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本読み月記


【ジャンル分け】 最初から日本語で書かれた小説。
最初から日本語で書かれた小説以外。
日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。

日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。

コミックス



『王妃マルゴ』2 萩尾望都 集英社

新品購入。
タイトルロールのマルゴーのことは、1巻でもなんか好きになれず、この2巻でもなんか好きになれないまんまなのだが、この時代のフランスの事情はこれまでほとんど知らなかったので、そのへんが埋まるのを楽しみに読むことにしよう、そうしよう。



『ハヤブサが守る家』 ランサム・リグズ(訳:山田順子) 東京創元社

図書館。
幼い頃、父方の祖父が「僕」に語った荒唐無稽な昔話。不気味な怪物たちが跋扈しだしたため、生まれ育ったポーランドを離れざるをえなかったこと。そして身を寄せたイギリスの児童保護施設は魔法で守られていて、そこには片手で巨岩を持ち上げる少女や宙に浮く少女や透明人間の少年がいたこと。
その祖父は「僕」が高校生のとき、何者かに殺され、祖父が殺された現場で「僕」は不気味な怪物を目撃する。
物語自体はそれほど目新しくなかったが、古い写真の収集家である著者がこの物語を思いつくもとになったというふるい様々な写真がちりばめられているのが目新しかった。



『翳深き谷』上下 ピーター・トレメイン(訳:甲斐萬里江) 創元推理文庫

新品購入。
修道女フィデルマシリーズ新刊。
今回の舞台はグレン・ゲイシュ。モアン王国の辺境にあるいまだキリスト教を受け入れず古の神々を信奉する土地。
この地にキリスト教の学問所を建てたいという要請がこの地の領主からあり、兄王から折衝役を任されたフィデルマはエイダルフとともにこの地に赴く。が、目的地のすぐ近くまで来たところで、三十三人のキリスト教徒の死体にふたりは出くわす。
グレン・ゲイシュの住人で賢者であるムルガルが興味深い人物だった。チェスタトンの言葉だったと思うのだが、「キリスト教徒の狂信者より、良識あるイスラム教徒のほうがまし」だったっけ?を思い出した。

このフィデルマのシリーズによると、ローマ・カソリックの剃髪はつむじのあたりを丸く剃るが、アイルランド風では耳から耳へとぐるっと線を引いて、それより前の部分を剃ったらしい。「ラストエンペラー」に出てきた辮髪に剃る部分が似ている。


『月と太陽』 瀬名秀明 講談社

図書館。
短編集。「ホリデイズ」「真夜中の通過ミッドナイト・パス」「未来からの声」「絆」「瞬きよりも速く」の五編入り。
よくわからなかったのはシャム双生児についての「絆」。あとの四編もいまいち共感しきれなかったり、結末がすとんと飲み込めなかったり。
ところで、去年末に放送されてた「ミス・パイロット」、関西が誇る「美貌のポンコツ」藤井流星がレギュラー出演というだけで見ないわけにはいかなかった上、斎藤工出るし主演は「梅ちゃん先生」で克服しすぎていまや何をしようが可愛くてしょうがない堀北真希だしで、始まる前から楽しみで第一話から録画して観ていて、おまけに期待してたよりもずっと面白かったのだが、

「ベイカーズフィールドにいったん着陸し、小用を足した。ガソリン代が高い。セスナ152に戻る途中で、小型のパイパー機が最終アプローチで入ってくるのが見えた。ここは全日空のパイロット候補生が訓練で訪れる空港として知られる。ふらふらとして危なっかしい。狭苦しいコックピットに戻り、エンジンをかけてラジオを聞くと、タッチアンドゴーの練習をしているパイパーのコールが耳に入ってきた。初々しい女性パイロットの英語だった」(「ホリデイズ」17頁より無断転載)

ここを読んだとき、「ミス・パイロット」アメリカ編、晴たちがセスナ機で飛行訓練していた情景を、まざまざと思い出した。



『なぜ人間は泳ぐのか? 水泳をめぐる歴史、現在、未来』 リン・シェール(訳:高月園子) 太田出版

図書館。
朝日新聞日曜読書欄で紹介されてて図書館予約した本。
趣味水泳のもうすぐ70歳の著者がヘレンポントス海峡を泳いで渡ろうとするところから始まる、「泳ぐ」ということについてあれこれいろいろ書いた本。
54頁の「以下の項目にあてはまるなら、あなたは立派なスイマーです」とか96頁「優美で繊細な平泳ぎ」とか241頁「スイミング・ムービー名場面集」とかの章最後のおまけも楽しかった。「7.流線形」の中の女性と水着と試着のくだりも愉快だった。
「3.水を離れた魚」の浮力のくだり、去年「ジャニ勉」内の「ジュニマガ」でやってた水泳特集、ドルフィンキックを覚えようの回でどんどん沈んでいってた濱ちゃんを思い出した。その水泳特集終わってからの十月新橋演舞場「大和三銃士」での最後の挨拶で判明したのだが、濱ちゃんの体脂肪率は3%。そら沈むわ。というか、ドルフィンキック以外では普通に泳いでたことがかえって不思議やわ。
ところで私は泳ぐのは嫌いではない。ないが、泳ぐためにはコンタクトレンズをはずさねばならず、コンタクトレンズをはずすとプールの縁すらわからなくなる。
水の中でもつけたまま目を開けてられるコンタクトレンズって作られないかなあ。
だいぶ前、B'z名古屋に泊まりかけで行ったとき、泊まったホテルに屋内プールがあって、チャレンジャーなことにコンタクトしたまんま泳いだのだが、このプール、水が澄んでてカルキ臭くなくてプール真上に天窓あってそこから差し込む陽射しが水の中でゆらゆら揺れて、これまでの人生で最高のプールだった。(が、十数年前の話で、私はもちろん、一緒に行ったN塚長姉もRP祐子も、ホテルの名前を覚えていない…)



『壷中の回廊』 松井今朝子 集英社

図書館。
朝日新聞の日曜読書欄で紹介されてたか、本の広告かで見て、軽い気持ちで予約かけてみたら順番回ってくるまでけっこうかかった。
関東大震災から七年後の昭和に入って間もない頃の話。作中「木挽座」という名前で登場する歌舞伎座は大震災で焼け、大劇場として建て直されて三年目か四年目。(「松竹」は「亀鶴」)
仮名手本忠臣蔵を通し上演中、人気役者神崎蘭五郎が毒殺されるという事件が起こり、七年前に起きた震災や、当事の歌舞伎事情、赤狩りなどが絡む話。
ミステリとしてはいまいちだったし、半分くらいまでは祖父が狂言作者だったため大学講師になった今も歌舞伎界と縁深い桜井治郎の視点で話が進むのに、いきなり刑事の視点にかわり、さらに治郎の妻の従妹に視点がかわったりして、ちょっと面食らったが、当事の歌舞伎事情や東京の様子が興味深かった。



『Landreaall』23 おがきちか 一迅社

新品購入。
もちろんおがきちか脚本のCDドラマ&小冊子付き特装版。
クレッサールで行方不明になったリゲイン&ファレル捜索編。
けっこう早めにDXたちと六甲がめぐりあえたのでほっとした。で、次巻ではDX、アイシャの正体に気づくのだろうか。
CDドラマも今回も楽しゅうございました。



『仲蔵狂乱』 松井今朝子 講談社

図書館。
松井今朝子、他にどんなん書いてるのか調べたらこのタイトルがあり、「仲蔵」って志の輔さんで聞いた落語「中村仲蔵」の仲蔵だよな、と借りてきたら、やっぱりあの仲蔵のお話でした。
斧定九郎のとこは志の輔さんの咄のほうが断然気持ちよかったけど、仲蔵の伝記としてずっしり読み応えあった。



『道絶えずば、また』 松井今朝子 集英社

図書館。
これも歌舞伎の話っぽかったのでついでに借りてきた。
既に七十歳を越えた名女形三代目荻野沢之丞が久しぶりに舞台で「道成寺」を踊ったのだが、クライマックスの鐘入り、鐘の下に切ってあった切穴の下に置かれているべき台がなく、底まで転落して亡くなる。
沢之丞のふたりの息子の襲名問題、信徒を集める法華の寺、大工の連続死だのがあれこれ絡むのだが、お寺の隠し部屋のネタとかはいまいちわかりにくかった。
でも探索する同心の舅の姉が実は、とか、クライマックス近くの、沢之丞の実の息子が切る啖呵とか、あちこち気持ちよいところはあった。
そして何度も五年前の事件に触れるのだが、そっちはもちろんまだ読んでないので、読む順番を間違えたなあと。

ところで「道成寺」、最近なんかでこの字面見たぞ?と思ったら、三月の南座夜の部で菊之助が踊るのだった。COOP枠申し込んだら取れたので再来月ナマで観られるのだ。「道行より鐘入りまで」なのだそうだ。楽しみ〜♪


『吉原手引草』 松井今朝子 幻冬舎

図書館。
これも江戸もの。舞台は吉原。
関係者の証言だけで構成された物語。
正体不明の取材者は吉原は舞鶴屋の花魁「葛城」に関わる事件を調べているらしきことが次第にわかってくるのだが、その事件がいったいどんなものだったのか、なかなか明らかにされない。
行け行けどんどん一気読み。
最後の最後、すべてのピースがあるべき場所に収まったとき、ものすごく気持ちよかった。

そして吉原のいろんな場所や人を見せてもらえるのも楽しかった。


『ひつまぶし』 野田秀樹 朝日新聞出版

図書館。
去年の1月頃、B'zのドキュメントを録画するためにWOWOWを二ヶ月だけ(B'z録画できたら解約するつもりだったが、最初の一ヶ月無料サービスだったので一か月分の料金で二ヶ月観られたのだ)契約したところ、WOWOWステージものもいっぱい放送してて、NODAMAPの「エッグ」もあった。
夢の遊眠社の公演は何度か行ったことがあり、その頃、レンタルビデオ屋にあった遊眠社の公演ビデオもあるだけ観たが、遊眠社解散くらいからとんとご無沙汰だったのだ。
「エッグ」は面白かった。げろくそ面白かった。でたらめに面白かった。
ので去年の「MIWA」をダメモトで申し込んでみたら、なんとチケットにありつけたのだ。
「MIWA」もむっちゃ面白かった。
どちらかといえば「エッグ」のほうが好みだが、「MIWA」のあの古田タジオ……。
ルキノ・ヴィスコンティが化けて出るぞ、野田秀樹。
で、図書館行ったとき、そういや野田秀樹ってエッセイとか書いてないのかなと思い、エッセイコーナーの「の」のとこ見たらこれがみつかって借りてきたのだが。
危険な本だった。
公共の場で読んではいけない本だった。
幸い家で全部読んだが、もし外に持って出てて、電車の中とか、煙草吸いに入った喫煙コーナー付のカフェとかで、軽い気持ちで読み始めて、「エンターテナーが語る『股間に関わる問題』(13頁)なんか読んでしまってたらと思うと、恐怖で背筋がちょっと凍る。



『百鬼夜行抄』22 今市子 朝日新聞出版

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なんか長いこと『百鬼夜行抄』の新刊読んでない気がすると調べたら、去年の10月にこれが出ていた。
21巻は’12年の6月に出てるので、一年以上出てなかったんですね。



『猫語のノート』 ポール・ギャリコ(訳:灰島かり) 写真:西川治 筑摩書房

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amazonだか楽天ブックスだかでひょっこり見つけてしまった。
書いたのが『猫語の教科書』のポール・ギャリコで、訳も『猫語の教科書』と同じく灰島かりで、おまけにタイトルに『猫語の』とあれば、買わないわけにはいかなかった。
ポール・ギャリコが猫の目線で書いた詩に、西川治という人の写真がついたもの。
『猫語の教科書』と違ってほとんど読み返すことはないと思うが、『猫語の教科書』の隣に置こう。



『夏目友人帳』17 緑川ゆき 白泉社

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現代風で人間そっくりの妖が大好きな人間の結婚式に行こうとする話と、犬の会大活躍の鬼ごっこの話と、名取さんが祓い屋の技術を習得していく過程の話。


『カルバニア物語』15 TONO 徳間書店

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髪のおおいをがばっとはずして今の夫に啖呵を切るプラティナ、気持ちよかったー。
ショートカットのタニア、むっちゃキュート。
プラティナがエキューの子ども時代を回想する話も大好き。
ところでいま放送中のドラマ「SHARK」で、濱ちゃんは劇中で着ている革ジャンの肩に左右三枚づつ肩パッドを入れてもらってるらしい。三枚入れてやっとあれか…。
エキューの胸、濱ちゃんの肩。








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