本読み月記


【ジャンル分け】 最初から日本語で書かれた小説。
最初から日本語で書かれた小説以外。
日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。

日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。

コミックス


『影の棲む城』上下 ロイス・マクマスター・ビジョルド(鍛冶靖子) 創元推理文庫
新品。
ブック・スケジューラーにひっかからず、気が付いたら出ててびっくりした。最近見落としが多いぞ、ブック・スケジューラー。相当アテにしてんだから、がんばってくれないと困るぞ、ブック・スケジューラー。
『チャリオンの影』続編。ヒューゴー・ネビュラ・ローカスの三賞総なめにしたというので、『チャリオンの影』よりさらにもっと面白いんだ〜と楽しみにしていたが…、…えっと、『チャリオンの影』のほうが面白かったんですが。読み終わってすぐ、『チャリオンの影』読み返しに突入してしまったんですが。
『チャリオンの影』では脇役だったイスタ(女王イセーレの母)が主人公。『チャリオンの影』で女傑ぶりを見せてくれた母藩妃が亡くなり、イスタは男孫祈願のためと偽り、巡礼の旅に出る。
このシリーズ、もう1個続編があるらしいが、最後の話は別の国の物語で、おなじみの登場人物はまったく出てこないらしい。
訳者のあとがきがキュート♪


『ビネツ』 永井するみ 小学館
図書館。
エステの大手チェーンで働く麻美は、そのマッサージ技術を買われ、「ヴィーナスの手」という高級エステサロンに引き抜かれる。「ヴィーナスの手」にはかつて「神の手」と呼ばれる天才エスティシャンがいた。
鯉のエキスが重要なアイテムとして登場する。鯉のエキスを配合したマッサージクリームと、鯉のエキスを配合した美白美容液。それがあんまり説得力あったものだから、思わずググってしまった。美容液やクリームは見つけられなかったが、鯉石鹸とか鯉油はある。き、効くのかしら……。


『秘密』4 清水玲子 白泉社
新品購入。
電車内での刺殺事件。その後、その車両に乗り合わせていたと思われる客たちが次々殺されていく。
解剖医三好雪子に歯に衣着せぬ暴言を吐き続ける助手かな?の女の子、好き〜♪ 「輝夜姫」のまゆタイプ。清水玲子の描くこの手の女の子大好き♪
そしてこの事件もまた、真相はひどくせつない…。


『愛は売るもの』 ジル・チャーチル(訳:戸田早紀) 創元推理文庫
図書館。
伯父の残した大きな屋敷で下宿屋を営むロバートとリリーのブルースター兄妹シリーズ第三弾。
フーバーVSルーズベルトの大統領選間近、謎のグループ客が兄妹のところで期限付きで部屋を借りる。その1人が殺されるのだが、それは悪名高いラジオ伝道師であった。
リリーとハワード・ウォーカーやこの巻で晴れて未亡人となったメアリー・タタートンと新聞記者ジャックの今後の進展も気にかかる。新たにレギュラー入りしたアメリア・ジャーゲンとベッツィ・ターキントンもいい感じ♪


『マサツグ君の生理的事情』 石原理 宙出版
新品購入。
表題作&巻末の描きおろしの続き以外に6編入り。
表題作、マッドサイエンティストで無責任な双子がいい♪
一番好きな話は「犬を選ばば」だが、石原理という作家にジャンルにこだわらずもっと自由にいっぱい描かせて欲しいと思ったのは「老兵」。


『よしながふみ対談集 あのひととここだけのおしゃべり』 よしながふみ 太田出版
図書館。
が、予約かけたら堺市の図書館はどこもこれを仕入れてなくて、八尾市立図書館からのお取り寄せになっていた。
対談相手はやまだないと、福田里香、三浦しをん、こだか和麻、羽海野チカ、志村貴子、萩尾望都。
やまだないとは名前は知ってるけど作品読んだことなくて、福田里香と志村貴子は名前も知らなかった人。
この福田里香が愉快。陸奥A子から「乙女の暴走」というネタになったとき、その例として「おっかけられたくらいで月桂樹になるなよ」「会いたいっていうくらいで江戸を火の海にするなよ」「サロメ、首切って持つなよ」(19頁より無断抜粋)。ぎゃはははばんばん!! そうか、ダフネも八百屋お七もサロメも「乙女の暴走」ってことでは同じ穴の狢かっ!! 目から鱗が落ちたぜっ!!
少女マンガについてがっつり喋ってるとこでは、懐かしい作家名や作品名がいっぱい出てきて嬉しかったなあ。「男の評論家ってなんで大島弓子をわかりたがるんだろうねえ」とかも膝叩きまくったわ。が、一条ゆかり。わたしの一条ゆかりの原体験というかいまだに読んだときの衝撃を覚えてるのはは「おとうと」なんですが、一番古いとこで「デザイナー」ってのがちょい寂しかった。すげー怖い話だったのよ。って、いまググったら昭和47年の作品でした。11歳か。そら衝撃だわ。
BLについても読み応えありました。が、チビ攻デカ受、BL商業誌小説で1本だけ読んだ記憶がある。わたしは攻めのほうが体重が重くないといや派なので、あんまり面白くなかったの。かといって、あんまり身長さがありすぎるのはヤなんだが。(身長といえば、『スラムダンク』ブレイクまで、「受けは上限178センチまで」っていう同人界の暗黙のというか精神的な縛りってなかった?)
ところで萩尾望都さま、腸内洗浄はわたしはしたことないですが体にかえって悪そうな気がします。。。


『童貞』 酒見賢一 講談社
図書館。
古代中国。まだ統一された王朝がなく、部族がそれぞれの規律にのっとって自治していた頃の、巫女が統べる女系を基本とする部族。
主人公はその部族の少年。少年が憧れていた男が女たちに処刑されたことがトラウマになったと思うが思春期を迎えてグレてしまい、巫女や母やその他女たちを殺して出奔、放浪する話。
だったかな?


『真夜中のマーチ』 奥田英朗 集英社
図書館。
パーティー屋、一流企業の落ちこぼれ社員、成金の娘の3人が、娘の父親が投資と称して賭場の客たちから詐取しようとしている10億円を横取りしようと画策するコンゲームドラマ。
落ちこぼれ社員三田にはシンパシーが湧いたが、パーティー屋はまったく、成金の娘は半分くらいしか、好きになれず。


『ゴールデンスランバー』 伊坂幸太郎 新潮社
図書館。
伊坂よ、またこんな困った小説を…。
就任したての首相が出身地仙台でパレードを行う。が、パレードの最中、首相の乗ったオープンカーは爆弾を積んだラジコンヘリの襲撃を受け、首相は爆死。
捜査線上に浮かび上がった容疑者は、二年ほど前、配達中にアイドルを強盗から救った宅配便の運転手の青年だった。
第一部と第二部が事件発生時、第三部が二十年後のとあるレポ、第四部がメインで、容疑者の青年が事件に巻き込まれ、逃げて逃げて逃げまくる話。
日本でこんなちゃんとした陰謀が画策されるってのが荒唐無稽なんだが、面白い、面白いんだ。容疑者にされた青年がほんといい奴で、青年の元カノジョとか疎遠になってた友人とか息子を信じる両親、特に父親とか、たまんなく気持ちよいのだ。
主人公を陥れる陰謀は荒唐無稽であったが、マスコミの報道のありようはなんかすごくリアルな気がした。てか、フィクション読んだり見すぎたりしてるせいで、ニュースの容疑者逮捕とか見てても、特に談合とか汚職関係のニュース、逮捕された人ほんとのわるもんかな、とか、この逮捕された人に味方する人が主人公の話ならこの報道はストーリーの冒頭かはたまた2/3くらい話が進んだとこかなとか、あれこれ思うわけですが。


『三人目の幽霊』 大倉崇裕 東京創元社
図書館。
ミステリーフェアコーナーから、表紙の雰囲気に惹かれて借りてきたのだが、よくよく見れば、なんだ、この、関ジャニ∞のたつんとこにBOYSの濱ちゃんが養子に行ったみたいなこの著者名は。(= ̄∇ ̄=)
連作短編集。とある出版社の落語雑誌の編集部、語り手がその編集部に配属された新米編集者、探偵役がその雑誌を作って三十年の編集長。
設定はすっごい好みだったのだが、しょっぱなの事件部分まではすっごいわくわくしたんだが、解決部分がわたしの好みではなかった…。ほかの話もけっこうそうだった。


『メールオーダーはできません』 レスリー・メイヤー 創元推理文庫
図書館。
創元オフィシャル新刊案内で見つけ、予約。
いわゆるコージー・ミステリ。と書いてから、「コージー・ミステリ」の正確な定義ってなんだろと例によってwiki見に行ったところ、「ハードボイルド」の反義語として作られた言葉なんだって、へーほー。「コージー」ってのはティーポットの保温カバーのことなんだと、へーほー。だからクリスティのミス・マープルシリーズもコージー・ミステリなんだと、へーへーほー。
舞台はメイン州の田舎町だが、昔からここに住んでいる土着の住人と田舎暮らしに憧れて都会から移住してきた住人が混ざる町。主人公の主婦スージーは後者で、ダンナは大工、子供は3人。町はLLビーンみたいな通販会社の本拠地でもあり、スージーはここで電話でオーダーを受け付けるパートをしている。
ところが、クリスマス直前、社長であるサム・ミラーが駐車場で殺され、スージーはその第一発見者になってしまう。
これはシリーズ第一作で、本国では第14作まで出ているそうだ。早く出してね。ずっと出してね。>東京創元社御中


『蟲師』9 漆原友紀 講談社
新品購入。
「残り紅」「風巻立つ」「壷天の星」「水碧む」「草の茵」の5編入り。「茵」はルビなしでは読めなかった。「しとね」ってこんな漢字だったのか。てか1字漢字があったのか。
「残り紅」のおじいさんはどうなったんだろう。「水碧む」の母親はこれからどうして生きていくのだろう。この2編はほんとうにせつなかった。「壷天の星」は父親が井戸にさした筒から光気がきらきらと漏れでるラストシーンが美しかった。
ところで土葬の頃、仏さんが万が一生き返ったときのために、埋めた場所に筒を差し込んでおくって、山岸凉子の随筆漫画に出てきたネタだっけ? 井戸を埋めしなに差し込まれた筒に、ちょっとそれを思い出した。




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