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本読み月記


【ジャンル分け】 最初から日本語で書かれた小説。
最初から日本語で書かれた小説以外。
日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。

日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。

コミックス


『すべての見えない光』 アンソニー・ドーア(訳:藤井光) 新潮社

図書館。
四月末に予約の順番がやっと廻ってきた。
それから二週間、大事に大事に読んだ。
物語が語り起こされるのは1944年8月7日のサン・マロ。
連合軍によるノルマンディー上陸作戦から二ヵ月後のサン・マロ。




ひとりはフランス人の少女マリー・ロール。パリに生まれ、ドイツのフランス征服のせいでこの街に住む大叔父のもとに身を寄せることになった目の見えない女の子。
もうひとりはドイツ人の少年ヴェルナー。この街に派遣された小部隊に所属する、孤児院育ちの通信兵の男の子。
著者はマリー・ロールを連合軍の砲撃に晒される大叔父の家に、ヴェルナーを連合軍の砲撃のために地下室に、それぞれ閉じ込めた後、時をしばし遡り、ふたりの生い立ちを丹念に語り始める。
マリー・ロールについては、まだ目が見えた頃、失明、父との逃避行、大叔父の家での暮らし。
ヴェルナーについては、孤児院の暮らし、妹と聴いたラジオの科学番組、全寮制の国家政治教育学校での暮らし、兵士になってからのパルチザン狩り。
日本の終戦は1945年8月15日だが、ドイツの終戦はそれより三ヶ月ほど前。
それでも物語が始まった1944年8月からは九ヶ月も後のことで、ああ、まだ九ヶ月もある…と、読み始めたところから既に怖かった。
第一次世界大戦に従軍、戻ってからは家に引きこもり一歩も家を出なくなったマリー・ロールの大叔父エティエンヌ。エティエンヌの家の住み込み家政婦のマネック夫人。ヴェルナーの妹ユッカ。ヴェルナーが育った孤児院をひとり営む尼僧のエレナ先生。ヴェルナーが国家政治教育学校で友達になったフレデリック。学校の同級生で、配属された従軍先で再会する大男フォルクハイマー。そして、伝説の宝石を追うフォン・ルンペル上級曹長。
これ、スタジオ・ジブリ、アニメ化しないかな?
実写映画より、ジブリがアニメ化するほうが、観る人間は断然多いと思うから。
ジブリが描くマリー・ロールとヴェルナーが二人で過ごしたほんの一日足らずの時間は、どれほど美しいことだろう。

とか書いたあとで、宮崎駿が引退撤回、あと1本だけ長編作ってくれるらしい。
こんなん書いててアレですが、あと1本だけ、あと1本こっきりなら、モンゴメリの『丘の家のジェーン』のアニメ化を…。


『みをつくし料理帖1 八朔の雪』 高田郁 角川春樹事務所
『みをつくし料理帖2 花散らしの雨』 高田郁 角川春樹事務所


図書館。
実家のレコーダーに残してあったドラマ「重版出来」、急に見返したくなり、見返し始めたらやめられない、とまらない~♪ で三日間で全話一気。
したあと、同じく黒木華が主演するドラマがNHKで始まると知り一話だけ録画予約しといた「みをつくし料理帖」を見たら。
上方から江戸にくだってきた夫婦ものと奉公人と思しき女の子。その女の子が主人公の澪。
大阪の名店「天満一兆庵」で料理を仕込まれた澪が、価値観からなにから万事大阪とは勝手の違う江戸で奮闘する話。
第一話は「猫またぎ」。大阪では春鰹より脂がのって旨いとされる戻り鰹が江戸では猫も喰わずにまたいで通る「猫またぎ」と呼ばれていることを澪が知って仰天するカルチャーショック編。
面白い。
いや、面白い。
最後に現代のキッチンで黒木華が澪のまんまでその回のネタの料理を作るクッキングコーナーのおまけつき♪
五年くらい前に放送されたらしい北川景子主演のはぜんぜん見てなかったので、これが初めての「みをつくし料理帖」。
しかも「重版出来」で三蔵山せんせだった小日向文世がつる家の主人孫市な上、「重版出来」で中田伯だった永山絢斗が源斎せんせい、あっらー。
で、原作も読みたくなり、図書館探したら、え゛ーーーー、六月松竹座でやる「銀二貫」、新劇月はたいてい行かないんだけど、これには関西ジャニーズJr.から四人(室龍太・藤原丈一郎・大橋和也・朝田姉さん)出してもらうから2日夜と千穐楽観に行く予定なのよ、これの原作、この「みをつくし料理帖」とおんなじ人だったのおおおおっ?!と、あまりのタイムリーさにびっくり仰天。
「銀二貫」はお芝居観てから読むとして、『みをつくし料理帖』から。
これ10巻まで出てて、堺市の図書館、本館分館あわせて12館に一揃えづつ蔵書されてるのだが、わたしと同じように今回のドラマ化でいきなり読み出した面子が堺市内だけで数十人いて、いま三巻待ち。
1巻「八朔の雪」は、「狐のご祝儀-ぴりから鰹田麩」「八朔の雪-ひんやり心太」「初星-とろとろ茶碗蒸し」「夜半の梅-ほっこり酒粕汁」、
2巻「花散らしの雨」は、「俎橋から-ほろにが蕗ご飯」「花散らしの雨-こぼれ梅」「一粒符-なめらか葛饅頭」「銀菊-忍び瓜」。
どちらも巻末に作中に登場した料理の作り方を記した「澪の料理帖」の付録付き。

ドラマはまだ二話まで放送されたとこで、旭日太夫も登龍楼もまだ登場しておらず、つる家がつけ火されて焼かれてしまうのもこれから…。



『長い廊下がある家』 有栖川有栖 光文社
『高原のフーダニット』 有栖川有栖 徳間書店

図書館。
開架でお茶をひいてたので借りてきた。
『長い廊下がある家』が「長い廊下がある家」「雪と金婚式」「天空の眼」「ロジカル・デスゲーム」の四編入り。
『高原のフーダニット』が「オノコロ島ラプソディ」「ミステリ夢十夜」「高原のフーダニット」の三編入りだが、「ミステリ夢十夜」は短編としても成立しにくい捨てネタ集な感じの十編なので、それを勘定にいれると十二編。
で、あいかわらずミステリとしてはぜんっぜん面白くない、あはははは。

ところで去年の春先放送された、斎藤工が火村英夫で窪田正孝が有栖の「火村英夫の推理」、あれはまじ神ドラマ化であった。
あのキャスティングした人とニーズを絞りきって振り切った脚本&演出、ほんまにありがとう、ありがとう、ありがとう。
続編制作熱烈希望。



『イン・ザ・ヘブン』 新井素子 新潮社

図書館。
開架で出くわした。
これ読んだ覚えがないと思ったらやっぱり読んでなかったけど、奥付見たら2013年出た本で、こんなん出してたことに四年も気づいてなかったんか、わたし。
てか、これの前に出た『もいちどあなたにあいたいな』読んだのがいま調べたら2013年9月だったので、それ読んだ翌月に出たんか、これ。
「イン・ザ・ヘブン」「つつがなきよう」「あけみちゃん」「林檎」「ここを出たら」「ノックの音が」「絵里」「幻臭」「ゲーム」「あの懐かしい蝉の声は」の十編に「テトラポッドは暇を持て余しています」と「あとがき」付き。
三つのお願いかなえてあげます権を手に入れた保育園児あけみちゃんがした三つのお願いを描いた「あけみちゃん」とエレベーターに閉じ込められた数十時間を描いた「ここを出たら」、ノアの箱舟再びをやりたくないけどやらざるをえなくなった神さまだったが…な気の毒な物語「ゲーム」、むっちゃ好き。



『スカラムーシュ・ムーン』 海堂尊 新潮社

図書館。
これも堺中図書館開架。
医療界の大ぼら吹き彦根新吾が主役の話。
最初のほうはワクチンセンターに有精卵を納品することになった養鶏業者の地に足ついたお話だったのだが(とはいうものの、語り手の大学院生の指導教授が実は…あたりがその…)、どんどん謎のファンタジーに…。



『クリフトン年代記1 神のみぞ知る』上下 ジェフリー・アーチャー 新潮文庫
『クリフトン年代記2 死もまた我等なり』上下 ジェフリー・アーチャー 新潮文庫
『クリフトン年代記3 裁きの鐘は』上下 ジェフリー・アーチャー 新潮文庫

1は先月ジャニーズ大運動会に一泊二日で行ったとき、持ってった二冊の二冊目を帰りの成田行きバスの車中で読み終えてしまい、第二ターミナルのTSUTAYAで発見購入。
2と3は図書館。
第一次世界大戦が終結した二年後の1920年、イギリスはブリストンの貧しい家庭に生まれたハリー・クリフトンの、成長物語。
まず登場のわるもんヒューゴー・バリントンは2で亡くなり、3では別のわるもんヴァージニア・フェンウィックが登場、1でちょい役だったわるもんアレックス・フィッシャーも再登場、するも、こちらも3巻で解決。
あちこちすっごい気持ちよいシーンはあるもんの、1を読んだ時点でなんだかな、で、1を買ったときには続編も購入する気まんちくりんだったのが、2&3は図書館。
ディーキンズ、卒業してから出番綺麗になくなるけど、ハリーとジャイルズとディーキンズで三人組やったのに、こんなんあり?








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