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本読み月記


【ジャンル分け】 最初から日本語で書かれた小説。
最初から日本語で書かれた小説以外。
日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。

日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。

コミックス



 『大奥』十 よしながふみ 白泉社

新品購入。
平賀源内と青沼はついに赤面疱瘡に対する免疫を作るための種痘に成功する。
が、源内は梅毒感染目的で罹患者にレイプされて感染発病、田沼は失脚し、家治はひそかに砒素を盛られ続けて亡くなり、青沼は死罪をなる。
黒幕は吉宗の三女の子治済。彼女が青沼の種痘によって赤面疱瘡の免疫を得た息子を十一代将軍の地位につけようとしたところまで。
ひょっとしたらいま現在も、明朗なヴィジョン明確な目的をもって頑張ってる政治家を、わたしたちはマスコミに煽られるまま誤解して謗ったり、しているのかもしれない。当事、田沼を憎んだ「衆愚」たちと同じように。
ところでこれを読むまで、松平定信が吉宗の孫だったことにぜんぜん気づいてませんでした。
さて、次の巻は悪名高き寛政の改革だ。



『源平六花撰』 奥山景布子 文藝春秋

図書館。
平家物語をベースにした短編集。
常緑樹ときわぎ」(常盤御前)、「啼く声に」(俊寛・平康頼・藤原成経が流された薩摩国鬼ケ島の島娘千鳥)、「平家蟹異聞」(平家に仕えた姉妹松虫鈴虫)、「二人静」(源九郎狐)、「くらきより」(熊谷直実の妻)、「おくれ子」(建礼門院徳子)の六編入り。
今年の六月、松竹座の「上方歌舞伎鑑賞会」を観に行った。ドキュメント映画「歌舞伎役者片岡仁左衛門の各巻日替わり+「「恋飛脚大和往来」新口村の場」(孫右衛門:片岡我當、傾城梅川:上村吉弥、亀屋忠平衛:片岡進之介、忠三女房おしげ:片岡和之介)で、私が観た回のドキュメント映画は十三世が若手たちの公演に稽古をつける「若鮎の巻『一條大蔵譚』『吃又』」だった。そしてその翌月、同じく松竹座で、ドキュメントで十三世が稽古をつけてた「一條大蔵譚」を十五世仁左衛門の長成&秀太郎さまの常盤御前で観たのだ。
ので、源義朝の死後、平清盛の子を生み、その後大蔵卿藤原長成に嫁ぐことになった常盤御前を常盤御前に使えた侍女の視線から描いた冒頭の「常緑樹」、「いなしゃませ」のあれだあ〜♪とまず嬉しくなった。十五世仁左衛門の大蔵卿は、実を見せたときのかっこよさもさることながら、アホウぶりがもうかわいらしくてかわいらしくて、クライマックス、アホウとまともがころころ入れ替わるシーンはいやもう圧巻だった。そしてこの「常緑樹」の大蔵卿は、歌舞伎のキャラ立てとはまったく違う大蔵卿であったが、なんともいえずよい人だった。
で、「啼く声に」で千鳥の長い旅を読み、「平家蟹異聞」で松虫鈴虫姉妹の運命を辿り、お次の「二人静」、あっらー、「義経千本桜」〜♪ これは「すし屋」を去年二月松竹座の染五郎・愛之助・獅童男前祭りで観て、「渡海屋・大物浦」「吉野山」を去年七月やっぱり松竹座で観て、「川連法眼館」は今年一月やっぱり松竹座で観たのだ。狐は猿之助で宙乗り付だったのだ。
ちなみに一月の「川連法眼館」の静御前は秀太郎お姉さまで、六月の「一條大蔵譚」の常盤御前もたまらん可愛くて可愛くて可愛かったが、この静御前もたまらん可愛くて可愛くて可愛かったのだ。
それにしても「渡海屋・大物浦」はひどい話だよな。水死するとこ助かった安徳天皇、またもや水死させなおすんだもんな。
閑話休題。
「常緑樹」の一條大蔵卿と同様、この源九郎狐もまた、歌舞伎のキャラ立てとは違い、結末も違っていた。狐といえば信太出身安倍晴明母葛の葉が有名で、この源九郎狐を同じく信太出身としたのが趣深かった。
熊谷直実の妻の話もしんしんとしみたが、最後の壇ノ浦その後の建礼門院を描いた「後ろ子」、ぼんやりと流されるままだった徳子が尼になり、やはり落髪した侍女たちと庵で身を寄せ合うように住まううち次第に生きた女性になっていくさまが、最後のお話として本当に心地よかった。
ところで第一話を読んだとこでネット検索し、常盤御前と平清盛との間に生まれた娘が後の話のあちこちに登場する「廓御方」と知り、「啼く声に」の流罪のもとの話もググって、ああ、そういう話だったのかあ、と。そのあともしょっちゅう検索しながら読んだ。去年の大河「平清盛」は全部観たので、かなり復習できてたはずだがそれでもこのていたらくで、家にいながらにしてこんなに簡単に調べられる時代じゃなかったら、これ誰だっけ、あれなんだっけ?と、これほど楽しめなかったかもしれない。
それをいうなら、歌舞伎もどの場をほんとに観たかいつ観たかも、ググって確認しました。
観ただけでどれをいつ観てそのときの配役もだいたい頭に入ってる人も世の中いるんだろうなあ。

ところで歌舞伎役者のブログで一番好きなのは、秀太郎お姉さまの「秀太郎歌舞伎話」。
言葉の使い方選び方が本当に素敵な文章です。
次に好きなのは、美吉屋のお姉さま「上村吉弥」ブログ。ご本人の写真も美しいですが、ときどき吉太朗くんの写真も載せてくださって、だんじりのときの写真なんか、やっぱり岸和田の子だなあとほのぼのさせてもらって、それにつけた吉弥さんの文章にまたなんともほのぼのさせてもらって。

(2014/02/07追記) 先月の松竹座の「坂東玉三郎 初春特別舞踊公演」観に行ったのだが、玉三郎と七之助がふたりで踊った「村松風二人汐汲」、在原行平の配流先での現地妻だったみたいな姉妹の踊りで、こちらは平安時代の話だが、そして姉妹の名前は「村雨」と「松風」だが、姉妹が汐を汲む様子に、「平家蟹異聞」の松虫鈴虫を思い出した。
あと「松虫鈴虫」でググると、住蓮山安楽寺というお寺の縁起、後鳥羽上皇の寵愛を受けた姉妹のお話がみつかる。


時平しへいの桜、菅公の梅』 奥山景布子 文藝春秋

図書館。
これが「菅原伝授手習鑑」と気づいたのは、時平んとこの牛牽き松王丸と道真んとこの牛牽き梅王丸が出てきたとこ。
って、「菅原伝授手習鑑」は一昨年七月、「車引」の場を見たっきり。我當さんの時平公のラスボス感が凄くて、この奴連中束になっても勝てる気しねえな、と思ったことしか覚えてなくて、いま検索して、桜丸梅王丸松王丸の三つ子をそれぞれ片岡孝太郎、片岡愛之助、片岡進之介と、十三世仁左衛門の息子たち、我當さん、秀太郎お姉さま、当世仁左衛門のそれぞれ跡継ぎがやってたことを初めて知った。気がつけば妙に好きになってた巳之助くん(顔と名前だけ先に覚えて、つい最近まで三津五郎の息子と知らなかった)が杉王丸で出てたことにもいま気づいた。
だって歌舞伎をチケット買って観始めたのが一昨年一月、この「車引」の場観たのはそれからたった半年目、まだ屋号もろくすっぽ覚えてない頃だったんだもん。
で、気づいたとこで「菅原伝授手習鑑」のあらすじをまず確認、あらまあ、こんな話だったのか…と。
で、このお話は、藤原時平の元服から流された道真の死までを、主に時平の視点から語ったもの。
びっくりしたのは宇多天皇。一度臣籍に降りた人が即位することがあったなんて、ぜんぜん知らなかった。
あと「古今集」の成立事情はこれまでぜんぜん知らなかった。これに絡んで紀貫之が脇役としていい味出してた。
源融も出てきた。これまでの半生ナマで観た一回こっきりのお能がこの人をモデルにした「融」だったことを思い出した。お能「融」、主役がさめざめと泣くシーンがあったので、この人も流刑になるとかして非業の死を遂げた人だと長年漠然と思い込んでたが、これ読んでから能「融」のあらすじ探して読んで、観てからン十年目にして、そうか、そういう話だったのか、と。(= ̄∇ ̄=)
先月読んだ『キサキの大仏』に出てきた厨子も登場。というか、こちらで語られた厨子の起源を語ったのが『キサキの大仏』のあのエピソードだったのね。
ところで紅白歌合戦観覧応募のために往復はがき買わないといけなくて、思いつくときは時期はずれだったり手元に往復はがきがなくて買おうと思ってるうちに忘れたりしてた「京都御所」見学、やっと申し込んでみたら当選、第二希望の11月30日(土)で当選、で、今月行ってきまーす。



『喜娘』 梓澤要 新人物往来社

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先月、奥山景布子の『キサキの大仏』読んで、梓澤要の『橘三千代』を思い出し、『女にこそあれ次郎法師』から読んでないことを思い出し、堺市図書館蔵書検索してみたら、何冊か出てたけど、もっと前に出た本、初めて読んだ『百枚の定家』がもうむちゃくちゃ面白くて、その頃『遊部』や『阿修羅』も確か読んだはずだけど、この『喜娘』は読んだ覚えがなかったので借りてきた。
短編集。「喜娘」「惜花夜宴」「夏の果て」「すたれ皇子」「嘉兵衛のいたずら」の五編入り。
「喜娘」「惜花夜宴」「夏の果て」「すたれ皇子」の四編は奈良時代を「今」とした話、「嘉兵衛のいたずら」のみ吉備真備を扱いつつも現在の話。
あちこちうっすら覚えがあるような気はしたが、「すたれ皇子」、聖武天皇に異腹の兄弟がいたことにびっくりしたので、もし読んでたらこれはさすがに覚えているだろうと。



『正倉院の秘宝』 梓澤要 廣済堂出版

図書館。
美術月刊誌『古美術薫風』の編集員である理江子が主人公。
金剛山の東側の麓あたりの庵主がひとり守る山深い寺、廃仏毀釈の頃、近隣の寺から預けられたたくさんの仏像を納めた寺で、厨子に納められた不思議な仏像、黒鞘の刀を胸に抱く木彫りの仏像をみつけたところから話は始まり、このへんではわくわくしたのだが、あとはなんだか二時間サスペンスであった。
が、これを読んだおかげで、金剛山の全貌がわかったというか、わたしらが小学校の耐寒登山で登らさせられたのは西の麓からだったのねと今ごろ気づいたというか。いや、金剛山という名前はちっちゃい頃から知ってたし、小四から小六まで毎冬小学校から登山に連れてかれたけど、金剛山がいったいどのへんにあるどの程度の山なのか、いままで考えたことなかったのね。



『バーニング・ワイヤー』 ジェフリー・ディーヴァー(訳:池田真紀子) 文藝春秋

図書館。
まだ予約いっぱいの頃に一度借りてきたときは、最初のほうをちんたら読んでるうちに返却日が来てしまった。
最近キャサリン・ダンス主演の新刊出て、それを予約するときにそれを思い出し、見たら既に予約なしで開架にいた。
中盤まではやっぱりいまいち勢いつかずにちんたら読んでしまった。フレッド・デルレイのことも心配すぎて。
が、チャーリー・サマーズ出てきたへんたれか、そのあたりから勢いがつき、Uあたりからは行け行けどんどん。
一番楽しかったのは、デルレイとデルレイの情報屋とプラスキーとプラスキーが起こした交通事故の顛末〜♪
ところで犯人の遺留物質のひとつ「ギリシャ料理のタラマサラータ」、「タラマサラータ」で検索すると結果はたったの一頁だったが、いわゆる「タラモサラタ」のことらしい。
実は私は長らく、たらこ+じゃがいものサラダで「タラモサラダ」、日本のどこかのレストランが始めた創作料理が次第に広がったものだと思い込んでいた。あらためてウィキの「タラモサラタ」の項を見直すと、同じ間違いをしていた人も多いらしい。



『シュークリーム・パニック 生チョコレート』 倉知淳 講談社
『シュークリーム・パニック Wクリーム』 倉知淳 講談社


新品購入。
生チョコレートは「現金強奪作戦!(但し現地集合)」「強運の男」「夏の終わりと僕らの影と」の三編入り。
Wクリームは「限定販売特製濃厚プレミアムシュークリーム事件」「通い猫ぐるぐる」「名探偵南郷九条の失策 怪盗ジャスティスからの予告状」の三編入り。
わあい、倉知淳の新刊だあ〜♪とすぐさま購入したのだが。
つ、つまんなかった………。
どれもこれもつまんなかった………。
どれも「私が読みたかった倉知淳はコレジャナイ」であった。
今からamazonマーケットプレイスに出品してきます……。


(2014年1月8日追記 二冊セットで800円で「生チョコレート」側に出してますが、本日現在、売れてません。誰か買ってーーー)

(2014年2月9日追記 しばらく前に二冊まとめて600円にしましたが、本日現在、まだ売れてません。誰か買ってーーー)


『ダイソン自伝 宇宙をかき乱すべきか』 フリーマン・ダイソン(訳:鎮目恭夫) ダイヤモンド社

図書館。
堺市の図書館の蔵書を「フリーマン・ダイソン」で検索するとこれが漏れていた。この本のみ、著者名を「F・ダイソン」と入力しているせいだった。図書館にメールしたのだが、本日(11/15)現在、「F・ダイソン」のまんまである。
閑話休題。
フリーマン・ダイソン博士の自伝。
本国では1979年発売だそうなので、50歳くらいのときに出した自伝。
wikiの「フリーマン・ダイソン」の項には、この本がネタ元のエピソードもあるが、ここに載ってないエピソードもある。
Tがイギリスでの幼少の頃の思い出や、戦時下に過ごした青年時代の話。
1923年生まれだから、あっらー、大正12年だ。うちのばあちゃんの九つ下だ。誕生日はMちゃんの四日前の12月15日で、今年のお誕生日で満90歳。ということは、うちのばあちゃんまだ生きてたら今年100歳リーチの99歳だったのか。
Uはアメリカに渡ってコーネル大学の大学院に入ったとこからで、Vは科学や技術についてのあれやこれやの四方山話。
一番わくわくしたのはやはり、ダイソン方程式成立のくだり。リチャード・ファインマンのエッセイでもお馴染みのハンス・ベーテがまず博士の指導教授として登場して、次にリチャード・ファインマンも登場、シュウィンガーの講演を聞きに行き、日本から届いたわら半紙に印刷された(ガリ版摺りか?)論文集で朝永振一郎の論文を読み、夏季休暇前にファインマンの運転する車に同乗させてもらってアルバカーキまで長いドライブして、休暇が終わる頃、ひとりグレイハウンドのバスに揺られてる最中にファインマン・ダイアグラムとシュウィンガーの方程式が「かつてなかったほど明快に調和し始めた」ところは、ほんともう、まるで小説みたいに痛快だった。
家族の話では、お母さんのエピソードが楽しかった。
第二次世界大戦中、 民間人として司令部で爆撃機の損失率のデータをとっていた博士が司令部の仕事をやめて爆撃機の乗組員になろうとしたとき、博士のお母さんが博士に言った言葉。

「あなたは航空士としてはとうてい見込みがありませんよ。いつも道に迷っていたでしょう。もちろん私は、あなたがそうやって死を選ぶのを、それがなすべきことだと、あなたが信じているのなら、反対するつもりはありません。しかし、それでは飛行機が一機大損になりますよ。」(35頁より無断転載)

このお母さん、26頁27頁の「宇宙的合一」のエピソードのところでも素敵。
ダイソン博士といえば、ゼータ関数の.零点の正確な分布を研究していた数学者モンゴメリとの邂逅の話も有名だが(リーマン予想を扱ったジョン・ダーヴィシャーの『素数に憑かれた人たち』にも載ってたし、やっぱりリーマン予想を扱ったデュ・ソートイの『素数の音楽』も載ってた)、いま調べたらこの出来事は1972年のことだったらしいのに、1979年出たこの本には載ってなかった。
ところで第二次世界大戦の話のところに、ドレスデン空襲の話が出てきた。ドレスデン空襲といえばカート・ヴォネガット、ドレスデンの捕虜収容所にいたんだよなーと読みながら思い出してたら、

クルト・フォネガトは、ドレスデン空襲について、『屠殺場第五番−または少年十字軍』と題する本を書いた。(40頁より無断転載)

それ、どう考えても、カート・ヴォネガットの『スローターハウス5』やんけっ!
調べてみたら、ハヤカワ文庫でこのタイトルで出る五年前、『屠殺場5号』というタイトルでハヤカワノヴェルスでまず発売されてたのね、この本。著者名は「クルト・フォネガト」じゃなく「カート・ヴォネガット・ジュニア」だったけど。
ちなみにこの『ダイソン自伝』は文庫版出た四年後の発売。
さらにちなみに、うちにある『スローターハウス5』は文庫版の初版で、表紙が映画の写真の奴。

これも手元に欲しいんだけど、『科学の未来は語る』はamazonのマーケットプレイスで300円のがあったのに、こっちは借りたこれも、これのあと出た文庫版も、どっちもお高いわー。


『孤児の物語T 夜の庭園にて』 キャサリン・M・ヴァレンテ(訳:井辻朱美) 東京創元社
『孤児の物語U 硬貨と香料の都にて』 キャサリン・M・ヴァレンテ(訳:井辻朱美) 東京創元社


図書館。
スルタンとそのあまたの妻たちとその妻たちが産んださらにあまたなスルタンの子どもたちが暮らす宮殿。
その庭園にひとり、放し飼いされる獣のように暮らす少女がいた。生まれながらに瞼と目の周りに群青色の痣をもって生まれた彼女は、親が手元に置くことを厭い、かといって下手に殺して祟られるのも恐ろしく、庭に打ち捨てられて育ったのだった。
彼女の痣は実は細かく微細な文字がみっしりと集まった、皮膚に記された物語で、以前から少女が気になってしょうがなかったスルタンの息子のひとりはある日ついに少女に近づき、少女が己の顔を鏡に写して読み解いた物語の聞き手となる。
そこから始まる長い長い物語。
Tには「第一の書 草原の書」と「第二の書 海の書」が、Uには「第三の書 嵐の書」と「第四の書 スカルドの書」が、収められているのだが、話し始められた物語は、ひとつ下の階層に移り、ひとつ下の階層で語られ始めた物語はさらにまたひとつ下の階層に移り、「return」なしでどんどん「gosub」していくだけでなく、ある階層で語られたものが、違う群での別の階層につながっており、一見独立しているように見える「書」同士もまた、あちこちでつながっている。
そのややこしさたるや、イメージ的に一番近いのは、上代の天皇家の家系図かなあ。平面にわかりやすくつながり書くのは絶対無理ってとこが。
ともあれ。

げろくそむっちゃくちゃ

面白かったあああああっっっ!!!


最初の、草原に暮らす馬の一族とその神話のあたりは多少とっつきにくかったものの、そこを過ぎたらもう離脱不可能。
間違いなく、今年読んだ本の中の一番の大当たり。
欲しいなあ、この本。手元におきたいなあ。でも二冊で12,000円近くするんだよなあ。古本もamazon出品中分で一番安いのが3,000円以上。でも欲しいなあ。

ところでUの207頁、「あたしのというか、あたしのお祖母さんたち、そして天なる伯母さんのためね」とあるのだが、語り手のウブリエットはハルドラで、ハルドラは<牡牛星>オーコンの男根が地上に落ちて根付いた杏仁の木と牝牛に変えられた美しい乙女との末裔で、「天なる伯母さん」とはオーコンの妹<乳星>オーカイのことのはずなので、「伯母」ではなく「叔母」ではないでしょうか?>井辻朱美さま


『OL進化論』35 秋月りす 講談社

新品購入。
「我らの高さ」(22頁)といい、「スポンサーは無しで」(83頁)といい、「距離と共感」(86頁)といい、あいかわらず他人と思えないひろみさん。
が、「おおらかな君に」(122頁)、ひろみさんネタだと思い込んでたら、いま見返してみたらジュンちゃんだった。
これとおんなじこと、ディオールの塗るだけで痩せるっつう触れ込みの乳液大ブレイクしたとき、N塚長姉に言ってみたことあるのよ。「買うてプレゼントしたるから、毎日片足だけ塗ってみて」と。きっぱりお断りされたけど。
そんで「リバイバルは遠く」(104頁)でしみじみ思い出したけど、あの頃、なんでああもすべての服という服に肩パッド入ってたんだろうね。たいていすぐにはずしてたけど、難儀したのは裏地と表地の間に肩パッドはいってるやつ。



『びいどろの火』 奥田景布子 文藝春秋

図書館。
先月から図書館にあるのを一気読みした奥山景布子だが、最新刊のこれ、初めての江戸もので、初めてのオリキャスもの。
が、これを書いている今、すでに返却して手元に本はなく、amazonにあらすじないかと覗いてみたら、見事な感想文があった。これ
読み終えたとき、なんともいえぬ爽快感があり、読み始めたときには読み流した「序」を読み返して、ああ、この人があの人で、あの子はこうなって…と、十数年後(数十年後?)の彼らのことが「序」で語られていたことにしみじみして。
佐登のビジュアルは壱太郎で読みました。


『天の筏』 スティーヴン・バクスター(訳:古沢嘉通) ハヤカワSF文庫

図書館。
ダイソン博士がエッセイの中でこの作家について触れていたので借りてきた。
ブラックホール近くの重力定数が地球の10億倍の場所に暮らす地球出身の人々、テクノロジーも次第に失われ、限界を向かえつつある社会を描いた物語。
「ベルト」「ラフト」がまずイメージできず、「木」がイメージできず、重力定数が10億倍というのもよくわからず、リースが飲み込まれる「クジラ」もなんだかよくわからないまま読んだ。



『サソリの神1 オラクル 巫女ミラニィの冒険』 キャサリン・フィッシャー(訳:井辻朱美) 原書房
『サソリの神2 アルコン 神の化身アレクソスの<歌の泉>への旅』 キャサリン・フィッシャー(訳:井辻朱美) 原書房
『サソリの神3 スカラベ 最後の戦いと大いなる秘密の力』 キャサリン・フィッシャー(訳:井辻朱美) 原書房

図書館。
なんでかは忘れたが、「井辻朱美」で堺市図書館蔵書検索してみつけて借りてきた。
チベットのダライラマみたいに人の体で生まれて、死ぬとまた赤ちゃんで生まれなおす神アルゴンと、彼に使える九人の巫女たちが暮らす島。
が、この世界は旱魃が続いており、また筆頭巫女は将軍と組んで、自分たちに都合のよい偽の神を選ぼうとする。
人身に生まれ変わる神、なぜか神の声を聞くことになる巫女ミレディ、書記セト、楽師オブレク、墓盗人ジャッカル、地下に暮らす白い少年等、登場人物はすごく魅力的で、話自体もさくさく読みやすいのに、なぜかそれほどのめりこめなかった。



『BILLY BAT』13 浦沢直樹・ストーリー共同制作長崎尚志 講談社

新品購入。
ベルリンでのヒトラーとアインシュタインの会話。
アポロ11号の月着陸映像をプロデュースした明智はアメリカ国内に禁足されることになる。
アケチと邂逅したケヴィンはオードリーに招かれ、チャック・カルキンの屋敷へ。そこでケヴィンはヤマガタの助手だった本物のチャック・カルキンと出会い、ビリーの漫画を描き始める。
ビリーが描き始めたのは、家族を特高に追われる少年が描いた関東大震災。
ほんとにこの物語は、いったいどこを目指しているのだろう。



『書楼弔堂 破僥』 京極夏彦 集英社 

新品購入。
明治20年代の東京郊外のとある奇妙な書店を舞台にした連作短編集。

面白かったああ

ああああっっっ!!


行け行けどんどん、やめられないとまらない。
そしてどんどん読み進め、「探書陸 未完」に中野の神社が出てきたとこで、もうどんだけ嬉しかったか。
が、そこの息子はキリスト教の宣教師になったとある。で、中野の神社は古本屋は兼業していない。
神社はこの神主とおんなじ苗字のが昭和になっても継いでるが、いったい誰が継いだのか。そしてこの「弔堂」と昭和三十年頃に中野の神社そばで店開いてる古本屋はなんか関係があるのだろうか。








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