本読み月記


【ジャンル分け】 元々日本語で書かれた大人向け小説
元々日本語で書かれたジュブナイル小説。
日本語で書かれた小説以外のもの。

元は外国語で書かれていて、翻訳されたもの。

乙女のためのホモ小説
コミックス

われながら、なんつう荒くたい分け方であることよ。
ええっと、大人向けかジュブナイルかは、出版元の意向そのまんまです。角川スニーカー文庫とか講談社ティーンズハート文庫とかコバルト文庫とかは、どんだけ立派な作品でもジュブナイルに入れてます。逆もそう。

『アインシュタインの世界 天才物理学者に関する60の疑問』 三品隆司 PHP
図書館。
伝記特集から借りてきた。
中学か高校の理科の授業でブラウン運動って習った。「水に花粉を浮かべたらその花粉が小さく震える現象は水の分子が花粉にぶつかることから起きている」と習ったが、現象そのものを発見したのはイギリスの植物学者ブラウン博士だったけど、水の分子がぶつかってるせいだという説はアインシュタインのもんだったんですねー。奇跡の1905年にアインシュタインが発表した三本の論文の1本だったんですねー。そして教科書には「水に浮かべた花粉」とあったが、これ有名な間違いなんだって。正確には花粉そのものではなく「花粉から流れ出た微粒子」なんだって。へーほー。「特殊相対性理論」の「特殊」って「等速度運動についてだけです」って意味での「特殊」だったってのも知りませんでした。へーほー。16歳で親に頼んでドイツ国籍抜いてもらったあとスイス国籍取得するまでの5年間、無国籍だったんだって。へーほー。

というわけで、ものすごくわかりやすく読みやすい本でした。


『紙魚家崩壊』 北村薫 講談社
図書館。
短編集。「溶けていく」は怖い話でした。なぜ彼女がこんな風に壊れたかの根本原因の説明がないとこが特に怖かった。「紙魚家崩壊」も怖かったな。本に限らず、同じ趣味をもってるもの同士が結婚して、それを契機にどっちも持ってたダブリものを処分、その後分かれることになったときのややこしさというのは、筆舌に尽くしがたかろう。「白い朝」はほっこりとした話。「カチカチ山」の真相をさぐる「新釈おとぎばなし」、愉快〜♪ これ大好き〜♪ 


『シンセミア』上下 阿部和重 朝日新聞社
『ニッポニアニッポン』 阿部和重 新潮社

『グランド・フィナーレ』 阿部和重 講談社
図書館。
朝日新聞の日曜版読書欄で『シンセミア』が、なんだったか忘れたけどわたしの好きな本と一緒くたになんかの代表作と紹介されてて、読んでみることにしました。うーん、どれと一緒くたで、どんなジャンルの代表作呼ばわりされてたんだっけ、うーん、うーん。
東北の大きくも小さくもない街が舞台。いろんな人がでてきて、いろんなエピソードが並行して進んでいく。途中何度かだれかけたが、クライマックスは痛快であった。
『ニッポニア・ニッポン』は共感できない主人公が佐渡のトキセンターを襲撃する話。
『グランド・フィナーレ』は表題作の中篇に短編が数本。
どれも可もなく不可もなし。すげー面白いこともなければ、死ぬほど退屈なこともなし。


『黄金の魔女が棲む森』 麻木未穂 徳間書店
図書館。
朝日新聞の広告で知り、タイトルに惹かれて予約した。
四世紀のローマ。テオドシウス帝末期。十八年前異母妹を殺そうとして国を追われて以来、年をとらなくなった魔女シフが主人公。
話の進め方が下手。最初に<死の王ヴォーダン>出てきたとこで早々に読むのが面倒になり、ほとんど飛ばし読みした。結末もなんだかな。


『アスラクライン』6巻 三雲岳斗 電撃文庫
新品購入。
言われてみれば、朱浬さんて確かに部長代理だったが、なんとなく智春の兄ちゃんがほんとの部長と思い込んでいた。直高ってもう卒業してたんだっけ? ありり?
ともあれ、この巻もほんっと愉しかったっす。特に樋口くん、きみは素敵だ。おばさん、しびれちゃった。


『飛ぶのがフライ』 ジル・チャーチル(訳:浅羽莢子) 創元推理文庫
新品購入。
あれは『トリニティ・ブラッド Rage Against the Moons 6 アポカリプス・ナウ』だった。それまで図書館で借りて読んでたのを、つい新刊買いしたら、いきなり著者がおっ死んじまってたのは…。
ほんで『飛ぶのがフライ』である。ジル・チャーチルもこれまで図書館で読んでたのだが、こないだブックオフの100円コーナーでジェーンのシリーズを四冊見つけてしまい、残りも探したら別のブックオフのやっぱり100円コーナーであっさり揃ってしまったので、これは年貢の納め時かと、『飛ぶのがフライ』は新刊で買ったのである。そしたら今度は、ジル・チャーチルは元気らしいが、これまでジェーンのシリーズをずっと訳していた訳者の浅羽莢子さんの訃報が………。あんまりびっくりして「浅羽莢子」で検索してみたら、本人が書かれていたブログがトップでヒットした。この本の後書きによると亡くなられたのは去年の9月18日だが、その一ヶ月ちょい前の8月5日までは更新されてるのよ。木村拓哉のファンだったっつうのもこれで初めて知ったよ、浅羽さん。でも亡くなられたのが去年の9月じゃ、楽しみにしておられた「武士の一分」もご覧になれなかったのね…。
で『飛ぶのがフライ』である。あとがきによると前作『エンドウと平和』が出てから五年二ヶ月である。間にグレイス&フェイヴァー・シリーズが三冊出てるが、なんでこんなに開いたんだろう。ちなみに本国ではさらに六冊巻を重ねている。次巻からは誰の訳だろ。
前作は隣人のシェリイのダンナの招待で一家で出かけたリゾート先で殺人事件に遭遇したジェーン一家&メルだが、今作も地元を離れ、ジェーンとシェリイが子供たちのキャンプの下見会みたいなのでキャンプ地に行きそこで殺人事件に遭遇する話。


『エビアンワンダーREACT』2巻 おがきちか 一迅社
『Landreaall』9巻 おがきちか 一迅社
新品購入。
『エビアンワンダー』のほうは完結編。先斗の正体にはマジびっくりしました。こんなに気持ちよくびっくりさせてくれて、ありがとう、おがきちか。
『Landreaall』、レイ・サークがDXにリド帰国の裏事情を明かして焚き付けるとことかわくわくした〜。ウルファネアに舞台を移すであろう次巻が待ち遠しいよお、待ち遠しいよお。


『天と地の守り人 第一部』 上橋菜穂子 偕成社 
図書館。
ああ、ついに最新刊に到達してしまった…。しかも先月出たばかりの新刊である。『精霊の守り人』からここまでほぼ十年かかってるらしいので、第二部が読めるのは一年先くらいか…。(第一作からリアルタイムで読んでる人からどつかれそうな嘆きだな)
パルサとチャグムはもちろん、タンダやシュガがどうなっていくのかもすごい気にかかる。南から北へ移動した謎のナユグの流れが、サグの状況にどう関わるのかもすげー気にかかる。ああ、早く続き読みたい……。


『十二支の年越』 川端誠 リブロポート
図書館。
絵本。あまりの絵の可愛さにふらふら借りてきてしまった。
もう動物の顔がたまらん。犬も竜も虎も馬も、どれもこれももう、どっか間が抜けてて超愛嬌がある。中でもネズミ好き〜♪ どの頁でもあちゃこちゃわちゃくちゃしてるネズミたまらん〜♪


『12番目のカード』 ジェフリー・ディーヴァー(訳:池田真紀子) 文藝春秋
図書館。
リンカーン・ライムもの。ハーレムに住む女子高校生が宿題のレポートのため博物館で先祖の事件についてのマイクロリーダーを読んでいる最中、見知らぬ男に襲われる。とっさの機転で難を逃れるが、女子高校生を狙った強姦未遂犯と思われた犯人は実は何者かに雇われたプロの暗殺者だった。
女子高校生が狙われた原因は想像した通りだったが、うーん、この犯人がこのためにわざわざプロの暗殺者雇うってのがちょっと納得いかない。何度かあるどんでん返しもところどころ納得いかない。今回も『悪魔の涙』のキンケイドが電話で客演だったが、犯人がミスリーディングしたかったまんまの分析をするキンケイドってどうよ? てか、今回の物語の焦点と思われた殺し屋の退場がちょっと早すぎね?
とまあイマイチだったんですが、セリットーが立ち直るとこはよかったな。トムもあいかわらずいい奴だし、デルレイも美味しい場面あったし、新人おまわりもいい奴だったし。
ところでこれのどこかに「出生斑」って言葉が出てきたんです。初めてみる言葉だったのであとでググってみたところ、四件しかヒットしなかったの。漢字間違えたかと思って確認しようと探したけど見つからない〜。試しに「出生痣」でググってみたけど、今度も四件。しかも四件中三件は中国語〜。なんなんだろ、「出生斑」。


『YEBISUセレブリティーズ』1 岩本薫 ビブロス
『YEBISUセレブリティーズ』2 岩本薫 ビブロス
『YEBISUセレブリティーズ』3 岩本薫 ビブロス
『YEBISUセレブリティーズ』4 岩本薫 リブレ出版
N塚長姉から借りた。
ケツが痒くなるような都会のハイソなデザイン業界リーマンモノ。
まず1巻、受けの益永和実の境遇時点、人付き合いが超苦手だから就職せずに一人で仕事するつもりだった、というとこではや、こいつバッカじゃねえの?と。どうやって営業する気だったんだ? 仕事が自発的にてめえんとこにとことこ「ハ〜イ♪」ってやってくるとでも? で、こおゆうアホタレが同僚の超いい男にひそかに思いを寄せられてたという常道に、ケッ、つきあってらんねえぜ、と一巻斜め読み。
気持ちがかなり盛り下がったものの、とりあえず一通り目を通してからN塚長姉に返そうと思い、2巻に入る。そしたら別のカップルの話。1巻のカップルがオフィスラブ中のデザイン事務所のクライアントであるイタリアの家具屋のイタリア人支社長×デザイン事務所一階のオープンカフェのチーフギャルソン。こっちのほうはまあまし。ちなみにこの2巻で一番好きなとこは、チーフギャルソンに振られること98回目のイタ公支社長に1巻の攻めが「(チャレンジチャンスは)あと3回か…」といたぶるところ。

2、3巻前半がイタ公×過去ありギャルソンで、後半それぞれ1巻カップルのいちゃいちゃ編。で、4巻が1巻カップル波乱編。最後までこの益永という奴を好きになれず。


『のだめカンタービレ』1〜16巻 二ノ宮知子 講談社
かよから借りた。
ニノ宮知子の漫画って、かよが買ってきた猫漫画雑誌に載ってたすげー猫相の悪いアメショとの生活実録漫画二本しか読んだことがなかった。が、これすげー面白かったのよ。
で、『のだめカンタービレ』ですが、日記に書いたとおり、ホモロマンス小説界で一斉を風靡した『富士見二丁目交響楽団』の男女ロマンス版かと思ってたんです。犯人はたぶん、指揮棒振ってる千秋のビジュアルのせい。(千秋のビジュアルといえば、巻を重ねていくうちに、ロイ・マスタングに似ていったな…)
とにもかくにもドラマが面白かったので、ドラマが終わるまではじっと我慢〜、してたのに、終わって「さ、借りて読むぞ〜っっ」しようとしたら、かよの友だちに先越されてて、待った、待ったわ、帰ってくるのを〜。
ほんでとにもかくにもドラマが面白すぎたので、原作はどうかな〜と思ったんですが。

すんげー面白かったっっっ!!!

ドラマ化された部分はドラマのほうが面白かったんですが、脚本化する時点で切った部分、中でも千秋の叔父さん一家んとこがすげー面白かった。叔父さんに従弟に従妹、いいキャラだったわ〜♪ ドラマ化されてない留学編なんかもう、行け行けどんどん♪ これもあのキャストで見たいけど、これは無理だわな〜。パリだもんな〜。


『のだめカンタービレ』が原作も面白かったという話をN塚長姉にしたところ、あのアマ、鼻でせせら笑いやがって、
「たまには、原作読まんと映画とかドラマとか先に観るのんも暴れんでええやろ〜」って。
む〜か〜つ〜く〜〜。
確かにアニメ版「ゲド戦記」観に行ったとき、場内明るくなった途端、あんたとRP祐子に憤懣爆発させたけど、あれを最初に読んだんは十数年(だっけ? 二十年以上になるか?)やんけ。映画化されるからてわざわざ読んだわけちゃうやんけっ。
それに「ダ・ヴィンチ・コード」だって、読んだん映画化の「え」の字もない頃やんけー。朝日新聞の読書欄で紹介されてて、他の本で紹介されてた『血と薔薇の聖杯』かと思うて読んでしもたんやんけ。それにあれ観たときは暴れへんかったやん〜。「あらすじ全力疾走やったけど、あの原作をこんだけ主筋見失わんと二時間半の映画にしよったな〜」て褒めたやん〜。「ナルニア」でも暴れへんかったぞ。あれはそもそも原作そんな好きちゃうし。「ハリポタ」も読み癖ついてるせいでたいがい映画より前に原作読んでしもてるけど、あれでもまだ暴れたことないやん。
ほんで「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」は場内明るなった途端、「これはあかんやろ〜っっ!!」て叫んだけど、あんときわたしまだ『指輪物語』読んでへんかったやん。あれは原作読んで、映画で暴れた自分を褒めてやりたくなったよ。
はっきり言って、映画化されるというのを知ってからわざわざ読んだんは、『エラゴン』だけです。あれも読んどいてよかったもん。途中でトイレ行きたくなったんだけど、「あかん、ここではあかん」と思いとどまったおかげで、ジェレミー・アイアンズの死に目を見逃さずにすんだんだもん。ほんで暴れてへんやん。赤ちゃんサフィラ可愛かったな〜って機嫌よかったやん。
よしながふみの『西洋骨董洋菓子店』のドラマ版にはあんたも暴れてやがったくせによ〜。
ところで先日知ったんですが。
ジュースキントの『香水 ある人殺しの物語』がついに映画化されてしまったんですね…。
この小説、好きなの。すげー好きなの。年に一度は読みかえしてんの。読んで以来、マイ・ベスト10から外れたことがないくらい、好きなんす〜。
邦題は「パフューム ある人殺しの物語」。日本オフィシャルサイトはここ
グルヌイユ役は知らない俳優だが、バルディーニがダスティン・ホフマンか。監督は「ラン・ローラ・ラン」のトム・ティクヴァだが、観てないのよ、「ラン・ローラ・ラン」。他のも全然観てないのよ。
さて、どうなるか、どきどき。場内が明るくなった途端、暴れずにすみますように、すみますように……。


『OL進化論』26巻 秋月りす 講談社
新品購入。
本棚を詰めなおしてたのだが、コミックスを終了し、小説類のハードカバーに差し掛かったところで停滞している。停滞している上に、ここまでは完璧だと思っていたのに、N塚長姉にOL進化論を十数冊貸してたことが判明。。。「おかしいな、秋月りす、もっとあったような気がしたんだがな。ま、いーか」と他の四コマ大判コミックスもろとも一つの段に突っ込んじゃったよ〜。十数冊なんて入らないよ〜。詰めなおしだよ〜。

秋月りすの四コマって、日常のほっこりした笑いに見せかけながら、ところどころ超鋭い分析や突っ込みがあるよな。


『主婦と恋愛』 藤野千夜 小学館
図書館。
主人公チエミは専業主婦。ダンナは高校教師。この夫婦とひょんなことからそれぞれ知り合った男と若い女の子四人の、日本でワールドカップが開催された一ヶ月間の夏の出来事。
語り口はいつもの藤野千夜だったのだが、なんかわからんがハラハラドキドキさせられ、それがわたしの苦手なタイプのハラハラドキドキだったため、途中読んでてしんどかったっす。チエミのダンナはなんともいえない可愛げがあったな。ワカナちゃんも。


『準回収士ルシア 世界は美しく、人の心は醜い。』 岡田剛 徳間ノベルス
図書館。
未来。地球の水は汚染され、海や川の水に触れたり摂取したりすると、人体は結晶化する。という時点で、「お、『猫のゆりかご』〜」と思ったのは、わたしだけではなかろう。カート・ヴォネガットJr.の小説なんだけど、「アイス・ナイン」つう常温で結晶化する人為的に作られた水が海に投下されてしまうことにより、海につながっていた地上の水すべてが「アイス・ナイン」化、常温で結晶してしまうのである。『タイタンの妖女』『プレイヤー・ピアノ』『ローズウォーターさん、あんたに神のお恵みを』と並んで、ぐっちゃぐちゃの気持ちにさせられた本であった。
が、この本の中では水は常温では凍らず、人を結晶化させるだけだ。(動物については言及されてなかった。確か) 人は汚染されていない内陸部の水をリサイクルして生きている。
主人公ルシアは結晶化した人体から記憶を回収する準回収士(正回収士のユリウス曰く「左目の神経を回収鏡に繋いだキチガイ」)。彼女は回収の旅の途中、エギンという名のラクル教徒(結晶化を神秘体験と考える新興宗教)と知り合い、ともにテレホートという街に向かう。ルシアが連れ歩く謎の相棒シャガ。テロリストアミタイを追うユリウスとパンピルスの正回収士コンビ。テレホートに住む、時折黒社会の仕事を請け負う美貌の看護婦スージーと壊水症をわずらうその妹サラ。
すっげえクール!! 好き。やっぱこの人の文章、すっげえ好きっ!! が、結末でいったい何がどうなってんのか混乱させられたのも前作と同じ。うーん、わたしの頭が悪いのか? ともあれ、読ませろ〜っっ!! もっと読ませろ〜〜っっっ!!!



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