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本読み月記


【ジャンル分け】 最初から日本語で書かれた小説。
最初から日本語で書かれた小説以外。
日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。

日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。

コミックス



『女帝・氷高皇女』 三枝和子 講談社

図書館。
中図書館の開架でみつけてなんとなく借りてきた初めて読む作家。
持統天皇の孫で、草壁皇子の娘で、文武天皇の同母姉、独身で母の跡を継いで天皇位についた、元正天皇の生涯を描いた小説。
もし愛子さまが天皇位を継がれて、愛子さまの生んだ子が次の天皇になるとすれば、神武天皇以来受け継がれてきたy遺伝子はそこで途絶えるのよねえ、昔なら秋篠宮家のおとんぼといとこ夫婦にしたら解決できることだけど、今のご時勢、そんなわけにもいかんかー、などと思っていた。
光明皇后は実家藤原家の力で「歴史上初の皇族以外出身の皇后」となったわけだが、それまで皇后は皇族に限るというルールがあったのは、皇族も当時はいっぱいいたし、異母兄弟姉妹の結婚はタブーでなかったし、とあまり突っ込んで考えてなかったので、皇位継承者の母親の出自にこだわることにより、母系相続に近いことが行われいた、というのには、目からうろこであった。



『BURN』 加藤シゲアキ 角川書店

図書館。
元天才子役で今は演出家をしているレイジ、彼が過去の知り合いとの再会をきっかけに失った記憶を取り戻す話。
と書くとなんだか陳腐だが、記憶を取り戻しはじめたところから、当時の物語と現在の物語が交互に進み、最後には最初に撒かれていた伏線も見事に回収されて、かなり気持ちのいい物語だった。



『ストライク・ザ・ブラッド11 逃亡の第四真祖』 三雲岳斗 電撃文庫

新品購入。
古城&凪沙VS那月ちゃん編。
那月ちゃん家が初登場、アスタルテと夏音とニーナ・アデレードの那月ちゃん扶養家族も勢ぞろい♪
で、一冊ほぼまるまる那月ちゃんと戦ってて、最後にいたるもまだ弦神島を脱出していない…。
牙城のお母さんの登場はいつかな? どんな強烈なばばあが出てくるか、もう楽しみで楽しみで。



『夏目友人帳』18 緑川ゆき 白泉社

新品購入。
夏目の祖母の礼子さんが残した「友人帳」から語り始められたこのシリーズだが、礼子さんと結婚したかどうかは不明ながら、夏目の父か母かどっちか礼子さんを母にもつほうの父にあたる人(礼子さんが夏目の父方の祖母か母方の祖母か、これまでに明らかになってたっけ?)情報が、18巻にして登場。
これって次巻あたりでまた何か情報出てくるのか?
73頁一コマ目のにゃんこ先生、非道素敵。



『きのう何食べた?』9 よしながふみ 講談社

新品購入。
事故物件の話で思い出した。
うちの真下の部屋の人、自殺したんだよねー。
わたし、その人とはいっぺんエレベーターで喋ったことあるだけで、自殺したってのも死んでからだいぶ経ってから知ったんだけど。
考えてみたら、直線距離にして数メートルの場所で自殺したんだよねー。



『大奥』11 よしながふみ 白泉社

新品購入。
家斉が即位して五年後からこの巻始まってて、ということは1792年あたり。
ということは、フランスではフランス革命ー。ルイ16世と家族が革命政府に幽閉された年ー。
というのを確認して、この頃のアメリカ大統領が初代ワシントンだったのも判明。

で、家斉が黒木を訪ねたところでこの巻は終わっているが、家斉の代で赤面疱瘡の種痘が確立されて、十二代あたりから私らが知っている歴史に戻る感じなんかな?


『くるねこ』14 くるねこ大和 エンターブレイン

新品購入。
胡麻ちゃんと守り役八九編。
描きおろし付録は空気清浄機くんの話でモモ&ユキ付。
胡麻ちゃんたちがいた頃、そんなことがあったのかと。



『ソロモンの偽証 第Ⅱ部 決意』 宮部みゆき 新潮社
『ソロモンの偽証 第Ⅲ部 法廷』 宮部みゆき 新潮社


図書館。
先月読んだⅠが柏木卓也の遺体発見から大出邸焼失まで。
Ⅱが藤野凉子が大出俊次を被告とする裁判を開こうと発案するところから裁判の準備。
Ⅲが第三中体育館で夏休みに行われた裁判。
Ⅲの順番が回って来たのは、日生劇場行く日の前日。一泊二日飛行機往復の旅についつい持って行ってしまい、電車に乗ってすぐ読み始めたら、やめられない止まらない~で、昼の部はフォトショ第二弾買う用事があった上、席が三年ぶりの最前列だったもので、席でどきどきしながら開演待ったが、昼の部から夜の部の間もひたすら読み続け、夜の部観るために日生劇場着いてからも、夜の部はCG席だったこともあり、開演五分前のブザーまで読み続け、ホテルの部屋に落ち着いてからも、土曜日だったもんでiPhoneでいつもどおり「大倉忠義のラジオ好っきゃねん」「滝沢電波城」「中居正広のSOME GIRL' SMAP」(終わったとこで福山雅治のいい声をがんばって振り切ってニッポン放送→NACK5)「浅倉大介のネオエイジサーキット」「すばらじ」聴きながら、ひたすら読んでいた。
見事な見事な「裁判」基本の基本レクチャー小説。
AMAZONのレビュー読んだら「中学生なのに賢すぎる」という意見があったが、大丈夫、大人だってこんなに賢いのはめったにいない。舞台を高校や大学にしなかったのは、住んでいる地域が同じというだけで寄せ集められる集団なのは中学までだからだろう。そして正規の法廷にしなかったのは、正規の法廷に立つ人たちは、被告・証人・陪審員以外は、その事件だけにかかずらわっているからではないからだろう。
著者が繰り返し繰り返し物語の中で訴えたのは、「どれほど頭悪くて、他人の痛みを意に介さないイヤな奴であっても、そいつがやっていないことをそいつがやったことにしてはいけない」という裁判の基本中の基本。
自分でもわかってるようでわかってなかったなと思ったのは、Ⅱでの準備期間、陪審員は多数決ではなく全員の意見が一致しなければならないことが判明するところ。「多数決をとるために陪審員は奇数でなくっちゃ」みたいなやりとりのところで、「十二人の怒れる男」のことがちょっと脳裏をよぎったものの、多数決ということに特に疑問も持たずに読み進めてしまったのだ。そうか、陪審員ってひとりでも意見を異にする人がいたら「不一致」なのか。
わたしはとりあえず被告になる予定はないが、ひょっとしたら陪審員とか証人とかになることはあるかもしれない。特にイヤなのは証人だ。証人でもほんとにほんとに絶対無理なのは、わたししか犯人を目撃していなかった場合の確認だ。理由は佐々木倫子の『食卓の魔術師』シリーズの勝久と同じく、人の顔を覚えられないから。顔の確認以外でも、自分で自分の記憶がどれだけアテにならないかわかってるだけにイヤ。
と思っていたので、ⅡかⅢのどこかに出てきた(返却して手元に本がないもんで)、「
証人は自分の記憶しているものを記憶しているまま証言するしかない」(だったっけ?)のくだりは、ガツンときました。


『ペテロの葬列』 宮部みゆき 集英社

図書館。
杉村三郎シリーズ第三作。
今クール放送されていたドラマの最終回直前に順番まわってきたので、読み始めたのはドラマ最終話まで観終わってから。
取材の帰りに乗っていたバスがひとりの老人にバスジャックされ、その事件は警察の突入&老人の自殺で終わるが、その後、老人がバスジャック時に人質たちに語っていた慰謝料が人質たちの元に本当に送られてくる。
前二作をまとめてドラマ化した「名もなき毒」は、原作読んでだいぶ経ってから観て、けっこうよいドラマ化だと満足したのだが、あれってだいぶ脳内補完してたのかなあ。
今回、ドラマ観てから原作読んだら、ドラマで前面に押し出されていた「悪は伝染する」、それがなんのことなのか、原作でやっと納得できた感じ。杉村と菜穂子と桃ちゃんの杉村一家のくつろいだ団欒シーンとかも、ドラマのほうはなんで全部ブッチしたんだろう? 特に杉村が桃ちゃんに『ホビットの冒険』読んであげたり、親子三人で「ロード・オブ・ザ・リング」三部作ノンストップ鑑賞会したり、の、『指輪物語』関連の杉村家のエピソードを完全省略ってなぜ? 完全省略したから、エピローグでの桃ちゃんの「帰ってくるよね」「フロドとサムみたいに。王様みたいに」という素敵な言葉もはしょらざるを得なくなったのよね。エピローグといえば、杉村の身の振り方、原作読まない時点でもドラマのあれにはあんぐり口開けた。



『実験刑事トトリ』 西田征史 ノベライズ:吉田恵里香 泰文堂

図書館。
レコメン木曜日ゲストに丸が出た舞台「BOB」の脚本・演出の西田征史が出てて、『小野寺の姉 小野寺の弟』以外にもこの人なんか本出してるのかなとググり、NHKで放送されてたこれが西田征史脚本で、こんなノベライズ本も出てたことを知った。
って、ドラマのほうはちょっとだけ観てあとブッチしたんですが。
「鴛」「紅鶴」「海亀」の三編入り。“ちょっとだけ観た”のは「紅鶴」だった。(ちょっとだけ観たとこにあのショルダーバッグの実験シーンがあった。わたしは右肩にかける癖があるが、右肩と右腰があがってて左肩と左腰がさがって、体が逆「く」の字に歪んでいる自覚があるので、気がつけばなるべく左にかけるようにしている。ので、なんだかな、と)
読んでいる最中、かけながしていたTVで「ビーバップハイヒール」始まったのだが、その回のお題がネイチャーテクノロジー、生物のもつ機能等を技術応用した実例集だったので、タイムリーっちゃタイムリーだった。
ちなみにレコメンのときに「征史」ってそう読むのかあと思ったが、いま現在、なんて読むんだったか思い出せない。



『はい、チーズ』 カート・ヴォネガット(訳:大森望) 河出書房新社

図書館。
未発表短編集。「耳の中の親友」「FUBAR」「ヒポクリッツ・ジャンクション」「エド・ルービーの会員制クラブ」「セルマに捧げる歌」「鏡の間」「ナイス・リトル・ピープル」「ハロー、レッド」「小さな水の一滴」「化石の蟻」「新聞少年の名誉」「はい、チーズ」「この宇宙の王と女王」「説明上手」に、原本についていたシドニー・オフィットの解説&カート・ヴォネガットがウォルター・J・ミラーに1951年に送った手紙付。
「ヒポクリッツ・ジャンクション」と「セルマに捧げる歌」、大好きーーー。「FUBAR」は最初は諸星大二郎の「城」を思い出したが、こちらは素敵な素敵な結末を迎える。「小さな水の一滴」の結末も痛快だった。
あんまり好きでないのは「化石の蟻」と「説明上手」。
これが最期かなあ。ヴォネガットの新刊、もう出ないのかなあ。どっかからまた発掘されたりしないのかなあ。



『楽園の蝶』 柳広司 講談社

図書館。
1942年の満州、満映を舞台にした話。
満州に住んでた人たちが満州国籍にしてなかったのをこれで初めて知った。
これまで日本から満州に行って、終戦のあと引き揚げてきたことを、ふつーに考えていたけれど、もし満州国に入植した人たちが、日本国籍から満州国籍に移籍していた場合、満州国が崩壊したあとは無国籍の難民になっていたのか?
「敵性文化」のエピソードのとこでは、最近の韓国発信の文化というだけで攻撃したがる人たちのことが思い浮かんだ。
とあれこれ考えさせられるお話ではあったが、ミステリとしてはいまいちだった。

『漱石先生の事件簿 猫の巻』も一緒に借りてきたが、漱石先生は愉快で、先生の家の猫の描き方も愉快だったのだが、そして三毛猫が殺される話も「ま、そういうこともあるわな」と普通に読んだのだが、金子夫妻出てきたあたりでつまんなくてギブ。



『十字軍物語1』 塩野七生 新潮社

新品購入。
したのは、四年前か…。
2と3も購入済、『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』上下も購入済…。
どこで引っかかったのかなあ。
1は“カノッサの屈辱”から第一次十字軍がエルサレムを奪取、エルサレム王国ほかキリスト教領をあの地に作るまで。
タンクレディが素敵だった。
カノッサの屈辱が1077年、ボードワン一世が亡くなったのが1118年。
日本は平安後期、いまググってみたら、大河「平家物語」では伊東四朗がやってた白河天皇が院政始めたのが1086年で、亡くなったのが1129年そうなので、まともにこの頃だったのね、へーへーほー。



『量子怪盗』 ハンス・ライアニエミ(訳:酒井昭伸) 早川書房

図書館。
中図書館の特集コーナー、お題は「ミステリ」の中にあって、借りてきたような気もするが、開架から拾ってきたような気もする。
SF。
あらすじは。

遠未来、小惑星群にある〈監獄〉には、ひとりの男の精神が幽閉されていた。男の名は、量子怪盗ジャン・ル・フランブール。かつて太陽系にその名を轟かせた彼も、今は永遠の囚われの身となっていた。そんな彼の監獄にひとりの美少女が現れる。高度な戦闘力を備えた少女ミエリは、脱獄させる見返りとして火星であるものを盗んで欲しい、と告げた。その頃、火星では千年紀長者ウンルー主催のパーティーの準備が進んでいた。怪盗から届いた予告状に対し、気鋭の青年探偵イジドールが呼び出された! 超ハイテク世界の火星で展開されるポストヒューマン時代の怪盗対名探偵の対決。
早川オンラインの書籍詳細頁より無断転載)

ミエリの相棒である蜘蛛の巣船ペルホネンが素敵だった。
あちこちイメージしにくいとこも多々あったが、基本が筋を追いやすい冒険活劇だったし、登場人物のキャラも立ってて、面白かった。
偽神アルコーン精神共同体ソボールノスチ静者クワイエット義人ツアディーキム潜導者クリプターク忘却の都市ウブリエット等の、訳した言葉に原文のをカタカナ書きしたルビつけた言葉がきらびやかで、中でもロシアっぽい言葉に野阿梓のレモン・トロッキーシリーズとか思い出した。ずっとルビつけてくれるのも、親切だった。


『大会を知らず』 ジル・チャーチル(訳:新谷寿美香) 創元推理文庫

新品購入。
未亡人探偵ジェーンのシリーズ14作目。
ジェーンたちの住む町でミステリ大会が開かれることになり、ジェーンはシェリイと一緒に申し込み、しかも会場となるホテルはシェリイのだんなが出資していてスイートにただで泊まれるとあって、開催期間はふたりしてそこに泊まって大会を楽しむことにするのだが。
ミステリ大会というお膳立てはあったが、出版業界ネタというのがなんか唐突で、内容もいまいちだったが


「あたしが書いてるのはミステリってわけじゃないけど、優れた小説はみんなミステリだと思ってる。そういう小説には解き明かすべき謎の要素がなんらかの形で欠かせないから。たとえ犯罪がからむものでなくてもね。彼女はその男に、自ら態度を改める機会を与えるのか、とか、裕福な祖父の遺言状に、彼の名前が載っている可能性はあるのか、とか、その子供ははたして意識を取り戻すのか、って具合に」(8頁より無断転載)

というジェーンの意見には賛成の大賛成。








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