,




本読み月記


【ジャンル分け】 最初から日本語で書かれた小説。
最初から日本語で書かれた小説以外。
日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。

日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。

コミックス


『カデナ』 池澤夏樹 新潮社

図書館。
先月読んだ池澤夏樹二冊が面白かったので、とりあえず開架にある分チェックに行き、これを借りてきた。
タイトルの「カデナ」が沖縄の「嘉手納」であることに読み始めてしばらくは気づかなかった。
舞台はまだ返還前、1970年の沖縄。
父は米兵、母はフィリピンの資産家、米軍基地に勤務するフリーダ・ジェイン。
沖縄に生まれ、一家でサイパンに渡り、戦争で家族がみんな亡くなり、戦後沖縄に帰った嘉手納朝栄。
ジラー&サンラーというバンドのドラマーのタカ。
ベトナム人のアナンさん。
別々に話し起こされた彼らが、米軍のベトナム爆撃情報の受け渡しや、米兵の逃亡幇助活動などで、次第につながっていく物語。
彼らの中に自分がいると仮定したとき、おそらくきっとこのあたりまでしか把握できず、こういった感情や不安をもつであろうという限界をストイックなまでに守り、構築された物語だと、読んでいる最中よりも読んだあとで強く思う。
彼らとともに1970年の沖縄にいたら、気がつけば未来側から俯瞰したことしかなかったコザ暴動の夜にいた、という感じ。

そんで池澤夏樹、次は何を読むべきよ?



『真ん中の子どもたち』 温又柔 集英社

図書館。
朝日新聞に載ってた広告かtwitterのリツイートかで知って予約、すぐに順番来て、でも次の予約入ってないから返却日までに読めなかったら延長しよーと後回してて、返却日三日前くらいのとこで他の本予約して確認のため予約欄開いてみたら、知らない間に予約が13人ーーー。で慌てて読んだ。
(犯人は9月17日朝日新聞読書欄、お前だな)

四歳の私は、世界には二つのことばがあると思っていた。ひとつは、おうちの中だけで喋ることば。もうひとつが、おうちの外でも通じることば。ところが、外でつかうほうのことばが、母はあんまりじょうずではない。(冒頭より無断転載)

日本人だが中国語に堪能な父と台湾人の母との間に生まれた「私」が高校を出てから通っている漢語学院の短期留学?みたいなので上海で過ごす一ヶ月くらいのお話。
あれこれいろいろぐるぐる悩む「私」に、そんなに悩まなくてもいいのにと思いながらも、お母さんの言葉もそこそこ喋れて台湾に親戚いてつきあいも普通にある彼女を羨やみつつ、ほほえましく読んだ。
中国語で話したとこが中国語のまま記されてたり、単語にカタカナやアルファベットで発音ルビ振られてるのも楽しかった。



『スリープ・ウォッチャー』 W・C・デメント(訳:大熊輝雄) みすず書房
『ヒトはなぜ人生の3分の1も眠るのか?』 ウィリアム・C・デメント(訳:藤井留美) 講談社


図書館。
うちの大学、必修単位に読書感想文があった。
一回生&二回生時、大学のせんせ方が10冊づつ選んだ本から前期五冊後期五冊読んで原稿用紙三枚以上の感想文を書かなくてはならなかった。
そのとき読んだ一冊がデメントの『夜明かしする人、眠る人』だった。なので1980年か01年あたりに読んだはずだ。
げっつい面白くて、これで睡眠時無呼吸症候群のことを知ったのだが、日本でこの症候群が喧伝されるようになったのはそれから十数年後のことだった。(わたしが初めてTVで出くわしたのはたぶん「特命リサーチ200X」)
というのをNHKスペシャル「睡眠負債が危ない」見て久々に思い出し、『夜明かしする人、眠る人』の著者ってほかに睡眠関係の本出してなかったんかな?と検索してみたら、出ていた。二冊も出ていた。
『スリープ・ウォッチャー』(1994年。本国では1992年)は『夜明かしする人、眠る人』の焼き直しみたいだったが、これで既に使われてた言葉だったのね、「睡眠負債」。
『ヒトはなぜ人生の3分の1も眠るのか?』(2002年、本国では1999年)のほうはその後の新しい発見とかも加味され、これまたげっつい面白かった。
睡眠時無呼吸症候群の治療法のひとつとして気管切開の症例が紹介されてたが、日本でもやってるんかな?と思って「睡眠時無呼吸症候群 気管切開」でググってみたら、こことかこことかみつかった。後者には睡眠時無呼吸症候群の治療機関も紹介されてて、ひとつの県に一軒はあるみたいだが、重度の睡眠時無呼吸症候群の人が自分がそれであると気づかず高血圧等で近くの開業医を受診してる場合、医者が気づいてこういった治療機関を紹介するっていうこと、どのくらいあるんだろう?
また睡眠時無呼吸症候群が原因の高血圧って、血圧高い人の何割くらいなんだろう? いま思ったけど、睡眠時無呼吸症候群ではない、単純に睡眠時間が足りない人、睡眠負債が原因の高血圧もあるんかな? もし睡眠を改善することで血圧が正常になる人が血圧高い人の3割くらいはいて、十分に睡眠する、病院から貸し出される簡単な器具で睡眠時無呼吸症候群に対処できる、になって高血圧の薬を飲まずに済むようになった場合、血圧さげる薬の売り上げ減少って何億円くらいだろう?

が、わたしが小さい頃からずっと抱えている症状、寝つきがすこぶる悪い、眠気がなかなかこない、眠気があって眠くて眠くてたまらないのに寝つけない、それでも眠ろうと横になってると意識はある状態でものすごく精細な映像が次々目の前に浮かんでくる(画像記憶が苦手なのでとても不思議)、酷いときには意識はあるのに間違いなくあるのに間違いなく寝付いてないのに、目玉がぐるぐるレム睡眠みたいに動き出す、の原因はあいかわらず不明。(かかりつけの病院でマイスリーとロゼレムを処方してもらっている。マイスリーだけの頃は飲んでもなかなか眠気がこないことがあったが、このふたつを半錠づつ飲むとちゃんと眠気がきて寝付ける。ビバ、医学の進歩)
あと、わたし、寝不足のとき、ツボでいうと肺兪か厥陰兪あたりのとこに眠気の芯みたいなのがずっと居座る。でも誰に言ってもわかってもらえない。
それと、ボリューミーな本とか映画とかお芝居とか摂取したあと、睡眠時間ていつもより増えませんか? いつもより多めに寝ないと寝足りた気がしなかったりしませんか?



『アウシュヴィッツの図書係』 アントニオ・G・イトゥルベ(訳:小原京子) 集英社

図書館。
アウシュヴィッツ収容所。
そこで収容者たちによってひそかに運営されている学校。
プラハ育ちの少女ディタは、収容者たちがひそかに持ち込んだり、何かと交換して手にいれた、八冊きりしかない本の管理者、「図書係」となる。
アウシュヴィッツ=ビルケナウ収容所に送られて生き延びたディタ・クラウスという女性の実話を元に書かれた小説。
いつものように、解放まであとどのくらい…と、びくびくしながら読みました。
アウシュヴィッツの中での日常、プラハやその後まずユダヤ人たちが集められたテレジーンのゲットーでの暮らしの追想。
ナチスによって無理やり集められた人々の共通点は「ユダヤ系」その一項なんだから当たり前のことなんだけど、さまざまな言語のさまざまな階層の見ず知らずの人々が一箇所に押し込められたんだから諍いや軋轢はあって当然なのに、「強制収容所で明日ガス室に送られるかもしれないことと隣り合わせだった人々」とひとまとめに思っていたらしい己に気づいて愕然とさせられた。
死の行軍」のことも、「ドイツ降伏は1945年5月やけどアウシュヴィッツの解放っていつ?」とググって初めて知った。戦争末期、ドイツが強制収容所の収容者たちをドイツ国内に移動させてたことなんかも知らなかった。
そういえば、一回になるべく大勢「処理」するために入りきらないくらいの人数を無理やり押し込んだので中にはガスが出る前に窒息したり圧死したりした人もいたことを知ったのもわりと最近、毎週予約してる「コズミック・フロント」のかわりに録れてた「フランケンシュタインの誘惑」のフリッツ・ハーバーの回だったなあ。
印象深かった登場人物はアホウの振りをしていたモルゲンシュテルン老人。
印象深かった言葉は。

独裁者、暴君、抑圧者たちは、アーリア人であれ、黒人や東洋人、アラブ人やスラブ人、あるいはどんな肌の色の、どんなイデオロギーの者であれ、みな共通点がある。誰もが本を徹底して迫害するのだ。
本はとても危険だ。ものを考えることを促すからだ。
 (10頁より無断転載)

ディタのモデルになったディタ・クラウスさんをググったら、ここがトップでヒットしました。


『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』 ピーター・トライアス(訳:中原尚哉) 早川書房

図書館。
上記の『アウシュヴィッツの図書係』もこれも、朝日新聞日曜版読書欄で見て予約したのだが、どっちも予約者いっぱいでだいぶ待ち、『アウシュヴィッツの図書係』が先に順番来て、読んでいる最中これも順番来て、続きで読むことになったのだが。
うわあああ、三国同盟が第二次世界大戦に勝ってしもてるーーー。
ということは、ドイツはあのまんま「最終処理」続けてしもてるやんけーーー。
ディタもディタママもマルギットも、絶対もう「処理」されてしもてるやんけーーー。
1948年、アメリカ西海岸の日系人収容所が日本軍に解放されるプロローグに始まり、本編は40年後の1988年。
石村紅功という日本陸軍所属の検閲官と槻野昭子という特別高等警察課員のふたりを軸に話が進む。
奥がありそうな人物の奥がけっこう浅かったり、回想シーンできっちり描かれてるので現在進行中の話にどう噛んでるのかなと思われた人物があっさり一行で死んでるのが判明したりして、なんだかな、と思いながら読んだ。
すっげえ気持ちよかったのは、カタリナ島へ渡るために乗せてもらった船での石村VSイーグルキラー。
最後の最後、石村が両親を告発した真相が判明するとこも、ほんと気持ちよかった。
現在わたしたちが使ってるスマホは「電話を携帯する」というコンセプトから進化してきたわけだが、この世界では電卓にどんどん機能を付加していったら今のスマホのようなものになったらしく、携帯モバイルは「電卓」と呼ばれてるのも面白かった。
かっこよかったのは、ベッタベッタの関西弁喋るクジラ母子。
子クジラ、どうなってんろ? 助かったんやろか?
最初の収容所シーン、収容対象の基準が「日本人の血を十六分の一以上」というとこに、『首吊りクロゼット』(トニー・フェンリー 角川文庫)で読んだ「昔のルイジアナ州法では、黒人の血が十六分の一以上入っていれば黒人判定」というのを思い出した。



『人体 600万年史』上下 ダニエル・E・バーマン 早川書房

図書館。
これも朝日新聞日曜版読書欄。
NHKスペシャルの「病の起源」系かと思って予約したが、読んでも読んでもなかなか面白くならなくて、途中から流し読み…。



『きのう何食べた?』 よしながふみ 講談社

新品購入。
ケンジもついに50歳。
wikiの『きのう何食べた?』項によると連載開始時はシロさん43歳ケンジ41歳だったらしい。
#103、同い年の友達の子供が気がつけば大人になっていてびっくり、わかる、すっごいわかる。



『夏目友人帳』22 緑川ゆき 白泉社

新品購入。
22巻目にして、なぜレイコさんが妖怪たちの真名集めを始めたか、が明らかに。
蒼子さんと夏目が今後出くわしたりはせえへんのかな?
のれんの話に出てきた妖怪好き。
ところで今年の春くらいから実家の庭に鳥が帰ってきて(疥癬を最後に庭猫がいなくなるまで、十数年実家の庭には猫がいたので、鳥が近寄らなかった)、春くらいにはヒヨドリとメジロいたのでみかんやってて、雀もひょっとしたら来るかな?と裏のお稲荷さんの横あたりに神さん棚のおさがりの洗い米とか残った冷ご飯撒いたら雀も来るようになって、雀がふくふくと太って、毎日裏庭がヒッチコックの「鳥」の雀オンリー版みたいになってるんですが、最近、茶虎猫(野良なのか外出フリーな飼い猫なのか不明。でも茶虎なので九割くらいの確率で雄)が近所に出没、裏庭でも二回くらい遭遇。
喰ってるんかな、雀。喰ってるんやろな、雀。
これって結果として野良かもしれない猫に餌やってることになるんかな?
あ、最近、モズも見かけるの。
ググってみたら、モズって雀喰うのね。
喰ってるんかな、雀。
これも結果として、野鳥なモズに餌やってることになるんかな?

最後の妖怪に妖怪食わせる話でふと。


『Landreaall』30 おがきちか 一迅社

新品購入。
もちろん小冊子付き特装版。
30巻にしてついにタイトルが「Landreaall」である理由が明らかに。
読み終わったあと25巻あたりから30巻まで読み返し、それでも足りずにひさびさに1巻から一気読み返し。
『Landreaall』読むしかしなかったほぼ三日間くらい。



『くるねこ』20 くるねこ大和 エンターブレイン

新品購入。
トメちゃが亡くなったのが八月の末。
だけど、この本の中ではトメちゃ、まだ元気。
小料理屋の女将さんみたいな擬人化胡まさん、好き。
胡まさん、リアルでもなんか太地喜和子に似てるけど、擬人化さらに似てる。

ただ最近くるさんのブログ読んでてなんかひっかかるのは、ふつーの猫飼い、こんなに医者に連れてけないよなあ、ということ。
うちのせんせなんか、畜主の懐具合&通院負担を思いやるあまり、点滴も注射もすぐ「自宅 de GOGO!」薦めてくれやがるもんな…。
(自宅注射もしくは点滴経験者だけに通じる鉄板ネタ。「猫の皮引っ張ってー、針ブスっと刺してー、点滴のダイヤル回し(注射器のピストン押し)たらー、液が向こう側にピュー」)



『3月のライオン』13 羽海野チカ 白泉社

新品購入。
坊vs宗谷戦、顛末まですっげえ気持ちよかったあああああ。
あかりさんをめぐる島田と林田せんせ、これからどうなるんだろう。島田さんにはひとりもんでいてほしいので、林田せんせ、GOGO!
ところで映画観ていない。あんなに楽しみにしてたのに観に行っていない。
前編公開から一ヶ月あけて後編公開なんてなんでするの?
思い出せよ、ベルトリッチの「1900年」をよー。
そんでDVD発売も前編発売日と後編発売日、一ヶ月あきなのね。
後編レンタル始まってから一気に見る。











INDEX書庫