本読み月記


【ジャンル分け】 最初から日本語で書かれた小説。
最初から日本語で書かれた小説以外。
日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。

日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。

コミックス


『あるキング』 伊坂幸太郎 徳間書房

図書館。
とある天才野球選手の短い一生の物語。
奇妙で奇妙な不思議で不思議な味わいの物語。
そういえば、「アストロ球団」とか読んでて思ったわ、この中のひとりでも実在したら、十割打つんじゃねーかと。
現実には、イチローでもせいぜい、四割弱、なのよねー。

「祈り」のエピソード、いいなあ、あれ、本当だったらいいなあ。

『少女七竈と七人の可愛そうな大人』 桜庭一樹 角川文庫

図書館。
すげー面白かった。
岡崎京子と吉野朔美をシャッフルした感じ。
ただ、母の気狂いの原因が、職場で隣の席だった新婚の男への片恋っぽかったのが、理屈っぽいというか、なんかまともっぽかった。



『オリンピックの身代金』 奥田英朗 角川書店

図書館。
時は昭和39年。東京オリンピック直前の東京。
冒頭部、時系列が錯綜してややこしいが、錯綜してややこしいがゆえに、かえってずるずる引き込まれた。
兄の死から東京の繁栄へふと疑問を抱く東北出身の東大生。出稼ぎの男たち。彼らを雇う派遣業者や、派遣業者を締め付ける下請け業者や、下請け業者に無理を押し付ける元受け企業。爆弾事件を追う刑事たち。
そんで東大生、最後はどうなったんだっけ?
この感想文書かないうちに、ふと気づけば返却日過ぎてて、図書館から督促の電話かかってきて、慌てて返してしまったもんで。
東京オリンピックといえば、テレ東の「昔の人はスゴかった!」で、首都高速がほんの五年で完成したのは江戸時代の堀を利用したから、というのを見てすげーと思ったが、これを読み、堀を利用したとはいえたった五年で完成したのは、これに描かれていた出稼ぎに出てきてた労働者たちの労働力の賜物だったんだなあと。



『アスラクライン』14 三雲岳斗 電撃文庫

新品購入。
番外編というか、13巻最後の続き。鳴桜邸で暮らすことになった智春の義理の妹が、洛芦和高校の御馴染みのとんでもない方々と知り合ってゆく話。
最後まで智春と操緒は元の世界に戻れないままなのだが、なんとはなしにそのうち戻れるだろうという楽観的な気持ちにさせられ、最後に戻っておしまい、よりもずっといい感じであった。
著者あとがきの「以前からずっとやりたかった作品に、そろそろ挑戦したいと思っています」(279頁より無断転載)、楽しみー、むっちゃ楽しみー。



『海街Diary3 陽のあたる坂道』吉田秋生 小学館

新品購入。
四人姉妹の話。1巻からはや一年が過ぎて、お父さんの一周忌。すずのチームメイトで病気のために片足を切断した男の子がチームに復帰する話。長女幸の恋の終わり。
幸とすずが緑陰深い(白黒のペン絵なのに、濃い緑と濃い緑がアスファルトの道に作る濃い影を感じたのは、わたしだけではないだろう)真夏の坂道を歩くところ。幸と佳乃の姉妹喧嘩。幸の同僚のアライさんの話。
このシリーズ、好きだ。とっても好きだ。



円環少女サークリットガール11 新世界の門』 長谷敏司 角川スニーカー文庫

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…この続きは夏か……。
などと、本編を読み終わり、著者あとがきを読んだ途端にため息が………。
あらすじを書くためにぱらぱらとあちこち読み返してみたが、これのあらすじを書くのは無理だ。
なんかもう凄い。ほんとに凄い、凄い、物語だ。



『黄金の狩人』1、2、3 ロビン・ホブ(訳:鍛冶靖子) 創元推理文庫

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ファーシーアの一族三部作から十数年後、ファーシーアの一族三部作はフィッツの回想の形をとっていたが、三部作での回想のちょっと後くらいか。
ケトリッケンの息子デューティフルが城から失踪、道化でなくなった道化とともにフィッツがその探索に向かう話。
2月13日14日は一泊二日東京で、着いたその日、ホテルの部屋で2巻途中から3巻終わりまでを読んだ。
ホテルの部屋の中でよかった。
ナイトアイズが最後の狩りへ向かうとこで、泣いて泣いて泣いて、しゃくりあげるどころか、嘔吐えずくくらい泣きました。
いま現在も、<よい狩りができる。おれは行くぞ、兄弟>(224頁より無断転載)という言葉を思い出しただけで、視界が涙でゆがみます。SMA×SMAで昔やってた「誰が一番最初に泣けるか」、この勝負に参加できるとしたら、わたし、いま、ぶっちぎりで勝てると思います。いま頁を確認するためにそこを読んでしまい、またもぼろぼろ泣いてます。
ここを飛行機の中とか帰りの電車の中で読んでたら、たら、たら…。
ファーシーアの一族三部作の最後『真実ヴェリティの帰還』を読んだのがほぼ四年前の2006年3月。
四年のタイムラグが作中では十数年後の話、というのに、なんかぴったり合ってしまったのだろう。
登場したときはチビ狼、その後精悍な若者狼に育ったナイトアイズが今作では老狼に。上から目線の言葉遣いも堂にいった、いぶし銀の、そう、菅原文太さんのような渋い老狼になってて、ファーシーアの一族のすぐ後でこれが出てたら、彼が老いたことをこれほど実感しなかったろうと思う。
これもまた三部作で、『Golden Fool』『Fool's Fate 』と続く。本国ではこれの前に別の三部作、後にまた別の三部作が、すでに出ているらしい。
ロビン・ホブ、ガンガン出してーっっっ!!!>東京創元社御中

体に気をつけて、でも、ガンガン訳してーっっっ!!!>鍛冶靖子さま


『キケン』 有川浩 新潮社

映美ちゃんが貸してくれた。
先月読んだ『シアター!』を返却に行ったら、かわりにこれを貸してくださいました。
ありがたや、ありがたや。
大学のクラブ「機械制御研究部」、略して「機研」で起きたいろんな騒動を、部員のひとり「お店の子」が回想する形。
面白くないことはなかったが、なんというか、三雲岳斗の『ランブルフィッシュ』の愛読者であるわたしには、あれのまとも版みたいな感じで、なんだかな。
購入した映美ちゃんの「面白かったが、これをハードカバーで買ったのはもったいなかったかも…」な気持ちもすごくわかるー。



『デッドマン・ワンダーランド』1〜7 片岡人生、近藤一馬 角川書店

RP祐子蔵書。
いつものサイテーカラオケでちみちみ読んでて、こないだ7巻読んだが、何巻までここに書いたか忘れたので月記内検索してみたが1冊もヒットしなかった。書き忘れ。
無実の罪で死刑判決を受け民営刑務所に収監された主人公が、戦ったり仲間をみつけたり戦ったり戦ったりする話。
罪の枝、墓守、レチッドエッグ、ニンベン等の言葉がかっこいい。
7巻ではついに看守長マキナが刑務所のありように叛旗を翻す。続きはいつ出るのかな? でも、出ても、そのあとサイテーカラオケまではお預けなのよねー。



『日本人の知らない日本語』2 蛇蔵&海野凪子 メディアファクトリー

これまたRP祐子蔵書で、これまたサイテーカラオケで。
2巻もげっつい面白かったーっっっ!!!
幕間に挟まれる一コマ一ページ漫画「畳化tatamiser」もむっちゃ愉快。
これ読んでてふと思い出したのは、だいぶ前にニューズ・ウィーク(※)に載ってた日本暮らしが長い白人さんの「メルセデスをベンツと呼んでしまうようになっちゃったよ、お母さんー」みたいなコラム。
(※ 買って読んだことはない。UFJのNもず支店のをずっと読んでて、UFJのNもず支店に行く楽しみのひとつだったのに、一昨年くらいから、置かなくなったのよ、ちぇー)



『ソウル・コレクター』 ジェフリー・ディーヴァー(訳:池田真紀子) 文藝春秋

図書館。
リンカーン・ライムシリーズ第八作。
リンカーンの従兄弟が殺人罪で捕まり、それが原因で、連続殺人犯の存在にリンカーンが気づき、それを追う話。
今回、犯人はそれほど意外性はなかったが、それまでの過程がすごい面白かった。第七作まで姿も見せなかった従兄弟が第八作でいきなり登場するのにも、疎遠になった理由等がきちんとリンカーン・ライムの青年時代の話として描かれ、ものすごく納得できた。
小さなどんでん返しとしては、アメリア・サックスが可愛がっているパムが、年上のボーイフレンドと別れるくだり。彼が既婚者であることをアメリアがパムに知らせたときのパムの反発からどうなるんだろうと思ったので、すごいすっきりした。
あと一作からずっとアメリアの愛車だったシボレー・カマロが今回の犯人のせいでスクラップにされてしまった。次は何に乗るんだろう。
怖かったのは、今回の犯人によって破滅させられた男の話。これは怖いー。すごい怖いー。紙に印刷された証明のないネット銀行の預金とかほんとに大丈夫かしら…とものすごい不安になった。
しかし、「この人はこれを買ったからこれも買う確率は高い」みたいなのって、どれほど有効性があるんだろ? アマゾンのお薦めとか見てたら、単なるキーワードや種類による抽出の精度の低さを知るんだが。



『鴨川ホルモー』 万城目学 産業編集センター

図書館。
予約したのは相当以前。かなり待ったわー。
舞台は京都。晴れて大学生になった主人公が入ってしまったサークルは、式神を使役して他大学の類似サークルと「ホルモー」を戦う、みょうちきりんなサークルであった。
が、読み終えてみれば、なんだかすごくまっとうな青春小説であった。
他のも読んでみようといま図書館に予約してみたら、『プリンセス・トヨトミ』は240人くらい待ちだが、『鴨川ホルモー』続編の『ホルモー六景』は予約なし、『鹿男あおによし』『ザ・万歩計』とかは予約ありだがわりと数は少なかったので、このへんはすぐに読ませてもらえそうだ。







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