本読み月記


【ジャンル分け】 最初から日本語で書かれた小説。
最初から日本語で書かれた小説以外。
日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。

日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。

コミックス


『柳生忍法帖』上下 山田風太郎 講談社ノベルス・スペシャル

図書館。
豊臣秀頼に側室腹の遺児がいたことを知りませんでした。その遺児が出家して天秀尼になり、「縁切り寺」として知られる鎌倉の東慶寺の住職になったのも知りませんでした。会津藩主加藤明成と家臣堀主水の事件も、堀主水の妻子が東慶寺に逃げ込んだ事件も、もちろんまったく知りませんでした。
で、読み終えて調べてみるまで、秀頼に遺児がいたってとこから山田風太郎の捏造とばかり〜。



『妖説太閤記』上下 山田風太郎 講談社文庫

図書館。
べらぼうに面白かった。
中国大返しのとこ、すげーどきどきした。明智光秀が織田信長を討つことを秀吉が知っていたという説は、何度か目にしたことがあるが、すべてを秀吉の策略としたこれ、なにかひとつ歯車がずれたら成り立たなかったこれに、なんというか、圧倒された。
秀吉の造詣も気持ちよかったなー。



『忍法八犬伝』 山田風太郎 講談社文庫
『八犬伝』上下 山田風太郎 講談社文庫

図書館。
『忍法八犬伝』は、本来の八犬伝から150年後、江戸時代の最初のほうの話。八匹の八房、イメージしただけでたまんない。が、白い秋田犬を連想すると、どうしてもわさおくんのビジュアルが…。
『八犬伝』のほうは、オリジナルの「八犬伝」のあらすじと、著者滝沢馬琴の生涯が、交互に描かれる。
馬琴側の部分がもう、面白くて、面白くて。
「北斎漫画」という映画は大好きな映画なのだが、あれをつい思い出した。
しかし、これを読んであらためて気づいたのだが、「八犬伝」という話、わたしにとって強烈な吸引力をもつのはプロローグ部分、八房と伏姫の話のとこで、八つの玉を集めるとこはけっこうどうでもよかったみたい。
風太郎がアレンジした犬江親兵衛の口調が、むっちゃかわいらしかった。



『忍法創世記』 山田風太郎 出版芸術社


図書館。
途中から登場の南朝の残虐なお姫さまがあまりに強力すぎて、バランス崩れた感じ。
大塔衆および菊水党のいいなりになる柳生・伊賀にも、なんか苛々させられた。
柳生の三兄弟、伊賀の三姉妹のとりあわせは、なんか面白くて、可愛かった。



『魔界転生』上下 山田風太郎 講談社ノベルス・スペシャル

図書館。
映画「魔界転生」は観た。ええ、ジュリーと真田広之のチューが観たくて。ジュリーの天草四郎はビミョーだったが、真田広之がまだ若くて可愛い頃だった。が、映画そのものはあちこちだらだら超たるかった。
そんとき、本屋には原作本が平積みされていたが、そのうち読もうと思って忘れていた。あれからン十年…。
やっと読みましたー。
映画とはぜんぜん違う話で、段違いに面白かったっすー。
これ、いまからTV大阪、原作に忠実に連続ドラマ化してくんねーかな。柳生十兵衛は「葵徳川三代」と同じく中村獅堂で。しかし「葵徳川三代」、第一話が一番面白かったなー。



『外道忍法帖』 山田風太郎 講談社ノベルス・スペシャル


図書館。
島原の乱から十数年後、天正遣欧少年使節団がローマ法王から賜り、使節団のひとり中浦ジュリアンが隠した百万エクーを巡る、三つ巴の争い。
隠し場所を印した十五個の鈴は15人のキリシタンの娘たち「十五童貞女」の体内に隠されており、彼女たちは順繰りにみつかり、殺されて鈴を奪われていくのだが、その末期の言葉が、鬼畜な話だが、読んでて気持ちよくて気持ちよくて…。
この気持ちよさに一番近いものといえば、「忠臣蔵」クライマックス、討ち入りを終えた四十七士が泉岳寺で順番に名前を呼ばれて、控えの間を、ひとり、またひとりと、切腹の場へ去っていくところか。(「忠臣蔵」はあれこれいろいろ納得のいかない話だが、浅野匠頭が切腹するとこと、四十七士が切腹するところは、大好きなの)



『StorySeller』 新潮社ストーリーセラー編集部編 新潮文庫
『StorySeller』vol.2 新潮社ストーリーセラー編集部編 新潮社

映美ちゃんが貸してくれました。
書き下ろしアンソロジー。
1は、「首折り男の周辺」伊坂幸太郎、「プロトンの中の孤独」近藤史恵、「ストーリー・セラー」有川浩、「玉野五十鈴の誉れ」米澤穂信、「333のテッペン」佐藤友哉、「光の箱」道尾秀介、「ここじゃない場所」本多孝好の、七編入り。
2は、「マリーとメアリー」沢木耕太郎、「合コンの話」伊坂幸太郎、「レミング」近藤史恵、「ヒトモドキ」有川浩、「リカーシブル−リブート」米澤穂信、「444のイッペン」佐藤友哉、「日曜日のヤドカリ」本多孝好。
有川浩は両方ホラー。「ストーリー・セラー」はおそらく有川浩が身をもって受けた妬み嫉みを題材にしたもの。妬んだり嫉んだりした人が、妬んだり嫉んだりしているという自覚がたぶんないと思われるのが、とても怖かった。「ヒトモドキ」はもう…。世の中によくある上っ面お題目のひとつに「世間を気にするな」というのがあるが、自分が人からどう見えるか、考えすぎれば確かに身動きとれなくなるが、やっぱり多少は気にせなあかんやんなあという気持ちにさせられました。
伊坂幸太郎は、「合コンの話」がむっちゃ愉快だった。
米澤穂信の「玉野五十鈴の誉れ」は、「イズライル・ガウの誉れ」(『ブラウン神父の童心』G.K.チェスタトン 訳:福田保男)へのオマージュ。タイトルでピンとくるべきだったが、作中に言及があって初めて気づいた。チェスタトンの「イズライル・ガウの誉れ」は、イズライル・ガウの行動原理が見事に解き明かされるが、これはいまいちすっきりしなかった。
(ところで、『ブラウン神父』シリーズの翻訳、福田保男だったことを確認するためにググり、福田保男の訃報を知った。去年の暮れに亡くなっておられた。いまごろ合掌)
この中で近藤史恵だけが、連作。とあるサイクルレースチームの話。
道尾秀介も、米澤穂信、近藤史恵同様、これで初めて読んだ。基本的な時系列詐欺だったが見事にだましてもらって気持ちよかった。この三人、他のをこれから読むー。わあい、わあい、いっぱい読める〜♪
佐藤友哉と本多孝好は、最初だけ読んでスルー。



『私立探偵・麻生龍太郎』 柴田よしき 角川書店

図書館。
時間的には、『聖なる黒夜』と『RIKO 女神の永遠』の間の話で、警察を辞めて探偵事務所を開いた麻生龍太郎が出会う事件と並行して、山内練との関係の成り行きが描かれる。
麻生の自己評価と刑事時代の麻生を知る人々の麻生の評価のギャップが面白かったり戸惑わされたり。
キャラとしては、ヤメ検の女弁護士が痛快だった。

ところで麻生と錬って、RIKOシリーズでは結局どうなったんだっけ? 読んだのがあんまり昔で覚えていない…。読み返してみよ。

『仏教とっておきの話 春の巻』 ひろさちや 新潮社

図書館。
だいぶ前に開架で拾った『阿闍世王物語』が面白かったので、ほかのも読んでみようと思いながら、『世界の聖典1 ひろさちやが開く法華経』を読んだきり忘れてた。
一日分見開き2ページの仏教についてのあれやこれやのいろんなお話。読みやすくて、面白かった。
先月伯父が亡くなった。父の兄で、昭和11年1月1日生まれ。
うちの父は嫁いだ叔母の養子で、叔母の嫁ぎ先は浄土真宗、実家である伯父ん家は真言宗。
真言宗の葬式にこんなにがっつり立ち会うのは初めてで、なんかいろいろ面白かった。
で、ふた七日のときだったか、伯父ん家のお住持さんが亡くなってから七日ごとの法要について話してくれたのだが、そのとき、「三十五日が地蔵菩薩ですね」と。
ありり、三十五日めは閻魔さまじゃなかったっけ?
と思ってウィキペディアの「十王信仰」のとこを読み直したら、覚え間違いではなかった。三十五日目が閻魔さまで、閻魔さまは地蔵菩薩の化身という説があるからなのかー。
で、人が亡くなると三途の川を越え、七日ごとに生前の行いについて審判を受ける。
が、そこそこ普通に生きてた人は、初七日の最初の審判で、無罪放免となるらしい。へーほー。
あとのは、控訴、控訴、控訴、控訴…、というか、敗者復活戦、らしい。
さらには、浄土真宗の場合、「南無阿弥陀仏」さえ唱えれば極楽往生できるはずなので、七日ごとの法要は必要ないらしい。へーへーほー。
したあとでこれを読んだのだが、この問題について触れてる文章があった。タイムリー。
でもさ、葬式終わったらあとはなんもなしって、なんかつまんないよな。
浄土真宗も、最初のうちこそ教義に忠実だったんだろうが、それじゃなんかつまんないーで、いまみたいに最大50年祀るようになったんだろうねえ。
法事、親戚とか集まる理由ができて、美味しいものも食べれて、わたしはけっこう好き。



『アスラクライン』12 三雲岳斗 電撃文庫

新品購入。
今年の4月に出ていた。ぜんぜん気づいていなかった。
おかげで12巻読んですぐ、11月発売の13巻が読める〜♪♪♪



『やんごとなき読者』 アラン・ベネット(訳:市川恵里) 白水社

図書館。
エリザベス二世がひょんなことから本を読むことにだだはまりする話。
すんげー面白かった〜♪♪♪
冒頭、フランス大統領にジャン・ジュネの話を振るとこで、まず爆笑した。図書館で借りてすぐ、地下駐車場に降りるエレベーター内で。1階あたりで昇りエレベーター待ってる人いて、もしわたしの笑い声がそっちに漏れてたら、さぞや不気味だったとことと。
移動図書館との出会いのくだりも楽しかった。
それにしても、そうよ、本を読むのって、すごい時間をとられる楽しみなのよ。



『最遊記RELOAD』10 峰倉かずや 一迅社

新品購入。
RELOAD完結編。この後は「RELOAD BLAST」で1巻から出るらしい。
思い出すわー。「RELOAD」1巻本屋で見たときの、新刊なのか表紙リニュしての再版なのかわからなかったときのためらい。

ともあれ、このシリーズは完結まで読み続けるであろう。


『アルサラスの贖罪』1 デイヴィッド&リー・エディングス(訳:宇佐川晶子) ハヤカワ文庫

新品購入。
奥さんのリーが亡くなったのはドラル国シリーズのあとがきで読んだが、デイヴィッド・エディングスも今年の6月に亡くなったことをこれのあとがきで知る。
享年77歳。
「ベルガリアード」&「マロリオン」を、「タムール」&「エレニア」を、ほんとにありがとう、ありがとう、ありがとう。
きっとこれからも読み返します。読み返しては楽しみます。>デイヴィッド&リー・エディングス
そんで、最後のシリーズ。
とある泥棒が世界の果てに建つ屋敷に盗みに入ったら、そこで一匹の猫に出会い、屋敷に閉じ込められたまま、文字の読み方から教育され、終わって屋敷を出てみれば、外では数千年が過ぎていた…。
あと二冊しか読めないけど、楽しみですー。



『少年陰陽師 祈りの糸をより結べ』 結城光流 角川ビーンズ文庫

新品購入。
颯峰編その2。
「珂神」編でかなり盛り下がったが、「玉依」編は盛り返し、この「颯峰」編、完全復活、面白い〜♪♪♪



『きのう何食べた?』3 よしながふみ 講談社

新品購入。
ホモ版クッキングパパ3巻。シロさんの実家の事情を読みながら、でも、娘がなかなか結婚しないとか、娘になかなか子供ができないとか、そーゆー事情で宗教にはまったりする人もいるんだから、そこはそれほど気にしなくてもいいんじゃね?とか思ってみたり、あれこれと。が、シロさんの回想の中のツボ買って、これですべて解決〜と嬉しそうな母上の笑顔には、しんみりさせられたな、うん。
で、『1限めはやる気の民法』2に、「犯罪の実行行為の際に責任無能力であってもその無能力状態が自ら有責に招いた意ものである場合には、先の事例ににつき、乙の責任を問えるものと私は考えます」(80頁から無断転載)に、そうだよなー、病気が原因の心神喪失と、覚せい剤とかが原因の心神喪失は、別にすべきだよなー、と思ったが、こちらでの医療過誤訴訟についてのシロさんの考え方(66、67頁)にも、そうか、そうだったんか〜、と思いました。



『舞姫 テレプシコーラ 第二部』3 山岸凉子 メディア・ファクトリー

新品購入。
ローラ・チャン=空美ちゃんについて、ついに六花が疑惑を持つ。気になってたのよー。どうなのよー。
そんで、「ジゼル」の曲をアレンジした曲でのインプロヴィゼーションで、倒れた六花のかわりにローラ・チャンが六花のかわりに踊るとこの気持ちよさときたら〜っ!!!

第二部、1巻が2008年7月、2巻が2009年3月、この3巻が2009年10月。
つうことは、4巻は来年の4月くらいか? ああ、待ち遠しい〜〜〜。







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