本読み月記 |
【ジャンル分け】 | 最初から日本語で書かれた小説。 最初から日本語で書かれた小説以外。 日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。 日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。 コミックス |
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『(時間SF傑作選)ここがウィネトカなら、きみはジュディ』 大森望編 ハヤカワSF文庫 図書館。 一番最初に読んだ時間もののSFは筒井康隆の『時をかける少女』であった。 きっかけはNHK総合で夕方やってた少年ドラマシリーズ「タイム・トラベラー」…、っていまwikiで知ったんですが、これってあのシリーズの第一作だったんすねー。 で、読んだわけですが、ドラマに較べて地味というかあんまり面白くなかった記憶が。いまだに心に強く残ってるのは、一緒に入ってたパラレルワールド物のほう。読んでから幾星霜過ぎましたが、これを読んだせいで今でも、足の小指を強くぶつけたり、家の中で猫を踏みかけたり、運転しててひやっとすることがあるたび、何本か何十本か離れた縦糸世界では、小指を骨折してたり、猫を踏み殺したり、人を轢き殺したりしてるかも…と。 閑話休題。 先月読んだテッド・チャン。彼の短編が納められているというので借りてきた。 「商人と錬金術師の門」テッド・チャン、「限りなき夏」クリストファー・プリースト、「彼らの生涯の最愛の時」イアン・ワトソン、「去りにし日々の光」ボブ・ショウ、「時の鳥」ジョージ・アレック・エフィンジャー、「世界の終わりを見にいったとき」ロバート・シルヴァーバーグ、「昨日は月曜日だった」シオドア・スタージョン、「旅人の憩い」デイヴィッド・I・マッスン、「いまひとたびの」H・ビーム・パイパー、「12:01PM」リチャード・A・ルポフ、「しばし天の祝福から遠ざかり…」ソムトウ・スチャリトクル、「夕方、はやく」イアン・ワトソン、「ここがウィネトカなら、きみはジュディ」F・M・バズビイの、13編入り。 一番怖かったのは「旅人の憩い」、結末はなんか知ってるとこへの着地であったが、そこまでは凄かった。 チャンのは品のいい佳品。スタージョンのもほっこりさせられた。 あとグリムウッドの『リプレイ』前に「リプレイ」を扱った作品がそこそこあったというのは、「いまひとたびの」の解説読むまで知らなかった。筒井さんも書いてたのか。うーん、記憶にない。 表題作はハッピーエンドの素敵なラブロマンスだった。 「SFマガジン」2011年1月号掲載「ソフトウェア・オブジェクトのリサイクル」も読了。 これを読んだ数日後、五年間飼っていたリヴリーを死なせてしまった。うっかりクモに手を出してしまったのだ。 モンスターについては、飼い始めてしばらく経った頃、ちょいと手を出したら大怪我して、以来「触らぬ神に祟りなし」してたのだが、つい出来心で…。だってまさか、Lv150以上のがLv8のモンスターに4回殴りかえされただけで死ぬとは…。 サイトが大改造されて使いつらくなってから、ごはん食べさせるのとか相当めんどくさくなってたのだが、飼ってるもんはしょーがねーと世話しつづけてきた。 のだが、ぺしゃんとなって死んだのがわかってから五分くらい、頭の中が真っ白に。 以後、別のリヴリーを飼っていない。 うちの子以外に五匹(「yahhho」「真鱈かが」「マリーネイビー」「とぅな」「ドギ」)ばかり、遺棄されてるのをみつけたリヴリーの世話もしてきたのだが、あの子たちもそろそろ飢え死にしてるんだろうな…。 |
『続 5分でたのしむ数学50話』 エアハルト・ベーレンツ(訳:鈴木直) 岩波書店 図書館。 中図書館の開架でひょいっと拾ってきたのだが。 面白かったあああ!!! 数学ネタもさることながら、著者はドイツ人なのだが、国の借金の先広がり伸ばしだとか(第20話「すべての人を裕福に!」)、あれこれと欲しいものは我慢しなくてはならなくても食うには困らないくらいの経済状態を「貧困」呼ばわりしてもよいのか、とか、マスメディアのやりくちとか、うーん、ドイツも似たようなもんなのかー。 一番目から鱗が落ちたのは、「裁定取引」の説明と、ヘッジングの計算方法のとこ。 第5話の「第一種過誤」「第二種過誤」も具体例がすげーわかりやすかった。 第3話「CDプレイヤーの中の音楽」のおかげで、MP3やWMAのビットレートが理解できました。 数秘術を小ばかにする章もすかっとしたなー。 そんで、爆笑したのは、5頁の図1。 ところでこれは続編ですが、正編を予約しようとしたら、堺の図書館にないんでやんの。 なんで続編だけ購入したの?>堺市図書館 続編しかない理由、判明しました。 だいぶ前に借りやがった奴が督促しても督促しても返さず、禁帯出扱いになっていたのでした。 はよ返せーーーーっっっ!!!!! 返却せいーーーーーっっっ!!! >堺市の図書館で『5分で楽しむ数学50話』借りたまんま返してやがらねー奴 |
『秘密』9 清水玲子 白泉社 新品購入。 青木の家族が出てきて、団欒が描かれたあたりから、やばい感じはしたのだが………。 |
『ば化粧師』 REIKO KRUK リトルモア 図書館。 予約したきっかけは朝日新聞読書欄。 「ノスフェラトゥ」はだあい好き〜な映画だが、これを読むまで、この映画のメイクを担当したのが日本人女性だなんて全然知らなかった。読んだあと録画したのを観返したら、「Make-up Reiko Kruk, Dominique Clooadan」とあってびっくりー。 映画やオペラの仕事の愉快な裏話、俳優たちとのエピソード、生い立ちからフランスに渡るまでの物語、いろんな時期の話がばらばらに入ってたのがかえって楽しかった。 それにしてもクラウス・キンスキーって、やっぱりこんなややこしいおっさんだったのねー。 あ、あの話も好き。空港まで出迎えにきた息子さん。お目当てはイザベル・アジャーニ。母の顔を見るなり「イザベルはどこ?」。イザベル・アジャーニはれいこさんの隣にいたのにすっぴん顔だったので息子さんが気づかず、赤面させられたという話。 |
『ちはやふる』11、12 末次由紀 講談社 新品購入。 11巻出てたのに気づかなかったおかげで二巻一気読み〜♪ これの新刊読むたび、一念発起して、百人一首丸暗記に再チャレンジ(高校の二年あたりの夏の課題だったのだが、そんときゃ挫折)しようと思うのだが、読み終えてここ書いて本棚にしまうと忘れてしまう…。 |
『夏目友人帳』11 緑川ゆき 白泉社 新品購入。 第42話43話の結末、こんなん大好きー。 |
『Story Sellers』3 新潮社ストーリーセラー編集部編 新潮社 映美ちゃんが貸してくれました。 「男派と女派」沢木耕太郎、「ゴールよりももっと遠く」近藤史恵、「楽園」湊かなえ、「作家的一週間」有川浩、「満願」米澤穂信、「555のコッペン」佐藤友哉、「片恋」さだまさし。 わたしが生まれて初めて買ったLPはフィンガー5のファーストアルバムだが、二枚目はたぶんグレープだったと思う。ソロになってからも、「印象派」あたりまでは買って聴いていた。エッセイ集も読んでいた。 その後、次第に聴かなくなり、読まなくなり、小説が出たときも「あ、そう」くらいだったのだが。 いや、面白かったわ、「片恋」。 長編も読んでみよー。 |
『二度寝で番茶』 木皿泉 双葉社 図書館。 「すいか」で「野ブタを。プロデュース」で「セクシー・ボイス・アンド・ロボ」で「Q10」の木皿泉のエッセイ&対談。 「すいか」はリアルタイムで観てて大好きでこのドラマで浅丘ルリ子がどんだけステキな人かを思い知らせてもらったが、そのときは脚本家までチェックしてなくて、「セクシー・ボイス・アンド・ロボ」で初めて「すいか」と同じ脚本家だと知り、観てなかった「野ブタ」を借りに走りましたー。 (TSUTAYAで借りたが、Pちゃま担のにゃんママとこにはセル版が全部揃ってたのだった、ちっ) びっくりしました。wikiの情報で二人組だというのは知ってましたが、わたしよりかなり若い作家さんだと思い込んでいました。 1952年生まれと1957年生まれの二人組、どっひゃー。 で、最初のカラーページのとこがエッセイで、その後が二人の対談集。 |
『忍び外伝』 乾緑郎 朝日新聞出版 図書館。 新聞の広告でみつけて予約、だいぶ待った。 始まりは秀吉が天下を掌握した頃。文吾衛門は猿沢の池で奇妙な術を使う幻術使いに会い、そこから時をさかのぼり、伊賀の里時代の物語が始まる。 百地三太夫に囲われた謎の女お式。そして樒に似た姿をもつ「時じくの果の実」。 あたりはわくわくさせてもらったんですが、一介の窺見であったお式がなぜその実を手に入れたのか、腑に落ちず。 幻術使い果心居士の素性もなんかすっきりしなかった。 文吾衛門も、主人公としてはなんかいまいちで、彼の弟子であるお鈴も詳しく描かれてるわりには活躍せず。 で、なんかビ・ミョーな作品であった。 |
『素数の音楽』 マーカス・デュ・ソートイ(訳:富永星) 新潮社 図書館。 素数から語り起こされるリーマン予想の誕生と以後の詳細。 数学史に足跡を刻む人々の仕事やその人となり、少しずつ少しずつ前進する複素数全体に拡張されたゼータ関数の風景。 スリリングでエキサイティングな本でした。 ネットの認証でよく見かける「SSL」、あれが素数を利用したものだと、これ読むまで全然知りませんでした。 最後近く、モンゴメリが物理学のダイソンと邂逅し、ゼータ関数の0点の間隔がエルビウムの原子核のエネルギー準位の間隔によく似ていることが判明するあたりも、ほんとぞくぞくしたわー。 しかし、それよりなにより、デュ・ソートイが描き出す数学者どもの、キャラ立ちっぷりときたら。 そして、神秘の人リーマン。 リーマンの黒い手帳、この世のどこかにまだ残ってるのかな? わたしが生きてる間にそれがみつかって世界的な大事件になるのを体験できたりはするのかな。 |
『OL進化論』31 秋月りす 講談社 新品購入。 発売日が伸びて、せんど待ちました。 課長さんとこの家族のネタだけ集めて映画になったりしないかな。 ところで社長さんと令子さんって長いこと登場してないわー。元気でいらっしゃるのかしら。 |
『蕃東国年代記』 西崎憲 新潮社 図書館。 先々月読んだ『世界の果ての庭』はいまいちでしたが。 これは好きー。 これ、わたし、むっちゃ好きー。 ユーラシア大陸と日本の間のどこかにある島国蕃東国。朝鮮半島との位置関係は不明。 この架空の島国の中世の頃の物語が五編。それぞれの末尾についている現在の研究書等からの抜書き部分もすっごく愉快だった。著者もすげー愉しんで書いたと思う。 |
『モップの魔女は呪文を知ってる』 近藤史恵 実業之日本社 図書館。 中図書館開架を周遊していて発見。三冊目のキリコの話。 スポーツクラブが舞台の「水の中の悪魔」、スコティッシュ・ホールドが摺りかえられる「愛しの王女様」、ひさびさに読むミュンヒハウゼンもの「第二病棟の魔女」、殺人から始まる「コーヒーを一杯」。 わたしは生犬生猫を陳列販売しているのがとても苦手で、できれば法律で禁止してほしいと思ってて、それが禁止されないのにはどういう神経をしているのかわからないけれどガラスケースに子猫や仔犬が陳列されていることになんの疑問も持たない人たちの責任もあると思っているので、「愛しの王女様」は読みながらこの女の子にかなりイラっとしました。 スコティッシュ・ホールドがやばい品種であることは知っていましたが(うちのセンセによると、猫で最悪なのがスコティッシュ、その次がメインクーン、らしい)、そういう問題を持っていることは知りませんでした。 「水の中の悪魔」が一番すっきりしたかなあ。「愛しの王女様」も動機が好ましかった。「第二病棟の魔女」の犯行原因はなんかイヤな後口が残った。「コーヒーを一杯」もなんかやりきれなかったなあ。 |