本読み月記 |
【ジャンル分け】 | 最初から日本語で書かれた小説。 最初から日本語で書かれた小説以外。 日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。 日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。 コミックス |
『風の王国 抱玉の臣』 毛利志生子 集英社コバルト文庫 新品購入。 引き続きネパール編。 が、このシリーズ、吐蕃の人物一覧は冒頭についてるが、編ごとの登場人物一覧はないので、こういう何冊かにまたがる話だと、いったい誰が誰だったかわからなくなり、わからないまま読み進めてるうちに、あ、あの人かっ!なこともしばしば。 ネパールの王宮でギャカルへの出兵を協議中、ランタン谷の女性藩主、ゲンパとなにやらわけありながら、翠蘭にも親切にしてくれたデーシャが殺されるという事件が起きる。また惜しい人が亡くなってしまった。ステキな女性だったのに、デーシャ…。 殺される少し前、デーシャと翠蘭との語らいが興味深かった。ネパールの第二王妃クシェーマンスダリーがなぜそれほど伝統にこだわるのか、そしてゲンパとデーシャのこれまでの関わり。 カニヤークブジャというギャカルの地名が出てきたが、これってカニアクブジャと同じとこかな? |
「不具だった100人の娘」 |
大ヒンズー王国を支配したクシナバ王には100人の娘があったが、100人が100人ともせむしだった。おそらく血族結婚によるものだろうといわれているが、原因ははっきりしない。国王は家庭の不幸を記念するために、特に一つの町をつくり、「カニアクブジャ(不具の処女の町)という名をつけ、不幸な娘たちとともに長くその町に住んだ。この悲劇的な王によって建設された不具の処女の町は今日でも残っており、いまではインドのフルカバッド地方の主要都市となり、町の名は近代的に短縮され、カナウジとなっている。 |
『奇談千夜一夜』 現代教養文庫より無断転載 |
『夏目友人帳』15 緑川ゆき 白泉社 新品購入。 半年ぶりの新刊。 力を失った祓い屋とそのことに気づかない祓い屋の式のお話と、いたいけな小物のあやかしのお話。 夏目を引き取る前の滋と塔子さんのお話の番外編付き。 しいたけのあやかしのポジティヴさ加減にちょっと泣きそうになりました。 番外編もいい話であった。 |
『虚構新聞2013』 虚構新聞社 宝島社 新品購入。 記事はほぼ「虚構新聞」からの再録だが、あちこちに載ってる嘘広告とか嘘伝言が楽しい。 記事で一番好きなのは「炊き上がりなう」。Twitterで初期に流行った「(居場所もしくは現在していること)+なう」という構文、わたしも苦手だったから。そういやスマホと連動するスマート家電とやらがたくさん開発中らしいけど、これ、3DTVの二の舞じゃないか? 冷静に考えてみたらさほどニーズがないことくらいすぐわかったようなもんなんだけどな、という。 ネロ・ダースさんの訃報も好き。パトラッシュのコメント、ナイス♪ 欲をいえば前の『号外!虚構新聞』と同じ大きさの本にしてほしかったわ、宝島社ー。 |
『ビブリア古書堂の事件手帖』3 三上延 メディアワークス文庫 図書館。 「ロバートFヤング 『たんぽぽ娘』」「タヌキとワニと犬が出てくる、絵本みたいなの」「宮沢賢治 『春と修羅』」の三話。 やっとうちにある本が登場した「ロバートFヤング『たんぽぽ娘』」。スタージョンの『影よ、影よ、影の国』〜。 コバルト文庫の海外ものといえば、リチャード・ペックの『レイプの街』、堺市の図書館になくて、カウンターでよその図書館から取り寄せお願いしようと思って忘れてたのを、いま思い出した。 75頁、栞子がある本を盗んだ疑いをかけられたとき、大輔が「この人が犯人だったら、被害が一冊で済むはずがない。めぼしい本を根こそぎ持っていったはずだ!」に大爆笑。 ところでドラマが始まっています。これ書いている現在、二話まで放送済み。 えっと、栞子さんが本に没頭しているシーンをまだ見せてもらってないんですが。喫茶店で上品に本を開いてたシーンはあったけど。 あと、栞子さんのテンションが低めで安定したまんまなんですが、これはやはり、原作どおりの栞子さんをドラマで再現しようとすると、すごく不自然な感じになったからでしょうか? |
『夜の国のクーパー』 伊坂幸太郎 東京創元社 図書館。 戦争に負けた小さな小さな国に住む猫。 その小さな小さな国で選ばれて「クーパー」を退治しに行く男の子。 妻に浮気されて第二の趣味海釣りに出かけて時化に遭い、気がつけば見知らぬ場所にいた男。 その三者の視点から語られる物語。 この猫トム君およびトム君の知り合いの猫たちの呑気さ、薄情さ加減が好ましかった。 『猫語の教科書』の語り手のめす猫や、このお話に出てきた猫くらいの、人間に対するスタンスが、わたしはやっぱり好きだ。 ちなみにこれ読んだのと同じ頃、映美ちゃんが有川浩の『旅猫リポート』貸してくれたんだけど、これに早々にギブした。 薄情といえば、上記の「虚構新聞」とこにも書いたけど、「虚構新聞」の「画家の道半ば、ネロ・ダースさん死去 10歳」、このパトラッシュ、だあい好き〜。 |
『あの川のほとりで』上下 ジョン・アーヴィング(訳:小竹由美子) 新潮社 図書館。 むっちゃひさしぶりに読んだ、アーヴィング。 たぶん最後に読んだのは『オウエンのために祈りを』だ。 と思ったところで気づいた。ミュージカル「少年たち」、2011年9月の日生劇場分から加わった、キーパーソンの男の子が命を落とすときのセリフ、「僕はこのために生まれてきたんだ」。 この脚本書いた人、『オウエンのために祈りを』を読むか、映画化された「サイモン・バーチ」を見るかして、このセリフ入れたくてたまらなかったんじゃなかろうか。 あのシーンでこのセリフ吐かれてもこちとら困るだけだったんだけどな、脚本担当森泉博行。 でも、2012年の日生劇場から加わったキーパーソンの男の子の独白部分はすげーよかったぜ、中でも「僕はちゃんと産声をあげましたか」という問いかけの言葉はすげー好きだぜ、脚本担当森泉博行。 あとブランコに乗ってて因縁つけられたとき、自分が話しかけられてるのに気づかなかったとことか、少年たちを脱獄へ追い詰める追い詰め方も、2012年日生版が一番よかったな。 でも、今年の八月九月は、別のもんが観たいわ、お願い、ジャニーズ事務所。 閑話休題。 伐採された木を運ぶのにまだ川が使われていた頃、伐採場で食堂を営んでいた男の息子が、やがて作家になり、初老の男になるまでの話。 アーヴィング自身の自伝的なエピソードも挟まってる、半自伝的な小説、だそうだが、どこまでフィクションでどこまでアーヴィング本人のことか、アーヴィング本人についてそんなに知らないのでわかりませんでした。 訳者あとがきではヴォネガットに師事してたってのはアーヴィング本人とおんなじだったそうで、『ガープの世界』を読んで幾星霜、初めて知りました、びっくり。 章と章の間で時間がぴょんと飛び、読んでるうちに飛んだ時間でなにが起こるか次第にわかっていく、という形式は読みやすかった。というか、飽きずに読めた。 登場人物で好きなのは、ケッチャム。ぶれなさ加減というか筋の通りっぷりが痛快だった。 |
『6TEEN』 石田衣良 新潮社 図書館。 『4TEEN』の二年後の話。高校生となった四人が遭遇するいろんな人や出来事が、月島の路地裏の観光客どころか彼ら以外ほとんど客のいないもんじゃ屋を中心に描かれる。 投げ出すほどつまらなくはなかったが、心を揺さぶられるような話もなかった。 |
『HUNTER×HUNTER』0 クラピカ追憶編 富樫義博 ジャンプコミックス 劇場版「HUNTER×HUNTER 緋色の幻影」先着100万人入場者プレゼント本。 映画はもちろんこの0巻目当てに観に行った。 映画と違い、滅ぼされる寸前のクルタ族の暮らしと、クラピカの幼い頃のエピソード、だけが語られる。 この劇場版、蜘蛛たちやヒソカはかっこよく描かれてるのに、ゴンとキルアに魅力が乏しく、なんかいらいらしながら観た。 んで、最後のエンドロール眺めてたら「脚本 米村正二」。 納得のあまり「米村かっ!」と思わず声出しちゃったよ。 |
『修道女フィデルマの探求』 ピーター・トレメイン(訳:甲斐萬里江) 創元推理文庫 新品購入。 先月出てたのに気づいてなかった。 短編集。 「ゲルトルーディスの聖なる血」「汚れた光輪」「不吉なる僧院」「道に惑いて」「ウルフスタンへの 訳者あとがきによると、イギリスでは2000年に発行された『Hemlock at Vespers』というシリーズとしては九番目にあたる二冊の短編集に納められた15編を5編づつ分けて収録したのが、『洞察』『叡智』とこの『探求』の三冊なのだそうだ。 今回、わりとあっさりした話が多かった。「不吉な僧院」はシチュエーションにはわくわくしたけど。 お次は長編を読ませてもらえるらしい。 楽しみ〜♪♪♪ |
『錬金術師ニコラ・フラメル』 マイケル・スコット(訳:橋本恵) 理論社 『魔術師ニコロ・マキャベリ』 マイケル・スコット(訳:橋本恵) 理論社 『呪術師ペレネル』 マイケル・スコット(訳:橋本恵) 理論社 『死霊術師ジョン・ディー』 マイケル・スコット(訳:橋本恵) 理論社 図書館。 始まりはサンフランシスコ。 ソフィーとジョシュは男女の双子、15歳の高校生。 ジョシュは書店に、ソフィーはその向いのカフェでバイトすることになったのだが、ある日いきなりジョシュが働いている書店がゴーラムの襲撃される。ゴーレムを作り使って書店を攻撃させたのはジョン・ディー博士。そして書店を経営していたのはこの襲撃によってディーに『アブラハムの書』を奪われることになった錬金術師ニコラ・フラメルとその妻で呪術師のペレネル。 純粋な金と銀のオーラをもつ双子は、これをきっかけにフラメルと行動をともにすることになり、敵味方さまざまな異種族や不死者と出会い、パリそしてロンドン、再びサンフランシスコと場所を替えつつ、「伝説の双子」としてめざめ、元素魔法を身につけていく。 むっちゃくちゃ面白いーーーっっっ! 人類がこの地をわがものとする前、地球に君臨していたエルダー族。 スフィンクスが看守をするアルカトラズに閉じ込められたペレネル。 見かけは17歳の少女なのに数千年を生きているエルダー族第二世代のスカアファ。 スカアファの祖母で、田舎町でひっそりと骨董店を営む「空気の魔女」。 エルダー族によって不死者とされたジョン・ディー、ニコロ・マキャベリ、パラメデス。 火刑の場からスカアファに救われ、スカアファの血を輸血されたことにより不死者となったジャンヌ・ダルク。彼女は数年前に結婚、相手は現在パリで活躍中のミュージシャン、実はサンジェルマン伯爵。 ジョン・ディーやマキャベリの悪役たちもすごく魅力的。 四巻にはついに日本人の不死者も登場、宮本武蔵。「二天」という名で呼ばれているのが洒落ていた。 iPhoneでときどき人名ググりながら読みました。 マイケル・スコット、中二な心を否定せず、楽しくわくわくする方向へすくすくと育てた人だわー。 図書館の開架にあったのは4巻までだが、先月5巻『魔導師アブラハム』が出てた〜♪ 図書館にも入ってた〜♪ 現在予約者5件。 早く読みたいーーーーーーー。 |
『影の王国』上下 ロイス・マクマスター・ビジョルド(訳:鍛冶靖子) 創元推理文庫 新品購入。 去年11月に出てたのに気づいていなかった。 慌てて注文、届いたその日に読み出したらやめられない停まらない〜のノンストップ8時間。 五神教シリーズ第三弾。 聖王が治める森の国ウィールド。聖王のいささか行状のよくない第三王子が殺害され、国璽尚書の配下であるイングレイが調査に赴くことになるが、王子は妹から譲り受けた侍女を手篭めにしようとして寝所に飾ってあった戦槌で侍女に殴り殺されたことが判明、しかも王子は豹の魂をわが身に迎え入れる儀式をも行っており、王子が殺されたことにより行き場を失った豹の魂はその場にいた侍女、レディ・イジャダに入ってしまっていた。なんてこったい。 イジャダの女友達で魔術師神官にして医師神官のハラナ、その夫のオスウェン、ハラナから決して離れない従僕と世話係のふたりも楽しかった。国璽尚書ヘトワル卿(ちょっとシモン・イリヤンの匂いがした)や庶子神の神官のレウコ師や神官を自分の島に送ってもらうために東都を訪れていた南の国の王子ジョコル等、楽しいキャラがいっぱいで、ほんとに読んでる間じゅう、おなかいっぱい楽しみました。 訳者の鍛冶靖子はロビン・ホブのシリーズも担当している人。 お次はロビン・ホブ、頼んまっせー。 道化の使命シリーズ第三弾『Fool's Fate』、頼んまっせー。 |