本読み月記


【ジャンル分け】 最初から日本語で書かれた小説。
最初から日本語で書かれた小説以外。
日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。

日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。

コミックス


『吸血鬼と愉快な仲間たち』4 木原音瀬 蒼竜社

図書館。
この巻でハッピーエンドかと思ったら、終わらなかった。暁はアルをアメリカに置き去りにして帰国。
そんで、vol.5はまだ出ていない。
アルが24時間蝙蝠のまんまだったら飼いたい。ご飯は血を一日1ccくらいでいいのかな? もっと要るのかな? 



『コレデオシマイ。』 山田風太郎 角川春樹事務所

図書館。
亡くなる五年前くらいに出たインタビュー本。
実に感じよくまとめられてて、読みやすかった。「歴史の人物について」と「明治について」のとこが特に面白かった。
写真も盛りだくさんで、どれもいい写真であった。



『妖異金瓶梅』 山田風太郎 扶桑社文庫

図書館。
忍法帖シリーズを書き出す前の作品だそうだ。
中国の古典に『金瓶梅』というのがあるのを知ったのは、大学の講義でだったが、日本の何にこれの影響が見られるって話だったのかは覚えておらず、原典ももちろん読んでいない。
それを連作短編ミステリにしたものだが、そういうわけでどれだけ原典と違うのかは知らない。そして連作短編ミステリながら、犯人はいつも同じ。
で、最後までそのパターンかと思ったら、後半で不意に破綻する。
面白かったっすー。



『あたしの手元は10000ボルト』 ジャネット・イヴァノヴィッチ(訳:細美瑤子) 集英社文庫

図書館。
バウンティハンター、ステファニー・プラムシリーズ。
偽レンジャーとそいつに攫われたレンジャーの娘という軸のストーリーはシリアスだが、プラム家やヴィニーの事務所では、相変わらずの愉快きわまりないスラップスティックコメディが繰り広げられ、そのバランスが絶妙で、すんごい楽しい。
ステファニーのお父さんはなんにでもグレイヴィーソースをかけるらしいが、日本にはなんにでも醤油をかけるおっさんやなんにでもソースをかけるおっさんがいる。きっと世界中にいるのだろう、こういうおっさん。
それにしても一度食べたい、プラム家の夕食〜。


『二人道成寺』 近藤史恵 文藝春秋

図書館。
梨園、歌舞伎界を舞台にしたミステリ。
ミステリとしてはいまいち。歌舞伎の世界ものとしてもいまいち。



『天使はモップを持って』 近藤史恵 実業之日本社
『モップの精は深夜に現れる』 近藤史恵 実業之日本社


図書館。
ビル清掃の仕事をする女の子キリコがいろんな謎を解く、連作ミステリ。
『天使はモップを持って』はある会社で起こる謎。語り手は新入社員の男の子。
『モップの精は深夜に現れる』は、前作で人妻となった彼女が、いろんな仕事場を舞台に活躍する話。
すんごい面白かった〜♪
第一作途中くらいから、「…キリコ、なんで昼間に会社おるん?」とか思ったが、どうでもいいや、こんだけ楽しけりゃ。
どちらも最後に一編、テイストの違う話が入ってるのが、洒落ている。



『unhappy dogs』 近藤史恵 中央公論新社

図書館。
ミステリと思って読んで、真緒たちのとこに転がりこんだこの新婚夫婦になんか謎があったり、どっちかが失踪したりするのかしら、と思いながら読んだが、結局最後までなにも起こらず。
あっれー? あれれれれれ??と思ったら。
巻末の著者紹介の最後の一行に「本書は彼女にとって初めての「恋愛小説」である」………。



『誇りと復讐』上下 ジェフリー・アーチャー(訳:永井淳) 新潮文庫

図書館。
自動車修理工の青年が恋人にプロポーズ、承諾してもらい、彼女と親友である彼女の兄と三人で祝杯をあげていたところ、俳優や弁護士の卵たちからなるグループに絡まれ、彼らのひとりが彼女の兄を殺し、青年は殺人容疑をかけられて刑務所に送られる。刑務所でものすごく似た容姿の青年と知り合いになり友情を育むも、青年は中で亡くなり、彼はそのときに青年と入れ替わり、刑期を終えて出獄、青年の祖父が青年に残した莫大な財産を悪辣な伯父が横取りしようとするのを防ぎ、それととともに彼自らの無実も証明する。
上巻、かなりあちこちすっとばしながら読んだから、どっか間違えてっかも。
青年の祖父が孫に残した財産の話のあたりが一番面白かった。



『仏教とっておきの話366 夏の巻』 ひろさちや 新潮社

図書館。
残るは、秋の巻と冬の巻〜。
いろんなとこから話を引っ張ってくるのが、そして知らない話もいっぱいあったのが、実に楽しい。



『原始の骨』 アーロン・エルキンズ(訳:嵯峨静江) ハヤカワ文庫

新品購入。
9月に出ていた。知らなかった。
スケルトン探偵ギデオン・オリヴァーシリーズ。
今回の舞台はジブラルタル。ジブラルタル海峡んとこの、ヨーロッパ側んとこらしい。
ジブラルタルで行われることになった会議および記念式典に招かれたギデオン教授と愛妻ジュリーが、ジブラルタルで五年前発掘された母子の骨にまつわる事件に巻き込まれる。
ここんとこギデオン教授シリーズ、いまいち面白くなかったが、これはそこそこ面白かった。ネタ的には『暗い森』をちょっと思い出し、が、『暗い森』のあの衝撃的な結末にはとうてい及ばないものの、そこそこ面白かった。
ジブラルタルといえば、ヨーロッパとアフリカがあの場所であんなにくっついてることに初めて気づいたときにすんげーびっくりしたことを、ちょっと思い出した。



『幻想綺帖2 玉藻の前』 波津彬子 原作:岡本綺堂 ソノラマコミックス

新品購入。
1は短編がいくつも入っていたが、この2はまるまる岡本綺堂の『玉藻の前』。
玉藻の前という名を初めて知ったのは、わたなべまさこの漫画だった。いま調べたら、あっちも原作は岡本綺堂の『玉藻の前』だった。へえへえへえ…。で、ウィキペディアで「玉藻の前」を引いたら、岡本綺堂版とほとんど同じあらすじが載っていたが、お伽草紙とかもほとんどこーゆー話なのか? 違うのか?
玉藻の前のモデルとなったのは、鳥羽上皇に寵愛された美福門院で、保元の乱発生絡みの人物。保元の乱のあとすぐに平治の乱が起こり、平家の天下が訪れるのか、ほーほーへー。



『闇の鶯』 諸星大二郎 講談社

新品購入。
今年の4月に出ていたが、気づかなかった。
「それは時には少女となりて」「人魚の記憶」「描き損じのある妖怪絵巻」「闇の鶯」「涸れ谷」の五編入り。うち「描き損じのある妖怪絵巻」のみ稗田礼二郎もの。
「闇の鶯」の山姥がステキだった。ラストシーンもなんか救いがあってほっとさせられた。
そういえば、阿部寛が稗田礼二郎役やった映画「奇談」、映画館で上映できる長さにするため嵩を増やすために脈絡なくもとの話にないエピソードを突っ込んでしまったどうしようもない映画だったが(いっそ稗田もののオムニバスにすればよかったのに)、隠れキリシタンたちの古いフィルムのとこは値打ちあった。



『秘密』7 清水玲子 白泉社

新品購入。
20年前アフリカで起きた拉致事件の被害者の遺族たちが、当時中東アフリカ局長であった現外務大臣の愛娘を誘拐、20年前の彼らと同じ立場に大臣を追い込むことを画策する。
なんというか、ジェフリー・ディーヴァーを読んだあとみたいな気持ちがした。
過去の外交上の事件に端をはっする、というところは、「相棒 -劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン」に似ていた。


『カルバニア物語』12 TONO 徳間書店

新品購入。
ひさびさのカルバニア新刊。と思ったら、11が出たのは去年の8月だった。もうちょい空いたような気がしてたんだが。
今回もどの話も面白かったけど、中でもタニアがメインの「女王陛下の迷路」は見事な話だった。



『午後のお茶は妖精の国で』2 遠藤淑子 祥伝社

新品購入。
女に姿を変えられた王子、子供に変えられた魔法使い、と、カラスのハラシュは…、元は金貸し商人、へええ。(背表紙参照)
この三人のパーティーが、悪い妖精ヴィネドを追う話。
重たい題材を扱いながら、あちこちギャグで笑わせるとこは、三雲岳斗の芸風にちょっと似てるかも。
付録のコント劇場、今回も超愉快♪
あとがきも酷い♪



『蛇、もっとも禍し』上下 ピーター・トレメイン(訳:甲斐萬里江) 創元推理文庫

新品購入。
フィデルマ新刊。初めて読まずに買ったフィデルマ。
今回の舞台は海辺の「三つの泉の蛙」女子修道院。ここの井戸で女性の首なし死体が見つかり、修道院長が調査のためにドゥーリーの派遣を要請、フィデルマが赴くことになる。
これまた行け行けどんどん、やめられないとまらない〜。
あとがきで田中芳樹が、フィデルマが実はあまり好きではなかった、ということを書いている。理由を読んだらすごく納得できる。
いわれてみればそうだ、なのになんでわたし、フィデルマが嫌いじゃないんだろ? と思ったが、よくわからない。まあ、モアン王の妹(どれかの話ではまだ父王が死んでいなかったので王の娘だった)という出自が明らかになるとこなんかは、浅見光彦シリーズに近い気持ちよさがあるが。
でも、フィデルマ、たぶん乳は貧相だと思う。トレメインはどこにも書いてないが、イメージ的に「壁の鼻くそ」レベルの超貧乳っぽい感じがする。



『アスラクライン13 さくらさくら』 三雲岳斗 電撃文庫

新品購入。
完結してしまった、はあああああ。
最後まで面白かったよおお、面白かったよおおお。最後の決戦も、気持ちよかったよおお、気持ちよかったよおおお。
ところで76頁、『六夏会長? 生きてたんですか?』「死んでたまるか。生きとるわ!」のとこで、嬉し涙がこぼれかけたのはわたしだけでしょうか?
後日談がそのうち出るらしい。彼らの話がもう1冊読める、楽しみ〜。



『死は万病を癒す薬』 レジナルド・ヒル(訳:松下祥子) 早川書房

新品購入。
ダルジールシリーズ。ダルジール警視療養編。
ダルジールがちょっとづつもとのダルジールに戻ってくとこが嬉しかった。ダルジールの旧い知り合いの娘で、ひょんなことからダルジールの療養先のあたりに滞在することになったチャーリー、ダルジールの一人称、チャーリーの一人称、三人称、三種類の語りで話が進む。このチャーリーと彼女に片思いしてたゴードン・ゴッドリーが最後あたり、なんかいい感じになりそうになるのもよかった。
訳者あとがきによると、ジェーン・オースティンの『サンディトン』という小説のパロディになってる部分がいっぱいあるらしいが、もちろんジェーン・オースティン、1冊も読んだことがない。
本国では今年、ダルジールシリーズ、次のが出てるらしい。日本で出るのは来年かな? 首を長くして待ってます。>松下祥子さま



『誰も寝てはならぬ』12 サライネス 講談社

新品購入。
もう12巻かあ。しみじみ。
ところで「誰も寝てはならぬ」といえばプッチーニの「トゥーランドット」のアリアだが、なぜかわたし、長いこと、同じくプッチーニの「ジャンニ・スキッキ」のアリア「わたしのお父さん」を「誰も寝てはならぬ」と覚えまつがえしていた。ま、どっちも通しで聞いたこたあないが。



『日本人の知らない日本語』 蛇蔵&海野凪子 メディアファクトリー

RP祐子が貸してくれた。
すんげー面白かった♪ 外人の生徒さんたちがもう愉快で、愉快で、中でもとりわけ、ええ氏の出ぇの実に上品なフランス人の奥様で、仁侠映画で日本語覚えた奥様。
日本語で数を数えるときにつく「匹」とか「冊」とかの助数詞のネタで、米原万理さんのエッセーの、ロシア語とかドイツ語の動詞変化に文句つけたら、逆に日本語の助数詞のことで文句つけかえされたという話を思い出した。
この本、日本語についての知らなかったこともいっぱい教えてもらえましたー。



『ぬくぬく まどろみ編』 秋本尚美 集英社

N塚長姉が貸してくれた。
秋本尚美って、昔「Lala」で描いてた秋本尚美か?と思ったら、どうもそうみたいです。
独身の中年男とメス猫のふたり暮らしをほのぼの描いたもの。ビジュアルも○。ネタも○。



『隗ヨリヒトカイヨリ式』1、2 カズアキ エンターブレイン

RP祐子が貸してくれた。
設定とかキャラは好きな感じなんだけど、うーん、この人、漫画描くの下手なのかも…。



『BILLY BAT』2 浦沢直樹 ストーリー共同制作:長崎尚志 講談社

新品購入。
GHQ占領下の日本から、1世紀のエルサレムへ、1959年のNYへ、16世紀の日本へと、物語は移っていく。
ぜんぜん先が見通せなくて、すんごいわくわくしている。



『MR.MORNING』 高山しのぶ 一迅社

N塚長姉が貸してくれた。
スティーム・パンクみたいな感じ。
感じのいい話だった。

最後の話のクライマックス、虹石爆弾を実は自分が持ってたことに気づいたトーイがそれをぱくっと飲み込むとこ、大好き♪


『西のはての年代記1 ギフト』 アーシュラ・ル=グウィン 河出書房新社
『西のはての年代記2 ヴォイス』 アーシュラ・ル=グウィン 河出書房新社
『西のはての年代記3 パワー』 アーシュラ・ル=グウィン 河出書房新社


図書館。
「ギフト」が2006年6月、「ヴォイス」が2007年8月、「パワー」が2008年8月。
こんなん出てたの、全然知りませんでした。朝日新聞に最新刊『ラウィーニア』の広告が載ってて、図書館の蔵書にもう載ってるかな、と蔵書検索して、初めてこんなん出てたのに気づきました。
おかげで全三巻、一気できましたー。
全部、中図書館の児童書コーナーに揃ってましたー。
27日28日、一泊二日で東京行くとき、「ギフト」が残り4分の1くらいのとこで、「「ギフト」はたぶん、行きの飛行機の中で読み終わる。から、「ヴォイス」は要る。「パワー」どおしよ…」と思いつつ、三冊まとめて持ってったところ、28日ホテルを出るまでに「パワー」まで読みつくしてしまいました…。帰りの飛行機で読むものがないので、映美ちゃんに教えてもらった浜松町のでっかい本屋で『ラウィーニア』を買ってしまいました…。
それぞれ読みきりだが、できたら順番どおりに読むのが一番よいと思う。
「ギフト」は北の山岳地帯に住む氏族の少年、父は「もどし」のギフト持ち、母は低地出身、オレック・カスプロの、幼少時代から彼が山岳地帯を出るまでの物語。
「ヴォイス」は南のアンサル、オルド人の占領下に生まれ育った「道の長」の家の少女、メマー・ガルヴァ。オルド人による占領が解かれるまでの物語。
「パワー」は「ギフト」の山岳地帯と「ヴォイス」のアンセルの中間あたりにある都市国家群のひとつエトラ、そこで奴隷として育った少年が姉の死を契機に逃亡し、放浪する物語。
三冊どれも、読み応えたっぷり、行け行けどんどん、やめられないとまらない〜な物語。
特に「パワー」は、読み終えたとき、自分も長い長い旅をしてきたような気持ちにさせられた。
これが予約もつかずに図書館の開架で遊んでるのは間違っている。
すんなり借りてこられて読めたのはありがたいが、間違っている。

読もっ!!!

みんな、読もっ!!!


『Landreaall』15 おがきちか 一迅社

新品購入。
引き続き里帰り編。
いつもどおりすんごい面白かったが、ぶどう→槍熊のエピソードは、いい話なんだけど、なんか唐突感が。



『彩雲国物語 暗き黄昏の宮』 雪乃紗衣 角川ビーンズ文庫

新品購入。
30日に届き、その日のうちに読んでしまった…。
ええっと…。
…思えば遠くへ来たもんだ。
まさかこんな話になってくとは、御史入りしたあたりでも、まったく予想してなかったわー。
きっと気持ちよーい結末が待ってるんだと信じるわー。







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