本読み月記


【ジャンル分け】 最初から日本語で書かれた小説。
最初から日本語で書かれた小説以外。
日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。

日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。

コミックス


『食堂かたつむり』 小川糸 ポプラ文庫

N塚長姉が貸してくれた。
ある日帰ると借りてる部屋は恋人ごとすっからかんになっていた主人公が、故郷に帰り、小さなレストランを開く話。
寓話的というかおとぎ話的あじわいが心地よかった。
老未亡人の話も心地よかったし、お見合いの話も気持ちよかった。
余命わずかな母の結婚式の披露宴のため、母の希望で母の愛豚エルメスをつぶし、なにひとつ無駄にすることなく食材にするとこはすごかった。
ただ、最後の母の手紙、いい手紙なんだがちょい長くて、余韻をそこねた感じはある。



『ダンタリアンの書架』5 三雲岳斗 角川スニーカー文庫

新品購入。
時間遡行ものの「時刻表」、輪廻転生の「猫と読姫」、幽霊船の「航海日誌」、人間同士をつないで並列コンピューターおよび出力端末とする「つながりの書」の四編に、断章三編入り。
「人は自分が一生の間に一番ひどい目に遭わせた中の、自分より先に死んだ人に転生する」というオチのあるカート・ヴォネガットの短編や、藤原京の『フロリカ』を読んだことのあるわたしには、過去への転生というのはすとんと腑に落ちたが、わたしが最初にヴォネガットの短編読んだときみたいな「それ、ありかっ!」な目から鱗を「猫と読姫」で味わった人も多かろう。
「つながりの書」、人間同士をつないで並列コンピューター化する、というのもヴァーナー・ヴィンジの『最果ての銀河船団』ででくわしたことのあるネタだが、ひとりをウィルスに感染させたらつながっているものすべてが感染する、というのが新しかった。



『カラクリ荘の異人たち』4 霜島ケイ GA文庫

新品購入。
完結巻。
人間にもいい奴も悪い奴もいるのだから、あやかしにもいい奴も悪い奴もいるだろう。
が、人を食わねば生きていけない牛鬼の問題はややこしい。
たとえばもし、牛鬼が人間が絶滅を惜しむ希少動物で、なんとかして保護しようとかなった場合、満腹させるための十数人を「選ぶ」こととかになるのだろうか。
「人を食べなければ生きていけないもの」といえば富樫義博の『幽遊白書』をまず思い出すが、そういえば仮面ライダーキバ、あれに出てくるファンガイアに「生きていくために人の血や生気、恐怖などを食べる必要がある」というエクスキューズがきちんとなされ、中には無駄に食い散らかすファンガイアもいることにし、過去の物語、最初から音也とクイーンを軸にしたならば、すごいドラマになったのになあとか思ってたことも、なんとなくつらつら思い出す。



『イギリス王室物語』小林章夫 講談社現代新書

図書館。
とりあげられているのは、ヘンリー八世、エリザベス一世、ジェームズ一世、チャールズ二世、ジョージ一世、ジョージ四世、ヴィクトリア女王、エドワード八世。
エリザベス女王のあとがメアリ・スチュアートの息子のジェームズ一世なのは知ってたが、そのあとはヴィクトリア女王までイギリスでなにがあったのかよく知らず、これを読んだあともよくわからないまんまだが、日本が元禄時代だった頃のチャールズ二世が放蕩ものだったのは面白かった。


『天皇家が恋した嫁たち』 渡辺みどり マガジンハウス

図書館。
愛子内親王、柳原愛子(大正天皇生母)、昭憲皇太后(明治天皇皇后)、貞明皇后(大正天皇皇后)、香淳皇后(昭和天皇皇后)、美智子皇后、雅子皇太子妃。
明治天皇にいっぱい側室がいて、娘がいっぱいいたのは、知らなかった。



『サクサク現代史!』 青木裕司、片山まさゆき メディアファクトリー

図書館。
ビーバップハイヒールに青木センセがかしこブレーンに出たときのがすっごい面白かったので借りてきたが、
内容大半はビーバップハイヒールの再現フィルムで観た内容だった。
パレスチナ問題のもともとを作ったのがイギリスだというのは、これまでぜんぜん知らなかった。



『孤宿の人』上下 宮部みゆき 新人物往来社

図書館。
宮部みゆきはたいがい読んでるはずだと思ってたが、これはまだ読んでなかった、びっくりラッキ〜♪
江戸生まれなのに讃岐の丸海藩で匙の家(大名家おかかえの医師)の家にやっかいになっていたほう、
彼女が気になって気になって、ほう以外の話はテキトーに読み飛ばしてしまった。
ほうと江戸から流されてきた加賀さまの交流が胸に残った。
ほうが世話になった匙の家の家長の井上舷洲先生と、宇佐が引手をクビになったあと勤めるお寺の住職さんがステキだった。



『製鉄天使』 桜庭一樹 東京創元社

図書館。
『赤朽葉家の伝説』第二部主人公で、レディース引退後少女漫画家となった毛鞠の大ヒット漫画『鋼鉄天使』をノベライズしたもの。
中学の入学式の日に当時その中学を仕切っていたレディース「エドワード族」に目をつけられた「赤緑豆製鉄のバカお嬢」小豆がやがて中国地方レディース界を制覇するまでの、12歳から17歳までの怒涛の青春ドラマ。
一気に読んでしまったあと、高口里純の「花のあすか組」や「ロンタイ・ベイビー」がむしょうに読み返したくなった。



『草祭』 恒川光太郎 新潮社

図書館。
「美奥(びおく)」という架空の町を舞台にした中編集。
「けものはら」「屋根猩猩」「くさのゆめがたり」「天化の宿」「朝の朧町」の五編入り。
自称「伯父」に山中のさまざまな知識を教えられ育てられた少年が、伯父を殺し、旅の僧に拾われて里に降り、その里を廃墟にせしめる「くさのゆめがたり」が一番好き。最後の、廃墟になった里のシーンの美しさ。
そういえば、人が廃墟にひきつけられるようになったのは、19世紀のイギリスかららしい。その頃から、「人間が多すぎる」と人は感じだしたのだろうか。
(が、100万都市江戸ではどうだったのだろう? 100万人が暮らす江戸の人に、「人が多すぎる」と感じ、人が絶えて無人となった村などに美を感じた人はいたのだろうか)
少女が不思議な家に迷い込み、天化というゲームをすることになる「天化の宿」も好き。少女が最後の九盤を残して逃げ出すラストシーンも、実に気持ちよかった。 



『対談集妖怪大談義』 京極夏彦 角川書店

図書館。
対談集。対談相手は、水木しげる、養老孟司、中沢新一、夢枕獏、アダム・カバット、宮部みゆき、山田野理夫、大塚英志、手塚眞、高田衛、保坂正康、唐沢なをき、小松和彦、西山克。
最後に、水木しげると荒俣宏、京極夏彦の三人雑談の付録付き。
エキサイティングな対談集であった。
祐天上人が発明した水子供養という救済システム、カルト宗教はなぜ暴走することが多いのか、靖国神社とはA級戦犯といういかにも祟りそうなものを祀って鎮めるためのものである、幽霊の変遷、そうだったのかー、や、そんな解き方もあったのかーと、いやもう目からうろこがぼろぼろと。
ところで水木しげるの一人称が「水木さん」なのってすごくキュート。
ドラマ「ゲゲゲの女房」ではいま、水木しげるは四十歳くらいなのだが、まだ一人称は「水木さん」ではない。
ドラマでもそのうち「水木さん」になるのだろうか? それとも家族と話すときは「水木さん」という一人称は使っていないのだろうか。



『着物をめぐる物語』 林真理子 新潮社

図書館。
いま本読み月記内を検索してみたら、林真理子は2002年に『ミカドの淑女』を読んだきりであった。
中図書館開架を散策して拾ってきた本。
短編集。11編入り。織る人、売る人、着る人、着せる人、着物に関わるさまざまな人たちの話。
面白かったー。
特に心に残ったのは、「織り姫さま」と「路地」。



『水木しげるVS京極夏彦 ゲゲゲの鬼太郎 解体新書』 講談社

図書館。
わたしがこの世で一番怖い場所は水木しげるが描く亜熱帯の雨期のジャングルなのだが、実は水木しげるを単行本できちんと読んだことはない。アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」も、一番最初のモノクロのはものすごーく好きで、特に「妖怪大戦争」など、味方の妖怪たちが次々に倒れていき、幼な心にほんと心細くて怖かったが、カラーになってからはほとんど観ていない。あ、ウエンツ瑛士が鬼太郎やった映画は観た。1も2も観た。映画館で観た。どっちも面白かった。さらに続編希望。
なもんで、京極夏彦が脚本やったというアニメ鬼太郎も、もちろん観ていない。この本も水木しげると京極夏彦の対談とこだけ読みました。
そんで、その対談の脚注55によると、「(一人称として使われる)水木さん:本名である「武良茂」氏と区別して、内なるもう一人の自分を水木氏はこう呼ぶ」なのだそうだ、へーへーほー。



『百姓貴族』1 荒川弘 新書館

新品購入。
こんなの出てたのに全然気づいていなかった。
先月分の『鋼の錬金術師』25のとこに
ところで荒川弘、荒川はほんとの苗字か? ほんとの苗字なら、「ぽちタマ」で紹介されてた荒川牧場、お父さんが絞りながら飛ばしてやった牛乳をダイレクト飲みする猫のいる牧場、あれ、ご実家だったりしないのだろうか?」と書いたら、それを読んだくらちゃんが(ここ、読んでてくれる人がいるんだーと、読んでくれる人が判明するたび、びっくりするわたし)、他の話のついでに「そうそう、荒川牧場=荒川弘の実家という事実はすでにご存知?」と。えーっ、まじっ?!「『百姓貴族』っていうエッセイ漫画にその猫ネタ載ってた。見たかったわ〜」。
見たかったわ〜って、ありまんがな。よりぬき「ぽちタマ」にちゃんと残してありまんがな。
というわけで、わたしは慌ててこの本を注文し、くらちゃんは「ぽちタマ:荒川牧場編」にありつきました、めでたし、めでたしー。
この本を読んでから「ぽちタマ」見返すと、さらに感慨深いものが。
そうかー、この人が真冬、ブリーフ一丁で牛舎に行くのかー。この顎、農耕馬に蹴られて砕けたことがあるのかー。「魚追い込んじゃる」とためらいもなくトラクターを川に乗り入れるのかー。
笑って、笑って、笑わせてもらう中に、生産調整問題だの、跡取問題だの、農薬問題だのも。
しかしなあ、農薬問題はなあ。買う人は「綺麗な野菜じゃなくちゃイヤっ」と声高にシュプレヒコールしてるわけでないが、こぎれいなものをつい買ってしまい、こぎれいなもののほうが売れやすいから売る側もこぎれいなものを仕入れてしまい、こぎれいなものが売れるから作る側もこぎれいなものを…という負のフィードバックが…。
今は宮崎県の口蹄疫パンデミックニュースが、ニュースで読んだり見たりしてる者もこんなに辛くてしんどい。畜産関係者の辛さしんどさたるや、想像もつかない…。


『誰も寝てはならぬ』13 サライネス 講談社

新品購入。
山田くんの夏休みの作文ネタが一番笑った。
でも、そうかー、東京ってパ・リーグの試合、TV中継とかしてないのかー。
そーいや、かなり大人になるまで、スポーツ新聞って、全国一面は阪神だと思っていた。違うと知ったときはびっくりしたわー。
あと、NHKと朝日放送がどっちも夏の甲子園中継している現象が関西のみであることを知ったのに至っては、日曜日の朝、某スーパーヒーロータイムを毎週録画するようになってからだったわー。
ちなみにわたくし、今年は野球が憎いです。サンTVで放映されている「戦国鍋」が阪神戦でおやすみするので、とても憎いです。



『Landreall』16 おがきちか 一迅社

新品購入。
「革命の真実」がやっと明らかにされる。
リルアーナ王女はほんとに亡くなってるのかな? 亡くなっているとしても、今後、彼女についてのあらたな事実が判明しそうな気がするな。というか、してほしいな。
この16巻読んで、1巻から一気読み返ししたくてたまらない。



『京大少年』 菅広文 講談社

図書館。
若手芸人たちの間に入った途端、それまでの常識がまったく通じなくなる導入部、大爆笑。
「京大って賢いん?」
ぎゃはははばんばん!! ひーひーひーひー。
「英語喋れるん?」のくだりも笑ったわー。
しかし、幼少時代の宇治原については、あちこちすごくシンパシーが湧いてしまった…。しかし、宇治原みたいなことを考えてた奴はけっこういると思う。が、だいたいは「空気を読ん」で合わせるよなー。
ちなみにわたしはロザン、宇治×菅なら、なんぼでも妄想できる。できるが、あえてしていない。なのに、これ読んでたら思わずスイッチ入りそうになったわ、あっぶねー。



『厭な小説』 京極夏彦 祥伝社

図書館。
「厭」をキーワードとしたホラー連作短編集。
「厭な彼女」が一番怖かった。彼女の反応に「厭」という共通点があることがわかって、かえって怖さが和らいだくらい、怖かった。



『聖☆おにいさん』5 中村光 講談社

葉子ちゃんが貸してくれた。
ブッダ側は弟子たち、キリスト側は天使たち、が今回かなり出ばっていた。
ママチャリ買ったイエスが迷子になったときの「迷子になったイエスさまは超感じ悪いから」のとこ、大爆笑。
消防団ときの「踏み絵を出されたらすぐ踏んでくださいー」もよかったわー。





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