本読み月記


【ジャンル分け】 最初から日本語で書かれた小説。
最初から日本語で書かれた小説以外。
日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。

日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。

コミックス


『最新医学常識99』 池谷敏郎 翔伝社黄金文庫

図書館。
5月26放送の「ビーバップ・ハイヒール」、「あなたの知識は間違い!?ここまで変わった医療の常識」がむっちゃ面白くて、番組中でネタ本として紹介されてて、図書館に予約。三ヶ月待ち。
番組でまとめられてたほうが、卵とコレストロールの話とか、37度越えたら熱がある迷信の原因とか、断然面白かったっす。
ところで、擦り傷できたら水でよく洗ってフィルムタイプの絆創膏を貼る、というのはもう何度もテレビで見ているが、ゴウカイジャー第22話、子供が足を擦りむいて、なのに洗いもせずにハンカチ巻いてやってて、いまどきなんて非常識ー、と軽くイラっとした。



『HUNTER×HUNTER』29 富樫義博 集英社

新品購入。
すでに亡くなっていたカイト。
それを知った衝撃から急激な成長を遂げるゴン。
記憶を失った王と、王が思い出す前にコムギを抹殺しようとするブフ。
コムギを守るキルア。
この続きが読ませてもらえるのはいつ頃だろう。ジャンプで連載は継続中?
ところで表紙裏のあのパンダ、あれ、どこのパンダ? もうちょっと背景写ってたら、白浜かそうでないかわかるんだけど。
そういやN塚長姉が昔、白浜で、もっとひどいパンダの写真を撮ってて、焼きましてもらったのが家のどこかにあるはずだが、あれ、どこにしまったっけか…。



『継ぐのは誰か?』 小松左京 ハルキ文庫

図書館。
小松左京は読んでたはずだが、SFはもちろん、エッセイや落語の名人譚のような話も読んだ覚えがあるが、何を読んだか、どのへんを読んだか、自分でもとんと記憶にない。『エスパイ』は読んだと思うが、映画はたぶん見ていない。『日本沈没』は映画もTVドラマも観たが、原作を読んだかどうかを覚えていない。『復活の日』の映画も観たが、原作はたぶん読んでなかったような気がする。
巨星旅立つ、の報の後、そんなことをぼんやり考えてたら、中図書館の新刊コーナーに、たぶんここの司書の人に小松左京の愛読者がいてその人の犯行だろうと思うのだが、小松左京が何冊か並んでいて、ついふらふらと三冊ほど借りてきて、まずこれから読み出したのだところ、読んでなかった本だった。
昭和43年に書かれたものである。1968年である。
なのに、古臭くない。
いま読んでも、用語等、まったく古臭い感じがしない。
私が読んだこの文庫は1998年に発売されたものなので、本自体が比較的新しいこともあるし、これが出るときに何か直しが入ったのかもしれないが、これにまずびっくりした。
長編。
近未来もの。
大学で起きた予告殺人事件はやがてアマゾン奥地でひっそりと暮らしていた人間とは染色体を異にする人々と主人公たちを邂逅させることになる。
筋自体はそれほどむちゃくちゃ面白くはなかったが、肉付け部分が凄かった。



『大阪夢の陣』 小松左京 徳間文庫

図書館。
中短編集。「とりなおしリテイク」「大阪夢の陣」「黄色いねずみ」「静寂の通路」「知恵の木の実」「木静かならんと……」の六編入り。
時間遡行が実用化された近未来、関が原の戦いをリアルタイムで実況する歴史現場特番番組の制作チームは、番組を成功させ脅威の視聴率を叩き出すが、番組がシリーズ化されることになり、その第一弾として取材に行った建武の新政時代で、歴史の自己修正機能が修正しようがないようなポカをやらかし、そこから枝分かれした自分たちがいたのとは別の「その後」に追いやられることになる「とりなおし」と、その続編で、自分たちがいたのとは違う未来から来た番組制作会社に拾われた彼らが今度は大阪冬の陣の特集番組に参加することになる「大阪夢の陣」が、むちゃくちゃげろくそ面白かった。
「大阪夢の陣」については、宇のが大阪城へ向かうとこで終わってたほうが断然面白かったと思うけど。
宇のがやろうとしたことを実際にやらせてしまったSFか伝奇ものってないのかな?


このとき『結晶星団』ハルキ文庫も借りてきたけど、これは読んだ覚えがあった。読んだ読んだと思いながら、また全部読んだけど。


『海街diary4 帰れないふたり』 吉田秋生 小学館

新品購入。
この4巻、感想書きにくいー。
それにしてもこういうテイストの話はわたし、基本的には苦手というか、違うな、喰わず嫌いだな、なんだけど、でもこれは好き。



『中国嫁日記』1 井上純一 エンターブレイン

新品購入。
わたしが「中国嫁日記」を知ったのはつい最近で、愛読する「虚構新聞」にこの本へのリンクが貼られていて、元はブログらしいのでブログ検索して読んだら面白かったので、これも注文した。
80頁まではブログからの再録、そのあとの出会い編が描きおろし。
要は、若くて可愛い中国人の女の子とひょんなことから結婚できてしまった四十台オタク男ののろけ、なわけですが、ほっこりさせられる本です。
ところで「中国嫁」であるユエさんは、五人姉妹の末っ子である。でも中国ってひとりっ子政策の国だよな? 26頁によると、彼女のお父さんはモンゴル自治区で農業をされていたそうだ。モンゴル自治区は何人も子供持ってもいいのかな?



自薦短編小説集A 芸道綾錦夢譚げいどうあやにしきゆめものがたり』 小松左京 廣済堂出版

図書館。
最初に借りてきた三冊を読み終えたあと、予約の順番回ってきた本取りに行き、中図書館ですぐに借りられる小松左京を捜して、なんとなくこれを借りてきた。
「蚊帳の外」「高砂幻戯」「天神山縁糸苧環てんじんやまえにしのおだまき」「乗合船夢幻通路のりあいぶねゆめのかよいじ」の四編に、米朝さんとの対談付。
「蚊帳の外」は江戸時代の話で怪談、「高砂幻戯」は現代の話で奇譚、「天神山縁糸苧環」と「乗合船夢幻通路」は、小松左京本人をモデルとした「大杉」の一人称で語られる芸事譚。

ところで「立ち消え線香」は聴いたことがある。車のラジオで聴いたのだ。ラジオで聴いたので、誰のだったかはわからないが、どういった加減だったのやら、最初から最後まで聴いた。車は前に乗ってたカローラツーリングワゴンで、たぶん310号線をのぼってて渋滞中だったと思う。
そしてこの「立ち消え線香」(こちらでは「立ち切れ」となっているが)がメインの「天神山縁糸苧環」は初めて読む小説だったが、

「ぱっ、と−−突然、何かはなやかなものが、にぎやかにあらわれた。照明がかわったのか、と思わず一文字を見上げたほどだった。それが「お母ちゃん、えらいおそなりまして……」
の、小糸の朋輩衆たちのせりふが言われたせいだ、と気づくまで、ほんの一瞬かかった。
(中略)
文都さんの大先輩にあたる月亭文都が、このくだりをやると、ぱっと灯のはいったような明るくなった、と言うが、今の文都さんも、まさしく照明の変化を錯覚させるほどのできばえだった」
(152頁より無断転載)

ここ、ここだけ記憶にあるのだ。このまんまでくっきりぱっきり記憶に残ってるのだ。そんで、カーラジオで「立ち消え線香」聴いたとき、上記のくだりは記憶にすでにあり、カーラジオで聴いてた途中あたりで、小松左京が書いてた落語だ、これ、と気づいた記憶があるのだ。
ここだけ記憶に残っててその前後の筋全部忘れてるって、人間、あることなのか?
ともあれ、ここを記憶していたので、小松左京が古典芸能にも造詣がある、というのは知っていたことだが、こんなに網羅してたとは。
そしてこの「天神山縁糸苧環」、すごくいい話なのだ。特にクライマックス、会場に流れる小糸さんの声とその種明かし部分など、ほんとぞくぞくするほど気持ちよかったのだ。
なのに、上記部分だけ残してあとは綺麗さっぱり忘れてた、って人間あることなのか?

ちなみに「天神山縁糸苧環」と「乗合船夢幻通路」の両方に登場する落語家の文都さんのモデルは米朝さんで、そんで巻末付録に対談がついている。




【「侍戦隊シンケンジャー」の各幕タイトル】

歌舞伎や浄瑠璃の題というのは、「忠臣蔵」で「ちゅうしんぐら」とか「勧進帳」で「かんじんちょう」とか、普通にそのまま読んでいいのもあるが、ふりがななかったら「読めねえよっ」な読みのも多い。
「盟三五大切」と書いて「かみかけてさんごたいせつ」とか、
「伊勢音頭恋寝刃」と書いて「いせおんどこいのねたば」とか、
「江戸宵闇妖鉤爪」で「えどのやみあやしのかぎづめ」とか。
自分でチケット買って歌舞伎見始めたのは今年一月からだが(一番お安い三階席オンリー、しかも松竹座ばっかだが)、歌舞伎にはそういう変な読み方するタイトルがあることは知っていたので、2009年2月から放映されていた「侍戦隊シンケンジャー」、
第一幕のタイトルが「伊達姿五侍(だてすがたごさむらい)」、というのもいい感じだったが、
第二幕のタイトル、「極付粋合体」と書いて「きわめつきいきながったい」には、それこそ「うっわー、すごおく歌舞伎だわ〜♪」とまじ痺れた。
第三幕も「腕退治腕比(うでたいじうでくらべ)」もいかにもそれもんだったし、
第四幕の「夜話情涙川(よはなさけなみだがわ)」も実にそれもんだった。
その後はここまで強烈なのは減ったものの、最後までひらなが書きの助詞抜きで通したのは実に粋でいなせで、「シンケンジャー」というこの凄い作品に華を添えていた。
というのを「うわごと日記」で書いてたシンケンジャー感想で書こうと思ってたのに書き忘れていたことを、小松左京の芸道シリーズのタイトルでふと思い出したので。




『自薦短編小説集1 芸道艶舞恋譚げいどうえんぶこいものがたり』 小松左京 廣済堂出版

図書館。
「明烏」「鷺娘」「戻橋」「山姥譚」の四編入り。
「明烏」は落語、「鷺娘」は日本舞踊、「戻橋」は渡辺綱の鬼退治伝説、「山姥譚」は地唄、に着想を得たもの。…という言い方で合ってるのか?
「明烏」、後半はなんか生臭い話になったが、前半の、老舗の料亭の数奇屋造りの客室の様子や、そこでいただく懐石のお料理の描写が、読んでてすっごく楽しかった。
「鷺娘」は、「鷺娘」と「白鳥の湖」を比較しての発見を、外人の疑問の形を借りて、物語にしたもの。でもおんなじ西洋のバレエでも「ジゼル」なんかは救いないよな。ジゼル、生き返るわけじゃないもんな。
「戻橋」は芸の上手だが酒乱の元芸者と「わたし」が袖摺りあう話。
「山姥譚」は古典芸能や民俗学やらに描かれた「山姥」と物語の中のできごとが見事に融合した、ものすごく気持ちのいい話だった。


ここまで読んでふと思い出したのは、庄司薫の薫くんシリーズの第三作『白鳥の歌なんか聞こえない』。
って、薫くんシリーズで本棚残ってるのは第一作だけで、その後三作はそれぞれ一回読んだだけだけど、たぶんこれだったと思うのよ。
薫くんの幼なじみの由美ちゃんが、腐るほど本持っててむちゃくちゃ博識ででもそろそろお迎え間近いじいちゃんとこにボランティアのお手伝いみたいなのに行くんだっけ? で、そのじいちゃんが頭の中に溜め込んだ膨大な知識がじいちゃんの死とともに喪われてしまうことに、その喪失のものすごさに、ただ圧倒されて、途方にくれる話。
数年前、塚本邦雄が亡くなったときにも、このお話のことをふと思い出したのだが、今月、小松左京の書いた本のほんの少しだけだが、読んで、そんでまたもやこの話をふと思い出して、やっぱり思ったのだ。
脳に蓄えた膨大な知識を、情報を、その量質ともに想像も尽かないほどの知識を、情報を、塚本邦雄も存分に楽しんだだろうし、小松左京もやはり、存分に楽しんだのだろうなと。



『エドの舞踏会』 山田風太郎 文藝春秋

図書館。
山田風太郎の明治ものを読もうと思ってたのをやっと思い出して、とりあえずこれを借りてきた。
維新後、政府の要人となったお歴々の奥方について描いた連作短編集。


すんげー面白かったあっっっ!!!

どこまで真実で、どこからがフィクションなのか、このへんたれのことはよく知らないのでぜんぜんわからなかったのですが、いやもうほんと、行け行けどんどん、やめられないとまらない〜本でした。
中でもむちゃくちゃ気持ちよかったのは、伊藤博文夫人が芸者に化けてサイテー男に啖呵切るシーン。


しかし、この時代、いきなり洋装になって、いきなり洋館建てた人たち。
クーラーもないのにそんなことして、大丈夫だったんかな?
くそ暑い日本の夏を、どうやって乗り切ったんだろうな?



『今をたよりに』 ジル・チャーチル(訳:戸田早紀) 創元推理文庫

図書館。
リリーとロバートのブルースター兄妹シリーズ第六作。
ロバートは駅舎に郵便仕分け箱を作って郵便物を詮索好きのばあさんから守る活動にまい進、ウォーカー署長はついにグレイス&フェイバーの住人となるし、前作で感じがよかったパーカーがウォーカー署長の部下となるし、その他の人々の消息も楽しく読んだが。
えっと…、あの…、今回の犯人について、たったこんだけ?
そんで、庭の木の根元から現れた白骨死体については?
本編終わったとこで狐につままれたような気持ちになりながらも、このへんは次作でのお楽しみかと思えば、訳者によるとこのシリーズ、いまのところは本国で2005年に発売された今作が最新作なんだと。
ところでこの話に出てきたエピソードなんですが、ナチがいろんな本を焼き捨てる焚書を行ったあと、それをニュースで知ったアメリカでもアホウな若者どもが、真似して本をいっぱい焼いたらしい。
これ、ほんとの話?



『エアーマン』 オーエン・コルファー(訳:茅野美ど里) 偕成社

図書館。
アイルランドの東南端にある小さな小さな島国ソルティーアイランド。
この国に生まれ、父と王が親しい間柄であったことから、王女と幼なじみのように育った少年コナー・ブロークハートが、国王暗殺の陰謀に巻き込まれ、名も無き囚人として牢獄に放り込まれ、しかしその牢獄で仲間を作り、やがて牢獄を脱走、王を暗殺したあと王国の実権を握っていたボンヴィレン卿に反撃する物語。
なのだが。
気球の中での誕生とか、両親や王様、王様の親友等のキャラ設定や、牢獄の中での生き延び方を学んでいくところなど、あちこち面白いとこはあったのに、トータルとしてそんなに面白くなかった。なんで?



芸道夢幻綺譚げいどうむげんあやしのものがたり』 小松左京 廣済堂出版

図書館。
「あやつり心中」「隆達小唄」「小夜時雨(たぬき)」「反魂鏡」の四編入り。
「あやつり心中」は元禄時代の話。このふたりの猟奇に美しい心中姿が書きたくて書かれた物語だと思う。
映画「ひまわり」を観たときは、ロシアの農村にあれほどたくさんひまわりが育てられていた理由など考えずにみたのだが、そしてあのひまわり畑のシーンで目が溶けるくらい泣かされたのだが、後に、ひまわりの種から油をとるために栽培されていたと気づいた。そのため、畑の隅っこでよく菜の花が栽培されているのは、間引きした芽を食べたりもするが、メインの目的はは菜の花の種から油をとるためだったのかと思い至った。が、よく耳にはする「綿実油めんじつゆについてはこれまで「めんじつゆ」という言葉だけしか知らなかったものが、この話のおかげで、綿に生った綿の中にある種からとった油だったことを知った。
「隆達小唄」は江戸に幕府が開かれた頃の話。元から江戸に住んでいた人々はみるみるうちに変わってゆく江戸をどう感じたのだろうと、住んでいた人たちの気持ちをシュミレートして書かれた話。
「小夜時雨(たぬき)」は、狸にまつわるあれこれをちりばめたこじんまりとチャーミングな幻想譚。
「反魂鏡」、ネタ元は落語の「反魂香」。わたし、ネタ元の落語、こないだ聴いたとこ。図書館で借りてきた米朝さんのCDで。これをドタバタSF仕立てにした話。


ところで前から薄々思ってたんですが、いま芸妓さんや舞妓さん呼ぶお座敷で、芸妓さんや舞妓さんの踊り見て心底楽しいと思う人、どれだけいるんだろうな? うまい下手を自分で判定できる人もどれだけいるんだろうな? あと三味線とかも。


『森茉莉 贅沢貧乏暮らし』 神野薫 阪急コミュニケーションズ

図書館。
8月5日にNHKで放送された「あほやねん、すきやねん」、この回の「ハッピー男飯」コーナーのお題は「お茶漬け」だったのだが、濱ちゃん(濱田崇裕)が作ったのはなんとっ「饅頭茶漬け」。本家森鴎外のは、饅頭は葬式茶漬けで、お茶は煎茶、森鴎外言うところの「青いお茶」、それも熱いの、だったのに対し、こちらは黒糖饅頭と冷たい緑茶だったんですが。
で、この「饅頭茶漬け」ってどのあたりに載ってたんだっけとググって調べてみてこの本発見。
森茉莉がエッセイで書いた食べ物や料理の記述を集め、遺影や遺品や再現した料理の写真等をまぶしたもの。
表紙の茉莉さん、これ、四十歳から五十歳くらいの間かな? エッセイの中に、自分の写真はたいがいひどい写りなのに、それを見て綺麗に写ってるという人を憤るくだりがあったと思うのだが、この写真は実にかわいらしく写っていると思う。



『イギリスはおいしい』 林望 平凡社

図書館。
朝日新聞にこの人の『薩摩スチューデント、西へ』の広告が載っており、面白そうだと思ったが新刊なのでたぶんまだ図書館には入っていない、入っていないがほかにどんなもん書いてるんだろうと堺市図書館の蔵書検索してみたら、まずは書名あいうえお順で表示される検索結果の最初の頁にこの本の名前が。
で、なんとなく借りてみたら。


面白かったあああっっっ!!!

イギリスの食についてのあれやこれや。
海外の小説の食事シーンを読んでて、「洋食には必ずパン」は変だと思ってたのよ。「いもか、はたまたパンか」ですっきりさせてもらいました。
しかし、海外のものが日本で供されるようになるとなんかけったいな状態になるの、わたしはずっと「違うと思うぞ。それは間違いだぞ」と思ってたが、そうか、「日本の食文化の影響下における独自の変態」という考え方があったのか。
ちなみに今までテレビで見た中で一番笑ったのは、「スタンディング・バーで供されるフルコースの食事」です。「独自の形態化」というよりは、イギリスのパブやイタリアのバールをなんか勘違いした「間違い」だと、これは今も思う。
あと、日本では世界中の食べ物が食べられる、などと言いますが、長年焦がれてきた「ステーキ・アンド・キドニー・パイ」、これ喰える店、これ読んであらためて探してみたら、東京に一軒だけみたい。関西には食べられる店はやっぱりないみたい。



『夜の写本師』 乾石智子 東京創元社

図書館。
朝日新聞の広告で見て面白そうだと予約したものの、予約してからだいぶ待ち、順番回ってきたときにはファンタジーだったということすら忘れていた。
右手に月石、左手に黒曜石、口のなかに真珠、を持った状態で生まれてきた赤ん坊が、生まれてすぐ魔導師に預けられ、そこで育つも、ある日突然現れた別の魔導師に育ての親と兄弟弟子は殺され…。
最初はわくわくしながら読み始めたのだが、なんか次第に盛り下がり、転生ごとにひとつづつ力を奪われていくくだりに至っては、なんじゃこりゃと。
うーん、うーん、どこで何をどう間違ってるんだろ、この話………。
しかし、あちこちいいシーンやいい風景を見せてもらったので、井辻朱美のあとがきの締めと同様、「(次作に)期待したい」。



山田風太郎明治小説全集三 幻燈辻馬車 上』 山田風太郎 ちくま文庫

図書館。
『エドの舞踏会』がむちゃくちゃ面白かったので、借りてきた。
元会津藩士で、維新後は警官として西南の役に出征した干潟干兵衛、今は辻馬車の御者。
亡くなった息子の遺児である孫娘を傍らに乗せ、東京の街を馬車を走らせる。その孫娘が危難に遭って本気で呼べば、死んだときの姿で現れる、孫娘には父である干兵衛の亡息。
このじじと孫が遭遇する、さまざまな事件を描いたもの。
これ、明治の有名人のことをそこそこ知ってたら、すっごい面白かったんだろうなあ…。

ところで幼い頃にTVで観た日本映画で、最後に白装束の女性や子供が自害しまくる映画があった。
いまだにそれを観たときのなんともいえないぞくぞくする気持ちだけ覚えているのだが、あれ、たぶん、戊辰戦争のときの会津藩の映画だったんだろうなあ。



『BEAST of EAST』4 山田章博 バーズコミックス

新品購入。
いま調べたら、2巻出たのが2001年、3巻が2007年。
2巻と3巻ほどは開かずに出たのね、この4巻。
鬼同丸は人魚を逃がすかわりに綿津見とのつながりを得、平将門はついに兵を起こす。
しかし将門は玉藻の前の手で傀儡くぐつとされ、桔梗姫は戦場に散り、地上に魔界が出現する。
ところでオフィシャル情報によると4巻発売記念複製原画店があちこちで催されているらしい。4日に仮面ライダーオーズファイナルライブツアーで梅芸行くから、そのついでに見物してくるなら、ジュンク堂大阪本店かな?



『シューマンの指』 奥泉光 講談社

図書館。
初めて読んだ奥泉光。
朝日新聞の広告か日曜読書欄かで見て予約したと思う。
ヨーロッパに留学中の友人が寄こした、「永嶺修人」の演奏を聴いた、という手紙。その手紙によると、この「永嶺修人」なる人物は、将来を嘱望されたピアニストだったらしいこと、なんらかの理由で指を失っていたらしいこと、が窺われる。
その手紙のあと、「私」の一人称になるのだが、友人からその手紙が届いたのが三十年前だったというのでまず「え?」と思った。
そこから「私」の回想が始まる。
ピアノとの出会いや音大受験。高校で出会った永嶺修人。彼と前述の手紙を寄こした鹿内と三人で始めた音楽同人誌。
この同人誌くらいから、なんかもうどうでもよくなって飛ばし読みしはじめたものの、最後の最後まで読んでみれば。


真相はこれかいっ!(-_-メ)

ところでわたし、シューマンはほとんどちゃんと聴いたことがないが、ちょっと前までB'zのニューアルバムと続々と出た関ジャニ∞のニューシングルばっか聴いてた反動で、なんで買ったか自分でも不明ながらうちにあるクラシック系のCDをこないだから順繰りに聴いてるのだが、「チャイコフスキー ピアノ交響曲第二番/くるみ割り人形/白鳥の湖」聴いて思った。
チャイコフスキーがまだ生きてて著作権切れてなければ、CM収入だけでも莫大だろうな、と。



『ユグノーの呪い』 新井政彦 光文社

図書館。
中図書館の開架を周遊していて、タイトルに惹かれて手にとり、「第八回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作」ということで借りてきた。
「ミッシング」を体験したせいで、開店休業中の状態で飲んだくれているフリーの記憶療法士の「オレ」のもとに、フリーになる前に勤めていた記憶療法士センターで同僚だった、そして同じく今はフリーの礼子から、仕事の誘いがくる。
クライアントはメディチ家の末裔の14歳の少女。
彼女の記憶には、まず腕利きで知られたベンケイが潜ったものの、記憶中で攻撃を受けて怪我を負いドクターストップ、その後三人編成のチームが潜ったが帰還できない「ミッシング」状態になっているという。
「オレ」は仕事を受け、礼子とともに少女から抽出された記憶の中にもぐるのだが…。
夢枕獏のサイコダイバーに似てるけど、あれとは違って、脳に直接潜るのではなく、スーパーコンピュータにコピーした脳の中に潜る「記憶療法」というテクノロジーに、「サン・ヴァルテルミの虐殺」に絡めたミステリ。
えっと、ええっと、クライアントの記憶に上書きされるのは、記憶療法士によって原因が解決されてからっすよね? 犯人が抽出された記憶の中でした操作は、だから、クライアントにはまだ反映されていなかったのでは?



『イギリス人の食卓』 林望 角川春樹事務所

図書館。
上記『イギリスはおいしい』が滅法面白かったので、これも借りてきた。
『イギリスはおいしい』に載ってた話もいくつか入っていた。
お菓子作りという趣味について、「買ってくるほうが絶対美味しいし安上がりだし手間要らず」、材料費と手間につろくしないと思っていた。が、この本の最後あたりにどかんと載ってるイギリスのデザート、特にリンゴを使ったもの。これは家で作る値打ちだけのあるわー。
しかし、日本にはほんと、紅玉くらいしか、火を通して美味しいリンゴってないのよね。ナマで喰っても甘いばっかの畸形的なリンゴが上等ともてはやされてる国なのよね。
そういや去年、カリフォルニア産の「プリスティン」というキミドリ色の皮ごと食べられるブドウに溺れたのだが、先日、COOPで「ロザリオビアンコ」なるブドウを見つけた。皮ごと食べられるというキミドリ色のブドウである。しかし「プリスティン」が一パック300円〜350円だったのに対し、こちらは一パック780円であった。
おんなじ品種かな? おんなじ品種でも、日本で作ると、やっぱこんだけ高くなるのかな?
食べてみたかったが高いので諦めてたら、投げ売りコーナーで350円になってるのを見つけた。買ってすぐわくわくと一粒口に入れてみたら…。
酸味と甘みがほどよくコリコリとした食感も楽しい「プリスティン」と違い、こちらは普通のブドウの食感でしかもダダ甘かった。
果物だけじゃないよな。

最近野菜まで糖度糖度とやかましいよな。





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