本読み月記


【ジャンル分け】 最初から日本語で書かれた小説。
最初から日本語で書かれた小説以外。
日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。

日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。

コミックス

先月より、ジャンル分け変更。
が、変更した本人が、いまだに新色に慣れない…。

『アルテミスファウル オパールの策略』 オーエン・コルファー 角川書店
図書館。
シリーズ第四作。前作でLEPに逮捕されたオパール・コボイが収容先から脱走、彼女を捕まえたホリーやルート司令官、ケンタウロスのフォーリーやアルテミス・ファウル&バトラーに復讐を企てる。
序盤でとてもとても悲しいことが起きる。うううう、「実は難を逃れて」いてほしかったわ、ジュリアス……。
ところで映画化だが、監督が決まったらしい。「父の祈りを」や「マイ・レフトフット」や「イン・アメリカ 三つの小さな願いごと」のジム・シェリダン。わたしが観たことあるのは「イン・アメリカ」と脚本だけやった「白馬の祈り」だけだが、どっちも好きな映画
だが、ほんとに『アルテミスファウル』みたいなCGアクション活劇が録れるのか、録れるのか、ジム・シェリダン…。 


『日本語に主語はいらない』 金谷武洋 講談社
『日本語文法の謎を解く』 金谷武洋 ちくま新書
『英語にも主語はなかった』 金谷武洋 講談社
図書館。
三冊いっぺんに借りてきた。というか、これた。なぜだ? 『主語を抹殺した男 評伝三上章』は予約で相当待ったのに、なぜあれを読んだ人たちが次にこっちを借りてかなかったのだ? 不思議…。
で、ケベックの大学で日本語を教えている著者が『主語を抹殺した男 評伝三上章』以前に書いた三部作なんですが。


面白かったぁっっ!!

ものすごく読みやすく、わかりやすい。またいろんな本やTV番組等からの引用があり、関係する諸問題の明快なガイドブックにもなっている。
川端康成の「雪国」の英訳文のとことか、「ある言語、する言語」、自他動詞のとことかも、興奮したっす。
英語文法の変遷もすげー愉快。
古英語や中英語では、He said. の疑問形は Said he? でOKだったんだって、へ〜。それが「する言語」として進化したせいで「Do」がのさばることになり、Did he say? になっちゃったんだって、へー。
単語の順番も、昔は述語が最後にきたりしてたんだって。ほんで名詞が語尾変化することで、いわゆる日本語の助詞みたいな役割してたんだって、へーへー。
日本語に時制はない、という断定も気持ちよかったなー。
ただ、日本語を「虫の視点」として捉えるのはともかく、「神の視点」「神の視点」とうるさかったのはうざかった。「主観型」「俯瞰型」でいいと思うんだが。
(いま「俯瞰」の反対語を調べようと思ってひさしぶりに「岩波国語辞典」をひいたが載ってない。「広辞苑」はみつからない。「俯瞰」の反対語ってなに?)
あと、英語で考えしゃべることは人を攻撃的にする、という意見にはいまいち賛成できなかったが(だって、わたしが好きな英語母国語作家で穏やかっぽい人いっぱいいるもん)、銃で人を殺すこととナイフで人を殺すことの違いなどはわたしもずっと同じこと思ってたし(車と銃は単に愚鈍なだけで人を殺せる点でものすごく似ている)、いろんな事実をまず自分の理解できる状況に置き換えて理解しようとすることにはむっちゃ共感できます。わたしもよくします。でも人に言うと、「それとこれを一緒くたにすな」と怒られたりします。


『ドリームバスター4』 宮部みゆき 徳間書店
新品購入。
時間鉱山編続き。鉱山で出会った三人の日本人をぶじ地球に戻すため、シェンとマエストロが奮闘する話。
ドレクスラー博士がものすごくいい味を出している。
最後にドンデン返し。
5巻はまた二年後くらいかなー。


『空の中』 有川浩 メディアワークス
図書館。
高度2万メートルの上空で、相次いで2つの航空事故が起きる。その2度目の事故で父を失った高校生の息子は、直後、奇妙な生き物を拾う。水棲動物だと思ったそれは、ある日空を飛び、携帯電話を使って彼に接触してくる。同じ頃、女性自衛官と航空機会社から自衛隊に派遣された調査員は、高度2万メートルで謎の生物と遭遇する。
面白いっ!! 父を亡くした高校生と彼を取り巻く人たちもいいし、自衛官と調査員もよい。テクノロジーの発達によって空中を飛び交うようになった電波から言葉を学んだ生物、という設定を見事に生かした会話がすごい。人間のあさはかな攻撃によってばらばらに分裂してしまった生物と調査員の折衝シーンは圧巻であった。


『デカルトの暗号手稿』 アミール・D・アクゼル 早川書房
図書館。
デカルトの生涯についてはそんなに面白くはなかったが、デカルトの死後、彼が残した謎の手稿をライプニッツが探す序章、およびデカルトの誕生から死までが語られたあとに、ライプニッツのネタに戻り、1987年にピエール・コスターベルが手稿に記された謎を突き止めるまでの推移が、げっついスリリングであった。ところでわたしは微分積分を発明した犯人をニュートンひとりと思っていたが、ライプニッツも同罪だったのね。同じ頃、別経路で、発明しちゃってたのね。あと、大学の「哲学概論」の講義で習った懐疑主義についての反論ってデカルトによるもんだったのね。 「『私は存在する』という断定は、それを断言したり心の中で考えたりする限り、必ず正しいと認めなければならない」(『省察』より)というデカルトの言葉は、実に明快で美しい。


『Landreaall』10 おがきちか 一迅社
『最遊記RELOAD』8 峰倉かずや 一迅社
『フラワー・オブ・ライフ』4 よしながふみ
『ピーチツアー』 遠藤淑子 祥伝社
『千利休』 清原なつの 本の雑誌社
『盗賊の水さし』 今市子 集英社
『グリムのような物語 スノウホワイト』 諸星大二郎 東京創元社
『グリムのような物語 トゥルーデおばさん』 諸星大二郎 朝日ソノラマ
『私家版鳥類図譜』 諸星大二郎 講談社
『私家版魚類図譜』 諸星大二郎 講談社
全部新品購入。
諸星大二郎は知らない間に4冊も出ていた。うれしいわ、財布が痛いわ…。
清原なつのも知らない間に出ていた。コミックスなのに1700円、あいたたたた…。でもすげー面白かった。


『つばき、時跳び』 梶尾真治 平凡社
図書館。
ずっと無人だった祖父の家に暮らし始めた駆け出しの歴史作家は、その家の女たちだけが見ることがあるという幽霊を見てしまう。家の中をダウジングしてみた作家は、天井裏に奇妙な仕掛けを発見する。
序盤がもうぐいぐいとで、やめられない、とまらない〜。まるごと面白かったが、序盤の吸引力は強烈だった。
が、時間遡行ものとしては、結末に少し物足りなさあり。こういう結末になるんなら、そのときにはたとひざを打つような伏線が一本くらいはほしかった。


『みぃつけた』 畠中恵 絵:柴田ゆう 新潮社
図書館。
長崎屋の話の新刊かと思って予約してたら、若旦那のご幼少の頃、家鳴りたちとの出会いを描いた絵本であった。


『名もなき毒』 宮部みゆき 幻冬舎
図書館。
『誰か』の続編。原田いずみというキャラクターの強烈さ怖さに引きずられるように読んだ。ほんと怖かった。読んだのはこれ書いてる一週間くらい前だが、本筋の事件は中をぱらぱらしないと思い出せなかった。あー、怖かった…。特に兄の結婚式でのできごとが強烈に心に焼き付いている。なぜなら編集長と同様、わたしも「ひょっとして…」と思ってしまったからだ。


『イシュターナの祝鐘』 雨川恵 角川ビーンズ文庫
新品購入。
完結編。異母兄弟の数ヶ月ぶり再会シーンが胸にしみました。特におにいちゃんが癇癪起こすとこが。




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