヴィッドソンが噛んでるらしい、この三冊二十五年くらい前からうちの本棚にありまんがな、どひゃー。しかももっと驚いたことに、やっぱり同じ頃からうちにある『盤面の敵』、これはシオドア・スタージョンがゴーストしたらしい、どひゃひゃーっ!!(『真鍮の家』もデイヴィッドスンでなくスタージョンとする説もあるらしい)
あと、あとがきの著者の生涯読んで、なんかすっごい気分が暗くなりました。うーん、若年運しかなかったのね、この人……。


『風の王国 朱玉翠華伝』 毛利志生子・増田メグミ 集英社コバルト文庫
新品購入。
番外編&挿絵担当の増田メグミの漫画入り。
番外編は三編、翠蘭が吐蕃に嫁ぐ前の話が二編と、嫁いだあとの吐蕃の話が一編。


『アグレッサー・シックス』 ウィル・マッカーシイ ハヤカワSF文庫
『コラプシウム』が面白かったので他にもないかウィル・マッカーシイを探したら、これしかなかった。
エイリアンの攻撃を受け、圧倒的に不利な状況の中、思いがけないところに解決の糸口を見つける系の話だが、最後近くまで我慢我慢が続いて、けっこうしんどかった。
あとがきによると、『コラプシウム』の続編がいっぱいあるらしい。早く訳して出して〜〜〜ん。>早川書房さま


『本屋さんでGO2 春に嵐』 角田緑 二見書房


『陽気なギャングの日常と襲撃』 伊坂幸太郎 祥伝社
新品購入。
『陽気なギャングが地球を回す』の続編。演説の達人響野、人間嘘発見器成瀬、正確無比な体内時計をもつ雪子、天才スリの久遠の4人がそれぞれ別の事件に巻き込まれる。が、別々の事件が次第に連鎖し…。という、伊坂お得意で読者大好きな構成のお話。(2008.5)


『カストレーデの皇子』 雨川恵 角川ビーンズ文庫
新品購入。
島流し先の田舎町で襲撃され、ユティは帝都に連れ戻され、アレクは大怪我を負い。(2008.5)


『アスラクライン4 秘密の転校生のヒミツ』 三雲岳斗 電撃文庫
新品購入。
運食らいの悪魔アニアが出てきたのはこの巻だったか〜。(2008.5)



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