本読み月記


【ジャンル分け】 最初から日本語で書かれた小説。
最初から日本語で書かれた小説以外。
日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。

日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。

コミックス



『極北クレイマー』 海堂尊 朝日新聞出版社
『モルフェウスの領域』 海堂尊 角川書店

図書館。
ぜんぜん別の話なのに一緒くたにしたのは、続けて読んだせいで、ゲスト出演者がごっちゃになってるせい。
『極北クレイマー』は、今中というわけありっぽい医者が、北海道の極北市という財政再建団体転落寸前みたいな市の市民病院に赴任する話。
皮膚科の姫宮先生が痛快であった。
そして先々月読んだ『ジーンワルツ』に出てきた三枝マリア先生の息子さん(だと思う)が登場していた。
『モルフェウスの領域』は、コールドスリープが実用化されるも、それと同時に制定されてしまった法律のせいで、ほとんどの人がそれを利用できない状況にある中、唯一のコールドスリーパーの世話をする女性が、コールドスリーパーである少年のため、あれこれがんばる話。
この主人公の女性にはなんか共感できなかったが、こっちには「バチスタ」の田口先生とかが出ていた。あと、コールドスリープ技術をそもそも開発した西野がすごい愉快なキャラだった。
これで海堂尊は四冊読んだわけだが、最初に読んだ『夢見る黄金地球儀』以外、それぞれどっかでつながってた。医療ものはこんな感じで全部どこかしらつながってるのかな?



『少年陰陽師 ひらめく欠片に希え』 結城光流 角川ビーンズ文庫

新品購入。
新章「尸櫻しおう」編開始。
表紙のこの男前誰? 肩にもっくん乗せてっけど。と思ったら、昌浩であった、どひゃー。
これまで章同士は時間的に離れてなかったのに、今回いきなり、前の章の終わりから三年の月日が過ぎていたのであった。
先月読んだ霜島ケイの封殺鬼もくだん出てきたが、これにも出てきた。流行ってるのか、くだん
打倒、安部晴明!が愉快な、愉しい序章であった。



『丹生都比売』 梨木香歩 原生林

図書館。
時は壬申の乱(西暦672年)直前。
両親とともに吉野に下ったまだ幼い草壁皇子の吉野での暮らしを描いたお話。
「ラスト・サムライ」は、わたしはすげー面白かったのだが、特に心にヒットしたのは、渡辺謙の在所を吉野にしたこと。外人原作で外人が作った映画のくせに、吉野、という場所がかつて非常に重要かつ特殊な場所であったことをわかっていたらしきこと。
天武天皇の玄孫である称徳天皇を最後に天武系は終わり、天皇位は天智系である光仁天皇に移ることまでは知ってたが、これ読んであらためてこのへんwikiで確かめてみて知ったのだが、光仁天皇って天智天皇の孫だったんですねー。天智天皇が亡くなったのが672年、光仁天皇が即位したのは奈良時代も最後のほうの770年、ほぼ百年近く後のことだから、こっちもひ孫か玄孫くらいだと思ってたわー。



『私の履歴書』 桂米朝 日本経済新聞社

映美ちゃんがわざわざ掘り出してきてくれて貸してくれた。
(映美ちゃん家で一冊の本を探すのは「発掘」という言葉がふさわしい)
あれ、なんていう番組だったかな? 鶴瓶が関東の芸人さんだかタレントだかに米朝さんを、子供が自分家にある中で一番上等というか高価だと思ってるものを見せびらかすみたいに自慢してたことがあって、なんだかすっごく微笑ましかったのだ。
そんな「大阪の至宝」、米朝さんが自ら綴られた自伝。
来月ブリーゼブリーゼの中にあるそうなブリーゼプラザ小ホールとやらで「米朝展」がある。1日から9日までと期間が短いので、行きそびれる可能性大だが、行きたい。米朝アンドロイド、観たい。が、「大阪が生んだ三つの知性。ひとりは司馬遼太郎であり、あるいは世界の巨匠といわれる建築家・安藤忠雄であり、落語家・桂米朝です」って、なぜ知の巨人中の巨人、小松左京の名前がないのー?>「米朝展」紹介ページ文責者。



『落語と歌舞伎 粋な仲』 太田博 平凡社

映美ちゃんがわざわざ掘り出してきてくれましたその2。
いや、この本、タイムリーだったわ。
先月志の輔さんに行ったら、演目は「ハナコ」と「中村仲蔵」で、「中村仲蔵」の枕で志の輔さんが、「落語と歌舞伎は近い。お隣みたいなもの。ただし、こちらはお隣だと思ってるけど、向こうがどう思ってるかはわかりませんが」て言ってられたとこだったの。
そういえば、今年の五月、松竹座の團菊祭で「義経千本桜」のすし屋の場を初めて観たんですが、志の輔さんの「猫忠信」&米朝さんの「猫忠信」から得た「義経千本桜」の浄瑠璃で通しでやるときは「すし屋」が一番人気で一番巧い人がやる場面らしい、という下知識しかなく観たんだったわ。今月の松竹座では「渡海屋」と「大物浦」の場が見せてもらえるらしい。なんかちょっとづつ観たことあるものが増えてくのが楽しい。
で、そんな下知識だけで観たもんで、観始めはどの時代かもわからず、観てるうちにどの時代かやっとわかるのも楽しい。
「おそかりし、ゆらのすけ」の元ネタが忠臣蔵だってのも、米朝さんの枕の歌舞伎ネタで初めて知ったわー。
忠臣蔵、七段目八段目十段目十一段目は松竹座で観たけど、そこ以外はまだ観てなくて、浅野内匠頭の切腹場面もNHKの「お江戸でござる」忠臣蔵スペシャルでタキオさんが内匠頭やってたのしか観たことなかったから。
あ、でも、七段目観てから謎だった勘平切腹の謎は解けた。先月、志の輔さんが「中村仲蔵」で解いてくれた。最前列センターで思わず「ガッテン」しそうになった。
そういや米朝さんがどの話だったか忘れたけどどれかの枕で「季節がわからん」とぼやいてたのって、この中村仲蔵な五段目だっけ?

こんな風に、ちょっとづつ埋まってくのが楽しい、落語と歌舞伎。


『夏目友人帳』14 緑川ゆき 白泉社

新品購入。
おおっ、帯に京極夏彦の推薦文がっ!
冒頭の話の最後、レイコを知っていたアヤカシが旅立つところ、アヤカシの訥々とした口調に、泣きそうになった。
タオルの話もよかったなあ。



『無菌病棟より愛をこめて』 加納朋子 文藝春秋

図書館。
やっと順番回ってきて、今度は病院が舞台の話かなあと読み始めてみれば…。
なんと、加納朋子本人の闘病記であった。
なんと、『七人の敵がいる』以後、なかなか新刊が出ないなあと思っていたら、これが出た直後、急性白血病に罹っていたのであった。
貫井徳郎がダンナだったのも、この本でダンナさんも文筆業というのを知り、ググって初めて知った。
急性白血病、抗がん剤で治ることがあることも、この本で初めて知った。
骨髄移植しても定着しないことがあることも、この本で初めて知った。
献血は好きだが、骨髄ドナーには登録していない。ドナーの危険性や大変さを、骨髄ドナー募集のときにまったく広報してないのが気に入らなくて。
そして、もし登録して、合致した人がいたとして、さてドナーができるかというと、自信がないから。
ともかくとにかく骨髄穿刺が怖い。
永井するみが一昨年亡くなっていたことも、この本で初めて知った。数冊しか読んだことがないけど。
加納朋子、このまま再発しませんように。
そして、新しいお話を書けるまで体力が回復して、読ませてもらえますように。

ところでアニメは観てるのに特撮は観てないのかしら、と読みながら思ってたら、2010年9月のとこに、「好きな脚本家」という理由で新しく始まった仮面ライダーを観始めたとあった。
2010年9月に始まったのは「オーズ」。
おおっ、加納朋子も小林靖子ファンだったのか〜♪



『タイムマシンをつくろう!』 ポール・デイヴィス(訳:林一) 草思社

図書館。
今月、CERNの実験でヒッグス粒子がついに確認されたらしいが、起こらなかったね、フラッシュフォワード。
ニュースによると、「素粒子の基本法則の「標準模型」で示された粒子の中で唯一見つかっていなかった最後の素粒子」だということがおおいにアナウンスされていたが、重力を伝えるグラビトンってまだ見つかってなかったんじゃなかったっけ? これは「標準模型」の粒子には含まれないの?
この本は、第1章「未来への行き方」第2章「過去への行き方」第3章「タイムマシンの作り方」第4章「タイムマシンに関するQ&A」からなるが、第4章「タイムマシンに関するQ&A」を読んでて思ったのだが、
以前、わたしはビッグバン→宇宙の膨張を打ち上げ花火的にイメージしてたのだが、その後、「この宇宙すべてがビッグバンの中心」という文を読んでから、ラメとかいっぱい入った透明スーパーボールがぶわーっとでかくなってくほうが近い?と思うようになった。ラメが銀河、透明樹脂の部分が膨張が減速しない原因のダークマター。確認してくれるような人に知り合いがいないので、このイメージが正しいかどうかはわからないのだが。
ビッグバン直後は龍角散一粒より小さかった宇宙、その中にいまこの宇宙に存在するすべての質量が詰まっていて、それがどんどん膨張していったのが宇宙の膨張だから、わたしやわたしのまわりにあるいろんなものも、その龍角散一粒より小さい中に含まれてて、だから、この宇宙のすべてがビッグバンの中心?
で、これが合ってる場合、もしも過去へ時間旅行できるとして、人ひとりが過去に行った場合、その人を構成する素粒子も過去に行くわけだから、そうなるとその人ひとり分だけ、宇宙の量が多くなる?
ところで、わたしの透明スーパーボールのイメージがわりかし正しかった場合、この宇宙に表面張力ってあるのかな?


『なぎなた 倉知淳作品集』 倉知淳 東京創元社
『こめぐら 倉知淳作品集』 倉知淳 東京創元社


図書館。
加納朋子の『無菌病棟より愛をこめて』でこんなん出てたの初めて知った。一昨年出てたのに気づかなかった。
で、出てるのは知ったが、これから未曾有のジャニーズ貧乏に突入する予定(八月、関ジャニ∞の8っちゃけ三回、関Jr.松竹座四回、セクゾン一回行く予定だが、チケット払い済みなのは、松竹座二回分のみ。さらに九月、関ジャニ∞の長居と濱ちゃん日生劇場まである)なので、買わずに借りてしまった。
すまん。>倉知淳どの
これまで単行本未収録だった短編集めた短編集。
あとがきによると作品の並べ方とかは編集者さんに一任したとのことだったが、「なぎなた」のほうに比較的まっとうな話を寄せて、倉知淳しか書かないようなけったいな話を「こめぐら」に寄せたのかな?
一番愉快だったのは『こめぐら』冒頭の「Aカップの男たち」。こちらには最後に猫丸ものが一本だけ入っている。でっかいうさぎのぬいぐるみ抱える猫丸の愛らしさに身悶える。



『アリアドネの銃弾』 海堂尊 宝島社

図書館。
中図書館の開架にあったので、つい借りてきて読んでしまった。
観念して、『バチスタ』から順番に読む予定。



『夜明けの縁をさ迷う人々』 小川洋子 角川書店

図書館。
短編集。
「曲芸と野球」「教授宅の留守番」「イービーのかなわぬ望み」「お探しの物件」「涙売り」「パラソルチョコレート」「ラ・ヴェール嬢」「銀山の狩猟小屋」「再試合」の九編入り。
「再試合」があまりに気持ちよすぎて、それまでの八編がぶっ飛んでしまった。な、なんなんだ、このとんでもない結末のこのとんでもないカタルシスは。



『藤田嗣治画文集 猫の本』 藤田嗣治 講談社

図書館。
なんでも鑑定団」7月10日放映分ゲストの前田典子出品のお宝が「レオナール・フジタの掛け軸」で、掛け軸に描かれてた猫の絵がむっちゃキュートで、図書館の蔵書検索してこれをみつけた。
絵もとびきりステキだったけど、あちこち挟まる写真や文章もステキ。



『チーム・バチスタの栄光』 海堂尊 宝島社
『ナイチンゲールの沈黙』 海堂尊 宝島社
『螺鈿迷宮』 海堂尊
『ジェネラル・ルージュの凱旋』 海堂尊 宝島社
『イノセント・ゲリラの祝祭』 海堂尊 宝島社
『ブラックペアン1988』 海堂尊 講談社
『ブレイズメス1990』 海堂尊 講談社

『ジェネラル・ルージュの伝説』 海堂尊 宝島社

図書館。
出た順番どおり借りてきて読み出したら………。


むっちゃくちゃ面白いーっっっ!

やめられない、とまらない〜♪


海堂尊は出た順番どおりに読むべきであった。それが正しい読み方であった。
田口&白鳥ものが『バチスタ』『ナイチンゲール』『ジェネラル・ルージュ』『イノセント・ゲリラ』。
『螺鈿迷宮』は『ジェネラル・ルージュ』直後の話で碧翠院桜宮病院の終焉を描いたもの。
『ブラックペアン』『ブレイズメス』は十数年前、『極北クレイマー』で極北病院院長だった世良が主人公。
『ジェネラル・ルージュの伝説』には速水が「将軍」と呼ばれるようになった事件が入っている。
映画やドラマの田口はなんというか、真面目で素朴な人間として描かれていたが、原作の田口はもっとしたたかであった。そして映画の白鳥は阿部寛、ドラマの白鳥は仲村トオルと、どっちも男前がやっていたが、原作の白鳥は小太りの非男前であった。
そんで、すべての話が同じ世界を共有してて、なのでまったく違う話で、ある登場人物の素性が判明したり、消息が知れたりするのが、すんげー楽しい。つながってないと思ってた「黄金地球儀」もつながってたらしい。
なので、これまでバラバラに読んだものもこれから読み返したら、たぶんぜんぜん違う印象を持つと思う。
登場人物の中で一番好きというか、あまりのかっこよさにしびれまくったのは、オレンジ棟の眠り猫にして千里眼、猫田・「ネコ、あの娘はね、東城大学医学部開闢以来の横着者よ」・師長。
田口シリーズは最初の『バチスタ』から、オートプシー・イメージング、死亡時画像診断、が重要な役割を果たすのだが、これを発案、普及に努めているのが、医師としての海堂尊と知る。ということは、『イノセント・ゲリラ』でのあの迷路のようなやりとりも、実際にあったものにほぼ近いんだろうなあ。

ところで海堂尊読んで、「国手こくしゅ」という言葉を初めて知った。ググったところ、「名医」という意味だそうです。語源についてはここに載ってた。


『「赤毛のアン」の生活事典』 テリー神川 講談社

図書館。
モンゴメリのアンのシリーズの舞台のモデルとなった場所、当時の暮らしぶりを、「場所」「家・インテリア」「生活」「服装・流行」「学校・教育」「社交・習慣」「宗教・政治」「植物」に章立てたもの。
わたしが初めて『赤毛のアン』を読んだのは、小学校の頃。小学館の学習雑誌に読んだ本からイメージして描いたイラストの読者投稿コーナーがあり、それに載ったイラストに『赤毛のレドメイン家』のものが多く、「これ、読みたい」と言ったら、うちは商売で忙しかったので預けられていた家の養父が間違って買ってきてくれたのが『赤毛のアン』だったのだ、あはははは。
(うちの両親および祖父母は、本はぜんぜん買ってくれなかった。祖母ちゃんはわたしに甘かったが、小学校に入学したときの検診で視力が両目とも0.1しかないと判明したため、本だけは絶対に買ってくれなかった)
(そしていま思い出したが、わたし、いまだに読んでないわ、『赤毛のレドメイン家』)
そして読んで一番心に残ったのが、アンが始めてグリーンケーブルスに来た日の晩ご飯。「りんごの砂糖漬け」にバタをたっぷりつけて食べるとこと、後片付けのとき、マリラが食器洗いするアンに「お湯をたっぷり使って乾かせ」と命じるとこ。
当時、瞬間湯沸し器が普及し始めたばかりの頃だったのだが、「洗い物にお湯を使うだなんて贅沢な」というのがうちの近所での大勢で、「○○さん家の若嫁はお湯で洗い物をしているらしい」というのが悪口としてまかりとおってた頃だったのだ。
そこに「お湯をたっぷり使いなさい」を読み、マリラって厳しいけどいい人じゃんー、とか思ったのだ。
向こうの食卓には獣肉が載る。獣肉の脂を落とすにはお湯が手っ取り早い、熱湯かければ消毒にもなるし、食器が自分から乾こうとするから拭くのも楽、ということに気づいたのは、かなり後になってから。
昭和天皇が戦後、あちこち行幸なすってた頃、どこかで鰻が出たときに「美味しい」と洩らしたら、その後どこに行っても鰻が出るようになった、っていうエピソードを知ったときは、『愛の手紙』でアンが受けたカボチャの砂糖漬け攻撃を思い出したなあ。
ところでいまだに謎なこと。
日曜日23時半からABCラジオでやってる「文学の扉」、日曜日の夜は22時から23時半までラジオ関西の「jamjam」を録りながら聴き、終わると0時から始まる「村上信五の週刊関ジャニ通信」のために局をABCに替えるので、つい聴いてしまっているのだが、先々週と先週は『赤毛のアン』で、第二週の先週はアンが行商人から毛染めを買って髪を緑色にしてしまうエピソードだった。
髪を洗っても洗っても落ちないので、アンはしょうがなしに髪を短く切るのだが、普通髪の毛染めるときって、根元から全体染めるよな? 切ったからって丸坊主にしない限り、髪の毛緑だよな?
短く切ったくらいで、なんで学校でばれなかったんだろ?
いま思い出したけど、わたしが最初に読んだ『赤毛のアン』のそのくだりの挿絵、アンの髪は短いおかっぱくらいだったのよ。
ちなみにこの本、中図書館の開架めぐっててつい借りてきて、あれこれ思い出しながら読んだんだけど、その数日後の日曜日、「特命戦隊ゴーバスターズ」観てたら、その回から登場のメサイアの新たなるアバターエスケイプ、彼女のもつ銃のグリップに吊るされた犬か狼の頭型のチャームが、右がゴグ、左がマゴグで、びっくりーーー。



『アードマン連結体』 ナンシー・クレス(訳:田中一江、中原尚哉、佐田千織、小野田和子、嶋田洋一) ハヤカワSF文庫

図書館。
開架でみつけてふらーっと借りてきた。
「ナノテクが町にやってきた」「オレンジの値段」「アードマン連結体」「初飛行」「進化」「齢の泉」「マリゴールド・アウトレット」「わが母は踊る」の八編入り。
「齢の泉」、不老をもたらすダリアの細胞に、Hela細胞のことを思い出した。不老になるけど、不老になってからかっきり20年後に寿命が尽きる。こんな治療がもしあったら、何歳くらいで受けたいかなあ。
「アードマン連結体」は途中かなりだれたが、ヘンリーの選択にはすごく共感した。
話し方のうまい作家だと思う。他のも読もうと思う。



『はげましてはげまされて 93歳正造じいちゃん56年間の絵日記』 竹浪正造 廣済堂出版

図書館。
出版の元になった回の珍百景は観てないが、出版後、なんかの番組でとりあげられてるのを観て、図書館に予約したような気がする。
いま93歳の著者が、56年にわたってちまちま描いてきた絵日記からの抜粋。
表紙に著者近影あり。男前のステキなおじいちゃま。
あちこちにご長男との対談というか、思い出話あり。76頁、長女命名理由に爆笑。
こんな風に本になったのはもちろんめでたいけど、そしてわたしがブログ書いてるのも友達が読んでくれるのが嬉しいからもあるけど、自分であとで読み返すのがまず楽しいのよね。



『OL進化論』33 秋月りす 講談社

新品購入。
会社、じゅんちゃん家、課長さん家、田中くん、会社近所の定食屋さん等々、いつもどおりの楽しさでした。
今回、息子みたいな年のアイドルに夢中のおばはんのネタが何個かあったけど、秋月りすもなんかお気に入りのアイドルがいるのかしらん。
102頁の「ナイスすぎるカップル」、進展をお祈りしています。
ところでひろみさんに一度やってほしい。スーパーのレジで「ポイントカードはお持ちですか?」「いえ、持ってません」のやりとりのとこんに己のカードを差し出して、「よろしかったらお使いになります?」。(ときどき、まじやりそうになるのよー)



『いつも君の味方』 さだまさし 講談社

図書館。
さだまさしの小説を読もう読もうと思いながらも借りてきそびれて、やっと開架に並んでた中から一冊借りてみたら、なんとエッセイ集。
若い頃、日本精工という会社の会長さんと知り合いになり、その人に呼ばれて行ってみれば…の話、いやもうわくわくさせてもらったー。たぶんわたしがもし万が一、おんなじ目に遭った…、もとい、遇ったとして、緊張でがちがちで絶対に楽しめないと思う。
楽しい出会いあり、悲しい別れあり。
新幹線の車掌さんの色紙の話、しみたわー。



朱鳥あかみどりみささぎ』 坂東眞砂子 集英社

図書館。
舞台は藤原京。持統天皇が孫である文武天皇に天皇位を譲ってしばらくした頃。なので、西暦700年前後。
常陸国(茨城県あたり)の日枝郷の夢解売ゆめときめとして知られていた白妙は、朝廷から召喚され、持統天皇の異母妹で、天武天皇の皇子のひとり高市皇子の妻であった御名部皇女が見た夢の夢解きを命じられる。
が、その夢のため、白妙は持統天皇の過去を天皇の内側から見ることになり、やがて夢が示した恐るべき真実に近づいていく。
さしば貴人うまびと皇太妃宮おおきさいのみや太上天皇おおきすめらみことえだち魍魎おに等、ルビという道具を駆使して描かれる「当時」を存分に堪能しました。

百人一首にも入り、新古今集にもとられている持統天皇の歌、「春過ぎて 夏来たるらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山」の使われ方が、すんげー怖かった。
これからこの歌見かけたり思い出すたび、この本の怖い怖い「衣ほすてふ」を思い出すわ、きっと。

きゃーーー、

むっちゃいやーーーー。




【四国】

坂東眞砂子で最初に読んだのは、デビュー作の『死国』であった。
四国八十八箇所、通常は時計回りに回るべきこれを逆に回る「逆打ち」という儀式にすげーわくわくさせられたものの、その後は普通のホラーだったような記憶がある。
で、『死国』を読み終わったあと、そういや赤江瀑の小説で、四国八十八箇所ネタのすげー怖い話があったなと思いだした。
本筋は忘れたが、障害やその他の事情で帰るところを持たない人が、四国八十八箇所を終わることなく巡り続けるというエピソードが、ほんとにほんとにしんしんと怖かったのだ。
で、読み返そうと思い、うちにある赤江瀑を読み返したが、ない。ないのよ。そーゆー話が。
その頃はまだネットが普及してなくて、調べるにも方法がなく、そのまま忘れていたのだが。
先月、赤江瀑が亡くなり、久しぶりにそのことを思い出し、ググってみれば。
簡単にみつかった。
『春泥歌』収録の表題作であった。
確か単行本で持ってたと思ったが、本棚探しても無く、図書館で借りてきて読み直した。
で、さらに思い出したんですが。
祖母の膝で月明かりの下、幼い孫娘が赤い糸を針に通すシーンから語りだされる話で、その孫娘の回想の形で語られるのだが、その孫娘はすでに故郷を離れた場所で亡くなっていて、骨になり白木の箱に納められて舟で故郷へと運ばれるさなかの回想だったことが最後に判明する話。
これって、どの本に入ってるなんていう話だったっけ?
ググってもみつからないのよーーーー。




『マドンナ・ヴェルデ』 海堂尊 新潮社

図書館。
『ジーン・ワルツ』の姉妹編。
娘理恵の子の代理母をした母みどりに焦点をあてた話。
理恵のダンナだった曽根崎が、『モルフェウス』で凍眠八法を作ったあの曽根崎だったのね。

みどりが住んでいるのは桜宮市で、みどりの回想で、こっちの話が『螺鈿迷宮』の二年後と判明。


『医学のたまご』 海堂尊 理論社

図書館。
『ジーン』『マドンナ』で、理恵の母みどりが代理母出産した双子、理恵の配偶者であった曽根崎が親権を得、みどりがシッターとして育てることになった薫が主人公で、彼が中学一年になった頃の話。
薫がみどりを祖母と知らないことにびっくり。
全国一斉に行われた潜在能力試験だが、この試験を作ったのがゲーム理論の大家である父で、制作過程に携わってしまった薫は、これで全国一位をとってしまい、週に二回、東条大医大の解剖学研究室に通うことになってしまう。
『ナイチンゲール』『モルフェウス』のアツシが高校生として登場。あと『バチスタ』でチームの一員だった垣内さんや、『ジェネラル』でERにいた佐藤さんが登場。高階院長も医大学長として登場。ハイパーマン・バッカスも登場。満天のうどんも登場。
主題は、たちの悪い学者と、病理医問題。
桜宮病院の跡地に建てられたはずのSLCもエーアイセンターも既にないらしい。
そのへんはすでにどれかで語られてるのだろうか? それともこれからだろうか。
あと、『モルフェウス』までに起きるらしい東城大学医大付属病院の民事再生法申請とかも、すでに語られてるの? それともこれから?



『守り人 炎路を行く者』 上橋菜穂子 偕成社

図書館。
萩原規子の勾玉三部作を読もうと思ってて忘れていたことを中図書館でふと思い出し、児童コーナー覗きに行って、これが開架にあるのを発見。
堺市の図書館は予約できるのは15冊までで、これが出てすぐの頃は予約枠いっぱい予約してたかなんかで、予約し忘れていたのだ。
真ヨゴ国出身でありながら祖国を滅ぼしたタルシュに仕え、『蒼路の旅人』でチャグムを攫ったアラユタン・ヒューゴ、タルシュの侵攻で彼が家族を失った夜から、タルシュに使える決意をするまでを描いた「炎路の旅人」と、十五歳のバルサ、養父ジグロの傭兵業を手伝うようになってすぐくらいらしい頃のバルサを描いた「十五の我には」の、二編入り。
歴史上、幾多の国が興り、幾多の国が滅んできたわけだが、そうなのよねー、国の興亡なんてたかがその国の支配層レベルの話であって、その国の人が全部殺されたり、奴隷にされたりするわけじゃないのよねー。あらたな支配者を迎えて生き易く生きるために宗教変えたりしないといけなかったり、あらたな支配者のせいで税が重くなったり、占領慣れしてない占領者に占領されたりしたら、二級市民みたいな存在に落とされるとしても。
占領されたことによってその国にあらたに生まれてくる子供の父親が占領者側の子種のことが多くなっても、困るのは結局被占領者側の男だけなのよね。「陵辱」なんていう言葉も、結局は男どもが作り出した価値感なのかも。
ところでわたし、上橋菜穂子を最初に読んだときから著者の説明にある「あびこ在住」の「あびこ」を大阪のあびこだと思い込んでたけど、千葉に我孫子市なんてものがあったのね。で、上橋菜穂子が住んでるのは千葉の我孫子市なのね。



『幻獣坐』2 三雲岳斗 講談社

新品購入。
優々希の幻獣の能力だが、対象を消し炭まで燃やしちゃうんだろうか? そのへん、練習で加減できないんだろうか? 加減できるなら、熱源なしで煮炊きができる、オーブンなしでもローストチキン〜♪とか。
憂奈のほうも、家庭で食材瞬間冷凍♪
刻仁と憂奈、死亡フラグ立ちまくりの新キャラだったけど、生き延びさせてあげてほしかったなあ。



『ケサラン・パサラン』1 山岸凉子 ダ・ヴィンチ・コミックス

新品購入。
50歳なりかけのそこそこ売れてるイラストレイター兼エッセイストの女性が、土地を買い、家を建てようとする顛末記。
わたしがもし今のところから引っ越すとしても、たぶん中古探してリフォームすると思う。家の外観とかほとんど気にならないし。
ので、彼女のこだわりにはほぼ共感できませんでした。ちっちゃい家がいいという点と、鬼門とか気にするとこ以外は。気にしつつもひとさまに指摘されるまで自分の家の玄関が鬼門側だと気づかなかったのは笑ったけど。
うちはマンションで、うちの区画だけだとベランダの右隅が裏鬼門の角にあたるので、沖縄で買ったシーサーをお守りがわりにそこに置いている。が、去年、シーサー置いてる棚の中に、気がついたらアシナガバチのでっかい巣ができてた。頼むわ、シーサー。ちなみに鬼門角の内側は本棚。いま気づいたが角に近い端に諸星大二郎を並べてしまってたのは、無意識の防衛策だったのだろうか。
家といえば、日本の平均的家屋って、なんで今みたいな形になったんだろうねえ? 表から見える庭。裏は土地ぎりぎり。表から見えるもんだから、寝巻きいっちょで庭に出られない。
わたしは、表はぎりぎりで、裏は庭で、高い塀で囲って、おきぬけの格好で外に出られる庭のほうが断然いい。
中近東みたいな、外からは完全に遮られてるけど、中にはモザイクタイル敷いた中庭がある家なんか、憧れだし、昔の中国のコの字の建物の真ん中に庭があるのなんかもステキだと思う。
そして日本の家、土地が小さいもんだから、庇はどんどん短くなり、いまどきのおしゃれな建売なんか、庇すらお飾り程度。あれでは夏の日差しを遮る屁のつっぱりにもならない。
あとマンションでは、通路側の窓。あれの目隠しに困ってる人も多い。
そしてうちなどは夏場、昼と夜で風向きが違う。昼は家の中に風が入るちょうどいい風向きだが、夜はまったく入らない。外のほうが涼しい。
まあ、マンションだから仕方がないが、一戸建てでもいまどきはそんな家、あるんだろうなあ。昔は地元の大工さんが風の通りも考えて作ってくれてたのが、今はその場所でどんな風に風が吹くかとかぜんぜん知らない人がそんなことをぜんぜん考えずに設計して建ててるんだよね。
そういや、ヨーロッパのほうなんか、数百年前に建った建物に人が普通に住んでたりするけど、あれ、電気とか水回りとか、どうしてるんだろうなあ。
あ、面白いサイト、発見。ここ。間取り図とかも載ってる物件もある。



『空色勾玉』 萩原規子 徳間書店
『白鳥異伝』 萩原規子 徳間書店

図書館。
去年の11月に『風塵秘抄』を読み、勾玉三部作も読もうと思ったが、そのまま忘れてて、こないだ中図書館行ったときにいきなり思い出した。
で、順番間違えて読んだ。『白鳥』読んでから『空色』読んでしまった。
特に問題はなかったが、できたら順番どおりに読みたかったわ。
『空色』は、「古事記」上巻、いざなみが火の神を産んで亡くなり、いざなぎは妻恋しさに黄泉の国に彼女を追うも変わり果てた彼女の姿に逃げ出し、地上に戻って禊をしてから、天照、月読、素戔嗚の三貴神を産む、に材をとった話。
いざなぎ=天の父神は、地上を天照=照日王と月読=月代王に治めさせる。不死の治世者である。彼らの使命はくらの民を滅ぼし、滅ぼし終えた地上に天の父神を迎え入れること。
闇の民に生まれた狭也、彼女がまだ幼い頃、彼女の故郷は滅ぼされ、彼女は自分が闇の民と知らないまま、たどりついた村で育つ。が、自分の素性を知ってすぐ、月代王に出会い、求められるまま采女となるため都に上る。が、闇の民の少年が御所のいずこかにあるはずの「大蛇おろちの剣」探索のために狭也の前に現れ、狭也は照日王と月代王の下にまだひとり弟神がおり、彼が大蛇の剣を守っていることを知る。
『白鳥』は、『空色』よりかなり後の話。こちらはヤマトタケル。
『空色』でひとつに結び合わされた輝と闇の血筋のものが大王おおきみとして君臨し、『空色』で三貴神のおとんぼ稚羽矢が選んだ死すべき命に抗い、不老を求めてもとは天の母神の首飾りであった勾玉を探す。
その勾玉のひとつを守る三野の橘一族。一族に生まれた遠子と、葦舟に乗せられて川をくだってきたところを遠子の母に拾われた小倶那。ふたりは姉と弟のように育つが、小倶那は実は、都の大王と妹の斎姫との間にできた子供であった。皇子と認められ、母により「大蛇の剣」を与えれた小倶那=小碓皇子は大王に命じられ、西へ東へと、勾玉を持つ民のいる土地へと遠征することとなる。
いやもう、行け行けどんどん、やめられない、止まらない〜♪
なんというか、読んでてひたすらうっとうしいだけのキャラがいない。ええもんもわるもんも実に気持ちがよい。
結末もどちらも清々しかった。
そういえば『風塵秘抄』は平治の乱で始まっていたが、大河ドラマ「平清盛」では平治の乱が終わり、今週ついに崇徳院がお亡くなりあそばされた。いや、素晴らしい崇徳院でした、井浦新。
わたし、平清盛が成り上がるまでのとこは初めてで、だいたいのあらすじはわかってても、つっこみ入れるほどには知らなかったのが幸いして、おなかいっぱい楽しみ続けてるんですが、「わ、わかんね…」とドロップアウトした人、多いみたいねえ。
ドロップアウトされた方々、来週からは第三部突入よー。栄華を極める平家一門という、みんなが知ってる時代が始まるわよー。






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