本読み月記


【ジャンル分け】 最初から日本語で書かれた小説。
最初から日本語で書かれた小説以外。
日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。

日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。

コミックス


『円環少女12 真なる悪鬼』 長谷敏司 角川スニーカー文庫

新品購入。
「神の降臨」により、この世界は「再演」大系の世界となり、「魔法消去」というこの世界の者誰もが持つ「魔法」は威力を大幅に弱めた。
倉本きずなと武原舞花。ふたりの再演大系の魔導師が操作しあう世界。
次巻が最終巻らしい。
この見事な物語にふさわしい見事な最終巻に違いない。



『七人の敵がいる』 加納朋子 集英社

図書館。
主人公は陽子。共働き夫婦の妻。出版社勤務。子あり。
息子が小学校にあがって初めての保護者会。軽い気持ちで出かけたところ、彼女はさっそく保護者会を混迷に叩き込む。
その後も、仕事しながら子供を育てる母がぶちあたる「世間の壁」の数々が、次々陽子に襲い掛かる。


すんげー面白かった〜♪♪♪

全部で七章ある章タイトルも、すんげー愉快。
が、この本でとりあげられた問題の数々は、一度作り上げられたシステムを維持するのはすごく得意だが、それを大がかりに改変するのはとっても苦手な、日本人の特性に根ざした問題が多かったように思う。



我、天命を覆す 陰陽師・安倍晴明』 結城光流 角川書店

新品購入。
若かりし日の晴明。なんというか、鬱々ぐじぐじとした青年の晴明が、十二神将を使役とする話。
若い晴明の鬱屈ぶりがうっとうしく、テキトーに読み飛ばし、マーケットプレイスでとっとと売り飛ばしてしまった。
買ってくださった方、ありがとう。m(_ _)m



『ころころろ』 畠中恵 新潮社

図書館。
ただでさえ病弱なのに、目まで見えなくなった、若旦那。
若旦那の奪われた視力を取り戻すため、にいやたちは奔走する。
が、なんかたるかったなー。



『タイムクエイク 時震』 カート・ヴォネガット(訳:浅倉久志) 早川書房

図書館。
アメリカでは1997年に、日本では1998年発売の、カート・ヴォネガット最後の長編。
出てすぐ借りてきて、そのときは最初のほうでけつまづいて、ちょっと読んだだけで返却、長らく忘れていた。こないだ中図書館の開架を漁ってて再会、借りてきた。
エッセイとして始まり、それがいつの間にかじわじわと物語に侵蝕され、混ざり合い、やがてはカート・ヴォネガットとキルゴア・トラウトが「焼きはまぐりパーティー」をともに楽しむことになる、不思議な物語。
ステキな言葉がいっぱい。
バーナード・ショーと「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」、わたしの大好物なものをカート・ヴォネガットも大好物だったのは、すごくすごくすごく嬉しかった。
ディック・フランシスと会ったときのエピソードにはびっくりした。どっちも世界的大物だけど、接点あったとは思いもしなかった。
Jr.がとれてハードカバーで発売されだしてからのヴォネガットはほとんど図書館で借りてきたはずだが、きっと他にも最後まで読んでないヴォネガットを残しているはずだ。
探すーーー。
ありますように、ありますように。



『スペシャリストの帽子』 ケリー・リンク(訳:金子ゆき子、佐田千織) ハヤカワFT文庫

古本購入。
ブックオフ漁っててなんとなーく買ったもの。
短編集。11編入り。
どれもこれも粒ぞろいの、極上の悪夢の数々。



『西巷説百物語』 京極夏彦 角川書店

新品購入。
出てるのに気づかなかった。慌てて注文した。
関西編。主人公は又市の悪友靄船の林蔵。
とのことだが、この林蔵という人物にまったく心当たりがない…。「巷説」シリーズのどれに出てきたっけ? 
七編入り。
最初の「桂男」はなかなか勢いがつかなかったが、この「桂男」で林蔵の仕掛け具合がわかってからは、

行け行けどんどん、

やめられない、とまらない〜♪



『少年陰陽師 夕べの花と散り急げ』 結城光流 角川ビーンズ文庫

新品購入。
新章「籠目編」入り。
表紙、幼い昌浩と兄ふたりのスリーショット、たまらない。
伊勢の彰子たちの暮らしぶりを覗かせてくれたのも嬉しかった。
晴明の父が天狐と添うために一族播磨の神祓衆と交わした約束。播磨からやってきた一族の少女によってその約束を京都の安部家の人々も知るところとなり…。
えらいとこで終わっている。早く、早く続きを………。



『頭文字D』41 しげの秀一 講談社

新品購入。
兄過去編。親の決めた許婚か…。いつの時代の話だ………。



『ちはやふる』9、10 末次由紀 講談社

新品購入。
ブックスケジューラーに「末次由紀」を登録し忘れてて、ふと気づいて検索したら、知らない間に二冊出ていた。
で、9巻10巻一気読み〜♪



『プリンセス・トヨトミ』 万城目学 文藝春秋

図書館。
予約してからすげー待った。
大阪へ出張することになった三人の検査院と、空堀商店街に住む中学生の男の子。
このふたつの物語が交互に語られ、それはやがて、大阪が秘めるおおいなる秘密へとつながっていく。
もお、もお、もお、


すんげえ面白かったーっっっ!!

多少腑に落ちないとこもあったが、もう楽しくて、楽しくて、楽しくてー。


『カラーひよことコーヒー豆』 小川洋子 小学館

図書館。
エッセイ集。
「DOMANI」なる女性誌に連載されたものだそうだ。
「美しい祝福」、今まで一番感動した映画として「ソフィーの選択」をあげていたのは「おお♪」だったが、すいません、そのシャンパングラスを放り投げるシーン、そんな美しいシーン、ぜんぜん覚えていません。わたしにとっての「ソフィの選択」は、ソフィがしてしまったある「選択」が彼女をじわじわと殺していく、それがエミリ・ディキンソンの美しい詩とともに語られる、そんな怖い怖い映画です。
「枕草子」についての「千年の時が与えてくれる安堵」にはものすごく共感しました。
わたしが「枕草子」で一番心に残っているのは、「ありがたいもの(「有り難い」→めったにないもの、の意)」の章にあげられていた「よく抜ける銀の毛抜き」。いまどきの毛抜きは刃先微調整仕上げとやらで、安物の毛抜きでもピッと先を出しただけの毛もがちっと掴んでひっぱりだしてくれるけど、わたしが毛を抜きだした頃は、ほんと滅多に出くわせない「ありがたいもの」だったのよー。
で、たいがいは共感したのだが、ひとつだけ共感できなかったのは、「料理の喜び」の中の、実生活で料理をしないと言い切るハリウッド女優への戸惑い。女優の仕事も家事もこなしてますと謙遜しつつ自慢する女優より、よっぽど共感できると思うんだが。
そして、私は料理をするが、料理をするのは、森茉莉さんと同じ理由。
面倒なのでできればしたくないが、食べたいものを食べるには自分で作るしかないから。
たとえば、わたしは牛の腎臓を厚めに切ったものを強火で両面ジャッと焼いたのに芥子ウスターソースをつけて食べるのがむっちゃ好きだが、これを食わせてくれる焼肉店を知らない。生春巻きは大好きだが、具で一番好きなのは、チシャとかいわれとホースラディッシュ醤油で合えた肉のタタキを巻いたもの。これも食わせてくれる店を知らない。しょうがないので、自分で作るーーー。作ってくれる人を雇うほどの稼ぎはないし、自分で作って食べているーーー。



『祝宴』 ディック・フランシス&フェリックス・フランシス(訳:北野寿美枝) 早川書房
『審判』 ディック・フランシス&フェリックス・フランシス(訳:北野寿美枝) 早川書房
『拮抗』 ディック・フランシス&フェリックス・フランシス(訳:北野寿美枝) 早川書房

図書館。
今年二月に亡くなったディック・フランシス最後の三冊。
『再起』でリサーチを手伝った息子のフェリックスが、この三冊では共著者に。
『祝宴』は料理人が主人公。ギニーレースのボックス席のための料理を頼まれた主人公だが、そのボックス席には爆弾が仕掛けられていた。主人公は爆弾を仕掛けた犯人および仕掛けられた原因を解き明かすわけだが、なんか現実味に乏しい話であった。
『審判』の主人公はアマチュア騎手でもある、男やもめのバリスタ。
イギリスの弁護士には法廷弁護士(バリスタ)と事務弁護士(ソリシタ)の二種類があるのを初めて知った。
クライマックスの法廷シーンはほんとにスカッとした。でも一番好きなシーンは、主人公が自分の馬を預けている調教師のところに泊まり、翌朝雨の中を朝運動に行くところ。一番最後の結末は、うーん………。
『拮抗』はブックメーカー。個人が事業として賭けを受け付けるいわゆる「ノミ屋」だが、イギリスでは認可を受けなければならないみたいだが合法らしい。というか、馬に賭けるには大手にしろ主人公のような零細企業にしろ、ブックメーカーを使うしかない感じ?
競馬場でときおり起こるなぞの通信遮断。躁うつ病で入退院を繰り返す奥さん。いきなり現われて父と名乗る男。
母の死の真実はやりきれなかったが、未勝利馬ハードル競走の結末はほんとに気持ちよかった。最後の最後、オーストラリアで異母妹たちと会うシーンも心地よかった。この奥さんがよい状態のままとは限らないが、できたらよい状態のままでいてほしいと願わずにはいられない。

ところでディック・フランシスのオフィシャルサイトによると、アメリカでは先々月、イギリスでは先月、同じく親子共著ということで、あらたに『CrossFire』という新刊が出ているらしい。が、出た時期を考えると、案だけはあったものの、ほとんど息子フェリックスが書いたものか? イギリスamazonの利用者評価を見ると、5点が3人、4点が5人、3点2点1点が各1人。1点つけた人など、自分はごくごく初期からのディック・フランシスの読者だと断った上で、「これはディック・フランシスではない。書いたのはゴーストだ。しかしなんと貧相な影武者だろう」みたいなことを書いている。





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