本読み月記


【ジャンル分け】 最初から日本語で書かれた小説。
最初から日本語で書かれた小説以外。
日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。

日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。

コミックス


『天才たちが愛した美しい数学』 桜井進 PHP

図書館。
ネイピア、ニュートン、関孝和、アインシュタイン、ボーア・仁科芳雄、フェルマー・谷山豊の6章からなる。
しょっぱなのネイピアの章が一番面白かった。この本でこの人のことは初めて知った。1550年生まれのスコットランドの地方領主なんだけど、航海のための球面三角関数の計算をなんとか簡単にできないかと考えて対数を考案、常用対数表を作った人なのだそうだ、へーへーほー。ただ、著者のネイピアの労苦の称え方がなー。ネイピアにとってはかっこうの暇つぶしというか、けっこう楽しんだと思うんだ、この仕事。



『死者の短剣惑わし』 ロイス・マクマスター・ビジョルド(訳:小木曾絢子) 創元推理文庫

新品購入。
ファンタジー。新シリーズ、らしい。
ビジョルドなんだが……。
これまで読んだビジョルドの中で、これ、一番退屈だった……。
あと、言葉のチョイスがな。「基礎感覚」という言葉、ファンタジーっぽくない。日本語にするとき、なんか別のもっとファンタジーっぽい言葉をみつけられなかったのか。
早くマイルズシリーズ、出してください。



『ガラスの仮面』43 美内すずえ 白泉社

新品購入。
ひさしぶりに、ガラスの仮面らしいガラスの仮面を読ませてもらった気がする。
ところで、秘密のケンミンSHOWで「山形県民は年越しそばにラーメンを食う」というのがあった。会場のパネラーたちは「えーっ!!」と驚いていたが、「えーっ!!」と驚く人たちを見て、わたしは「えーっ!!」と驚いた。
『ガラスの仮面』第1巻のせいで、わたし、東日本では年越しそばに中華そばってのもけっこうポピュラーなものだとばかり。だって北島マヤ(当時、横浜在住)、大晦日にせっせと年越しそばとして中華そば配達してたんだもんー。
そんときゃ、「そうかっ、美内すずえは山形県出身で、だから年越しそばはラーメンがデフォルトで、しかもほかの地域でもそれが普通だと思って、横浜市民にも年越しそばに中華そばを食わせてたのかっ」と納得したのだが、調べてみたら美内すずえは兵庫県出身であった。しかも、「年越しそばにラーメン」に異をとなえる山形県民も大勢いた。
うーん、なぜ大晦日にそんなにいっぱい中華そばを出前することになったのだ、北島マヤ…。

と思ったのだが、この43巻のせいで、ひさしぶりに1巻から一気読み返したところ。

「12月31日の大みそかの夜、万福軒は一年中で一番いそがしい夜をむかえる。万福軒は年こしそばやに身をかえて、夜の12時すぎまで、そばづくりと出前におおわらわするのである」(1巻21頁22頁より無断転載)

……なんと、あの夜、マヤが出前してたのは、中華そばではなく、そば粉で作ったそばだったのか………。
2009-1976=33年目にして、初めて知った真実………。

でもさ、でもさ、大みそかだけそば粉のそば作る中華屋って近所にある? 聞いたこと、ある?
教えて、秘密のケンミンSHOWーっ!!

『少年陰陽師 彼方のときを見はるかせ』 結城光流 角川ビーンズ文庫

新品購入。
玉依編完結。うーん、あれこれ納得はいかなかったが、珂神編みたいに辛気臭いことはないから、ま、いーか。



『ヘル』 筒井康隆 文芸春秋

図書館。
「世界を変える100人の日本人」にもレギュラーでご出演なすっているのにやっと気づき、「ビーバップハイヒール」と合わせて週に2回もご尊顔を拝めて幸せです。笑ったお顔の妖怪くささなんか、たまりません。
で、なんか読み忘れてないかと探してみたら、これと『銀齢の果て』を読み損ねていました。
死後の世界ものだが、死者たちが行くのは生きていた頃とあまり変わらない世界だが、死んだ者全員がそこへ行くわけでなく、そこになんらかの選別基準はあるかもしれないのだが不明のままで、そこを出て行て別の場所へ行く時期がどうやって決まるのかも不明のままながら、読み終えたあと奇妙なカタルシスがないこともない、という話。

ところで先日、ジョン・アップダイクの訃報が伝えられた。新聞で訃報読んで思ったのは「まだ生きとったんか〜」。
しかし、年齢をよくよくみれば、筒井さんより4つ上なだけであった。TVの姿を見ていると、筒井さんのほうはまだまだ大丈夫そうな気はするが、そろそろ覚悟くらいはしといたほうがいいかもしれない。
ちなみに「まだ生きとったんか〜」のびっくり仰天ナンバーワンは、去年のソルジェニツインの訃報。



『夢見る黄金地球儀』 海堂尊 東京創元社

図書館。
ドラマ「チーム・バチスタの栄光」は、仲村トオルの白鳥はすげー愉快だったし、白鳥とぐっちー行きつけの喫茶店のマスターが仮面ライダーキバの「カフェ・マム・ダムール」の店長と同一人物だったりするのもおかしかったし、グッチーの家族とかもよかったが、ミステリとしてはだるすぎた。
しかし、ドラマ見終えてからやっと映画版をレンタルで見たら、すっげー面白かった。面白かったので、海堂尊の小説もおそらく面白いのでは、と図書館を探したら、予約なしですぐ読めるのがこれだけだった。
ふるさと創生基金の1億円で金を買い、それを材料に作られ、市立水族館に飾られている、黄金地球儀。それを盗み出そうとする話。
主人公の父、平沼豪介さんは、ひたすら素敵だった。



『ワーキング・ホリデー』 坂木司 文藝春秋

図書館。
ヤンキーあがりのホストの主人公のもとに存在さえ知らなかった息子がいきなり訪ねてくるところから始まる、連作短編集。
主人公の生活が次第に立て直されていくのが、読んでて気持ちよかった。
ミステリとして面白かったのは、宅配業に転職した主人公を何度も呼びつける客の話。



『まこと学ぶ英語の本』 まこと学ぶ英語の本制作委員会 アルク

新品購入。
写真集として購入。


『いのちのパレード』 恩田陸 実業之日本社

図書館。
幻想譚的な話を集めた短編集。
どれもいい話だったが、中でも「橋」、「かたつむり注意報」、「夕飯は7時」、「SUGOROKU」あたりが好みの話だった。



『気が付けばデブ猫 ニャン吉のぐ〜たら日記』 ビビック 恒星社厚生閣

図書館。
ブログの書籍化本。元ブログは言わずもがなの、ここ
中身も好きだが、なんといっても、トップのニャン吉さんの叩き込むような自己主張が好きで好きで好きで。
で、借りてきたのだが、うーん、ブログのほうが楽しいな、これは。



『おかけになった犯行は』 エレイン・ヴィエッツ(訳:中村有希) 創元推理文庫

図書館。
マイアミで崖っぷち生活を送るヘレンのシリーズ第三弾。
今回の職は電話セールス。雇い元の別会社がやっているアンケート調査の仕事に駆り出されたヘレンが、電話ごしに女性が殺される声を聞いてしまう。
今回、やっとヘレンの隣人、透明人間フィルの正体が判明。予想どおり「夢の王子さま」でした〜♪



『吸血鬼と愉快な仲間たち』 木原音瀬 蒼竜社

図書館。が、枚方市立図書館からのお取り寄せ。
昼は蝙蝠、夜は人間の姿になる、元人間の吸血鬼。牙がない半端ものなため、生きている人の血は吸えず、牧場の屠殺場でこそこそと牛の血のおこぼれに預かって生き延びていた彼が、不慮の事故から牛と一緒に冷凍され、気がつけば日本。刑事さんの知り合いのエンバーマーの青年に飼われることになるお話。
この巻はホモロマンスなしのフツーの吸血鬼もの。この間抜けな吸血鬼の造詣は秀逸だと思う。ホモロマンスなしのミステリシリーズでいいじゃんこれ、と思うが、ホモロマンス出版社の本なので、すでに出ている続編2冊はたぶんロマンスしてるのであろう。
ちなみに、火葬する死体をなんで体液入れ替えまでせなならんねん、それは土葬用の処置やろがあっ、だったドラマ「死化粧師」と違い、この小説のエンバーマーの青年の顧客は、故郷にかえって土葬される外国人の仏さんらしい。



『銀齢の果て』 筒井康隆 新潮社

図書館。
映画「バトル・ロワイヤル」はレンタルで見た。最初の10分くらいで呆れた。
すでに三度目のバトル・ロワイヤルらしいのに、自分たちの置かれた立場がてんでわかっていない高校生たちに。
ありえねーだろ。三度目なんだから。法案成立までに世間は大騒ぎしたろうし、成立した時点で親も「ひょっとしてうちの子が…」と戦々恐々としたろうし、一度目二度目のバトル・ロワイヤルの情報だって口コミで広がってほんとやらうそやらわからん話が蔓延してるだろうし。
してなきゃ困るだろ。そもそも「バトル・ロワイヤル」ってのは、いい気になってる若者どもに鉄槌くらわすためなんだから。
この時点でバカ映画と判明した「バトル・ロワイヤル」で、その後も延々バカなのだが、困った人が約1名。
ビートたけしという人が。
この人がビミョーに救ってしまったんです、このクソ映画を。なんかミョーな深みを与えてしまったんです、このクソバカ映画に。
その後、続編が作られ、監督もかわったことだし、1作目のアホバカマヌケな部分はどの程度解決されているだろうと、やっぱりレンタルで見てみれば。
アホバカマヌケなままであった。
怒りよりも悲しかった、そのアホバカマヌケさが。

で、『銀嶺の果て』である。
筒井康隆版「バトル・ロワイヤル」である。
ここでは「ロワイヤル」でなく「ロイヤル」と表記されている。
対象者は、「シルバー・バトル」開催地に選ばれた町に住む70歳以上の人。
開催期間内に殺し合い、ひとりだけが生き残れば、その人はその後平穏に暮らせるが、期間が終わって複数の人が生き残っていれば、彼らは全員処刑される。

見といてよかった、くそ映画「バトル・ロワイヤル」&2。
おかげでこれ読んでどんだけすっきりしたか。
あのくそばかまぬけ映画でいらいらさせられた間抜け設定が、これではすべて見事にクリアされていた。
しかし、あまりに見事にクリアされすぎて、あのくそばかまぬけ映画見ずにこれ読んでたら、どれくらい面白かったのか、まったく不明。



『チャンネルはそのままで』1 佐々木倫子 小学館

新品購入。
今度の舞台は地方のTV局。
小倉さんがTV局版漆原教授な感じで素敵。
2巻が楽しみ♪



『ローマ人の物語]X ローマ世界の終焉』 塩野七生 新潮社

新品購入。
したのは、出てすぐの頃だから、2006年12月頃だったはずなんですがね、ええ。
まだしょっぱなのスティリコのあたりでほったらかしにしてたのを、『ローマ亡き後の地中海世界』が出てるのみつけて、やっと残りを読み、我が家でもやっと西ローマ帝国が滅びました。ああ、しみじみ。(した翌日、妹から電話があったので、「昨日、西ローマ帝国がやっと滅んでん〜」「……はい〜?(ここは杉下右京風尻上がりの「はい〜?」でよろしく)」)
線香がひっそり立ち消えるみたいな、こんな終わりだったとは。かなり以前読んだ同じく塩野七生の『コンスタンティノープルの陥落』での東ローマ帝国の滅亡が華々しかった記憶があっただけに。





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