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本読み月記


【ジャンル分け】 最初から日本語で書かれた小説。
最初から日本語で書かれた小説以外。
日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。

日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。

コミックス



『ビブリア古書堂の事件手帖4 栞子さんと二つの顔』 三上延 メディアワークス文庫

図書館。
今回は江戸川乱歩。
乱歩はもちろん小学校の図書館にあったやつはあらかた読んでるはずだ。が、大人向けの本をどんだけ読んだか、自分でもぜんぜんわからない。名作と名高い『孤島の鬼』すら、読んだか読んでないかわからない状態。読んだような気はするんだが、評判を読むにつけ、あれを読んで読んだかどうだかわからないって事態、ありか、と?
そんでドラマ、ずっと観てたけど、最終回だけ見逃しちゃった。ドラマのほうは最終回で綺麗に完結したのかな?
本編のほうは完結せず。栞子さんの母智恵子が何かの本を追いかけているらしいという、むっちゃわくわくするとこで終わっている。



『科学の未来を語る』 フリーマン・ダイソン(訳:はやし・はじめ+はやし・まさる) 三田出版会

図書館で借りて読んだあと、古本で購入。

NHKで放送された「神の数式」観ていたら、ダイソン博士が登場した。
前髪ぱっつん切りそろえて、しかも細面の上に耳が素敵にとんがってて、どっからどう見てもバルカン星人であった。




(TV画面をiPhoneで撮ってツイートに付けた写真の直貼だけど、サイズこんなにでかかったのね)
これまでダイソン博士との縁は、拾い読みしただけの『叛逆としての科学』、それに載っててあんまり怖くてそこだけコピーとっといた氷河期についてのくだり(ここ参照。って、うわー、さぼり放置してたら両側に広告ーーー)と、ダイソン方程式の話と、リーマン予想関係本によく登場する数学者モンゴメリとのエピソードくらいだったのに、「神の数式」放送日が9月21日、それから十日ちょっと経って放送された「コズミックフロント」の「地球脱出」にダイソン博士登場、地球を脱出するための宇宙船の加速システムとして核分裂もしくは融合爆弾の爆発の衝撃を利用した推進システムが紹介されてて、そこに若かりし日のダイソン博士が。
で、『叛逆としての科学』以外になんか書いてるかと図書館探してまず借りてきたのがこれ。
『叛逆としての科学』はなんか読みにくくて拾い読みしただけで返却日が来てしまったが、この『科学の未来を語る』は、1冊まるごとげろくそ面白かった。
第一章、飛行船と飛行機の発展背景から語り起こし、失敗が許される技術は失敗を繰り返しつつどんどん改良されていくが、失敗が許されない技術はどうしても停滞する、その最たるものが原子力発電だ、という主張は、すとんと胸に落ちた。
あと、第四章の、オムニ誌から依頼されて書いたという異星人へのメッセージも好き。
この人ほんっと、考えることが楽しくて楽しくてたまらない人だと思う。
NHK、ダイソン博士のドキュメンタリー作ってくれないかなあ。
ファインマン、朝永、シュウィンガーの理論が同じものだと示したダイソン方程式だの、前述のオリオン計画だの、さまざまな病院で利用されている原子炉TRIGAのことだの、前述のリーマン予想への貢献だの、交友のあった有名な研究者たちの思い出話とか、SFで使われているリーマン博士発案のテクノロジー等、ネタにはほんっと困らんよ、この人。
あ、息子さんはカヌー製作者として有名らしい、
1923年生まれだから、今年の誕生日で90歳。
本人のインタビューとかとれるうちに作ってほしいなあ。


『ことり』 小川洋子 朝日新聞出版

図書館。
27日新橋演舞場「大和三銃士」千穐楽の二日前に順番回ってきたので、日帰り往復のぞみの旅車中本に任命。
帰りののぞみ静岡あたりで読み終えてしまい、他に本を持っていなかったが、今回は忘れずiPhoneの充電器の電池を充電済みのenelopeに交換してったので、Kindleで「半七捕物帳」とLINEのポコパンのルーチン。
が、行きののぞみ、東京着いたときはまだ途中で、頭が完全この小説の中で、なかなか「大和三銃士」千穐楽モードに戻ってくれず、一緒に観に行くともちゃんと合流して、やっと『ことり』から離脱できた。というか、千穐楽モードに引き戻してもらった。ともちゃん、ありがとおおおおおー。
一人暮らしの「小鳥の小父さん」は自宅でひっそりと静かに亡くなっていた。遺体が抱いていた竹の鳥籠の中にいた一羽のメジロ。遺品整理に来た人のひとりがうっかり籠の口を開け、メジロはいずこかへ飛び立って行く。
そんなシーンに始まり、小父さんがなぜ「小鳥の小父さん」と呼ばれるようになったか説明されたあと、物語は小父さんの幼い頃へと飛ぶ。
あるときから自分で編み出した言葉しか喋らなくなった小父さんの兄さん。第二言語としてその言葉を習得してしまい、世界でただひとり、兄さんの言葉を理解できることになった小父さん。
父と母、小父さんの兄さんと小父さんの、家族四人の暮らし。やがて母が亡くなり、数年後父が亡くなり、小父さんは就職し、でもふたり残された兄弟は育った家で、静かに暮らし続ける。
家の中に流れるラジオの音。毎週水曜日、兄さんが飴「ポーポー」を買いに行く元雑貨店の今は薬局。小父さんが計画し、小父さんの計画に沿って兄さんが荷造りするところまでの旅行。毎日お昼に仕事場から小父さんは家に戻り、ふたりで食べる缶詰のスープとサンドウィッチの昼食。
静かに静かに語られるお話だったので、小父さんの兄さんが亡くなった後の、小父さんが言葉を交わすようになった司書のお嬢さんを職場に招くところと、近所で子どもの誘拐が発生、小父さんが近所の人から疑われるところ、メジロを鳴かせあう勝負をしている男のとことか、本当に本当に怖かった。あ、虫箱持ったじいさんと知り合うとこも、かなり怖かった。
一番好きなのは旅行のところ。小父さんの兄さんが必要だと思ったものを家の中から集め、それを旅行鞄に詰めるところ。
ミチル商会の社史の内容のとこも大好き。


『恋文 とはずがたり』 奥山景布子 中央公論新社

図書館。
借りてきたきっかけは山田章博の公式情報サイトの山田章博のお仕事情報。
この作家の『源平六花撰』の文庫版のイラストを山田章博が担当しており11月発売ということで、タイトルと作家名に惹かれて図書館探したら六冊くらいあって、予約冊数に余裕があったとこなので(予約15冊制限は予約長期待ちの本がいっぱいあるとき辛いよ、もうちょい増やしてよー。>堺市図書館)一通り予約したらまずこれと『キサキの大仏』が来た。
時は鎌倉時代末期頃。
都に住む中流貴族の露子、実の父は西園寺実兼だが生まれてすぐに実兼の乳母と子であった養父とその妻に引き取られ、育ち、婿もとり、その息子も元服して妻のもとに通うようになった年加減、は、ある日実の父から名前も知らされていなかった母が書き残した文書を渡される。
その母が書いた文書がいわゆる「とはずがたり」。
タイトルにもちゃんと書いてあるのに、これなんか読んだことある筋だわ、なんだったっけ?と思いながら行け行けどんどん読み進め、最後の頁で露子が母の文書につけた題とそのあとにしるされた作者記で、あ、あの「とはずがたり」だったのか、と。
って、私が読んだことがあるのはすっごい前に読んだ「とはずがたり」を元にした瀬戸内晴美の『中世炎上』だけなんですが。
「作者記/「とはずがたり」は、昭和三十六年に宮内省書陵部の「地理の部」から発見された。全文が広く読まれるようになったのは、昭和二十五年、桂宮本叢書の一冊として刊行されて以降である」(260頁から無断転載)
いま高校のときの副読本の「新編国語便覧」(中央図書 昭和53年初版四刷)見てみたけど、「とはずがたり」が見つかったのがそんなに最近こと、ぜんぜん書いてなかったわ。

ともあれ、二条が実兼との間にもうけた娘が己の子が成人するくらいの年になって母の残した手記を読む、という形式が新しかった。

追記(20131103) この本を読んでからwikiの「とはずがたり」の項を読んでみた。「この日記は、宮内庁書陵部所蔵の桂宮家蔵書に含まれていた桂宮本(後代―江戸時代前期の写本)5冊のみ現存する。1940年(昭和15年)山岸徳平により紹介されるまでは、その存在を知る者も少なかった。天下の孤本といわれる」 「孤本」という言葉をこれで初めて知ったのだが、なんとまあ、今日の朝日新聞読んでたら、30面に「天下の孤本 簡単検索」なるタイトルが。宮内庁所蔵の古文書や絵巻物などをデジタル画像化したものがネットで公開されることになったらしい。
さっそく検索してみたら、すぐみつかりました。

宮内庁 図書寮文庫所蔵資料目録・画像公開システム とはずがたり
美しい手蹟だけど、水茎のあと麗しすぎて、ぜんぜん読めないわー。



『キサキの大仏』 奥山景布子 中央公論新社

図書館。
聖武天皇の皇后で、史上初の皇族以外の皇后だった、光明皇后
安宿媛あすかべひめ藤三娘の生涯。
光明皇后を主人公にした話といえば清原なつのの『光の回廊』、これはもうでらげっつい面白かった。
あれに較べると、聖武天皇との関係とかがほのぼのしすぎな気がしたが、うちの行基さん(行基さんは堺出身)が大活躍したりもあり、面白かった。聖武天皇の系図および天武→持統から聖武天皇までの天皇継図については、長岡良子の古代ロマンシリーズを最近読み返したばかりなので、そっちを思い出しながら読んだ。
(九月の日生劇場「ANOTHER」に「スッキリ」の取材が入ったのをtwitterで知り、それ捕獲のために毎日「スッキリ」録画中身を早送り確認してて、なんでスタジオに長岡良子の色紙がずっと飾られてあるんかな?という疑問をひさびさに思い出し、なんとなく一冊読みかけたら止まらなくなり、全部読み返し)
あ、でも、日本で初めて金が産出したのが大仏作ってる最中だったってのは、これ読んで初めて知った。
橘奈良麻呂が橘諸兄の子で、橘諸兄が橘美千代が先夫美努王との間に作った子だったのも、これまでぜんぜん気づいていなかった。

光明皇后が宇合兄から預かり、結局は春日大社に預けた厨子、このエピソードが回収されてなかったのであれこれググったら、これより前に出た『時平の桜、菅公の梅』に出てきたエピソードらしい。


『ハウルの動く城2 アブダラと空飛ぶ絨毯』 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ(訳:西村醇子) 徳間書店

図書館。
スルタンが治めるラシュプート国のザンジブ市。ここのバザールで絨毯を商う青年アブダラ。
アブダラはある日見知らぬ男から空飛ぶ絨毯を仕入れ、その上で寝たところ、知らないうちに知らない場所に運ばれ、美しい姫君「夜咲花」と出会う。
読んでも読んでもハウルもソフィも出てこず、アラビアっぽいくだくだしい会話に辟易して適当に飛ばしてたら、気がついたらアブダラはハウルたちの住む王国に来てて、いきなり猫がソフィーにかわり、さらに読み進むと、「夜咲花」を含めて総勢30名のお姫さまがたがダルゼルという奴に乗っ取られたハウルの動く城にさらわれて閉じ込められていた。
そこから解放されるまでの大騒動と最後の大団円はすっごく楽しく気持ちよかったのだが、途中読み飛ばしたあたりを読み返す根気が出ないー。



『冷血』上下 高村薫 毎日新聞社

図書館。
ほとんど飛ばし読みしたので、読んだ本に入れるのをちょっと躊躇ったのだが。
だってほんっと、

くそつまんなかったんだもんっ!

まともにちゃんと読んだの、第一章「事件」の被害者側の女の子のとこと、第二章「警察」でやっと合田でてきた最初のとこくらい。第一章の加害者側ふたりのとこなんか、ぜんぜんこいつらに興味持てなかったし。
でもamazon見たら、これに五点満点とか四点つけてる人もいるんだ、それも結構な数いるんだ、へえええええ。
『レディ・ジョーカー』までの高村薫の書く話(除く『照柿』)は、硬派な物語にちょっと過剰なくらい腐った萌テイスト組み込まれてるとこが値打ちだったのに。
おかしくなったのは『晴子情話』からだよなあ。なんでかなあ。


『魔法使いはだれだ』 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ(訳:野口絵美) 徳間書店

図書館。
イギリスっぽい場所だが魔法が禁じられ魔法使いは火焙りにされる世界の、処刑された魔法使いの遺児だのを多く集めた寄宿学校を舞台にした話。
寄宿学校の生徒たちにうまく馴染めぬまま、これまた適当に飛ばしながら読み進め、気がついたらシリーズ名のタイトルロールであるクレストマンシーが登場してしまっており、いったいどこから登場したんだ?と思いつつも引き返す気になれずに読み進め、そのまま大団円まで読んでしまった。



『ストライク・ザ・ブラッド9 黒の剣巫』 三雲岳斗 電撃文庫

新品購入。
リゾート編。一応舞台だけはリゾート編。
あらすじはここ参照。
新登場の美女および美少女は、獅子王機関と同様政府の特務機関である太史局所属の霧葉と夢魔の結夢ちゃん。
これまでは古城の知り合いだったばっかりに巻き込まれてた浅葱が実はかなり重要なキーパーソン、台風の目みたいな存在らしいことも明らかに。
アニメはうっかりしてて、やっと四話から観始めました。
三雲岳斗のtwitter実況解説は楽しいけど、関西は実況の翌晩の放送なの、らららー。
あのツイート群を関西での放送に同期させる方法はないのかしら。


『封殺鬼 数え唄うたうもの』 霜島ケイ 小学館ルルル文庫

新品購入。
天狗・ 羅?編が完結編出たのが2005年4月。
間に挟まった桐子さま青春編はもちろん存分に楽しませてもらったけど、今回ついに『終の神話・人祇の章』の後の話〜♪
今回からイラストレーターが変わったらしいが、ぜんぜん気づかなかった。
というか、よくよく考えてみれば、読んでて頭の中に映るのはいまだに西炯子だわ。
完結から半年後。本家の使役でなくなった鬼ふたり、物見遊山にも飽きて、あいかわらず歌舞伎町路上に店を出す三吾のもとに祓い屋弟子入りする話。
あとがきに「この後の展開が現代のままでいくのか、他の時代に移るのかはまだわかりません。が、鬼たちの物語を読みたいと言ってくださる方がいるかぎり、頑張っていこうと思っています」という著者の言葉があった。

読みたいーっ!

ずっとずっと読みたいーっっっ!


半七捕物帳6 半鐘の怪』 岡本綺堂 Kindle
半七捕物帳7 奥女中』 岡本綺堂 Kindle
半七捕物帳8 帯取りの池』 岡本綺堂 Kindle
半七捕物帳9 春の雪解』 岡本綺堂 Kindle
半七捕物帳10 広重と河獺』 岡本綺堂 Kindle
半七捕物帳11 朝顔屋敷』 岡本綺堂 Kindle
半七捕物帳12 猫騒動』 岡本綺堂 Kindle


amazonで0円。





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