本読み月記


【ジャンル分け】 最初から日本語で書かれた小説。
最初から日本語で書かれた小説以外。
日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。

日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。

コミックス



『道化の使命 仮面の貴族』全三巻 ロビン・ホブ(訳:鍛冶靖子) 創元推理文庫

新品購入。
「道化の使命」三部作の第二部。
フィッツは道化でなくなった道化、ゴールデン卿の侍従として、城で暮らすことになる。
デューティフル王子と神呪字諸島の姫の婚約。技の連を一から作りなおす仕事。養い子ハップの問題。そしてビングタウンの牝ドラゴンと氷の島で氷に閉じ込められた牡ドラゴン。
三冊二日で一気読み。
FE覚醒もほっぽって、一気読み。
やめられない、とまらない。

第三部、
早く、早く、

早く読みたいーーーーー。



『感謝祭の勇敢な七面鳥』 レスリー・メイヤー(訳:高田惠子) 創元推理文庫

図書館。
主婦探偵ルーシー・ストーンシリーズ第七作目。
前作で大学に進学、大学の寮に入った長男が、初めて帰ってくる感謝祭。
アメリカの感謝祭なので、「Thanksgving is November」で11月。カナダは10月。というのは、だいぶ前にTVで、ハロウィンが終わったとたんにクリスマス商戦に突入する日本をアメ公が「ハロウィンの次は感謝祭だろ、クス」などとせせら笑ってやがるのを見て調べたことがあったから。(ここおよびここ参照)
メティニカット族というインディアンの血をひく男が殺され、ティンカーズコーブに作られようとしているカジノ建設問題がそれに絡む物語。
殺人事件解決より、カジノ建設問題の最後のどんでん返しが痛快だった。
この事件でストーンズ家に新しく仲間入りすることになった犬のカジョーの今後の活躍が楽しみ。
最後に載ってたルーシーが感謝祭に作ったディナーの解説およびレシピも楽しかった。
ところでわたしはアメリカ先住民族は「ネイティヴ・アメリカン」と呼ぶのが今は普通だと思っていたが、訳者あとがきによるとアメリカではすでに一周してしまってて、「インディアン」という呼び名が使われているらしい。



『夜明けのパトロール』 ドン・ウィンズロウ(訳:中山宥) 角川文庫

図書館。
『サトリ』と『野蛮なやつら』は買ったが、まだ読まないまま、未読の本コーナーに置いてあるもんで、これ、つい借りてしまった。
サンディエゴのパシフィックビーチでサーフィンのかたわら私立探偵をしているブーン・ダニエルズが主人公。
事件の参考人であるストリッパー探しを依頼される話だが、ブーンの人となり、ブーンの過去、ブーンの仲間たち、パシフィックビーチの歴史が、読んでてひたすら楽しかった。
クライマックス、ブーンの元彼女サニーがパシフィックビーチに到来した大波に乗るシーンは、実に痛快で爽快であった。
新シリーズとのことなので、次作も楽しみーーー。



『部屋』 エマ・ドナヒュー(訳:土屋京子) 講談社

図書館。
朝日新聞の書評読んで予約。
例によって順番まわってきた頃には、なんで予約してたのか忘れ果てていた。
男の子、冒頭で五歳の誕生日を迎えたばかりの男の子、の一人称の小説。
母と子ふたりのつつましやかながら愛情に溢れた暮らし。しかし夜九時になると男の子はクロゼットに隠れなければならない。部屋に「オールド・ニック」がやってくるからだ。そして母子はどうやら、生活に必要なものすべてを「オールド・ニック」に頼っているらしい。
最初、母親は囲われ者で、「オールド・ニック」は彼女に息子がいることを知らないのでは?と思ったが違った。男は少年の存在を知っていた。そして読み進むにつれてふと気づく。母と息子がこのさして広くはないらしい部屋から一歩も外に出ないことに。
ちょうど真ん中あたりで、母親はついに温め続けていたプランを実行し、成功し、それらの謎が一気に解き明かされる。
このような状態に置かれ続けた女性がこれほど正気を保ち続け得たことには、まあ、そうしなければ話が進まなかったからだろうな、とは思うが、この長い物語を五歳の少年のひとり語りで語りおおせたことは、ほんとに凄いと思う。そして「解放」後、少年が母と二人きりだった部屋を恋しがるところでは、桜庭一樹の『ファミリーポートレート』の中の「ぼくは、駒子さんという人は、母親と暮らした日々の幸福から立ち直らなければならないと思った」という言葉をふと思い出したりした。



『ジーン・ワルツ』 海堂尊 新潮社

図書館。
中図書館の開架ででくわして借りてきた。
読んでる途中、先に『極北クレーマー』を読んでおくべきだったか?と思ったが、いま調べたらこっちのほうが先に出てたんですね。
不妊治療のスペシャリストである女医と、彼女が出向している閉院寸前の産科医院。医院で診察を受けている五人の妊婦。医院の院長で、院の奥の自宅で末期の癌を静かに養う院長茉莉亜。
五人同時の出産、茉莉亜院長がいきなり現れるとこ、かっこよかったーーー。
が、女医さんの仕掛けの種明かし部分は、なんかイマイチすっきりしなかった、理屈は通ってるんだけど、なんでかな?



『家守綺譚』 梨木香歩 新潮社

図書館。
『西の魔女が死んだ』はすごくよかったのに、
(映画、ひどかったねえ。中でも最悪だったのは、おばあちゃまと孫しか使わない山道に雑草がぜんぜん生えてなかったとこ)
なぜか芋づる読みしていなかった梨木香歩だが、東図書館寄ったときにお奨め棚でこの本に出くわし、タイトルにわくわくして借りてきた。


大当たり〜♪♪♪

時代は明治の中ほど。
琵琶湖で行方不明になった学友の父から家守を任された「私」の、春から春までの一年間の物語。
琵琶湖の疎水から水をひく庭の池。鷺の掛け軸からときおり現れる皮肉屋の友人。ひょんなことから飼うことになった犬ゴロー。さるすべりの木に懸想されたり。狸に騙されかけたり。ときおり現れる長虫屋。安寧寺の和尚。隣の奥さん。ダァリヤの君。
読んでいる間じゅう、ただただひたすら、幸せでした。
中でも心にしんとしみとおったのは「サザンカ」の章。



『きのう何食べた?』6 よしながふみ 講談社

新品購入。
焼き茄子はわたしもオーブン放置プレイしてましたが(300℃で30分)、ふと思いたち、ぜんぜん使ってない魚焼きグリルで焼いたらどうだろうと思い、ググって試してみたら、ちゃんと焼けた。こっちのほうがたぶん、夏場は暑くない。
空焼き3分、放り込んで10分、裏返して5分。油が垂れるわけではないから、水なし。てか、水はって、使い終わったら洗わないといけないと思うから、使うのイヤだったんだよな、魚焼きグリル。考えてみたら、油の出ないもんなら中でファイヤーっ!もしないから、水張る必要ってないよな?
ところでこれに一寸…、オタフク…、全国的にはソラマメか、ってこれまでに出てきたっけ? ソラマメ好きで、特に湯掻いて外皮も剥いてサラダの具にして喰うのがむちゃくちゃ好きなのだが、食べる部分はちょびっと、ほとんど鞘なんだよな、あれ。あの鞘、なんかに利用できねーかな。



『蜘蛛の糸は必ず切れる』 諸星大二郎 講談社

図書館。
なんと緑である。なんと小説である。
「船を待つ」「いないはずの彼女」「同窓会の夜」「蜘蛛の糸は必ず切れる」の四編。
表題作の「蜘蛛の糸は必ず切れる」が凄い。とにかく凄い。
芥川龍之介の「蜘蛛の糸」を元にしたお話で、蜘蛛の糸が切れたとこからがオリジナル。
「船を待つ」もすっごく諸星大二郎で好き。
残り二作は流し読みしました、ごめんなさい。
ところで先月東京へ行ったとき(もちろん「滝沢歌舞伎」〜♪)、往きの飛行機で通路挟んで並び席のカップルの女の子のほうが文庫本を読んでいた。ちらっと一瞬だけ中身が見えて、諸星大二郎の『トゥールデおばさん グリム童話のような』だとわかった。なんか無性に嬉しかった。



『ビブリア古書堂の事件手帖2 栞子さんと謎めく日常』 三上延 メディアワークス文庫

図書館。
「アントニイ・バージェス『時計じかけのオレンジ』(ハヤカワNV文庫)」「福田定一『名言随筆 サラリーマン』(六月社)」「足塚不二雄『UTOPIA 最後の世界大戦』(鶴書房)」の三編に、プロローグ&エピローグ坂口三千代『クラクラ日記』(文藝春秋)付。
前作では入院していて、病室で安楽椅子探偵アームチェア・ディティクティヴしていた栞子さんが、今作では店にいる。
今回も読み出したらやめられないとまらない〜。
古書のあれこれの薀蓄部分が読んでてほんとに楽しい。
「俺」の高校時代の彼女が亡くなった父の蔵書の査定を依頼する「福田貞一『名言随筆 サラリーマン』(六月社)」が一番読み応えあってわくわくした。が、栞子さん、どうしてこの本を見逃したんだろ?

作中で栞子さんがアーシュラ・K・ル=グインの『ふたり物語』を楽しげに読んでいるシーンがあった。これ読んでないわといま堺市図書館探したんだが、ないー。図書館にないー。ググったら、1983年に出たコバルト文庫だった。そしてアマゾンのレビューによると、「たどたどしいほどの青春恋愛小説」らしい。


『チヨ子』 宮部みゆき 光文社文庫

図書館。
「雪娘」「オモチャ」「チヨ子」「いしまくら」「聖痕」の、ぜんぜんつながりのない五編入り。
「聖痕」は読み覚えがあった。が、ほかは読んだことなかった。
「チヨ子」はチャーミングでステキな話だった。が、それ以外はあんまり好きな話ではなかった。







INDEX書庫