本読み月記


【ジャンル分け】 元々日本語で書かれた大人向け小説
元々日本語で書かれたジュブナイル小説。
日本語で書かれた小説以外のもの。

元は外国語で書かれていて、翻訳されたもの。

乙女のためのホモ小説
コミックス

われながら、なんつう荒くたい分け方であることよ。
ええっと、大人向けかジュブナイルかは、出版元の意向そのまんまです。角川スニーカー文庫とか講談社ティーンズハート文庫とかコバルト文庫とかは、どんだけ立派な作品でもジュブナイルに入れてます。逆もそう。

『夢の宮 遥けき恋文』 今野緒雪 集英社コバルト文庫
ひさびさの<夢の宮>新刊。(つってもこのシリーズ、買わずに図書館で読んでるんですが)
いや、上手に騙してもらいました。読み終わったとき多少腑に落ちない部分がありはしましたが(ロアン蓬隻ふせきがやさぐれるところとかな)、いま拾い読み返したら単にわたしが勘違いして腑に落ちなかっただけ。あらためて細かい部分まで見事に辻褄が合っていることに感動〜。


『闇を見つめて』 ジル・チャーチル 創元推理文庫
世界恐慌後のアメリカの小さな村を舞台にした<グレイス&フェイヴァー・シリーズ>の三作目。
二作目くらいまで、「これより主婦探偵ジェーンのシリーズはよ訳せ」とか思ってたんですが、いや、こっちはこっちで面白かったです、文句たれてすいません、東京創元社。どっちでもいいから、アメリカで出てる分、はよ読ませてください、お願いします、東京創元社。
それにしてもマッカーサーやアイゼンハワーが第二次世界大戦前、国内でこんなことやらかしてたなんて、全然知りませんでした〜。てか、第一次世界大戦後、アメリカでこんなことが起きてたなんて、露とも知りませんでした〜。


『メモリー・ドール』 剛しいら 大洋図書
人形ネタのホラーとしてはB級。というかいまいち私の好みではなかった。人形がこれだけバリバリ動き出すってのはモダンホラーだが、筋立て自体は昔ながらの怪談話っぽいってのも、かえって怖くない。挿絵が綺麗な絵だがあまり好きな絵ではない中川勝海ってのもきつかった。
ちなみに人形関係のフィクションでこれまで私が一番ぞくりとしたのは、波津彬子の「雨柳堂」シリーズの雛人形の話、お雛様だけが欠けた雛飾りを仕入れてしまった骨董商がお雛様だけ別に作ろうと人形師に依頼するのだが、どの人形師も口を揃えて「この雛飾りのお雛様は決まっているので、私どもには作れません」と断られるくだり。


『傲慢な愛は台詞にのせて』 いおかいつき プラチナ文庫
これまであまたの浮名を流していた男がこのまま誠実な恋人になるとは到底思えないんですが。そんときゃ本気でも結果的にはつまみ食いして終わり、みたいな遠くない未来が予想されてしまいました…。


『雨が過ぎても』 可南さらさ 幻冬舎リンクスロマンス
身寄りのない男子高校生×それを引き取った義理父の息子。
受けがツンデレ系(使い方間違ってないか? 覚えたての言葉なの。字面はだいぶ前から見てたんだけど、意味を知ったのはつい最近なの)。が、年上受けのくせに、意地の張り方が大人げなくて、なんかどっちにも感情移入できず。


『仇なれども』 剛しいら キャラ文庫
びっくりした。この話がハッピーエンドで終われるとは思わなかった。明治初期の頃が舞台。念兄念弟ものは基本的に苦手なんですが、これはぎりぎりOKっした。今市子の挿絵が美しい。


『アヒルと鴨のコインロッカー』 伊坂幸太郎 東京創元社
これまでのところ、伊坂幸太郎にハズレはないので、一度読みかけて断念したこれにリベンジしてみた。
うーん、、、あんまりすっきりしない仕掛けであった…。結末も、途中の辛い部分を我慢しただけのカタルシスなかったし…。あいつらもっと「死んだほうがまし」な目に遭わせて欲しかったよ〜。
ところでわたしは生犬生猫を陳列しているショップが苦手だ。「こいつら、売れ残ったらどうなるんだろう…」とつい最悪のパターンを想像してしまうせいだと思っていたが、もっと切実な危険を回避していたことに最近気づいた。あのね、ああゆうの見るとね、育ちすぎて売り物になるギリギリの奴、つい「ください」って言ってしまいそうになるのよ〜。なんか自分の担当みたいな気持ちになるのよ〜。


『主婦は一日にして成らず』 青木るえか 角川文庫
かつてほぶらきんというバンドがあった。いま検索してみたら腐るほどヒットした。しかも今では「伝説のロックバンド」らしい。
ああ、今もまぶたに浮かぶ。ご母堂が布の上に息子を寝転がらせて警察が死体をチョークで型取りするような感じでざくざく切ってざくざく縫ったというライオンの衣装に身を包んだボーカル森下太郎(だけど京大生)がステージ狭し(わたしが見たのはたいがい、ステージそのものが狭かったんだが)と踊り歌う姿が…。レコード処分したときになぜか惜しくて手元に残してしまったクラプトンの「いとしのレイラ」やトシちゃんの「哀愁デート」とともにほぶらきんのソノシートも残ってるはずだ。プレイヤーないから聴けないけど。それよりどっかにライブ映像残ってないのか?と思って検索したら、あった…。これ。と思ったら、特典DVD付は売れきれか…。
そのほぶらきんのリーダーの青木氏の奥さんがエッセイストをしてて朝日新聞とかにも書いている、というのを教えてもらい、ののちゃん読んで新刊広告チェックして日曜版だけ読書欄読んであとは木曜日夕刊の三谷幸喜の連載くらいしか読んでなかった朝日新聞こまめにチェックしたら、三谷幸喜と同じ木曜日夕刊に連載していた。最初に読んだのが、洗濯物を干す話であった。洗濯物を干す→雨が降る→干したまま放置し再び晴れて乾くのを待つ→取り入れるのがじゃんくさい→いつしか何枚か物干しから地面に落下→拾う(「ひらう」で変換したら出なかった。そうか、標準語では「ひろう」なのか)のがじゃんくさくて地べたに落ちた洗濯物を見て見ぬふりをする、みたいな、心がじんわりと温まるハートウォーミングなネタであった。
で、それから毎週読むようになったんですが、すでにエッセイ集が出てたのは知りませんでした。教えてくれた友人がこれを貸してくれて初めて知りました。
朝日新聞の夕刊の連載読んでても思ったが、これもやっぱり「上見てもキリないけど下見てもキリないね〜」っす。妹と同じマンションに住んでる「朝の五時から戦闘態勢整えて家の中を掃除しまくる、ある日遅くに帰宅したご亭主が小腹が空いてでもなんか作って台所を汚したら叱られると思いカップ麺を作って食べてきちんと後片付けもして寝たら翌日『流しにしずくが残ってた』と奥さんに叱られた」の奥さんをはるか彼方の雲の上とするなら、青木るえかは二階、いや、一階下を眺め下ろしてる感じ。うちも猫のごはんは出しっぱで猫トイレの砂も散らばってるし猫の抜け毛とわたしの衣類から出た布埃が合体したものがあちこちふわふわ漂ってるけど、きっとここまで酷くない、たぶん。そろそろカーテン洗わなきゃと思い始めて半年くらい経ってるけど、青木るえかよりはましだ、たぶん。埃と油の融合したもので薄くコーティングされてるレンジまわりの掃除涼しくなってからしようと思ってるけど、涼しくなってからでもする気があるだけましだ、きっと、うん。………こんなにやること溜めてたのか、オレ…。(と青木るえか読んで安心するより思わずわが身を省みてしまうって、読み方として間違ってるような…)
それにしても青木氏ってこんな筋の通ったややこしい人だったとは…。


『聖なる暗号』 ビル・ネイピア ハヤカワNV文庫
古書&古地図屋さんがとある文書の解読を請け負ったことから、キリストの十字架の争奪戦に巻き込まれる話。
なんか話がぜんぜん面白いほうに行かない。手記部分もキリストが十字架にかけられてから1600年近く後のもので、面白くなかった。てか、キリストがかけられた十字架の破片が残っててけっこう筋目も正しいもんだからって、木片じゃあなあ。丸ごと残ってても「ほんもんか?」だし、丸ごと残っててもそれに残ってた肉片とか血痕からキリストのDNAほじくりだすくらいまでいかないと面白くないよな〜。


『なんでも屋ナンデモアリ』1、2 菅野彰 ディアプラス文庫
菅野彰にありがちな、面白いんだけど、あちこちちょこっとうっとうしい、んでもってホモ邪魔、これぁなしでいいよ、なお話。
料理の才能のないイタ飯屋の二代目とその幼馴染で元高校球児地元のヒーローでもドラフトでお呼びがかからず今は家業手伝いとピアニストになれなかった元作曲家が傷を舐めあうとこまで行く一巻と、イタ飯屋だった店舗でなんでも屋を始めてからそこにと元作曲家に「元」がつく原因となった男が混ざるまでの二巻。


『顔のない男』 剛しいら キャラ文庫
『顔のない男2 見知らぬ男』 剛しいら キャラ文庫
『顔のない男3 時のない男』 剛しいら キャラ文庫
天才俳優×若手俳優。
演技をさせれば天才だけれどエキセントリックな生い立ちゆえにどこか育ちそこねたというか壊れた男と、仕事に恵まれない若手俳優という、かなり好みのお膳立てだったのだが、映画の撮り方とかがかなりご都合な感じでもったいなかった。でも読み終わってからあちこち大量のアラは気になったものの、読んでる間は楽しかったんす〜。
(名優スペンサー・トレイシーの胡桃割りのエピソードみたいな「演じる技術」なネタも入れて欲しかったな〜)
挿絵は北畠あけ乃。美しい。


『スーツの夜』 剛しいら 心交社ショコラノベルズ
『雛供養』 剛しいら キャラ文庫
『このままでいさせて』 剛しいら キャラ文庫
『タイムリミット』 剛しいら ハイランドラキアノベルズ
『危険な残業手当』 剛しいら ハイランドラキアノベルズ
『ダブル・クラッシュ』 剛しいら リーフノベルズ
『ダブル・クラッシュ2』 剛しいら リーフノベルズ
『恋じゃない』 剛しいら 大洋図書シャイノベルズ
『楽園』 剛しいら 雄飛ノベルズ
出先で間が空き、つい堺市中央図書館に寄ってしまい、書庫にあったのを一気借りしてしまったもの。
『スーツの夜』。幼馴染の資産家の跡取り×テーラーの跡取り。建築現場から拾ってきた青年をスーツを着こなせる男に仕込む「マイ・フェア・ジェントルマン」なとこが面白かった。しかしこの結末なら挿絵のテーラーの主人のビジュアル、もうちょっと考えて欲しかったっす。
『雛供養』。姉弟と姉の恋人の三角関係。設定自体は好きな話だったが、ネタの割にはエキセントリックさが物足りなかった。
『このままでいさせて』。百合じゃん。。。この二人はチューくらいまでで止めといて、タチ側の青年に彼氏を作って欲しかったっす。
『タイムリミット』。ワーカホリックの部長×筋金入りの受けの副社長。濃ゆい。エッチが濃いとかではなく、いや濃かったんだけど、副社長のキャラとか、副社長と元わけありのメキシコ人のキャラとか、濃ゆい。愛はあるけど副社長の欲求に多少食傷、しかも人質にされた副社長を助けるために暗躍したのはいいが、ついでに助けるためにかかる経費まで安上がりになるよう画策してた部長、かっこいい。大人の男。
『危険な残業手当』。『タイムリミット』で脇役だったヒラの社員が主役で受け。正体を隠して強姦するような男とちゃんちゃん♪になるってどうよ?
『ダブル・クラッシュ』1&2。これ好き。かなり好き。特に公平くん、大好き〜。双子の弟の義父やっつけるとこなんか、ほんとスカっとしたわ〜。公平くんのパパも素敵。2に出てくるナイフ使いの美貌で女装の中国人も素敵。
『恋じゃない』。家政夫の整形マニアのキャラがよい。すげーよい。美容整形外科医の母と息子の関係もよい。ディーラーと弁護士が初めてエッチするとこも淡々おずおずという感じがよかった。
『楽園』。攻めの男に感情移入できず。


『色重ね』 剛しいら キャラ文庫
サーファーの青年がこれほど凄い贋作の才能があるってとこがなんか納得いかなかった。


『アコギなのかリッパなのか』 畠中恵 実業之日本社
ノンフィクションみたいなタイトルだが小説。
引退した大物政治家のパシリをしている青年が、親方の弟子政治家たちが持ち込んでくるちょっとした事件を解決するのに奔走させられる連作短編集。
読み終えてみるとなんで親方が政治家じゃなくちゃいけなかったか謎だが、面白かったから、ま、いーや。(おい)


『環蛇銭』 加門七海 講談社
『死弦琴妖變』 加門七海 富士見書房
『科戸の風の天の八重雲』 加門七海 朝日ソノラマ
『おしろい蝶々』 加門七海 角川書店
加門七海はかなり前、たぶん『人丸調伏令』だったと思うが、を読んで口に合わなかったので、それきり読んでなかった。
が、こないだ深夜TVつけっぱにしてたら、「加門七海の魔界探訪」(だったかな?)な番組が始まった。(確か8チャンネル関西テレビ)
加門七海がひたすら喋るだけなわりには面白かったので、つい「加門七海」で検索して、これ発見。いいこと言うな、とつい図書館で例のごとく一気借り。
『環蛇銭』。語り手の男がなんだか人好きのしない奴だった。探索までがたるかったが、八百比丘尼の探索あたりは面白かった。なんだか最後ばたばたと終わったのが残念。(八百比丘尼もので今まで読んだ中で一番好きなのは星野宣之のかぐや姫の話。あれは美しい話であった)
『死弦琴妖變』。吉原で行方不明になった女郎が持っていた謎の琴を幾つかのグループが追う話。四冊読んだ中でこれが一番好き。アコギでタフなばばあの2人組がたまりません。表紙は波津彬子。
『科戸の風の天の八重雲』。戸隠村の民宿に男が訪ねてくるとこは、ほんと、ぞくぞくしたんだけどな〜。けっこう好きなネタなはずなのだが、なんかイマイチ。ぜんぜん行け行けどんどんにならず、だらだら読んだ。
『おしろい蝶々』。短編集。なんか初期の小説JUNEに載ってそうな話揃い。


『砂漠で溺れるわけにはいかない』 ドン・ウィンズロウ 創元推理文庫
ニール・ケアリーシリーズ四作目にしてシリーズ最終巻。
婚約者カレンの「子供が欲しい」攻撃になんとかして逃れようと必死の抵抗を試みていたニールが、往年の名コメディアンをラスベガスから自宅へ連れ帰る任務をおおせつかる話。
往年の名コメディアンが超キュート。彼のガールフレンドもすっごい素敵。幕間にはさまった、保険会社の査定部主事と弁護士が保険金請求についてファックスでやりとりしているうちに互いに興味を持ち始めるくだりも最高。
訳者あとがきがこれまた愉快。
それにしてもいまの日本、翻訳ミステリ読む人って一時期そんなに減ってたの?


『手紙と秘密』 キャロリン・G・ハート ハヤカワ文庫HM
アニーシリーズでもヘンリー・Oシリーズでもない単発作品。
舞台は第二次世界大戦中のアメリカ。新米の新聞記者グレッチェンの隣家の奥さんが殺され、被害者の夫が容疑者として指名手配される。原因は被害者の浮気とされるが、彼女のことをとても好きだったグレッチェンが懸命に彼女の汚名をそそごうとする物語。
ミステリというより、第二次世界大戦中のアメリカの銃後の生活が興味深かった。日本ほど深刻なモノ不足ではないにしろ、アメリカでもいろんなものが配給になってたってのは知らなかった。アメリカでは戦時中でももっと何もかもが普通な状況だと思い込んでいた。
中に一箇所、まるでモンゴメリの短編のようなエピソードがあったのだが、いま探したけどどこだったかわからない〜。


『最遊記RELOAD』7巻 峰倉かずや 一迅社
『鋼の錬金術師』14巻 荒川弘 ガンガンコミックス
『頭文字D』33巻 しげの秀一 講談社



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