本読み月記


【ジャンル分け】 最初から日本語で書かれた小説。
最初から日本語で書かれた小説以外。
日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。

日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。

コミックス



『イオニアの風』 光原百合 中央公論新社

図書館。
ギリシャ神話をテキストとした二次創作、もしくはパスティーシュもの。
第1部がトロイ編。
第2部がイタケ編。
1部ではスパルタ王妃ヘレネーや彼女を攫うトロイの王子パリス、パリスの兄のトロイ王、その王妃らの心情が、元の物語をゆがめることなく、実に丹念に丁寧に描かれていた。
2部はオデュッセウスの息子テレマコスが主人公。
それにオリンポスの神々が絡み、中でも大活躍なのがヘルメス。
ギリシャ神話との出会いは小学校の図書館だった。神々の名前とその特質をノートに書き写したことを覚えている。
そしてわたしも、大神ゼウスとその正妻ヘラの間の唯一の嫡出子アレスが、ゼウスのほかの子供たちより影が薄いというかなんかぱっとしないのを不思議に思ったものだ。
ともあれこの本でのこの作家の人の気持ちの解釈というか思い描き方、わたしはすっごく好きだ。

この本、すっごく好きだ。


『虐殺器官』 伊藤計劃 早川書房

図書館。
噂だけは知っていたが、前に読もうとしたときは予約いっぱい入ってたので、そのうち…と思っていた伊藤計劃。
『NOVA1』に短編「屍者の帝国」が載っており、このお話の仕方は好きだと思い、予約状況再確認してみたら予約なしで開架にいたので借りてきた。
語り手の「ぼく」の物事に対するスタンスというか引っかかり方には、シンパシーを感じないことも多かったが、抑制の効いた文章は読み心地がよかった。行け行けどんどんしそうになるのを、この作家の本はあと一冊しか読めないんだとがんばってブレーキかけて読んだ。
それにしてもこのひどい結末がなんだかすごく気持ちいいって、これっていったいなんなんだろ?



『真昼の星空』 米原万里 中央公論新社

図書館。
米原万里はあらかた読んでしまったと思っていたが、開架でこれに遭遇、読んだ覚えがないような気がすると借りてみたら、やっぱり読んでいなかった。ラッキ〜♪
エッセイ集。
ロシアの医者の話と、ロシアの年寄りの話が、すっごく愉快で痛快だった。
それにしてもロシアって、中国や韓国と同様、日本海挟んでほんのお隣の国のはずなのに、なんかよくわからない遠い国のような気がするよね? てか、お隣ってこともよく忘れてるよね?



『オイレンシュピーゲル壱 Black & Red & White』 冲方丁 角川スニーカー文庫

図書館。
『天地明察』読むまで知らなかった冲方丁だが、調べてみたら元はライトノベルス作家だった。
ライノベ時代の作品も読んでみようと思いながら忘れてて、堺中図書館の開架を周遊していてこれを発見。
オイレンシュピーゲルといえば、ドイツの吉四六きっちょむさんだが、
(大学のドイツ語Tの教科書にオイレンシュピーゲル話のひとつが載ってて知った)
(余談であるが、うちの妹は小学校一年生から六年生まで、毎年吉四六さんで読書感想文を書いていた)
こちらは近未来のウイーンの話。
身体的な障害を持って生まれた子供の障害のある部分を機械に置き換えるという措置が無償でとられているこの国では、その措置がとられた児童を選別、優秀だったものには<特殊転送式強襲機甲義肢>通称「特甲」を与え、治安維持にあたらせている。
物語の舞台となる元ウィーン、今はミリオポリスで、その任にあたる、黒犬Schwarzeこと涼月、赤犬Roterこと陽炎、白犬Weisこと夕霧の、三人の少女、通称「?ケルベロス(「姦」の「女」を「犬」に置き換える)」が主人公。
「壱」は三人の人柄や背景が、一人一話づつ語られる。
夕霧の章に出てきた、旧約聖書のアブラハムの話のとこがすんげー愉快だった。
続きも読もう、そうしよう。



『ビブリア古書堂の事件手帖 栞子さんと奇妙な客人たち』 三上延 メディアワークス文庫

図書館。
朝日新聞の広告で面白そうだと思って予約してだいぶ待った。
ビブリア古書堂という古書店を舞台に、栞子さんというその古書店の店主を安楽椅子探偵アームチェア・ディテクティブとした、連作中短編集。


面白かったあああーっ!!!

「俺」が栞子さんと知り合いビブリオ古書店でバイトすることになった馴れ初めが語られる「夏目漱石『漱石全集・新書版』(岩波書店)」、ビブリア古書店にときおり古書を持ち込むホームレスのせどり屋の男が大事にしている本とそれを持ち去った女子高校生の「小山清『落穂拾い・聖アンデルセン』(新潮文庫)」、ある本を売ろうとする男と売らせまいとする奥さんの「ヴィノグラードフ・クジミン『論理学入門』(青木文庫)」、この三篇の各所に張り巡らせられた伏線が見事に回収される「太宰治『晩年』(砂子屋書房)」の、四編入り。
実に気持ちよく心地よい推理小説でした。


『ちはやふる』15 末次由紀 講談社

新品購入。
巻末付録描きおろし漫画を読んで、アニメをすっかり見忘れてたのを思い出したわー。


『Landreaall』19 おがきちか 一迅社

初回限定版を新品購入。
が、ドラマCDはまだ聴いていない。楽しみ〜♪






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