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本読み月記


【ジャンル分け】 最初から日本語で書かれた小説。
最初から日本語で書かれた小説以外。
日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。

日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。

コミックス


『京の縁結び 縁見屋の娘』 三好昌子 宝島社

図書館。
朝日新聞に載ってた広告で見て、面白そうだったので予約。
天明…、なので1780年代の頃の京都でのお話。
お縁は縁見屋という口入屋の一人娘。跡取り娘だった母はお縁がまだ幼い頃に亡くなり、婿養子の父親と二人暮らし。
お縁の母が亡くなったのは26歳。その母の母もやはりひとり娘で、やはり婿をとって娘を生んだあと、26歳で亡くなっていた。
その悪縁の因が始まったのはお縁の曾祖母の祖父で縁見屋の初代正右衛門、天狗に助けられた逸話を残す彼がしてしまったあることのせいだったことが、次第に明らかになっていき…。
広告に載ってたあらすじから期待してた話とはやや違ったが(もっとどろどろした因縁絡みを期待していた模様)、そしてこのお縁という女の子にあんまり共感できないまんま読み終えてしまったが、それなりに面白かった。



『迷宮の天使』上下 ダリル・グレゴリィ(訳:小野田和子) 創元SF文庫

図書館。
堺中図書館の新刊コーナーで拾ってきた本。
舞台は近未来。
家庭用化学プリンターで簡単にドラッグが生成できてしまう世界。
(作中では言及されてなかったと思うが、シャンプーとかトリートメント、化粧品、洗剤、頭痛薬とか風邪薬、サプリメントとかも、この時代、家庭でプリントされてるのだろうか? そういうレシピサイトとかも賑わってるのだろうか?)
主人公は十年前に起きた事件のせいで精神疾患治療センターに収監されているライダ・ローズ、42歳、神経科学者、レスビアン、女性との既婚歴あり。
同じ施設に入ってきた少女が自殺、亡くなる前に彼女から聞いた「ヌミナス」という名称とそのドラッグの特徴から、ライダ・ローズは彼女が仲間たちと開発した薬、十年前の惨劇の原因となった薬が、世間にひそかに出回っていることを知り、この薬を復活させた犯人は開発仲間のひとりであると推測し、犯人に会うために治療センターを出ることを決意する。
このライダ・ローズ、やる気にだけは満ち溢れているがあんまり役に立たない主人公だった。主に活躍するのは、センターで知り合ったオリーという強迫神経症みたいなのを患う元通信アナリストのガールフレンド。主人公本人は物語の動機つけ及び今は「ヌミナス」という名称で出回る薬の過剰摂取による後遺症の説明役。
でも語り手であるこの主人公の語り口がなんか愉快で、寓話みたいな文章で書かれた幕間に挟まる抄も面白かった。



『世界一のパンダファミリー』 神戸万知 講談社青い鳥文庫

新品購入。
こんな本が出るの、どこで知ったんだっけ?
とにかく発売日前に予約。
白浜アドベンチャーワールドで飼育されているパンダ、去年生まれた結浜までのパンダ全史。



ひさしぶりに作りなおしました、白浜パンダ家系図。
(だいぶ前に作ってブログに貼り付けた二つは、「パンダ 家系図」で画像検索すると、六、七段目あたりにまだ表示されている)
梅梅のグルグル(赤ちゃんパンダを抱き上げて口の中にくわえるようにしてぐるぐるまわす梅梅オリジナルの子どものあやしかた。初めて梅梅がこれをやったとき、アドベンチャーワールドのパンダスタッフは「お、終わった…」と思ったというエピソード(なんで読むか聞いたんだっけ?)は残念ながらはしょられていた)や、梅梅が双子を両方世話した稀有の母パンダであったこと、等の梅梅エピソードもきっちり入ってた。
あ、でも、独身時代の良浜がそんな暴れん坊だったのは、この本で初めて知った。ヤケクソみたいな感じで竹むさぼり食ってたその頃の良浜は見たことあったけど。
著者は関東の人。たまたまネットでみかけたパンダの赤ちゃんの名前募集に応募してなんと応募した名前が採用、名付け親プレミアムツアーの招待状が届いて噂にはうっすら聞いたことがあった白浜アドベンチャーワールドに初めて行ったのが優浜のとき。すっごい近くでパンダがざくざく見られることに驚愕して浜家パンダ堕ち、こんなものすごい場所が国内にあることが関東ではほとんど知られていないことをいぶかしみ、本業の伝手で自分からこの企画を出版社に持ち込んだのだそうだ。



『HELLO PANDA アドベンチャーワールドのパンダたち』 小澤千一朗 写真:中田健司 TWJ BOOKS

新品購入。
こちらは白浜アドベンチャーワールド公式のツイートで発売を知った。




で、慌てて注文。


『ポーの一族 春の夢』 萩尾望都 小学館

新品購入。
雑誌掲載時はじっと我慢の子であった。
やっとコミックスが出ました。
『ポーの一族』5巻の発売が、いま奥付確認したら、昭和51年(西暦1976年)9月。
41年ぶりの新刊である。
第二次世界大戦末頃、途中でパリが解放されるので1944年、5巻収録の「ホームズの帽子」が1934年なので、その十年後。3巻「小鳥の巣」は1959年なので、その15年前。1巻収録の「グレンスミスの日記」の語り手、グレンスミスの末娘エリザベスがベルリンで娘一家と暮らしている頃。(エリザベスの孫マルグリットが曽祖父の日記をみつけるのが、いま計算してみたら1942年)
舞台はウェールズ。
アングルシー島…っていま思い出したけど、ちょっと前にNHKBSプレミアムの「一本の道」で歩いてたとこやんけ。これ、5月30日放送の「“英国の中の異国”を歩く~イギリス・ウェールズ北部~」。
この島にある館に滞在中のエドガーとアランが、館の近くの村にいる親戚を頼ってドイツからこの島に来ていたユダヤ系の姉弟と知り合う話。
ポーの一族とは別の系統の吸血鬼の氏族クラン》がいくつもあること。
ポーの村のこと。
大老ポーおよび老ハンナが老人の姿であった理由。
(ということは、一族に入った時点で大人の骨格に育っていれば、なんかな?)
老ハンナがバンパネラとなったのは西暦700年代だったこと。
1巻でなぜ老ハンナがヴァンパネラを恐れるスコッティの村で暮らしていたのか。
誰かによって仲間に入れられるのではなく、血の中に因子を持っていて(男系のみということは因子の潜み先はy遺伝子?)、それがある年齢になると発動して吸血鬼となる家系があること。(「小鳥の巣」の最後、「バンパネラの血はキリアンの体内に深く沈んで存在した。それは潜在的な因子として子孫にうかつがれてゆき……」への解答だろうか?)
そしてまさかの大老ポーのご登場。
いまになって開示されたいろんな新事実にあっぷあっぷしながら読みました。
どこまでがもとからあった裏設定で、どこからが41年の間に萩尾望都が「ああ、そうだったのか」と気づいたものだったのだろう。
5巻収録の「ピカデリー7時」では、エドガーたちはポーの村への手がかりを探していた。が、いま読み返してみると、ロンドンの街はまだ馬車だらけなので、第二次世界大戦前? ということは「ピカデリー7時」のあとポーの村をみつける?というかポーの村のヴァンパネラにみつかる???それとも村をみつけたらこういうことになってしまった???


『小林カツ代伝 私が死んでもレシピは残る』 中原一歩 文藝春秋

図書館。
鉄人の小林カツ代回、見ていない。
小林カツ代のレシピ、一個も知らない、書いたものも読んだことがない。
のに、朝日新聞日曜日読書欄の書評見て、つい予約。
大阪市の堀江生まれだったことにまずびっくり。
さらに名前、実はうちの妹とおんなじ「勝代」だったこと。音にすれば「カツ代」も「勝代」も「かつよ」で同じ音の名前だったことにやっと気づいてびっくり。
(この年代の人は結婚して苗字かわって字画的によろしくなくなるとわりと気楽に名前を替えたので、「小林」に「勝代」はあんまりよくなかったんかな?)


  

そしてさらに戦時中、堺市に疎開してたのも、そのとき百舌鳥小通ってて、小学校在学中に日本橋に新しく建てた店舗兼自宅に引っ越したのに百舌鳥小が性に合って、卒業まで電車乗り継いで百舌鳥小通ってたのに、さらにびっくり。
浅野一家が離れを借りていたという筒井さん家、検索してみた。




うっわーっ、南海高野線のなかもず駅と百舌鳥八幡駅の間の西側、310号線(googlemapが相変わらず「高野街道」と大嘘いってる道はうちの近所ではほんとの高野街道のちょっと西側走る国道310号線、通称「さんと」線)の東側の、あのややこしいへんたれかっ!
読み終わったあと、小林カツ代レシピ調べて肉じゃが作ってみました。
肉じゃがはずっと、だいぶ前に「きょうの料理」載ってたまず肉をとろ火で乾煎りして賽の目に切ったじゃがいもと大豆を入れて煮込むレシピで作ってたのですが、小林カツ代風肉じゃが、スタンダードな肉じゃがで美味しかった。
この本で一番心に残ったのというか共感したのは。

「料理は愛情」。確かに、愛情という名の手間暇をかければ、料理はおいしくなるという考え方は理解できないでもない。けれども、時間とお金に余裕のある専業主婦ならまだしも、日々、時間に追われている働く女性には、この言葉は極めて「残酷」だった。
仕事でクタクタになって家に帰り、お腹をすかせてべそを掻く子どもをあやしながら、夫の帰宅に間に合うように夕ご飯を作らなくてはいけない。ましてや、カツ代は、愛情さえあれば、おいしい物が作れるなんて甘い考えはこれぽっちも抱いたことがないと語っていた。作る「技術」が伴わなければ、本人が愛情だと思っても、食べる相手には苦痛でしかないと、常に「技術」の必要性を訴えていた。
(172頁より無断転載)

テレビに出て料理を作ることがある人、テレビでそういうものを食べて感想を言うことがある人は、ほんまこれ、念頭においてほしいと、切に思う。
「要る? ほんまにその一手間要る?」と突っ込みいれること、どんだけ多いか。
そして「愛情こもってますねー」の安易な一言にイラッとさせらること、どんだけ多いか。



『アトミック・ボックス』 池澤夏樹 毎日新聞社
『キトラ・ボックス』 池澤夏樹 角川書店


図書館。
朝日新聞夕刊に月一載ってる「終わりと始まり」は楽しみに読んでるが、本になってるものは日本文学全集1巻「古事記」の現代語訳読んだきりだった池澤夏樹。
広告だか日曜日読書欄だかで見て『キトラ・ボックス』予約。
やっと順番廻ってきたとこでなんでかわからんがググってみて、『キトラ・ボックス』単品でも読めるし続編でもないがこれより前に出てる『アトミック・ボックス』の登場人物が『キトラ・ボックス』にも登場することを知り、慌てて『アトミック・ボックス』を予約。こっちはすぐに受け取り館に指定した中図書館に来てくれて、おかげで出た順番に読めた。大正解だった。
(ちなみに『アトミック・ボックス』後半と『キトラ・ボックス』全部は7/20~23の関ジャニ∞京セラ四連ちゃんに通う往路復路の駅&電車の車内&京セラ内の座席での開演待ち時間でほとんど読んだ)
どっちもクッソ面白かったあああああっっっ!!!
『アトミック・ボックス』は、瀬戸内海の凪島という島で生まれ育ち社会学者となった宮本美汐という女性が、漁師だった父が凪島に身を落ち着ける以前、日本国内で秘かに行われていた国産原爆製造研究にかかわっていたこと、死後にそのことを知らされ、それを証明するデータを託される物語。
この主人公の聡明さが実に痛快で、公安警察に追われることになった彼女が助力を請う人々、「離島における独居老人の生活環境」という論文の調査の折に親しくなった「離島における独居老人」たち、同じ大学に勤める研究者の元彼、サイクリング友達、父と親しくしていた新聞記者とその家族たちが、公安警察に彼女の立ち行き先を売る安富稲子を含め、なんとも感じのいい人たちで。
『キトラ・ボックス』は池澤夏樹版『死者の書』といえないこともない。
宮本美汐が『アトミック・ボックス』で助力を請うた協力者のひとり、元彼で考古学者の藤波三次郎は、奈良の天川村にある小さな祠に祀られた鏡と剣の調査を依頼され、その鏡にとてもよく似たウイグル出土の鏡についての論文の執筆者である国立民族博物館(大阪にある。高校の時に課外授業で行ったきりですが)に勤めるウイグル(回紇)出身の研究者に連絡をとる。
このウイグル出身の研究者カトゥン(可敦)、『アトミック・ボックス』の宮本美汐や彼女に協力した新聞記者竹西オサムとその家族も登場し、ウイグルやチベットと中国との関係を下敷きに現在の物語が語られ、この物語の中でキトラ古墳の被葬者と設定される阿部御主人が墓の中で追想する生前の思い出が並行して語られる。
池澤夏樹はわざと説明するのをはしょったと思うのだが、この阿部御主人の生前の思い出に登場する大友皇子(弘文天皇)の正妃である十市皇女、彼女は『アトミック・ボックス』で宮本美汐が海にもぐるときにお呪いにしていた「しほもかなひぬ」の元歌「熟田津尓 船乗世武登 月待者 潮毛可奈比沼 今者許藝乞菜にぎたつに ふなのりせむと つきまてば しほもかなひぬ いまはこぎいでな」の作者である額田王が大海人皇子との間にもうけた娘である。


『〆切本』 左右社

図書館。
作家や編集者たちが書いた締め切りにまつわる文章、たまに漫画、を集めたもの。
白川静、田山花袋、夏目漱石、島崎藤村、泉鏡花、寺田寅彦、志賀直哉、谷崎潤一郎、菊池寛、里美弴、内田百閒、吉川英治、獅子文六、梶井基次郎、江戸川乱歩、横光利一、林芙美子、稲垣足穂、古川ロッパ、幸田文、坂口安吾、高見順、長谷川町子、太宰治、松本清張、大岡昇平、小山清、吉田健一、木下順二、遠藤周作、山口瞳、田村隆一、吉行淳之介&筒井康隆(対談)、野坂昭如、梶山季之、有吉佐和子、藤子不二雄A、後藤明夫、内田康夫、井上ひさし、佐木隆三、赤瀬川源平、浅田次郎、高橋源一郎、泉麻人、大沢在昌、新井素子、吉本ばなな、西加奈子、川端康成、横光利一、埴谷雄高、上林暁、扇谷正造、梅崎春夫、胡桃沢耕史、手塚治虫、深沢七郎&色川武大(対談)、嵐山光三郎、岡崎京子、阿刀田高、永江朗、川本三郎、高田宏、原卓也、村上春樹、山田風太郎、三浦綾子、山口瞳、笠井潔、吉村昭、北杜夫、中島梓、森博嗣、外山滋比古、樋口収、堀江敏幸、大澤真幸、小川洋子、米原万理、金井美恵子、車谷長吉、轡田隆史、池井優、谷川俊太郎、星新一、黒岩重吾、池波正太郎、山本夏彦、柴田錬三郎、谷崎潤一郎。

筒井康隆は吉行淳之介との対談だけだったけど、〆切りぎりぎりまで書くのをガマンする話、なんかに載ってなかったっけ?


『BOX ~箱の中に何かいる~』2 諸星大二郎 講談社

新品購入。
予約してたのが4月に届いたのだが、読んでない本コーナーにとりあえず置いたところ、そのまま読み忘れていた。
(買ったのに読み終えずに読んでないコーナーに積んである本、いま数えたら16冊。一番古いのはたぶん30年くらい放置したまんま…)
ええっと、これはこれで完結なのか? 階段登った先については読者の想像にゆだねるのか?
それともまだ続くのか? 続くとしても3巻1冊分になるほどまだ続けられるのか?



『無力な天使たち』 アントワーヌ・ヴォロディーヌ(訳:門間広明・山本純) 国書刊行会

図書館。
twitterでどなたかリツイートしてて面白そうだったので図書館検索したらあったから借りたと思う。
49個の形も大きさもてんでばらばらのピースを四次元上に並べたみたいなお話。
最初のうちは見覚えがある名前が出てくるたびに目次や既に読んだ章を探したが、途中から諦めてあるがまま読んだ。
わたし、このお話、好き。



『世界を動かした塩の物語』 マーク・カーランスキー(訳:遠藤育枝) 絵:S.D.シンドラー BL出版

図書館。
絵本。
堺中図書館の児童書コーナーに作られていたお奨め本コーナーから借りてきた。
人間と塩との歴史。
あとがきで同じ著書が同じ題材で大人向けに書いた本もあると知り、図書館に予約。



『お食辞解』 金田一秀穂 清流出版

図書館。
小林カツ代の伝記が面白かったので、それに載ってた小林カツ代のエッセイあるかな?と料理本コーナー眺めてて遭遇。
金田一秀穂先生、TVでは見たことあって、けっこう好きだが、書いたものを読んだのは初めてだ。
金田一という苗字で国語学者だから、京助とか春彦の血縁者かな?と思ってたが、京助の孫で春彦の息子だったのね。てか、春彦は京助の息子だったのね。
すっげえ愉快な文章だった。
あちこち爆笑しながら読んだ。
たまにすっごい根性悪なこと書いてらっしゃるのもナイス♪
粒餡については共感しかないですわ、先生っ。
関東と関西の食文化の違いを語るとこで、自らを「吾妻夷」と称されるのも愉快。
関東と関西で「ぜんざい」が違うことを知ったのは『天ぷらにソースをかけますか? ニッポン食文化の境界線』(野瀬泰申)でで、それを知った数ヵ月後、「大和三銃士」を観るために新橋演舞場へ行かねばならなくなった。初めての演舞場、早めに行ってあちこち見物していたら、地下の食堂の前に季節限定メニュー「栗ぜんざい」の案内が。おお、吾妻夷どもが「ぜんざい」と称しているらしいものに遭遇する機会がいきなり棚からぼたりとと、幕間にるんたったと食べに行った。期待していたこってんこってんの餡子ただ熱くしただけ状態なものよりは多少緩かったが、確かにあれは「ぜんざい」ではなかった。
が、大阪は日本橋の国立文楽劇場でこの吾妻夷なぜんざいを出してるなんて知らなかったよ、金田一先生。
この本が出たのは2012年11月。
来月ここである上方歌舞伎の会のチケットとってるので、国立文楽劇場(正面玄関右側のあの食堂やよね?)でいまだに吾妻夷ぜんざいを「ぜんざい」と称して出しているのか、確認してみようか。でも八月に熱い餡子…。

そして「せいろ」の項でも「むす【蒸す】」の項でも、昔はそばは蒸して食べていたらしいと記しているが、堺にあるそば屋、「ちく満」という店、ここのそばはそれである。蒸したて熱々のそばを生卵割りいれたつゆで食べる。わたしは昔々の大昔、友達に連れられて一度行っただけなのだが(三斤注文して三斤食べきって店の人を驚かせた記憶が…)、いますっごいもいちど食べに行きたくなっている。
(そして記憶を確認するために「堺 せいろ」でググってみたところ、ほかにもせいろ、蒸した熱々のそばが食べられる店、堺にはほかにも何店かあるらしい)でもうどん文化圏の堺でこれだから、蕎麦店だらけの東京にはふつーにいっぱい蒸したそばが食べられる場所があると思い込んでいた。堺のせいろ数点、これって謎の仇花?
そして実はわたし、「めざし」というのが魚の種類なのかあの形状のとこなのか、はっきりしたことを知らないままこの年まで生きてきました。
種類に関係なく目に紐状のものを通してつなげた状態のものが「めざし」なんですね、金田一先生、ありがとう。



『里山奇談』 coco、日高トモキチ、玉川数 角川書店

図書館。
最初の三編くらいはあんまり面白くないというか、こういう短い聞き取り怪談みたいなんが延々続くんかな…と思って読むのを放置してたが、やっぱり目を通すだけ通してみようかと返却日四日前に再開したら、四編目の「エド」が面白くて、そこから一気読んでしまった。
「おかえりの蜂」「おまっしらさん」「ほたるかい」「陰の膳」「古井戸」「山野辺行道」好き。特に「山野辺行道」
幼い頃に花嫁道中に同行した記憶が実は若くして亡くなった母の従妹の葬列だった話、すごい好き。なんてわかりやすいわたしの好み。
しかし、これ、創作? それともいろんな人から経験談を集めたもの?


『納豆に砂糖を入れますか? ニッポン食文化の境界線』 野瀬泰申 新潮文庫

図書館。
金田一せんせの『お食辞解』読んで、だいぶ前にこの人の『天ぷらにソースをかけますか』読んだら面白かったのを思い出し、他に本出してるっけ?と図書館内検索したら、これと『全日本 食の方言地図』があった。
『天ぷらに』の続編。
第二章「すき焼き」が面白かった。特に紅白かまぼこ入りすき焼きのとある料理屋の店主との会話んとこは爆笑。が、白滝か糸こんにゃくかの結論の「糸こんは黒くて割りばしくらいの太さに切ったもの。しらたきはもっと細くて白いもの」については異論が。「黒くて割りばしくらいの太さに切ったもの」いうたら「突きこんにゃく」やんけ。
うちは八百屋だったが、魚や加工品や調味料も売っていて、こんにゃくも置いていた。板こんにゃくは裸で水に浸けてあって、お客さんから要望があれば、ところてんの天つきみたいなののこんにゃく用ので突き出して細長くした。これの形状が「黒くて割りばしくらいの太さ」だったが、これは「糸こんにゃく」ではなく「突きこんにゃく」である。「糸こんにゃく」は別にあり、黒くて細くてあちこちインスタント麺をもどしたみたいな縮れがあった。そしてうちのすき焼きにはこの黒くて細くて縮れのある「糸こんにゃく」が使われていた。
こんにゃくを包丁で切れば「突きこんにゃく」状のものは作れるが、こんにゃく突きを使えばこれ一瞬だよなー、こんにゃく突き、今もあるんかなと検索してみたらあった。あったが、8000円もした。なぜ店を畳んだときにこんやく突きも処分してしまったんだと後悔したが後の祭りである。
amazonでいま四種類、一番安いので8861円、きゃーーー。
突きこんにゃく作るためだけにこんにゃく突常備してる家庭もまあないだろうから、ぜんぶ業務用なんだろうけど。
閑話休題。
あと面白かったのは、第八章「汁かけ飯について」に載ってた「犬まんま」「猫まんま」問題。
冷やごはんに味噌汁ぶっかけたものを「猫まんま」と呼ぶ人がけっこういることについては常々疑問に思っていたが、この本での回答者はわたしとおんなじ、冷やごはんに味噌汁かけたものは「犬まんま」、ごはんにかつおぶしをかけたものが「猫まんま」だったので、なんか安心した。
ひょっとしたら、犬にはドッグフード、猫にはキャットフード、が普及してから、猫や犬のごはん=食べ残し、ということがなくなり、リアルでなくなった言葉なのかもしれない。
ちなみに我が家では去年16歳で亡くなった啓介の主食はドッグフードだったが、啓介がうちに来る前にいた犬はみんなご飯ベースの食事を与えていた。ご飯が残らなければ犬のために炊きなおしていた。
『全日本 食の方言地図』も一緒に借りてきたが、こちらはあんまり面白くなくて読み飛ばし。











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