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本読み月記


【ジャンル分け】 最初から日本語で書かれた小説。
最初から日本語で書かれた小説以外。
日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説。

日本語以外で書かれたものを日本語に翻訳した小説以外。

コミックス


『酒の渚』 さだまさし 幻冬舎

図書館。
一昨年、父ちゃんに図書カード作らせた。で、東百舌鳥図書館では主に父ちゃんのカードで借りている。
で、ぷらっと東百舌鳥図書館行って開架漁ってて発見。
懐かしい人、懐かしい場所の思い出を、お酒の話にからめたエッセイ集。
すでにない人、すでにない場所を、懐かしく思い出し、しのぶ話も。
プラザホテルの話が何度か出てきた。
わたしがプラザホテルでご飯を食べたのは一回きり、父方の従妹の結婚式&披露宴のときだけ。
これまで行った披露宴で一番美味しかった披露宴だ。
特にメインの、牛フィレ肉のブリオッシュ包みトリュフソースがもう、この世のものとは思えないほど美味しかった。
舌の極楽の思い出。

ところでずっと建替工事していた堺市民会館が、来年の秋、フェニーチェ堺という名で完成する。
その前夜祭みたいな感じで先月今月、堺の南宗寺でイベントがある。
さだまさしの回もあり、それが6月8日。
堺市に住民票置いてる人対象の先行申し込みも、一般申し込みも、スケジュール帳に申し込み開始日を書いておいたのに、うっかり申し込みそこねた。
申し込んだからといって当たることはまあなかったと思うが、買わなきゃ当たらぬ宝くじ、痛恨すぎる…。



『消滅』 恩田陸 中央公論新社

図書館。
舞台は羽田空港らしき場所。
超大型台風接近中、おおがかりな通信障害が起こる中、海外便でこの空港に到着、入管でとめられて別室に通された人たち、そのうちの数人の複数視点で進む物語。
行け行けどんどん、すっげえ面白かったあああああ。
この複数視点を担当するキャラたちがみんな人好きのする感じのいい人たちで、窓のない個室という息の詰まるような舞台で進む話なのに、読んでてほんと楽しかった。
「耳栓とフロス」はまったくイメージできなかったが、この結末は気持ちよく、wikiにテロリズムの定義を確認に行く。



『営繕かるかや怪異譚』 小野不由美 角川書店

図書館。→楽天ブックス確認してみたら文庫版がもうすぐ出るそうなのでカートに入れた。
家にまつわる怪異を集めた連作短編集。
「奥庭より」「屋根裏に」「雨の鈴」「異形のひと」「潮満ちの井戸」「檻の外」の六編入り。
現在の当事者というか被害者が、「営繕かるかや」の尾端が講じる工夫や改築によって助かってくれるので、起きている状況にぞっとしながらも毎話気持ちよく読めた。
特に怖かったのは「雨の鈴」。
が、この女、いつごろからこうして「弔問」しているのだろう。弔問には黒、ってわりと最近の風俗だったはず。ということは出現したのも最近か、とまず思ったが、ひょっとしたらものすごく昔からこうして巡っていて、たまさかこの女が見えるものに「弔問」を思わせる衣装に見えるだけで、見えるものの「弔問客はこういう衣装」という意識が違えばそういった風に見えるのかもしれない。
このお話にでてきた、次々に犠牲者が出た家、ついにはおばあさんと嫁だけが残った家、そのおばあさんの自殺の原因が「嫁を守るため」だったことが心にしみた。



『俳優のノート』 山﨑努 文春文庫

図書館。→新品購入。(『柔らかい犀の角』読み終えたとこでこれと一緒に楽天ブックスで購入。図書館のを読んでる最中に到着)
新国立劇場の杮落とし公演「リア王」でタイトルロールのリア王を務めることになった山﨑努が、最初の打ち合わせ段階くらいからずっと書いていた覚書を本としてまとめたもの。
ジュディ・デンチの舞台を観てその凄さに圧倒されるあまり、「
本来ならば食事にでも誘って東京案内をすべきなのだが、もうそれどころではなかった。演技に圧倒され、ジュディ・デンチはすでに憧れのスターになってしまっていた」(43頁より無断転載)のくだり、大好き。
(ジュディ・デンチはかなり好きな女優さんだが、映画でしか知らないので、舞台女優としてそんな凄い人だったことを初めて知った)
自分自身の問題として読むこと」「安易にでっちあげた解釈で全てをこじつけてしまわないこと。謎は謎として大切にすること」(47頁より無断転載)という脚本を読む上で山﨑努が己に言い聞かせるように記す心構え。
余貴美子が范文雀と従姉妹というのもこれで初めて知った、びっくり。(124頁)



『銀杏坂』 松尾由美 光文社

図書館。
6月13日、PEACHで行ってPEACHで帰る日帰り有楽町の旅に持ってった本、その1。
金沢っぽい市で起こる不思議な事件を描いた連作短編集。
歴史のある地方都市を舞台にしているわりには、なんか風情のない話で、いまいち。



『辰巳屋疑獄』 松井今朝子 筑摩書房

図書館。
6月13日、PEACHで行ってPEACHで帰る日帰り有楽町の旅に持ってった本、その2。
大岡越前の日記に「辰巳屋一件」として記された元文5年(1740年)に起きた実際にあった事件を、その事件の脇役ながら当事者のひとりだった元助が辰巳屋に丁稚奉公に出るところから事件その後までを描いたもの。
面白いのは面白かったが、主人公である元助は最後まで右往左往するばかりで、その元助の主人の木津屋吉兵衛がイヤな奴で、読んでてなんか困った。



『ねことじいちゃん』1~4 ねこまき メディアファクトリー

新品購入。
ネットで読んでたが、映画化されることになり、しかも主演が志の輔さんで、さらにしかも監督が岩合さんで、こえはええきっしょかとつい買うてしまいました。
原作のタマさんは茶トラシロだが、映画のタマさんはキジトラらしい。
じいさんのタマさん、体重は8キロって、うちの徹平でも7.5キロ。かなりの大物。
これさげながら米買って帰るのは無謀だ、じいさん。



『師父の遺言』 松井今朝子 NHK出版

図書館。
小説だと思って借りてきたら、松井今朝子が生まれてから小説家になる直前くらいまでの自伝、みたいな内容だった。
まず語り起こされた松井今朝子が生まれた家と生まれた頃の事情にたまげた。
1953年生まれ。わたしより八歳年上。もっと年の離れた人だと思ってた。

友達よりも自分の中で会話をするほうが好きな子どもは当然いつの時代もいるわけで、私の場合はすでに小学校の低学年からある程度のストーリー性を持った妄想を楽しんでいた。ただし妄想といっても、自分がたとえばどこかの国のお姫様で、悪人に誘拐されて、素敵な王子様に助けられるといったような類のストーリーではない。妄想の中に決して自分自身は出てこないのである。登場するのはたいてい六人の人物で、六人それぞれのキャラクターが漠然とあって、ひとりはそこそこ年配の男性、三人は若い男性、あとのふたりは性別すらぼんやりとしている。
たとえば本や芝居や映画やテレビで知った情報を元に、それら六人の人物が登場する「世界」のようなものができあがる。そこで彼らは常に私自身とは無関係な会話や行動をしている。寝床の中や、道をひとりで歩いている時などは必ずといっていいほど、周囲に人がいても隙あらば外界をシャットアウトし、私は彼ら六人の「世界」に熱中した
」(41頁より無断転載)

自分が登場しない妄想劇場、わかる。すっごいわかる。
武智鉄二という人のことは、これを読むまで、名前すら知らなかった。

あとどこかに尾上辰之助の名前が出てきた。大昔にNHK教育で放送されたのの録画を映美ちゃんに借りて観た「オセロー」の出演者、デズデモーナが玉さまでタイトルロールのオセローが松緑という名前の歌舞伎役者っぽい名前の人だったことしか覚えてなかったので、オセローにあることないこと吹き込んで妻殺しに追い込むイアーゴー、あれ演ったのって誰だったんだろうとつい最近調べたらこの人で、オセローだった二代目松緑の息子さんで、当代松緑(だあい好き♡)のお父さんだったことを知ったとこで、この本で出くわして、なんか不思議な気持ちがした。



『獨楽 熊谷守一の世界』 藤森武 世界文化社

図書館。
1976年から1978年にかけて藤森武という人が撮ったもの。ということは、熊谷守一は94歳から96歳。
写真に熊谷守一の語った言葉がキャプションとしてついているのが楽しかった。あちこちに撮影者が書いた文章もついていて、読み応えもあった。
映画「モリのいる場所」は結局観に行けず。レンタル始まるのを首を長くして待とう。



『とのとのとのこのぐだぐだ雑記』 TONO フロンティアワークス

新品購入。
2014年4月~今年の2月まで「DARIA」で連載されてた身辺エッセイ漫画。
わたしも20時か21時にベッドに入れられて消灯されて、朝7時か8時に起きないといけない老人ホーム生活は、きっと絶対無理だと思うので、もしわたしに腐るほどお金があるなら、いつ寝ていつ起きてもいい、猫や犬がそのへんうろつく、所内徘徊も24時間オールフリーの老人ホームを、今のうちに作っておきたい。
さらにもっとお金に余裕があるなら、3000坪くらいの敷地を完全に囲って、中に小さい建物や四阿をあちこちに作って、小道をはりめぐらし、残った場所にはいろんな木を植えたり、畑や田んぼも作って、入居者にはGPSチップを埋め込み現在地を確認、できれば現在覚醒してるか睡眠してるかとざっくりした健康状況も把握できて、入居者は好きな時間に好きに徘徊できて、疲れたらそのへんの小館や四阿やベンチで休んだり寝たりできて、あちこちにちょっとした食事をできる場所があってお腹がすけば適当になんか食べられる、スタッフも気遣い上手の優秀な面子が潤沢な数いて、ボケ老人が粗相をしても、近くで住人扮装して何かしている彼らにすぐに気持ちよく着替えさせてもらえて、汚したあともすぐさま掃除され、紙パンツがずくずくになる前にこれまた気持ちよく取り替えてもらえる、そんなボケ老人が自由きままにボケLIFEを満喫できる老人ホーム、今のうちに作っておきたい。

ところでテレビ大阪でいまアニメ「キャプテン翼」を放送中。
しかも主題歌がジャニーズWESTの「スタートDASH」。
なもんで、毎週勝手に録画されている。
というか、テレビ大阪でアニメ「キャプテン翼」新作が放送されるだけでも仰天だったのに、それの主題歌がジャニーズWESTにさらに仰天、したあまり、思わず読み返した、うちの同人誌棚に残るC翼同人誌(1/3くらいはうぐいす姉妹本)。



『クリスマスと探偵を』 伊坂幸太郎(絵:マヌエーレ・フィオール) 河出書房新社

図書館。
絵本形態の本。
舞台はドイツ。小さな画材屋で細々と商う両親のもとに育ち、いまは探偵まがいの仕事をしている「カール」という男が、あるクリスマスの夜、長らく連絡をとっていない父親を尾行していて出くわした素敵な「奇跡」。
あとがきによると、大学生のときに書いた話をリメイクしたものなのだそうだ。
前に伊坂幸太郎のインタビュー記事にあった「僕が小説を書こうとするのは、例えば野良猫が幸せかどうか分からない時に、 幸せになる物語が作れたら良いなという発想なんです」という言葉を思わず思い出し、書き直したとはいうものの筋の骨子が変わってないなら、伊坂幸太郎って最初から伊坂幸太郎だったんだなあとしみじみ思わされた、そんなお話。



『口笛の上手な白雪姫』 小川洋子 幻冬舎

図書館。
「先回りローバ」「亡き王女のための刺繍」「かわいそうなこと」「一つの歌を分け合う」「乳歯」「仮名の作家」「盲腸線の秘密」「口笛の上手な白雪姫」の八編入り。
ツチブタについては「かわいそうなこと」で初めて知った。検索してみた。すっげえ可愛い。(ツチブタ画像検索結果
パブロフ博士の犬がそんな目に遭わされていたのも「かわいそうなこと」で初めて知った。(83頁参照)
わたしにとっての、それについてついつい考えてしまうような、ほどよく痛気持ちのいい「かわいそう」ってなんだろう。
「一つの歌を分け合う」と「盲腸線の秘密」と「口笛が上手な白雪姫」、むっちゃ好き。
「仮面の作家」はきつかった。



『老いの入り舞 麹町常楽庵月並の記』 松井今朝子 文藝春秋
『縁は異なもの 麹町常楽庵月並の記』 松井今朝子 文藝春秋


図書館。
26日、名古屋日帰り遠征(滝沢歌舞伎昼の部&ABC-Z夜の部。往きも復りも近鉄アーバンライナー。往きはひたすら車窓の景色を眺めてしまった。帰りは奮発してDX。アーバンライナーのDX席、凄い。どんだけ眠くても外では寝つけない私が、名古屋出てしばらくしてから奈良の大和八木に着く手前くらいまで、背もたれにまっすぐもたれたまんま昏々と眠ってしまった。しかも起きたとき首痛とかのダメージ、まったくなし)のお供本。
連作短編集。
あらすじはここ参照。
『老いの入り舞』は「巳待ちの春」「怪火あやしびの始末」「母親気質かたぎ」「老いの入り舞」の四編入り。
『縁は異なもの』は「宝の持ち腐れ」「心の仇」「塗り替えた器」「縁は異なもの」の四編入り。
常楽庵のお隣さんで御様御用を勤める山田淺右衛門がステキであった。
ところで常楽庵の庵主の志乃さん、髪を「尼そぎ」にしていた。
「尼そぎ」は肩のあたりで切りそろえた状態であると高校の古典の授業で説明され、その後もそれ以外の説明を見たことがないが、実は髪の毛を後ろで束ねた状態で毛先をまっすぐに切りそろえると、ほどくと毛先がなだらかな二段になるのだ、うっかりやったことのある人しか知らないことだが。というか、うっかりやってしまったとき、そういうことになってびっくりしたが。
ひょっとしたら、束ねた状態でまっすぐ切りそろえて毛先が二段になった状態が「尼そぎ」で、少女の「振り分け髪」は髪をおろした状態で切りそろえたもの、という、長さは同じでも明らかな違いがあったのでは、と、髪を束ねた状態でまっすぐ切りそろえたら毛先がそんなことになってびっくりしたときから、考えている。
(日本髪の髷の部分をポニーテールみたいにした江戸時代の未亡人の髪型、映画でもドラマでも歌舞伎でも毛先はまっすぐに切りそろえてあるから、あれほどくとたぶん、結わずに普通に束ねてまっすぐ切ったのと同じく、なめらかな二段になると思うんだ)
(そういや江戸時代にはいってから、なんで女性は毛先を髷の中にたくしこんで見えないようにするようになったんかな? 毛先を人目にさらすのは子供か未亡人か堅気でない女性かのどれか。これもずっと不思議)











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