本読み月記


【ジャンル分け】 最初から日本語で書かれた小説。
最初から日本語で書かれた小説以外。
日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。

日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。

コミックス


『蟋蟀』 栗田有起 筑摩書房

図書館。
出てるのを見つけたときはまだ図書館のHPの蔵書リストに載ってなかったので、メモを図書館に持って行き、予約用紙に記入して窓口で予約した。
ありがとう、栗田有起。おかげで「蟋蟀」が漢字で書けるようになったよ〜。
短編集。表題作以下、タイトルにはすべて動物名が含まれている。
投げっぱなしジャーマンのような結末の「サラブレッド」でまず呆気にとられた。「鮫島夫人」と「蛇口」にはほっこりさせられたな。あ、「いのしし年」も。「さるのこしかけ」と「蟋蟀」もいい話だった。「アリクイ」のお母さんもなんか好き。最後の「ユニコーン」は最後にぴったりの、なんかわからんが清々しい話だった。



『エンディミオンの覚醒』上下 ダン・シモンズ(訳:酒井昭伸) ハヤカワSF文庫

図書館。
先月読んだ『エンディミオン』およびこの『エンディミオンの覚醒』は一続きの物語で、始まりはワールドウェブ崩壊から275年後のハイペリオン。主人公はハイペリオンに住む放牧民出身の観光ガイド、ロール・エンディミオン。彼はあやうく死刑になるところを詩人サイナーリス(最後の巡礼のひとり)に救い出され、もうすぐ時の墓標に出現するはずの彼の姪アイネイアーをパクス軍から救出することを要請される。
『ハイペリオン』をオリジナル作品とした、ものすごーく気合のはいった壮大な同人作品という感じだった。たるいとこはあちこちすっ飛ばしながら読んだが、パクス世界、聖十字架、甦り続ける法王、大天使急使船等のディティールに、ほんともうわくわくした。
最後の再会も、たぶんそうだろうなと思ったが、カタルシスあったなあ。



『剣の名誉』 エレン・カシュナー(訳:井辻朱美) ハヤカワFT文庫

図書館。
『剣の輪舞』続編。先にさらに先の話、『王の最後の魔術師』を借りてきたのだが、『剣の輪舞』で知ってる人たちがほとんど出てこなくて、途中でギヴしてたところ、こっちが発売されてたのを知り、とりあえず借りてきた。
『剣の輪舞』から18年後、母方の伯父の起こした訴訟のせいで貧乏暮らしを囲っていたキャザリン・タルバートは、その伯父からある日突然呼び寄せられる。その伯父というのが、公爵となったアレク。
いや、もう、満腹しました。これは買って、他のエレン・カシュナー2冊の横に置おかねば〜。
『王の最後の魔術師』も再度チャレンジしよう。



『池袋ウエストゲートパークZ Gボーイズ冬戦争』 石田衣良 文藝春秋

図書館。
4編入り。振り込め詐欺、押し売りギャラリー、子供の自宅放火にGボーイズ内抗争再び。
押し売りギャラリーの「詐欺師のヴィーナス」の被害者の男は、精密機器メーカーの契約社員である。「「半年ごとの再契約で、なかなか正社員にはあがれない。組みつけの腕では工場でもうえから十本の指にはいると思うんだけど、なかなかむづかしくて」 おれは生きている雇用と生産の調整弁を初めて見た」(62頁) これ、ものすごく心に残った。これといい、よく耳にする「つけてもいい残業は30時間まで。あとはサービス残業」ってのは、雇用者のためを思って作られたはずの労働基準法が、かえって事態を悪くさせているいい例だと思う。



『迷走する物理学』 リー・スモーリン(訳:松浦俊輔) ランダムハウス講談社

図書館。
著者は理論物理学者。一時期はスーパーストリング派だったが、その後量子重力に鞍替えしたらしい。
物理学の試行錯誤の歴史と、現在の物理学界で大派閥をつくりのさばるスーパーストリング派の封建社会を思わせる力関係と、彼らをのさばらせる雇用決定者たちへの憤懣にあふれた本。
「ストリング理論略史」のところで何度も気が遠くなりかけた。気持ちもかなりどんよりした。スモーリン博士が主張されるこれらって本当なんですか?>スーパーストリング派の皆さん
「ストリング理論を超えて」のとこが滅法面白かったっす。

この本読み終わったあたりで、南部・小林・益川の三博士のノーベル物理学賞受賞が起きたのだが、TVで小林・益川両博士の受賞理由の解説見ながら、「symmetry」を「対称性」と訳したのは、かなりの悪訳ではなかったかと思う。


『密林の骨』 アーロン・エルキンズ(訳:青木久惠) ハヤカワ文庫

新品購入。
ギデオン・オリバーシリーズ。
民族植物学者ご一行様と、ギデオンとジョン・ロウ、フィル・ボヤジャンが、アマゾン河を川くだりする話。
今回、ギデオン教授の鑑定シーンはほんのちょびっと。しかも新しい骨。ミステリー部分もあっさり。
船で出る料理が美味しそうで、美味しそうで、細長く粘り気の少ない外米が食べたくなった。



『午後のお茶は妖精の国で』 遠藤淑子 祥伝社
『なごみクラブ』 遠藤淑子 竹書房

新品購入。
2冊も新刊〜♪ 発売を見逃していたわけでもないのに、同じ月に遠藤淑子の新刊が2冊も読める幸せ〜♪
『午後の…』はファンタジー。独立した話の「…庭で」と「…森で」と、「…国が」の1話と2話。「…学校で」は付録4コマ。
『なごみクラブ』はホストクラブ「なごみクラブ」を舞台にした短編10話+独立した短編3作に付録4コマ入り。
今月は『狼には気をつけて』の文庫版1、2巻も出てて、そっちにも書き下ろしの付録4コマが載ってて、この2作の登場人物がちょろちょろカメオ出演しているらしい。見たい。が、白泉社コミックス版で全部持ってんだよ、『狼には気をつけて』〜。うちの本棚にダブリ買いする余裕はねえんだよ〜。文庫版、誰か買ってねーかな〜。って、身内で他に遠藤淑子読んでんの、○べさんだけなんだけどさ〜。



『金魚屋古書店出納帳』1、2 芳崎せいむ 少年画報社
『金魚屋古書店』 1〜7 芳崎せいむ 小学館


古本購入。
『出納帳』はブックオフで、『金魚屋古書店』7冊はオンライン古本市場で。
芳崎せいむは吉祥寺倶楽部および冬水社時代のを何冊か読んでたが、わんだーらんどで『金魚屋』のどれかが平積みされてるのを見たとき、絵柄も違うしホモロマンス漫画でもなさそうで、「あの芳崎せいむ?」と思ったが、ビニールかかってたので中身が見れず、ブックオフで出くわすまでそのまんま忘れてた。
「金魚屋」という伝説の漫画専門古書店を舞台にした話。


すんげー面白いーっっっ!!!

『出納帳』読み終わって、すぐさま他に出してないか探したら『古書店』7巻まで出てて、オンライン古本市場に7巻セットの在庫があるのを見つけてすぐさまポチっとな、届くのをじりじりと待ち、届いたら7冊全部一気読み………。
何巻か忘れたけど、花郁悠紀子の『白木蓮抄』が出てきたのは嬉しかったなあ。『金魚屋』7冊一気したあと、思わず花郁悠紀子全部読み返しちゃったもんなー。




「わが愛しのフローレンス」(『フェネラ』収録) 花郁悠紀子

「千と千尋の神隠し」は大好きだ。
あまりの目の心地よさに、DVDを買ってしまったほどだ。
(どんなに好きな映画でも、映画のDVDはめったに買わないわたしが、ええ、レンタルを見終わったとたんに注文を)
しかし、このアニメ、一箇所、ものすごく不満な部分がある。
それはクライマックス、千尋が豚の群れから自分の親を見事選び出すところだ。
なんでこのシーンにこれほど違和感というか、不満をもったのかと思えば。
原因は花郁悠紀子の「わが愛しのフローレンス」であった。
ナイトクラブで歌う歌手エドウィナは、ある雨の夜、ひとりの青年を拾う。
青年は実はエドウィナの息子、ゆえあって2歳まで娘として育てたものの、子供を手元に引き取りたがっていたかつての恋人に見つかり、彼のもとに連れ去られるよりはと発作的に縊り殺そうとしてしまい、それが原因で死んでしまったと知らされていた息子であった。
数日間一緒に暮らし、幾度も亡くなった娘の思い出を語りながら、青年がわが子であることに気づかなかったことを責める息子に、「僕のなにを覚えていたの? 僕がわからなかったじゃない!」という息子に、エドウィナは言う。

「それでも私はあなたを愛していたわ。
わたしが覚えていたのは、あなたを愛していたことよ」


このあと頁数不足で話はばたばたと余韻も残さず終わってしまうのだが、エドウィナのこの言葉は深く胸にしみ、刻み込まれた。
というわけで、これを読んだことがあるわたしにとって、「愛があれば、絆があれば、どんなに姿を変えていてもわかるはずだ」という理屈は、なんというか、とんでもない逆行だったのだ。


『百鬼夜行抄』17 今市子 朝日出版社

新品購入。
なんかひさびさに、どれもこれもすげー面白かった。好きな話ばっかだった。



『海街diary2 真昼の月』 吉田秋生 小学館

新品購入。
2巻は別の話になりそうな気がしてたのだが、この姉妹の話でとっても嬉しい♪


『マーブル・アーチの風』 コニー・ウィリス(訳:大森望) 早川書房

図書館。
中編集。「白亜紀後期にて」「ニュースレター」「ひいらぎ飾ろう@クリスマス」「マーブル・アーチの風」「インサイダー疑惑」の5編入り。
「ニュースレター」で「ニュースレター」なるものを初めて知った。クリスマスに身内や知人友人に送る近況知らせみたいなものらしい。話はいわゆるエイリアン侵略もので、この話が一番好き。「ひいらぎ飾ろう@クリスマス」はちょいモンゴメリ風の味わいがあって、これも好き。「インサイダー疑惑」に出てきたヘンリー・ルイス・メンケン、今度読んでみよう。



『有頂天家族』 森見登美彦 幻冬舎

図書館。
舞台は京都。主人公は狸。今は亡き偉大な狸下鴨総一郎がこの世に残した4人の子たちの上から3番の三男坊矢三郎。
師匠にしていまは尾羽打ち枯らし隠棲する赤玉先生や先生が尾羽打ち枯らす原因となった美しき弁天との因縁、叔父一家との確執、兄たちや弟、母との家族愛、そして亡き父の死の真相等。


いやもう、ばっさくそ

面白いーーーーっっっ!!!!


ストーリーもさることながら、この人の文章、わたしむっちゃ好きーーーっっっ!!!
他のも読まなきゃー。巻末に「「有頂天家族」第二部、早くも始動」とあった。むっちゃ楽しみ〜♪♪♪
そんでもって、読んでて脳裏に浮かぶ、浮かぶ、山田章博の挿絵が。この本題材に、ほんとに描いてくんねーかな。



少年陰陽師 刹那の静寂しじまに横たわれ』 結城光流 角川ビーンズ文庫
少年陰陽師 迷いの路をたどりゆけ』 結城光流 角川ビーンズ文庫


新品購入。
ひきつづき玉依編。
面白い。面白いんだが。盗聴器もない時代に、虚空衆の方々はいったいどうやって、島に出たものが島の秘密をこっそりばらしたと知るのだろう。出たもの1人につき1人が24時間マンツーマンで監視? んなアホな。



『風の王国 星の宿る湖』 毛利志生子 集英社コバルト文庫

新品購入。
翠蘭がソンツェン・ガンポに再嫁することを決意するまでと、リジムの服喪期間として3年の猶予を与えられた翠蘭がリジムの妹をたずねるという名目でシャンシェン国へ、やっと都へたどりつき、リジムの妹の夫であるシャンシェン国王にまみえるまで。
うわ、どうなるんだ〜と、またググってしまった。今度はここを見つけてしまった。そうか、やっぱり攻め入るのか、ソンツェン・ガンポ…。



『カラクリ荘の異人たち2 〜お月さんいくつ、十三ななつ〜』 霜島ケイ GA文庫

新品購入。
賽河原町にあるカラクリ荘シリーズ。
「薄売り」のような異物が異物でなく自然なものとしてある町にぞくぞくした。
カラクリ荘に住む人たちひとりづつをメインに据えた短編集なんかもいいなあ。読みたいなあ。



『火村英夫に捧げる犯罪』 有栖川有栖 文藝春秋

図書館。
中編と短編の中間くらいの長さのに、ショートショートくらいの長さの掌編が挟まる。
ショートショート部分がいかしていた。あと冒頭作「長い影」が堺の話で嬉しかった。



『ハロウィーンに完璧なカボチャ』 レスリー・メイヤー(訳:高田惠子) 創元推理文庫

図書館。
『メールオーダーはできません』に始まった主婦探偵ルーシー・ストーンのコージーミステリ第三弾。
ルーシーの夫で大工のビルがかつて修復を手がけた屋敷が放火で全焼、中から女性の遺体がみつかる。同じ頃、町の景観を守るため家の建替え等を規制するティンカーズコーヴ歴史地区保存委員会の委員長をつとめる元司書ミス・ティリーが、ビルに委員就任を要請する。
ミス・ティリーの衰えぶりが物悲しかった。明日はわ〜があ身〜。



『ダンシング・ヴァニティ』 筒井康隆 新潮社

図書館。
同じ主題が少しずつ変化しながら繰り返され、別の主題に入り、また少しずつ変化しながら繰り返されるも、そこに最初の主題の変調部分が混ざり、やがてまた最初の主題に戻り…という、音楽的っちゅうかなんちゅうか、実に説明しにくい小説。
が、最初の繰り返しで多少「おいこらじじい…(この「じじい」は著者を指す)」と途方にくれかけたものの、実験的でありながら小説の娯楽もきちんとあり、途中で飽きることもな
く、行け行けどんどんと読まさせられてしまった…。
週一お目にかかれる「ビーバップハイヒール」での好々爺ぶりに、油断しちまってたぜ。
ほんま困った年寄りだぜ、筒井康隆。



『アスラクライン11 めぐりあい異世界』 三雲岳斗 電撃文庫

新品購入。
前の巻の最後で一巡目の世界に飛ばされてたことをついうっかり忘れていて、最初「え?え?え?」だった。
大ダイアナの正体にも見事欺かれました、ええ。
今回はなんといっても橘高姉妹。特に秋希さま、くゎぁっっっこいーーーーっっっ!!! 

ところでアニメになるそうで♪ た・の・し・み〜♪♪♪




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