本読み月記


【ジャンル分け】 最初から日本語で書かれた小説。
最初から日本語で書かれた小説以外。
日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。

日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。

コミックス

今月より、ジャンル分け変更。

『塩の街』 有川浩 電撃文庫
図書館。
『図書館戦争』の有川浩のデビュー作。
旧約聖書のソドムとゴモラの逸話のごとく、隕石の落下とともに大勢の人が塩の結晶に姿を変える。無政府状態の塩まみれの東京。そのかたすみで静かに暮らす男と少女のもとに、ひとりの男が現れる。
そんなでけー隕石が落ちてきたら、塩害よりもっと深刻な物理的被害が出てるのでは?という疑問は、後半で解決されました。2人の前に現れる紙一重の天才入江のキャラが秀逸。


『彩雲国物語 青嵐にゆれる月草』 雪乃紗衣 角川ビーンズ文庫
新品購入。
秀麗は御史台に、絳攸と楸瑛は劉輝のそばになく、後宮には藍家の十三姫が。珠翠もなんかあやういことに。
うーうーうー、早く続き読みたい〜。劉輝藍州編が読みたい〜。それにしても劉輝の恋は最後には実るのか? 実るとしてもどう実らせるんだ?


『人はなぜ老いるのか 老化の生物学』 レオナード・ヘイフリック(翻訳:今西二郎、穂北久美子) 三田出版会
図書館。
「体細胞組織から取り出した細胞には分裂回数に制限があり、それを越えると細胞は増殖を停止する」ヘイフリック限界の発見者が老化についてあれこれ書いた本。
たるいところも多くてけっこうすっ飛ばした。すっ飛ばさずに読んでへーほーしたのは、老化しない動物がいること。チョウザメ、フカ、アメリカワニ、ガラパゴスガメ、ヌマガレイ、ツノガレイとかって、老化しないんだって。「それらの動物が老化するとすれば、その老化は、納得いくようには証明できないほどの遅い速度で起こるのである。これらの動物は無制限の大きさまで増大する」(58頁)だって、ひょえー。あと、代謝率が低いほうが長生きするってのはヒト以外の老化する動物で、ヒトだけは例外なんだって。代謝の低いわたしなんか(二酸化炭素の排出量の少ない、別名「地球に優しい女」)、どんだけ長生きするかと心配してたんだが、杞憂であったか。あと、434頁の「プロカイン療法」(ルーマニア人医師故アナ・アスラン推奨のジェロヴァイタルという化合物を摂取するアンチエイジング法)とか、456頁、自らを実験台に寿命を延ばすためにカロリー制限食を実践しているロイ・ウォルフォード博士の話とか、初耳でした。が、検索してみたら、どっちもわんさかヒットしました、どひゃー。(※「プロカイン療法」は「該当するページ見当たらず」、「ジェロヴァイタル」だとわんさか。うわ、買えるよ、売ってるよ)
ちなみにこの本、訳がちょい悪文。


『魔女の死んだ家』 篠田真由美 講談社
図書館。
三部構成。「魔女」の娘の回想→関係者の聞き取り調査→解決編。
この「魔女」がいったい何がしたかったのか、いまいちよくわかんないというか、源さんの証言から現れるきちんと己の美意識もっている女性が、安っぽい取り巻きはべらせてちゃらちゃらしてたってのが納得いかず。「魔女」の娘についての真相は、服部まゆみの「この光と闇」を安っぽくした感じだった。解決編に登場する探偵役は、明記されていないが桜井京介。
挿絵は波津彬子。


『窓際の死神』 柴田よしき 双葉社
図書館。
死の近い人の近くに現れる「死神」。なんの問題もなければ「死神」は誰にも気づかれず死期を迎えた者を冥府に送り出すだけだが、近い未来が不確定に揺らいでいたりすると干渉のために姿を現すことがあり、また感受性のすこぶる鋭い人には望まず認識されたりする。
片思いの相手が婚約し、その婚約者の死を望みたくないのに望んでしまう女性と、小説家志望の女性の話の二編。幕間に母の死が近い少年と昔話を絡めた挿話。
舌きり雀についてはとっても同感っす。


『激アルバイター・美波の事件簿2 龍の館の秘密』 谷原秋桜子 富士見ミステリー文庫
図書館。
ときどき東京創元社のオフィシャルで最近の新刊をチェックして、面白そうなのを見つけたら図書館に予約、図書館にまだ入ってなかったらその作家の既刊を押さえてみたりする(東京創元社の最近の新刊は三ヶ月前くらい分までが一気に見られて見やすい。見習え、早川)。この作家もそれで見つけ、既刊のこれを軽い気持ちで予約をかけたのだが、あるべき場所で見つからない行方不明本だったため、わざわざ他市の図書館から取り寄せしてくれたのだった。こんなん初めて、どひゃー。
これはシリーズ第二作で、母と2人暮らし、スペインで失踪した父を探しに行く旅費を稼ぐためアルバイトに精を出す高校生美波が、どうやら第一作目でもろくでもないバイトを紹介してくれた武熊さんという知り合いから、またもやろくでもないバイトを紹介され、事件に巻き込まれる話。
フツーに面白かった。


『太陽の刃、海の夢』 柴田よしき 祥伝社
図書館。
カタルシス後の世界。地下の秩序だった女ばかりの世界と、地上の僻村のエピソードが、交互に語られ、やがて地下はクーデターにより、地上は略奪者の襲来により、地下と地上のつながりが明らかにされる。

エネルギー問題の解決がやっぱり世界平和への第一歩かな、と。


『必笑小咄のテクニック』 米原万里 集英社新書
図書館。
世界のいろんな小咄を、笑いをさそうための仕掛け別に解説したもの。
解説部分がけっこううざかった。(万里さん、ごめんなさい)
 何かといえば小泉首相およびアメリカ&日本政府への批判へと向かうところもうざかった。(万里さん、ごめんなさい)


『ダナエ』 藤原伊織 文藝春秋
図書館。
中編集。表題作と「まぼろしの虹」「水母」の三編入り。

タイトルにかなりわくわく楽しみにしてたのだが……………。


『ワーホリ任侠伝』 ヴァシイ章絵 講談社
図書館。
大学時代は遊び人だったOLが、ヤクザの息子と恋に落ち、彼氏を跡目抗争で殺され、デリヘル嬢となり、そのせいで彼氏を殺した側に追われる羽目になってニュージーランドに渡り、そこでデリヘル業を始め、そのせいで彼氏を殺した側の陣営と揉めてる外国ヤクザと関わりになってしまい…。
できそこないの岡崎京子?


『アーサー王と円卓の騎士』 ローズマリ・サトクリフ(訳:山本史郎) 原書房
図書館。
市内他館へ返す本の棚にひょっこりあった。『ベオウルフ』の人じゃん、と思って借りてきた。
三部作の第一作であった。この後に『アーサー王と聖杯の物語』『アーサー王最後の戦い』が続くらしい。
これはアーサーが生まれる前の事情とアーサーが生まれてから王位につくまで、および円卓の騎士たちの冒険譚。
アーサー王が生まれるときの事情については、「エクスカリバー」で見た。アーサーの父親ウーゼル役がガブリエル・バーンだったので、わざわざ戎橋のTSUTAYAまで借りに行って見た。1981年のイギリス映画で、それまでに見たガブリエル・バーン出演作で一番古いのが1985年の「ダウニング街の陰謀」だったから、「うわ、さらに若いガブリエル・バーンが見られるんや〜」とわくわくどきどきしてたのに、「ダウニング街の陰謀」とあんまり顔が変わってなかった。よくよく考えてみれば、ガブリエル・バーンは1950年生まれだから、「エクスカリバー」で31歳、「ダウニング街の陰謀」で35歳。30歳越えたらそらしばらく顔は変わらんわ。1990年の「ミラーズ・クロッシング」くらいまではほぼ変化なし。ちなみにこの映画、ガブリエル・バーンが退場したあとのことはほとんど覚えていねー。ちなみにこれまでに見た中で一番面白かったアーサーものはマーリンを主役にしたTVM「エクスカリバー 聖杯伝説」である。マーリンがサム・ニールで、アーサーの異父姉モルガンがヘレナ・ボナム・カーター、他にもルトガー・ハウアーやジョン・ギールグッド、イザベラ・ロッセリーニにマーティン・ショート、ミランダ・リチャードソンまで出演の、SFXも衣裳も美しいTVドラマとも思えぬゴージャスなドラマであった。
話をサトクリフの本に戻すと、すっげー面白いわけでもなく、だらだらだらだら読んでしまったが、あとがきで色々目から鱗。ブリテンからローマが撤退したのが5世紀初め頃、つうからAD400年を過ぎた頃。って、あらら、中断しつつちみちみ読んでる『ローマ人の物語]X ローマ世界の終焉』がどんぴしゃりこのへんたれやがな。で、アーサー王伝説って、このローマが撤退したあとの混乱期が舞台というか、この頃にあった出来事としての伝説だったんすねー。ほんでもって、イギリスといえば人種的にはアングロサクソンと思ってたけど、アングロサクソンはローマの撤退によって入り込んできた侵略者で、ローマ駐在の頃はケルト人がメイン人種だったのねー。ほんでイギリス、この頃の出来事って記録とか殆ど残ってないんだってねー。
いや勉強になったっす。思わずウィキペディアに「イギリス」および「イギリスの歴史」読みに行ってさらに勉強になったっす、おす。


『少年検閲官』 北山猛邦 東京創元社
図書館。
これまた東京創元社のオフィシャルの「新刊案内ここ3か月分」で見つけた。
これまたカタルシス後の世界。父に先立たれ天涯孤独となった英国人少年が、日本の閉鎖的な山辺の街で、首なし死体事件に出くわし、書物を検閲する検閲官、しかもミステリを専門とする少年検閲官エノと知り合う。
メタの匂いがそこかしこにぷんぷんしているが、ぎりぎりのところで踏みとどまっているのは好感が持てた。もてたが、この結末はな……。ちょっと笑ったな……。


『最後のウィネベーゴ』 コニー・ウィリス(訳:大森望) 河出書房新社
図書館。
中編集。「女王様でも」「タイムアウト」「スパイス・ポグロム」&表題作。

大当たり〜♪♪♪

最後の表題作でちょっと盛り下がったが、子宮にできた悪性腫瘍を縮小させるために開発されたアムネロールから子宮内壁を吸収するという思わぬ副作用が見つかり、それの服用が一般化したおかげで女性たちが生理から解放された未来、自然な生理周期を取り戻そうとする結社に娘が入社しようとしたことから起こる家族争議「女王様でも」も、現在子転移なるある種のタイムマシン実験プロジェクトを描いた「タイムアウト」、エイリアンとのコミュニケーションものの「スパイス・ポグロム」も、どれもむっちゃばりくそ愉快♪


『チキタ★GUGU』7 TONO 朝日ソノラマ
新品購入。
ついにラー・ラム・デラルの出自が明らかにされ、クライマックスに突入。
が、5巻6巻のできごとをほとんど覚えておらず、「ダムダム・グーグーって誰? オルグってなんで復活したんだっけ?」と首を傾げて最初読み、その後1巻から読み返してやっと合点がいく…。


『犬の王 GOD OF DOG』 石原理 リブレ出版
新品購入。
『カリスマ』のサイドストーリーであった。しまった、あれは古本一気買いしたもんの、一気読みしてすぐ売り飛ばしてしまったのだった。内容なんか覚えちゃいねー。買いなおして読み返さなくちゃ…。


『誰も寝てはならぬ』6 サライネス 講談社
新品購入。
やる、リモコンが効きにくくなったとき、電池の蓋開けて電池くるくる回すの、やる。やったらほんとに生き返ったりする〜。が、映りの悪いTVを叩くのは長いことしていない。あ、ラジオはこないだ叩いたな。おかんからがめた携帯ラジオの電源が入らなかったとき。N塚末弟の指摘で電池逆に入れてたことが判明して、ちゃんとはめなおしたらフツーに動いたけど。ちなみに外国映画で調子の悪いTVやラジオを叩く人を見ると、なんであんなに嬉しくなるんだろう。フランス人も叩いてた。メキシコ人も叩いてた。イタリア人も叩いてた。あと、アルメニア人も叩いてたっけ? あり、ギリシャ系トルコ人だっけ?




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