本読み月記


【ジャンル分け】 最初から日本語で書かれた小説。
最初から日本語で書かれた小説以外。
日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。

日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。

コミックス


『蜜蜂のデザート』 拓未司 宝島社

図書館。
3月に読んだ『禁断のパンダ』の続編。
今回はデザート。
前話から三年後の話。
店でだすデザートで悩んでいた主人公が、今度はケーキ店で起こる連続食中毒事件に巻き込まれる。
食の安全に対するあれこれの中、客は店を信じて料理を食べている、というくだり、栗本薫の『グルメを料理する十の方法』をちょい思い出した。
前作よりはミステリとしてひねりがあったが、今回はなんといってもケーキ♪ ケーキがもう美味しそうで美味しそうで美味しそうで〜。
フォークをいれたらクリームが押しつぶされてはみ出さず、ざっくり切れるミルフィーユ、食べたい、食べてみたいーーー。



『彩雲国物語 蒼き迷宮の巫女』 雪乃紗衣 角川ビーンズ文庫

新品購入。
いま裏表紙見返しで数えてみたら、番外編入れて、これで20巻目だったのか…。
もうちょっとで完結かな。しかし、ここまで読んでから1巻から読み返したら、その時は笑えたとこが笑えなくなってたりするのかな。



『少年陰陽師 千尋の渦を押し流せ』 結城光流 角川ビーンズ文庫

新品購入。
颯峰編完結。嵬が高淤の神に助力を頼めと昌浩をせっつくとこ、超愉快〜♪
しかし天狗編、字面が似たような名前の天狗がいっぱい出てきて、ときどき混乱しました…。



『天領華闘牌 デアマンテ』全3 碧也ぴんく 幻冬舎コミックス

1巻は新品購入。
2、3巻は古本購入。
なんでこんなことになったかというと、家業でお世話になっている不動産屋さんに行くのに、その近くのブックオフの駐車場に車を停めるんですが、停めたあと、まずブックオフに一度入り、店内をぐるっと回って、車で来た痕跡を消し、それから不動産屋さんに行って、その後、もっぺんブックオフに入って店内をぐるっと一回り、それから車に戻るんですが、その「ぐるっと一回り」のときに2巻をみつけ、「碧也ぴんく…。『鬼外カルテ』終わってから読んでねーけど、これ、面白そうかも…」とつい購入、その後、他の用事まわりついでに、そっちの近くのブックオフを覗いてみたが1巻はなし、帰り道途中にある古本市場を覗いてみたら………、…3巻発見……。
で、1巻だけ、もういいやーと新品を。
江戸時代、唯一外国人の居留地があった長崎が舞台。贋札作りの疑いで父を処刑された娘が長崎奉行配下の隠密のひとり、女装の花魁の禿かむろとなり、いろんな事件に遭遇する活劇。
絵はあいかわらず秀麗で、当時の長崎の事情なんかもすごい面白かったが、話としてはいまひとつカタルシスに欠けた感じ。特に女装の花魁とその異母兄である長崎奉行との関係が消化不良な感じ。
ところでわたしは「碧也ぴんく」をつい「あおなりぴんく」と言ってしまい、そのつどRP祐子に「『あおまた』ちゃかったっけ?」と正される。



『3月のライオン』4 羽海野チカ 白泉社

新品購入。
サイテーカラオケに『ハチミツとクローバー』をこれを持って行ったら、N塚長姉もRP祐子も見事にはまってくれた。
ところどころすげー愉快なとこはあったものの、しんどくて重たい4巻でした。



『もっとも美しい対称性』 イアン・スチュアート(訳:水谷淳) 日経BP社

図書館。
数学の発展の歴史、五次方程式、ガロアの群論、リー群とリー環、ニュートンからアインシュタイン、相対性理論と量子力学、ひも理論、四元数と八元数。それらが自然な流れで語られ、わけわかんないとこはわんさかあれど、わんさかあるのに読みやすく、ついたらたらと最後まで読んでしまった。
348頁に引用されていたディラックの言葉、「数学者は本人が考え出したルールでゲームをしているが、物理学者は自然が与えてくれたルールでゲームをしている。しかし時とともに、数学者が興味を持つルールは自然が選ぶルールと同じであることが次第に明らかになっていく」、良質のSF小説的に気持ちのいい言葉だと思った。
他にもいっぱい邦訳出てるから、順番に読んでみよ、イアン・スチュアート。
でも、最後の〆の言葉、「数学においては、美は真でなければならない。偽はすべて醜いのだから」だが、他の数学エッセイで、証明の美しさにこだわるあまり袋小路に陥ったエピソードを読んだ記憶が…。



『ザ・万歩計』 万城目学 産業編集センター

図書館。
「万城目」って「まきめ」って読むんですね。
エッセイ集。
わたし、万城目学の小説は『鴨川ホルモー』『ホルモー六景』『鹿男あをによし』の3冊読み終えたとこですが、その3冊よりこのエッセイ集が、断然愉快っした。この人のエッセイ、好きだわー。もっと読みたいわー。
万博公園での思い出については、今からでもぜひとも「探偵ナイトスクープ」に応募していただきたい。



『夜市』 恒川光太郎 角川書店

図書館。
万城目学を図書館にあるだけ一気予約したら、『きみが見つける物語 休日編 十代のための新名作』というアンソロジーが入っていた。万城目学のはすでに読んだ『鴨川六景』の一景の再録だったが、この恒川光太郎の「秋の牢獄」が面白くて面白くて、恒川光太郎を一気読みすることにした。
「夜市」「風の古道」の二編入り。
「夜市」は、諸星大二郎の「鬼市」のような不思議な市が舞台。
「風の古道」は、この世の隙間のような場所にあり、現実の道とは別にいろんな場所をつなぐ「古道」に生まれた青年の話。
どっちも柳田国男の『遠野物語』の匂いをさせた、すげーわたし好みのお話でした。



『秋の牢獄』 恒川光太郎 角川書店

図書館。
「秋の牢獄」「神家没落」「幻は夜に成長する」の三編入り。
表題作は前述の『きみが見つける物語』に収録されていたお話。ひとりの女子大生がある日いきなり、今日が「昨日」になってしまう。その日だけかと思ったら、次に起きてもやはり昨日「昨日」だったその日で、どこに行こうが何をしようが、まだ見ぬ「明日」に行けずに、最初の繰り返しポイントに戻ってしまう、グリムウッドの『リプレイ』の一日版みたいな話。作中で『リプレイ』にきちんと触れているところがフェア。「一日」という縛りの中でできるありとあらゆることが網羅されてたのも愉快。で、この作家のほかの話も読みたい読みたいーと一気借りすることに。
「神家没落」は、マヨイガのような家とその家主にされてしまった男の話。
「幻は夜に成長する」は「神隠し」と「憑き物筋」を材料にした話。
「神家没落」も「幻は夜に成長する」も、凄惨な場面があったり、陰鬱だったりするのだが、奇妙な語り口に、行け行けどんどん、やめられないとまらないー。



『雷の季節の終わりに』 恒川光太郎 角川書店

図書館。
長編。
「穏」という、地図にない、しかし地図に載っている普通の世界とまったく隔絶されているわけではない、そんな場所で育った少年が、「穏」を出るまでの第一部、継母に育てられる少女が「穏」の狂った「鬼衆」に殺されそうになる第二部、狂った「鬼衆」の視点から語られ、一部と二部をつなぐ第三部、からなる話。
「穏」の「鬼衆」のモラルや組織がいまいちよくわからなかったが、これもすげー面白かった。



『バレンタインは雪あそび』 レスリー・メイヤー(訳:高田惠子) 創元推理文庫

図書館。
主婦探偵ルーシー・ストーンのシリーズ、第五作。
ティンカーズコーヴの図書館の理事を引き受けたルーシーだが、初理事会の日、司書のビッツィが図書館の地下で殺される。
ストーン家にオンラインしたパソコンが登場、「数千ドル」って、え、パソコンが数十万円?と思ったら、これ、本国では1999年に出た本だった。理事のひとりのアンティーク商はすでにインターネットを使って商売をしていて、なのにルーシーは外で連絡をとる必要があると、公衆電話を探す。携帯はまだなかったのか?と思ったら、最後のほうで登場、まだ「非常連絡用」であった。
ミステリ部分も破綻もなくすっきりした結末で、宝くじ中毒のネタや、こういった町営図書館の運営等も興味深く、ストーン家の変化も楽しかった。



『お稲荷さんが通る』 叶泉 産業編集センター

図書館。
『鴨川ホルモー』か『ホルモー六景』の巻末の宣伝頁で見て借りたのかな?
近未来、中国に併合され日本省となっている日本。京都のスラムに住み、娼婦をしており、「廃神毀釈」で信仰の糧を失った稲荷神に憑かれた「わたし」が主人公。
マリリンも華も阿邦も子俊もジャジ子も「わたし」に憑いた稲荷神もみんないい感じだったが、「わたし」のことだけは最後までまったく好きになれず。
ところで「廃神毀釈」だが、「廃神」はいいが、「毀釈」は「釈」は「釈迦」の「釈」では? だとしたら「毀社」とかにしなくてはならなかったのでは?



『君を想いて』 ジル・チャーチル(訳:戸田早紀) 創元推理文庫

図書館。
大恐慌によって貧乏になり、伯父の遺言によって田舎町で暮らすことになった、ブルースター兄妹シリーズ第五作。
ブルースター兄妹が、今回はとある婦人が個人でやっている「養護ホーム」、といっても収容者も数人ですごくゆったりとしてきちんと運営されている、にバイトに行き、そこで殺人事件に遭遇する話。
今回も読んでてほんとに楽しい話であった。



『心の科学 戻ってきたハープ』 エリザベス・ロイド・メイヤー(訳:大地舜) 講談社

図書館。
が、堺市の図書館になかったので、大阪市立中央図書館からおとりよせ。
伊坂幸太郎の『あるキング』に出てきた「祈り」のエピソードについて検索したら、この本がヒットした。
ので図書館に予約したのだが。
こういう形式でなく、集めた話を著者の感想なしに紹介する『遠野物語』形式にしてたら、もうちょい楽しめたかな?
「祈り」については、第9章「祈りの力を測定する」に。2001年10月2日の「ニューヨーク・タイムズ」紙に載った記事で、ネタ元は『生殖医学ジャーナル』9月号だったそうだ。
そして、『あるキング』の感想には「祈りのエピソード、いいなあ。ほんとだったらいいなあ」などと書きましたが、こっちを読んで、「祈り」が有効だったら、「呪い」もまた有効なのではないか、と、ふと。



『荒野』 桜庭一樹 文藝春秋

図書館。
恋愛小説家の父と住み込みの家政婦さんと広くて立派だが古い日本家屋で暮らす少女「荒野」の12歳〜16歳までの物語。
第一部ではようわからん人だった蓉子さんが、第二部でいきなり可愛い人になり、第三部でまた謎の人に戻る。
お父さんについても、ところどころすごく感じがいいが、なんかようわからん人であった。

が、読んでる間は行け行けどんどん、すっごい面白かった。


『ファミリーポートレイト』 桜庭一樹 講談社

図書館。
第一部がコマコが母マコと二人で逃げてある町で暮らしまた逃げて別の町で暮らす、コマコ5歳〜14歳までの話。
第二部が母マコを失い、父に引き取られたコマコが、高校生になり、文壇バーでバイトし、作家になり、失踪し、また作家に戻るまでの話。
ちょっとだけ読もうと読みかけたら、中断できなくなり、読み終わったら午前3時半、ひゅるるー。
第一部でコマコがマコと暮らす町々、最後の庭園を除いて、なんとなくイメージできる場所でありながら、そのイメージからは逸脱する場所を持ち、なんらかのメタファーばりばりで、確かにすごく「神話」的であった。
第二部もまたありそうで絶対ないぞな場所やシチュエーションで、コマコの行動もいまいちよくわからんかったが、真田の「ぼくは、駒子さんという人は、母親と暮らした日々の幸福から立ち直らなければならないと思った」という言葉に、なんかスコーンと納得させられてしまった。



『幻惑の鼓動』16〜19 禾田みちる(原案:吉原理恵子) 徳間書店

RP祐子蔵書。
いま借りているのは19巻だが、書庫内検索してみたら、書いていたのは15巻までだった。
(16、17、18巻はたぶん、サイテーカラオケでちみちみ読んだのであろう)
19巻であらたな展開。この謎のふたりの正体、楽しみ。



 
『僕と彼女のXXX』5、6、7 森永あい マッグガーデン

RP祐子蔵書。
いま借りているのは7巻。書いていたのは4巻。ので5巻6巻は…(上に同じ)。
7巻でついに機械が直るも…。
どうなるかと思ったら、こうなるか…。



『恋文の技術』 森見登美彦 ポプラ社

図書館。
全十二話中、第十一話を除いて、大学院に進み、能登の人里離れた研究所でくらげの研究をすることになった守田一郎が、後輩や先輩や友人や家庭教師の教え子に書き綴った手紙。
すんげー面白かった〜♪
公共の場で読んで一番危険なのは第九話。
ところで森見登美彦の本はいまのところ全部図書館で借りて読んでて一冊も手元にないので確かめようがないのだが、猫ラーメンなどのディティールだけでなく登場人物も同じ人があちこちに登場してるような気がするのだが、ただの気のせいか? 悪の権化大塚緋紗子など、他のに出てきたような気がしてならないのだが、だったら誰かなんか書いてくれてるかと「大塚緋紗子」でググってみたが、著者のブログ以外にはハズレヒットがふたつだけ…。ありり?



『少年少女飛行倶楽部』 加納朋子 文藝春秋

図書館。
中学に入学してすぐ、おさななじみで腐れ縁の樹絵里(じゅえり)のとばっちりで、海月(みづき)は「飛行クラブ」なるクラブに入部する羽目に。
発足二年目だが、去年の一年目は部長の神(じん)ひとり。
ふたりめが樹絵里おめあての、神の友人で野球部で活躍していたが、故障で休部を余儀なくされた海星(かいせい)。
さらに「恐怖」を知らない「高所平気性」の朋(るなるな)、小さい頃から野球をずっとやらされていたが野球がそんなに好きではなかった球児(きゅうじ)が入部、クラブとして認められる「最低六人」ラインをクリア、そこに通称イライザ、本名良子、すがすがしいほどド根性悪の女の子も加わり、それぞれの問題にひとつづつぶちあたりながら、クラブの趣旨「空を飛ぶ」を熱気球で実現するまでの物語。
すんげえ面白かった〜♪♪♪
どの子もくっきりぱっきりキャラがたってて、ほんとに楽しかった〜。
海月のお母さんもナイスだし、日和見な信長センセもなんだか憎めない。


イリヤッド入矢堂見聞録』1〜12 &魚戸おさむ

ブックオフで立ち読み。
前述の『ディアマンテ』1巻購入みたいな事情で某初芝駅近くのブックオフに立ち寄るとき、たいていはこれを立ち読み、ちょびちょび読んでたら、ついに12巻まで読んでしまった。
考古学者がアトランティスを探す物語。
こんだけあちこち行く旅費を入矢センセがどうやって工面してるのかは謎なものの、すっごい面白い〜♪
が、ブックオフにあるのは12巻まで。次に行ったとき、13巻以降が入荷して棚に並んでてくれるか…。



『鋼の錬金術師』25 荒川弘 スクエアエニックス

新品購入。
10巻くらいから、1回読んだきり読み返していない。
そのうちガーッと一気に読み返す。
と思っていたら、はや25巻。
ところで荒川弘、荒川はほんとの苗字か? ほんとの苗字なら、「ぽちタマ」で紹介されてた荒川牧場、お父さんが絞りながら飛ばしてやった牛乳をダイレクト飲みする猫のいる牧場、あれ、ご実家だったりしないのだろうか?



『とのとのとのこのなんとかしま〜す』 TONO フロンティアワークス

新品購入。
「ただのホモ好き」と「腐女子」の間には、一般人とオタクの間より、深くて暗い川があったのね。。。
お互いそれに無自覚なことが、齟齬の原因だったのね。。。。。



『SOSの猿』 伊坂幸太郎 中央公論新社

図書館。
前半は、悪魔払いの副業をする家電店社員が知り合いから引きこもりの息子について相談を受ける一人称の語りと、証券会社で起きた誤発注の原因をその証券会社のシステムを開発した会社の社員がさぐる三人称の語りで進み、後半でその別々の物語がひとつの物語に縒り合されていく。
前に朝日新聞に載ってた伊坂幸太郎の記事、その中の「僕が小説を書こうとするのは、例えば野良猫が幸せかどうか分からない時に、幸せになる物語が作れたら良いなという発想なんです」という言葉がすっごい心に残ったのだが、あの記事はこの本について書かれたものだったのかと、読んでる途中で気づいた。
ゴミが自分の車の中にあることに次にゴミ箱のある場所まで耐えられず走行中の窓から投げ捨てる人が、自分の投げ捨てたゴミのその後について少しだけ想像してみたら、自分の足で普通に歩けるのに車椅子用駐車コーナーに車を平気で駐車する人が、自分が駐車したあとそこに車椅子の人を乗せた車が来たらと少しだけ考えてみること、みんながそういった小さな「想像」をしてみるだけで、世の中ってかなり住み心地がよくなると思う、ほんと。
そして、悲しくなったり寂しい気持ちにさせられたりする出来事に遭遇したとき、その出来事について別の可能性を考えてみることも。
『西遊記』があちこちに顔を出すが、これについては多少消化不良の感じ。あ、でも、このせいで、『西遊記』読み返したくなったー。
(『西遊記』といえば、今月発売の「myojo」、わたくしこの号はBOYSの99頁この1頁のためだけに買ったんですが、その中の「if 相方似の女のコに告白されたら?」のとこで大智が、「ハマちゃん似の女のコいうたら、クレオパトラか沙悟浄似やんか」。ぎゃはははばんばん! 大智よ、クレオパトラと沙悟浄を横並びさせたのは、おそらくたぶんきみが史上初だっ!)
二郎くんのお母さんが好き。まわりから能天気呼ばわりされても、こんな風になりたい。





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