本読み月記


【ジャンル分け】 最初から日本語で書かれた小説。
最初から日本語で書かれた小説以外。
日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。

日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。

コミックス



『理系の子 高校生科学オリンピックの青春』 ジュディ・ダットン(訳:横山啓明) 文藝春秋

図書館。
朝日新聞日曜版読書欄で紹介されてたのを見て予約。
アメリカで年に一回開催されるインテル国際学生フェアは、高校生対象の理系研究コンペティションの最高峰のみならず、出場者は上位に入賞すれば賞金や大学奨学金をゲットでき、高校生の研究が企業の研究スタッフが解決できなかった問題に安上がりな解決策を見つけ出したりもする。
著者が興味を引かれた過去の受賞者や、2009年の大会に参加が決まった中の興味深い出場者を取材したもの。


すっげえ面白かったあああ!!!

トレーラーハウスでお湯を使い空気をクリーンに温めるため、廃棄自動車のラジエーターと空き缶を利用して太陽光暖房および温水給湯システムを作ったナヴァホ族の少年ギャレット。
ハンセン病に感染発病し、この病気に立ち向かうため、ハンセン病について調べ始めた、ごくごく普通の、でも明るくてチャーミングなBB。
少年院からこの大会に出場した少年たちとそれを指導した教諭。
癌に侵されながらもポジティヴに生きる父を持ち、自宅で調教した馬たちにセラピーをさせるプログラムを作ったキャトリン。
デュポン社の城下町のような町で、家族もみなデュポン社に勤めている環境で、デュポン社の工場から川へ流れ出すPFOAの濃度を安価に調べる方法を編み出し、さらに水中のPFOAを除去する方法を模索したケリードラ。
幼い頃から電気に興味を持ち、電気で動くいろんなものを分解し組み立てなおし、八歳でロボットを作り、学校生活に馴染めなかったライアンと、引退した老物理学教授の友情。そして耳の不自由な女の子が不便な思いをしているのをバーガーキングで見かけてライアンが開発した、それをはめて宙に字を書くことによってモニタに書いた字を表示させる手袋。
二歳からフォードのモデル、四歳から女優をめざしてきた、「映画『キューティ・ブロンド』の主人公エル・ウッズをサイエンス・フェアの会場に登場させれば、プラチナブロンドの長い髪の毛にいたるまでまさにイライザその人となる」(215頁より無断転載)ゴージャスな美少女イライザは、たまさか受講することになった名物教師ミスターBが受け持つ物理化学実験の授業で、ややこしい検出器の扱いに格闘しながら、対象として選んだ蜂蜜および蜜蜂の調査で、インテル国際学生フェアに挑戦することになる。
貧しくストレスの多い生活に苦しみながら、フェアにチャレンジするセイラ。
自閉症のいとこが音について鋭い感覚をもっていることに気づき、音を使っていとこが学習できるプログラムを作ったケイラ。
そして、都会から田舎の農園暮らしとなり、母が指導する自宅学習で学ぶ楽しみを知り、14歳で大学の研究助手となり、大人の研究者たちとともにカーボン・ナノチューブを開発したフィリップ。
中でもしみじみ心にしみたのは、ホースセラピーのキャトリンと父ブルースの物語と、電気マニアライアンと老教授の交流。
イライザはとびっきり愉快だったし、自閉症のいとことケイラのお話も素晴らしかった。
これ、上手に脚色した映画にならないかなあ。
ところで車、夏に車内を冷やすにはエアコンをオンにしないと冷えないけど、冬はエアコンオフの状態で送風しても暖かい空気が送風口から出てくる。これってラジエーターのおかげ?とギャレットの話のとこでふと思った。
あと、キャトリンの馬をつかったホースセラピーに、関西ジャニーズJr.のコンサートや舞台、濱担にとってはホースセラピーと言ってもよいのでは?と思った。いや、若返ります。たまにいい席ありついてお手振り&笑顔なんか貰った日には、その後三、四ヶ月は幸せが持続します。



『罪悪』 フェルディナンド・フォン・シーラッハ(訳:酒寄進一) 東京創元社

図書館。
処女作『犯罪』がめたくそ面白かったシーラッハの第二作。
で、すっごい楽しみにしていたのだが。
うーん、冒頭の「ふるさと祭り」でまずやりきれない気持ちにさせられ、その次の「遺伝子」で少し盛り返したものの、なんだかいやな気持ちにさせられる話が多かった。

あ、でも「鍵」は、鍵を飲み込んだ犬は殺されてしまったが、痛快な結末の話だった。


『ザ・万遊記』 万城目学 集英社

図書館。
エッセイ集。
一番最初に載ってたのが、ドラマ「鹿男あをによし」の打ち上げパーティーの話で、これでリチャード役をされていた故児玉清がこの席で語ったドラマの思い出話がむっちゃ愉快。本番中に寝るなよ、綾瀬&多部っ!
あと第3章の大阪ネタが、大阪人にはやっぱり愉快。
渡辺篤史の「建もの探訪」の偏愛ぶりもおかしかった。わたしはきちんとは見てないけど、テレビのチャンネルがこれの時間にたまたまこれに合ってると、ついずるずる見てしまう。
渡辺篤史といえば、わたしが最初にこの人の顔覚えたのって、中山千夏が主役でお手伝いさんで、お父さんと五人兄弟の暮らす家で住み込みで働いてて、兄弟たちに惚れられるというドラマだった。これ、すっげえ愉快だった記憶があるんだが、いま調べてみたら「お荷物小荷物」というドラマで1970年放映だった。そんで、志村喬はおじいちゃんだった。渡辺篤史は四男で、五男が仮面ライダー2号の佐々木剛だったのか。DVDにはなってなくて、横浜の放送ライブラリーとやらで最終回だけ見られるらしい。



『カルバニア物語』14 TONO 徳間書店

新品購入。
前巻出たのが2010年10月。ほぼ二年ぶりのカルバニア〜♪
TONOさんの新刊はこまめにチェックしてたのに、これ、気がついたときにはすでに発売中で、しかも『コーラル』も3巻出るーーーっっっ!!!


そんで、この巻もすっげえ面白かったあああ!

1巻からまた読み返すんだわ、わたし、今夜。
で、次巻はこんなに待たせないでーーー。



『コーラル 手のひらの海』3 TONO ソノラマコミックス

新品購入。
TONOさんの新刊が二冊立て続けに読める幸せよ。
巻末の特別編、最後に彼女が誰かわかって、なんかすっごくほっこりさせられた。



『ちはやふる』14 末次由紀 講談社

新品購入。
富士崎高校夏合宿参加編。
朝日新聞夕刊金曜日連載の中西進の「万葉こども塾」、とりあげられてる歌、声に出して詠む癖がいつの間にかついてんだけど、つい回してしまうこの節回しって、いったい何が元なんかな?
犬養節かと思ったが、youtube「犬養孝」で探してもねーのよ。



『天海の秘宝』上下 夢枕獏 朝日新聞出版

図書館。
舞台は江戸中期頃。
伝奇だあ〜とわくわく詠み始めたが…、……つまんなかった…。
天海に関する薀蓄はほとんどなし。
主人公の男のからくりっぷりもいまいち。
最後近く、盗賊一味の正体がわかるとこでちょっと「あらまー」したぐらい。

謎の男と盗賊一味が手を組むところ、『妖星伝』の闇の旦那をちょっと思い出した。


『人質の朗読会』 小川洋子 中央公論新社

図書館。
少人数の海外ツアー中、現地の反政府ゲリラの捕虜となった人たち。
救出作戦が最悪の結果を迎えるまでの100日間、彼らがいつしかひとりづつ語ることになった七つの物語。
そして、現地で人質たちの様子を盗聴する任務に従事していた現地の青年が語る、最後の物語。
最後の物語を読み終えたとき、泣きそうになるのを堪えた。
簡単に泣いたらこの本から受け取った何かが一緒に流れていってしまいそうで堪えた。



『BILLY BAT』10 浦沢直樹 ストーリー共同制作:長崎尚志 講談社

新品購入。
刑事さんが登場、彼がひそかに思っていた花売りの女性と次第に親しくなってくとこで、ああ、これは不幸な展開が待ってそうだとどきどきしたが、こんな形の不幸はまったく予想していなかったので、なんかかえってカタルシスを覚えた。



『大奥』8 よしながふみ 白泉社

新品購入。
吉宗の跡継ぎ問題。田沼意次。男女逆転の世界では料理人の性差問題も逆転する。
吉宗と久通の別れの場の静謐。秘していた者とひそかに気づいていた者の、しんとした語らい。
そして時代はついに江戸後期に。
このスチャラカな女平賀源内、むっちゃ愉快〜♪



『少年陰陽師 こぼれる滴とうずくまれ』 結城光流 角川ビーンズ文庫

新品購入。
愉快だった前巻から一転、ああ、また辛気臭い辛い出来事が続くんですね。
というわけで、けっこう斜め読み。








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