本読み月記


【ジャンル分け】 最初から日本語で書かれた小説。
最初から日本語で書かれた小説以外。
日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。

日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。

コミックス


『ヒストリアン』1、2 エリザベス・コストヴァ(訳:高瀬素子) NHK出版
図書館。
父と2人暮らしの娘がベースの語り手。父は元は歴史科の学生だった。父の書斎でみつけた書簡をきっかけに、娘は父に父の過去についての話をねだり、学生時代、奇妙な本を入手したこと、その後すぐの指導教授の失踪事件が次第に明らかにされていくが、父の失踪により娘はオクスフォードの学生とともに父の跡を追うことになる。
ちょびちょび小出しに過去の因縁が語られる1部は、すげー退屈。もうちょっとで投げ出しそうになった。2部になり、娘の追跡およびその過程でみつかった父の文書からは多少行け行けどんどんとなった。
で、ヴラド・ドラキュラ=吸血鬼ものなんですが、史実上の彼と「あの町をください」のマホメッド2世の生年〜没年がほぼ重なってる(wikiによると、ヴラド・ドラキュラ:1431-1476、マホメッド2世1432-1481.へーほー)に目をつけたところが目新しかったな。(この本の中での表記はマホメッド2世→メフメト2世)
最後の思いがけない再会が、喜びいっぱいの大団円でなく、ものがなしいトーンだったとこも渋かったな。
ところで2の140頁あたりですが、「伯母」がところどころ「叔母」になってます。単なる校正ミスなのか、それとも「伯母」と「叔母」の違いについて、なんかけったいな思い違いをしていたせいか(※)は不明ですが。>NHK出版どの
(※これまで読んだ本の中に、父方が「伯父」「伯母」、母方が「叔父」「叔母」だと思い込んでるのもあったもんで)
(父方でも母方でも、彼らの兄姉は「伯父」「伯母」、彼らの弟妹は「叔父」「叔母」)


『うそうそ』 畠中恵 新潮社
図書館。
長崎屋の若旦那シリーズ。
1冊でひとつの話の長編。江戸で地震が続くさなか、若旦那は箱根に湯治に行くことになる。小田原までは船、その後陸路の予定が、船に乗ってすぐ、若旦那の2人のにいやが姿を消す。
あちこちなんか歯がゆい話であった。


『死よりも悪い運命』 カート・ヴォネガット(訳:浅倉久志) 早川書房
図書館。
今年亡くなったカート・ヴォネガットの、本国では1991年に発行されたエッセイ集。日本では1993年発行されていたが、知らなかった。朝日新聞の読書欄でこういうのがとっくに出てたのを知り、調べてみたらかかりつけの中図書館の書庫にあったので借りてきた。
なんか、かたっぱしから突っ込んでみました、なエッセイ集。いろんなとこでした講演を文章に起こしたものもひょこひょこ入っている。あと、第二次世界大戦に従軍していたヴォネガットが、連合国側のドレスデン無差別空襲時、ドレスデンの捕虜収容所にいたことも繰り返し語られる。
この本の中で一番好きなとこは、9頁の「問 あなたにとって完全な幸福とは? 答 天のだれかさんがこの世界を気に入ってもらおうとしている、と想像すること」。


『1950年のバックトス』 北村薫 新潮社
映美ちゃんが貸してくれました♪
短編集。23編入り。
粒ぞろいの見事な短編集でした。大事にちみちみ読んでしまいました。
本の登場人物が本屋でその隣に平積みされていた本の登場人物に恋をする話や、駄洒落好きの奥さんの話、あ、オチはわかってたけど毒吐き女、思ったとおりにスコーンと落ちたとき、ほんと気持ちよかったなー。娘をお葬式に連れてく話も好き。「小正月」は泣きました。胸になんだかわからないけどなんか暖かいものがこみあげてきて泣きました。表題作もいい話だったなー。最後の最後に、『ひとがた流し』の後の話があったのも嬉しかったです。


ヴァルデマールの使者 女王の矢』 マーセデス・ラッキー(訳:澤田澄江) 中央公論新社
図書館。
ラッキーが出る〜♪と図書館に予約してみれば。
2003年3月に読んだ『ヴァルデマール年代記1 女王の矢』(教養文庫)であったっ! 教養文庫は1991年にこの1巻出したっきりあとはほったらかしだったが、中央公論新社は続編を続々と出してくれるらしい、ブラボ〜っっ!!


『ちんぷんかん』 畠中恵 新潮社
図書館。
長崎屋の若旦那シリーズ新刊。
前巻は長編であったが、今回は元通り短編集。「鬼と小鬼」「ちんぷんかん」「男ぶり」「今昔」「はるがいくよ」の5編入り。
「鬼と小鬼」は病弱で名高い若旦那がついに三途の川をこえかける話。若旦那と一緒に冥界を脱出した冬吉とこっちで再会なんてことはあるのだろうか。親より先に死ぬという罪業のために賽の河原で石を積む子たちが描かれているが、わたしも「好きで親より先に死んだわけじゃないのに〜」と思ってたので、鬼たちは積んだ石を壊すだけで子供たち自身には手を出さないことに若旦那が気づくとこは、なんか嬉しかったな。「ちんぷんかん」は準レギュラー広徳寺の寛朝の弟子秋英の話。秋英ってこれまでの寛朝ネタに出てきてたっけ? 「男ぶり」は若旦那の母お妙の結婚前の話。「式神」は若旦那の腹違いの兄松之助の縁談に世を拗ねた陰陽師が絡む話。「はるがいくよ」桜の花びらの精の短い一生を描き、「小紅の一生を儚く思う自分だが、何千年も生きている兄やたちにとっての自分は…」と若旦那が思うところで、はたと胸を衝かれた。
ところでこのシリーズ、ドラマ化されるのね〜♪ 11月24日〜。若旦那はNEWSの手越、兄松之助は岡田義徳♪ 仁吉が谷原章介で、佐助が高杉亘、鈴彦姫は早乙女太一か〜。が、屏風のぞきが宮迫博之…。怖いもの見たさでどきどきさせられるわ…。ほんで、母お妙が真矢みき〜♪♪♪ 父藤兵衛が岸部一徳〜♪♪♪ 祖母の皮衣さまが十朱幸代〜♪


『母なる夜』 カート・ヴォネガット(訳:池澤夏樹) 白水社
図書館。
うちにあるヴォネガット、長編は『プレイヤー・ピアノ』から『スローターハウス5』までの5冊、短編集は『モンキーハウスへようこそ』、こんだけで、借りて読んだ中で中身覚えているのは『ガラパゴスの箱舟』だけだったもので、記憶に残っていない中からタイトルさえ記憶になかったこれから借りてきた。
ら、これ、『タイタンの妖女』と『猫のゆりかご』の間に書かれた話だった。どひゃー。SFではないので、早川出さなかったと思われる。
ナチのプロパガンダ放送に協力したために戦犯としてイスラエルの監獄にいる主人公の、戦前戦中戦後イスラエルに捉えられるまでの回想譚。
しょっぱな、監獄の看守たちのところから、もうがつんと来る。がつんといわされて、そのまま行け行けどんどんさせられた。描きようによってはほんともう救いのない話なのに、なんだろう、この清清しいといえないこともない読後感は。
ところでわたしは一度だけ、動いているヴォネガットを見たことがある。金持ちのおっさんが金の力にものいわせて大学を出ようとする映画「バック・トゥ・スクール」で。「ちょっと面白そう」と借りてきて見てたら。
おっさんがカート・ヴォネガットのレポートを書くのにカート・ヴォネガットを雇うのである。「アメリカじゃ、カート・ヴォネガット研究みたいな講義が大学にあるのか〜。日本なら筒井康隆研究みたいな講義があるみたいなもんか?」とまず驚く。そんでそのカート・ヴォネガット役がカート・ヴォネガットご本人。しかもカート・ヴォネガット本人が書いたカート・ヴォネガットについてのレポートはCマイナスを食らうのだ♪(Dだったかな?) 1分に満たない出演時間だったが、実にしゃれたシーンであった。これ、もっぺん見たいなあ。

ところで訳は池澤夏樹。わたし、アーヴィングの『熊を放つ』のせいで「作家が翻訳すんじゃねーよ。餅は餅屋にまかせとけよ」と思ってたんですが、これは読みやすい、いい訳っした。が、池澤夏樹って1冊も読んだことねーなー。どんなん書いてる人だっけ?


『扉をあける風』 波津彬子 小学館
新品購入。
うるわしの英国シリーズ5。最終巻。
「秘密のヴィルヘルム」「夢を見るひと」「猫は誰にも言わない」「花の記憶」「ヴィルヘルムの待ち人」「扉をあける風」の五編入り。
「夢を見るひと」「花の記憶」以外は、コーネリアスの話。
ほっこりとめでたしめでたしの大団円であったが、これでもうヴィルヘルムに会えないと思うと、うらうらと寂しい。


『封殺鬼 鵺子ドリ鳴イタ2』 霜島ケイ 小学館ルルル文庫
新品購入。
14歳の桐子さま&鬼2人の話の第二巻。武見志郎、きっとおそらく本家の婿になることになるのよね。隆仁のお父さんがきっとこの人なのよね。息子に代替わりしてからは桐子さまが隠遁された先が丹波だったのもそういうわけなのね。…弟もいるな。弟だからこいつも丹波だよな。婿はどっちだ?


『ハンニバル・ライジング』 トマス・ハリス(訳:高見浩) 新潮文庫
新品購入。
ハンニバル・レクターの誕生から青年期まで。
タランティーノの「キル・ビルvol.1」を見る上で日本人のハンデはきつかったが、あれとおんなじくらい、これもきつかった。ハンニバルの父の弟の嫁で、日本人の「紫夫人」がその原因…。この人きつかったわ、トマス・ハリス……。


『少年陰陽師 思いやれども行くかたなし』 結城光流 角川ビーンズ文庫
新品購入。
番外編集。敏次がまだ昌浩と親しくなってなかった頃の、成親が主役の呪詛事件「百鬼夜行の蠢く場所は」、玄武が目の見えない少女を異形から救う「思いやれども行くかたもなし」、太陰が中国の風の神と袖摺りあう「疾きこと嵐の如く」、道反の守護妖たちに六合が婿いびりされる「それはこの手の中に」の四編入り。
「疾きこと嵐の如く」に出てくる中国の風神巽二郎そんじろう、なんか字面に見覚えあるかも…といま検索してみたら、「西遊記」に登場する風神だそうです、へーほー。


『篁破幻草子 めぐる時、夢幻の如く』 結城光流 角川ビーンズ文庫
新品購入。
未読本コーナーの地殻変動のせいで買ったまんま読み忘れていた。
完結巻。ひさしぶりに読んで、禁鬼、誰が誰やら……。神野のことも綺麗さっぱり忘れてました、はい。
で、中大兄皇子・大海人皇子・額田女王の三角関係をすげー深刻なネタにしてて、それが物語の核心部分だったりしたもので、とほほのほ。


『頭文字D』36 しげの秀一 講談社
新品購入。
藤原父と小柏父の息子自慢合戦が楽しゅうございました。
が、兄がブルージーな雰囲気で呟いていた「香織さん」という名前に、兄絡みのとほほなエピソードが明らかにされそうなイヤな予感が…。


『楽園建造計画』4 高遠琉加 二見シャレード文庫
新品購入。
これも未読本地殻変動でほったらかされてた本。
そしてこれまた前の巻から時間を経ていたため、誰が誰やら……。


『羊たちの番人』2 石原理 フロンティアワークス
新品購入。
プロテスタントの牧師さんたちの話2巻。
9から登場のカソリックの神父さん、および彼を追ってきたバチカンからの使者のあたりでわくわくしたっす。ガブリエル・バーンの「聖痕」を見返したくなったっす。
(「聖痕」、最初から最後まで大好きな映画だが、最初のほうで、ローマの街角うろうろしてる娼婦の姉ちゃんたちがガブリエル・バーンに粉かけるシーンがある。ガブリエル・バーン扮する神父は彼女らににっこり笑って襟元、前から後ろに回したカラーを見せる。それを見たお姉ちゃんらは残念そうに「おお〜」と笑う。あの普通とは逆につけたカラーを見ただけでキリスト教圏の人たちは相手が神父さんなんだとわかるんだ、とほーと思ったシーンであった)


『誰も寝てはならぬ』7 サライネス 講談社
新品購入。
がつんとくるネタはなかったが、お馴染みのメンバーがお馴染みなことしているゆるい感じがやっぱいいんす〜♪


『ヴィリ』 山岸凉子 メディアファクトリー
新品購入。
単発バレエ漫画。43歳の現役プリマが、恋した男が自分の娘と恋仲と知り、おのれとジゼルを重ね合わせ自問自答する物語。
ジゼル、NHK教育のバレエ中継で一度だけ見たことある。ジゼルが森下洋子だった。亡霊になったジゼルが上向きに背中をそらせた状態で片足を前に伸ばす奇妙なポーズがいまだに記憶に残っている。


『黒羽と鵙目』7 花郎藤子 白泉社
新品購入。
今年3月に出ていたのに、全然気づいていなかった…。『封殺鬼 鵺子ドリ鳴いた1』といい、これといい、2月の関ジャニ∞京セラドームの余波だな、こりゃ。
鳩子の腹違いの弟登場。これまで姿のない男だった鳩子の父も登場。あいかわらず楽しい、読んでてほんとに楽しい。


『OL進化論』27 秋月りす 講談社
新品購入。
今回「35歳で独身で」シリーズがさらにターボかかってました。これ、かつては「29歳で独身で」シリーズだったのよねー。世の変遷を感じるわー。
あいかわらず面白い、楽しい、納得できる♪


『ドラル国戦史1 四方を統べる神』 デイヴィッド&リー・エディングス 早川書房
新品購入。

ばんざーい!

ばんざーい!

エディングスの新作だ、

ばんざーいっっっ!!!


ベルガリオンマロリオンエレニアタムールが新しいタイトルで再版されてたから、ブックスケジューラーにこれがヒットしたときも、きっと再版だろうと。

違ったの〜♪ 

2003年〜06年にかけて

アメリカで刊行された新作なの〜♪♪♪
 

2巻は再来月に出て、その後も最終巻まで、3ヶ月おきくらいに出してもらえるそうなの〜♪♪♪
これまでも神様は出てきたけど、今回は神様が主役。が、エディングスなので、実にわかりやすい神様がた。
ところでずっと共作してきた奥さんのリーが今年の春に亡くなられたらしい。ということはこれがエディングス最後のシリーズか……。




INDEX書庫